「ここは...これであってるかな?」
「うん!合ってるよ!この調子で頑張ろうね!あゆみちゃん!」
「ありがとう!一夏ちゃん!」
私達...Aクラスの生徒達は図書室にて、中間テストに備えての勉強会を開いていた。
私や石上くんや小西ちゃんや栗原ちゃんといった、勉強が出来る子達が講師役となって学力に不安がある生徒達を指導していくというやり方だった。
「この分なら、特に問題はなさそうだな...」
「そうだね!出来が悪いって言う程、まずい子はいなかったみたいだし...」
ちなみに清隆先輩からもらった過去問はまだ、クラスの皆には配っていない。
石上くん曰く...すぐに過去問を渡したりすれば皆は暗記する事しかやらなくなり、勉強をするという意欲そのものが落ちてしまうからなんだとか...
そんな感じで勉強会を進行している最中だった...
「おい!お前達!!いったい、何のつもりだ!?」
「はぁっ!?おいおい、言いがかりはよしてくれよ!俺達はお前らには何もしてないんだぜ?」
私達とは反対側の端のテーブルで何やら、騒ぎが起こっているようだ。
何かしらの注意をしている男子の方はCクラスのリーダーである宇都宮くん...一方で宇都宮くんに咎められているのが、Dクラスの白鳥くんと加賀くんと三神くんの三人だ。
「何が『俺達は何もしていない』だ?Dクラスの奴らは、うちのクラスの生徒を相手にすれ違い様に因縁をつけたり...テスト勉強の妨害をしたりと、あからさまな嫌がらせをしているじゃないか?」
(なるほどね...)
これは、確実に宝泉くんの指示で動かされてるパターンと見て間違いないね...
「やれやれ、自意識過剰が過ぎるぜ。こんな奴がリーダーじゃ...Cクラスもお先真っ暗だなぁ?」
「なんだと!お前達!言わせておけば...」
要するに、宝泉くんの真の狙いはCクラスのテスト勉強を妨害する事と同時に...Cクラスの生徒達を煽って向こうから手を出させる事で慰謝料を名目として多額のプライベートポイントを...あわよくば、クラスポイントの移動までもを企んでるんだろうね...
実際にDクラスの生徒達は暴力を伴った嫌がらせは一切していない。
これでは...Cクラス側から生徒会に訴えたとしても、大した罰は与えられないと踏んでの攻めの姿勢なんだろうね。
「おいおい、何だよ?事実を言って何が悪いんだ?無能リーダーの宇都宮くんよぉ...」
「貴様!!!...」
とはいえ...Cクラスは元の世界の基準だと5月末の特別試験において波田野くんが退学する事となり、-100cpとなる未来が待っている...
「わ~お!さすがにまずそうだから、止めてくるね!石上くんは引き続き、皆の事をお願い!」
「ふん、物好きな奴め...」
それなのに...さらにDクラスの生徒達による理不尽な理由でポイントを削られる事になっちゃうのは、さすがに哀れに思えてきたので助太刀に入ってあげる事にした。
「はいはい~!ストップだよ~!ここが図書室だって事を忘れた~?それ以上は他の人達の迷惑になるからやめてね~!」
「なっ!?天沢...」
「天沢か...」
私の登場に宇都宮くんは冷静さを取り戻して、私の意図を探ろうとしている。
その一方で、Dクラスの三人はさっきまでの勢いはどこへやら...顔面蒼白になっている。
その様子からして私の噂を知っている?もしくは、宝泉くん経由で知らされたパターンか?
「おっ...おい!Aクラスには関係ない話だろ!?失せろよ!」
「そういうわけにもいかないんだよね~!あなた達のくだらない陰謀ぐらい、一夏ちゃんには分かってるからさ~!阻止しておかないとって思ってね!」
「はぁっ!?陰謀ってどういう意味だよ!?」
あのさ~...この一夏ちゃんを相手にしているこの状況でまだ、惚けられるとでも思っているのかな?頭のネジはどうなってんだか...
「簡単に言うと...わざとCクラスのテスト勉強を妨害して自分達の反感を募らせる事で、Cクラスの方から手を出してくるように仕向けるってところでしょ?」
「それは...」
「宝泉くんもだけど...彼の外道な作戦に従うあなた達も屑以下だね~!そんなんだから、所詮はDクラスって思われるんじゃないわけ?」
私がそう言い放つと...Dクラスの三人から、怒りの感情を本能で察した。
そして...
「テメェ!言わせておけば調子に乗りやがって!」
その内の一人、三神くんが私に殴りかかろうとしてきた。
「まずい!加賀!!三神を止めろ!」
「分かってる...おい、三神!落ち着けって!」
しかし...他の二人は冷静さも保っていたようで、頭が良い白鳥くんの指示で加賀くんが私に殴りかかろうとしていた三神くんを間一髪のところで押さえ込む。
(さすがに見破られちゃったか~!このまま殴ってくれたら良かったのに...)
当のDクラス側がこの作戦を実施していた事もあり、私の安い魂胆は見破られてしまったようだ。
まぁ...無駄な怪我を負わずに済んで良かったけどね?...
「どうしたの~?所詮は口先だけなのかな~?」
「チッ...加賀、三神!一旦、引き上げるぞ。」
私相手に分が悪いと判断した白鳥くんの指示で、Dクラスの生徒達は図書室を出ていった。
「わざわざ、済まなかった...礼を言うぞ、天沢。」
「気にしなくていいよ~!ちょっと向こうの態度がムカついただけだから!」
宇都宮くんの礼の言葉に軽く対応して、Aクラスの皆のテーブルに戻った時だった。
「キャ~!一夏ちゃん!今のかっこよかったよ!」
「本当です!天沢さん!素敵でした!」
「天沢ちゃん!野蛮なDクラス相手に一歩も引かずに...私にはできない事だよ!」
Cクラスの女子生徒達から、次々に称賛の言葉を投げかけられた。
「えっと~?その...ありがとう?」
私は初めての経験に戸惑いながらも...心のどこかで、称賛される喜びというものを感じ始めていたのだった...
一夏ちゃんは生徒会に入る?
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この世界では...入っちゃおうかな?
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元の世界と同じように拓也に任せよう...