ようこそ一夏ちゃんが逆行する教室へ   作:たかきょう

21 / 69

今回は、清隆先輩視点のお話。


閑話.白き最高傑作の思惑 ①

 

 

俺の名は綾小路清隆。

 

 

生まれ育ったホワイトルームという施設では、さまざまな分野のカリキュラムにおいて歴代の最高記録を叩き出した。

 

 

しかもだ。これが通常のカリキュラムではなく...ホワイトルームの創設者である、あの男...俺の父が直々に施したホワイトルーム史上最高難易度のカリキュラムだ。

 

 

実際に俺達の世代...4期生のメンバーはこの高度なカリキュラムについていけずに俺を除いて全滅してしまったと言えば、凄さが分かるだろうな...

 

 

このような成績もあってか...いつしか、俺はホワイトルームの最高傑作とまで呼ばれるようにもなった。

 

 

そんな俺が...ある男の手引きでホワイトルームを脱走してから早くも1年が過ぎた。

 

 

その間...Dクラスに所属して目立たない日々を過ごそうとしたが、茶柱に目をつけられる羽目になり...半ば強引に堀北に協力してクラスをAクラスに導く手伝いをする事になった。

 

 

1年の中盤では些細な事がきっかけで綾小路グループなどという仲良しグループも生まれ、ホワイトルームでは学べなかった友情というものに少なからず興味を抱くようにもなった...

 

 

そんな感じで学校生活というものをそれなりに満喫していた時だった...

 

 

この学園における俺の最大の庇護者ともいえる坂柳理事長が汚職疑惑によって休職に追い込まれその代理として俺を退学にすべく、あの男が送り込んだ月城という人間が赴任する事になったのだ。

 

 

そして...1年時の最後の試験が終わった後、月城はこう言っていた...

 

 

 

 

【2年になったら、これまで以上に仕掛ける】

 

 

 

 

その言葉を聞いた俺は確信した。4月に入学してくる新入生にホワイトルームの人間がいるのはほぼ間違いないと...

 

 

月城のあの発言からして俺が2年にあがったら、退学にできるという自信があるという事だ。そのホワイトルーム生も中々できる奴なのだろうか?

 

 

(恐らく、最初は正体を隠して俺に接近してくるだろう...もしくは、俺には接触せずに俺の周りの人間に接触する可能性もあるか...)

 

 

腐ってもホワイトルームにおける、俺の後輩にあたる奴らだ。そう簡単には俺に尻尾は掴ませてはくれないだろうな...

 

 

(いずれにせよ5期生など、俺には相手にもならないが...俺の障害になると見なしたら消さないといけないな...)

 

 

そんな風に気を引き締めて入学してくるであろう、ホワイトルーム生を待ち受けていた俺だったが...

 

 

 

 

『では、改めまして...ホワイトルーム5期生の天沢一夏ちゃんで~す!よろしくお願いしますね~!』

 

 

 

 

ソイツはあっさりと見つかった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

天沢一夏。

 

 

そう名乗った彼女の行動はある意味、俺の想像を裏切る形となった...

 

 

まず...天沢は俺と同じ中学の後輩などという、俺からしてみればバレバレの嘘を言って俺に接触してきたのだ。

 

 

この発言をした時点で、俺の頭の中から天沢一夏という少女が普通の生徒などという選択肢は消えていた。

 

 

ホワイトルーム5期生か...

 

 

それとも、坂柳のように俺の過去の関係者か...

 

 

はたまた、単なる狂人か...

 

 

この3択に絞られたのだ。

 

 

(ホワイトルーム5期生がわざわざ、バレバレの行動をするだろうか...)

 

 

そんな風に思っていた俺の予想はあっという間に覆された。

 

 

 

 

『う~ん、厳密に言いますとねぇ~?中学ではなく...白い部屋の後輩...って、言った方がいいかな~?』

 

 

天沢はあからさまに自らの正体を明かしたのだ。

 

 

そして、本当に天沢がホワイトルーム生なのかを試しておくかと考えた俺は彼女に殴りかかり、そのまま乱闘になった...

 

 

勝敗自体は一目瞭然...俺が立っていて天沢が俺のベッドの上で気絶していた...

 

 

これは文句なしで俺の勝ちと言っていいだろう。

 

 

それでもだ...

 

 

俺の身体に一撃を入れられて最終的には実力の9割近くを引き出されるまでに...俺は天沢に追い詰められたのだ。

 

 

そして...目覚めた彼女から、自身がホワイトルーム5期生であると明かされた時に俺は思った。

 

 

(俺はホワイトルーム5期生を...過小評価し過ぎていたんだろうな...)

 

 

もしかすると、天沢は将来的には自分を上回るだけの素質があるのかもしれないな...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

さらにもう一つ、天沢に驚かされた事がある。

 

 

それは、彼女があまりにも俺に対して従順すぎるという点だ。

 

 

本人曰く、俺を崇拝しているだかららしい。ホワイトルーム5期生で生き残ったのは不思議な事に...俺に憎悪を抱いていない二人だったんだとか...

 

 

もちろん、それを聞いた俺は最初こそ天沢の話の内容に半信半疑だった。

 

 

ホワイトルーム生が崇拝という感情を残している事自体が不自然だったからだ。

 

 

だが、天沢はそれを証明するかのように月城や南雲が主催する俺を退学に追い込むための特別試験の内容やその参加者を俺に伝え...ましてや、仲間であるはずのもう一人のホワイトルーム5期生の名前まで俺に伝えようとしたのだ。

 

 

その内容の鮮明さや本人の必死さから、嘘を言ってないのは明らかだった。

 

 

(一応は...俺の味方とみておくか、まぁ...裏切れば、その時は潰すが...)

 

 

 

 

そして...天沢から聞いた計画をもとに宝泉を返り討ちにする作戦が成功した後、お礼として彼女は俺とのデートを催促した。

 

 

(絶対に俺にも愛を芽生えさせてみせる...か)

 

 

最初に俺の部屋に招いた時の去り際に天沢がそんな事を言っていたのを思い出した。

 

 

その時に...どんな反応をしたかまでは思い出せなかったが、さすがに俺自身も予想だにしていなかった発言だったと思っている。

 

 

(俺とほぼ同等の実力で、加えて性格も俺に従順...もしも、恵が恋愛の教科書としての役目を果たせなくなったら、その時は...いや、何を考えてるんだ?俺は...)

 

 

今のところは単なる駒止まりだが俺と同じくホワイトルームで生まれ育ちながらも...豊かな感情を保った上で俺を崇拝しており、俺に未知なる感情を教えるとまで宣言した天沢一夏という後輩...

 

 

俺は心のどこかで少なからず、彼女に何かを期待しているのかもしれないな...

 

 

それが駒としての意味なのか...はたまた、全く別の意味なのか...それは今の俺にも分からない事だ。

 

 

あと...最後に一つだけ...

 

 

 

 

(わざわざ、俺の教室まで来て堂々と俺とデート発言はやめてくれ...)

 

 

あの後、クラス全員に問い詰められて大変だったんだからな...

 

 

 

一夏ちゃんは生徒会に入る?

  • この世界では...入っちゃおうかな?
  • 元の世界と同じように拓也に任せよう...
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。