「天沢ァ...何でお前がここにいやがる?」
「ふふっ!何でだと思う~?」
「すっとぼけてないで、さっさと答えやがれェ!」
まぁ...それに関しては、宝泉くんだけじゃなくて清隆先輩以外の他の三人も共通認識だろうね?
「もう!宝泉くんったら~!ダメじゃ~ん!自分で刺したのに、あたかも清隆先輩がやったかに見せかけるとかさ~!」
そう言いながら、私が携帯電話の録画モードになっている画面を周囲に見せびらかす。
「なッ...天沢!どういうつもりだァ!」
「どういうつもりもなにも...既にAクラスで2000万ポイントを所有している一夏ちゃんから見るとね~?わざわざ、リスクを背負って清隆先輩を退学にするよりかは...宝泉くんを退学に追い込んで、あなたのクラスのポイントを削って尚且つ、クラスの皆に精神的ダメージを与えた方が効率がいいかな?って思ったの。」
宝泉くんが退学すれば...1年Dクラスは-100cpとなり、5月に支給されるプライベートポイントもゼロにできるんだもん...
Aクラス争いのライバルとなるクラスが減るなら、私としても好都合だからね...
「一夏さんの綾小路先輩の呼び方からして、お二人はかなり親しい関係に見えますね。」
「一応、同じ中学の先輩と後輩だからね!」
「なんだとォ...」
翼ちゃんの単純な疑問に返事を返すと、翼ちゃん...ではなく、宝泉くんが反応した。
「天沢に綾小路ィ!お前らは最初からグルだったんだなァ!俺を騙しやがってェ!」
「そうであれば...一夏さんが私達にこの特別試験への参加を止めるように忠告したのも分かりますね...」
宝泉くんが怒りをぶちまけているのに対して、一方の翼ちゃんからは怒りの感情は見えず、冷静さを保って私の今までの行動を分析しているみたいだった。
「その通りだ。俺と天沢は4日程前...須藤のパートナーを探していた際に接触済みだ。その際に南雲や月城理事長代理が実施している裏の試験の内容や、その試験に対する参加者なども全て把握済みだ。残念だったな...」
「綾小路ィ...」
淡々と種明かしをする清隆先輩に宝泉くんが更なる怒りを見せてるけど...あなたの逆恨みだからね?
「天沢さん、ちょっといいかしら?あなたや綾小路君が言う裏の試験っていったい何の事なの?...」
「気になります~?えっとですね...2学期までに清隆先輩を退学に追い込めば、2000万ポイントがもらえる...ルールはそれだけですよ~!」
「なんですって?そんな非人道的な試験...まかり通るとでも!?」
「頭おかしいだろ!?何で綾小路の退学に2000万ポイントもかけられてるんだよ!?」
私から特別試験の全容を知った堀北先輩と須藤先輩は動揺を見せている。
「というわけだ、宝泉...こっちは逆にお前に罰を与えられる材料が生まれたわけだが...どうするつもりだ?」
「ちッ...」
完全に追い詰められた様子の宝泉くんは舌打ちをしながら、清隆先輩と私を怒りの形相で睨み付ける...
(この状況...さすがに宝泉くんも観念するだろうね...)
そんな風に楽観視していた私だったが...甘かった。
「天沢ァ!クソがァ!」
なんと、宝泉くんは私に向かって襲いかかってきた。彼は血迷っているのではない...大方、証拠となりえる私の携帯電話を奪いにいこうとでも考えたのだろう...意外にも理性はあるようだ。
「天沢さん!逃げて!」
「一夏さん!」
堀北先輩と翼ちゃんが必死に私にそう呼び掛ける...
一方の私は自分に向かって拳を振りかざしながら、突進してくる宝泉くんを見て、こう思った...
(やれやれ、雑魚すぎるなぁ~...思わず、欠伸が出そうだよ...)
今の彼の実力は清隆君はもちろんのこと、ホワイトルームの教官達や拓也にも全く及んでいないもの...
それでも...元の世界の入学直後の一夏ちゃんなら、僅かに負ける可能性もあったかもしれないけど...強化されたこの世界の一夏ちゃんに宝泉くん相手に負ける要素がないのだ。
「あ~らよっと!」
私は宝泉くんの拳を軽々と受け止めると...そのまま、彼を清隆先輩の方へと投げ飛ばした。
「がァ...綾小路ィ...」
「大人しくしてろ...」
私の意図を組んでくれたのか...清隆先輩は飛んできた宝泉くんをキャッチすると、地面に叩きつけて彼が動けないように拘束している。
「ちッ...もはや、打つ手なしって事かよォ...」
その台詞からして...私に襲いかかってきたのも、一か八かの賭けだったのかな~?
もちろん、私に通用するわけないけど...
「宝泉...今から俺が言う三つの条件をお前が受け入れるなら、この事は訴えないでおこう。」
「さっさと言いやがれェ...大体、この状況で俺に拒否権なんてもんはないんだろうがァ。」
宝泉くんはついに自らの負けを認めたようで渋々ながら、清隆先輩との取引に応じている。
清隆先輩が出した条件は三つ...
①1年Dクラスと2年Dクラスは対等な協力関係を結んだ上でペアを組む交渉をおこなうこと。
②宝泉くんは、清隆先輩とペアを組むこと。
③宝泉くんは、一夏ちゃんが清隆先輩と協力関係にある事を月城理事長代理と自分のクラスの担任の司馬克典には話さないこと。
3番目に出した条件は意外だったね~!清隆先輩は、自分の役に立つ駒を少しでも長持ちさせたい程度の認識だったのかもしれないけどさ~...
(まるで、清隆先輩が私を守ってくれてるみたいじゃん!)
もしかすると...元の世界よりも早く、清隆先輩の信頼を得つつあるのかもね?
・・・・・
それから、宝泉くんと翼ちゃんが立ち去った後...
「天沢、今回の件は感謝している...」
「ほんとですよ~!貸し一つですからね?」
私は清隆先輩とそんな話をしていた。
「まぁ、いいだろう...お前の望みはなんだ?ちなみにだが、あくまでも俺個人で可能な事にしてくれ。クラスを巻き込みたくはないからな...」
ふふっ...そんな事を言われなくとも、私の望みは決まってるよ~!
「清隆先輩!今度、私と...デートしてください!」
「......」
「えっ...」
「はあああっ!?綾小路とデートだとぉ!?」
私のまさかの返しに...清隆先輩と堀北先輩は呆然としていて、須藤先輩は叫び声をあげていた...
最後に余談だけど...その後、パートナー筆記試験は無事に終わり...なんと1年Aクラスは1位を取れたよ~!
次回からはパートナー筆記試験から、無人島サバイバルまでの間の話になります。
しかし、原作にて分かっているのが...5月の特別試験で1年Cクラスから一人、退学者が出たことぐらいなので、ところどころでオリジナル要素が多くなっていきますがご了承下さい...
(ちなみに原作の新1年生の5月時点のクラスポイントが分かる方がいらっしゃいましたら、感想欄で教えていただければと...)
これからもよろしくお願いいたします!