(清隆先輩!!!会いたかったよ!!!...)
私...一夏ちゃんは思わず、自分の口から漏れ出そうになったその言葉をグッと堪えた。
冷静になって考えてみると、今のタイミングで清隆先輩に声をかけにいったところで余計に場がややこしくなるだけだもんね~...
(周囲から、事情を聞かれた時の言い訳にも困るよね...先輩との関係性を正直に言うわけにもいかないし...)
私が隠れながら、そんな事を思っていると...
(おやおや?誰かが止めに入ったね...ん?よく見たら...あれって、拓也じゃん?)
おっと?いつの間にか...私と同じくこの場に駆けつけていたらしい、拓也が宝泉くんにこの場は一度、引き下がるようにと言っているみたいだね~!
そんな宝泉くんは拓也に一言二言...何やら言い返した後、七瀬ちゃんを連れて2年生のフロアを立ち去っていった。
その場に残された拓也は2年生の先輩達に宝泉くんの行動を謝罪してるね~!
「櫛田先輩、僕です...八神拓也です。覚えていますか?」
「あっ...あぁ!...あの、八神君?」
「はい!先輩と同じ学校に入学できて嬉しいです。」
元の世界と同じように、拓也は櫛田先輩と同じ中学出身という設定でいくらしい...それを名目で櫛田先輩をペアに誘っている。
そんな拓也の芝居に乗っかる、櫛田先輩のとっさの判断力も中々...大したものだと思う。
元の世界の私は無人島の試験で、そんな櫛田先輩の本性をさらけ出させるまでボコボコにしてやったのを今でも覚えちゃってるんだよね~!
(まぁ...あれは、清隆先輩を退学に追いやろうとした櫛田先輩が悪いからね~!一夏ちゃんは後悔してないよ~だ?)
櫛田先輩...この感じだと、この世界でも清隆先輩を退学に追いやろうとする行動を起こしそうだよね~?...
面倒だから...消しちゃおっかな!?
とはいえ、すぐにその行動に移る必要はない。だって、櫛田先輩が今の私に勝てる要素なんて私の知る限りだと思いつかないんだもん!
(元の世界の一夏ちゃんだと...さすがに人望なんかでは櫛田先輩に負けてそうだけどねぇ...あいにく、今の一夏ちゃんは人気者だもんね~!)
それぐらい、今の私と櫛田先輩の間には絶対的な差が存在している。
もしも...これが石上くんや高円寺先輩が相手ならば、私は脅威と見なして...すぐさま行動に出ていたのは間違いない。
だけど...櫛田先輩相手なら、そんなに焦る必要もないはずだよね~?
(とりあえず...今は私が声をかけられる雰囲気じゃなさそうだね...元の世界と同じように明日、声をかけにいこうかな~...)
こうして...一夏ちゃんはこの時点では清隆先輩に声をかけることはなく、おとなしく1年生フロアの自分の教室へと帰っていったのだった...
・・・・・
翌日...
私は学校の敷地のとある場所にて、お目当ての人物達が通りかかるのを...今か今かと待ち構えていた。
(うわぁ...緊張しちゃうな~!)
元の世界と同じ展開になるなら...もうすぐ、清隆先輩がこの場所に来るはずなんだよね~!
(あっ...先輩達が来てるね...いよいよかぁ...)
私の視線の先には、堀北先輩と須藤先輩...そして、お目当ての清隆先輩の姿が映し出されている。
大方、元の世界と同じように須藤先輩の試験のペアとなる1年生を探しているに違いない...
(よし!今だ...)
私はホワイトルーム生特有の技術を使って気配を消しながら、会話をしている3人に近づいた。
「やっほー!先輩達...どうやら、お困りのようですね~。」
「なっ!?どこから...」
「全く分からなかったわ...」
案の定...須藤先輩と堀北先輩はいきなり現れたかのように見えた私を見て、動揺している様子だ。
一方の清隆先輩は当然、気配に気づいてはいたはず。だけど、この時点では私がホワイトルーム生だとは知らないはずだから、何かを探るような鋭い視線を私へと向けているね~!
(私がホワイトルームから送り込まれた刺客なのかを見極めようとしてるんだろうけど...いつまで平静を保てるかな~?)
そんな、清隆先輩を相手に...一夏ちゃんは一か八かの大勝負に出る。
「あっ!もしかしなくとも、綾小路先輩じゃないですか!?私です!天沢一夏です!覚えていますか?まさか、先輩と同じ学校に入学できるなんて夢みたいです!」
ねぇ?清隆先輩...お願い!!!ホワイトルームの最高傑作として...ここは、アドリブで私の芝居に乗っかかって来てほしいの~!
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