中間試験が終わってから、数日後...
(いよいよだ~!さすがの一夏ちゃんも、緊張してきちゃったよぉ...)
だって、今日は待ちに待った清隆先輩との約束の日...
この世界では初となる一夏ちゃんと清隆先輩による、運命のデートの日なんだもん!
だからさぁ~?緊張しないわけがないじゃん?
(もうすぐ、待ち合わせの時間だね...)
私は、あまりに待ち遠しすぎて...本来の待ち合わせ予定の時間よりも、1時間も前から待ち合わせ場所に待機していたりするんだよ~!
この日のためにデートの時にオススメの服だったり、オススメのデート場所とかを...全てあゆみちゃんや、春日ちゃんや、徹子ちゃんから聞いた私は万全の備えをしているつもりだ。
(あゆみちゃん達から、応援までしてもらった以上...ここで失敗するわけにはいかない!)
決意を固めた私の前に、ついに彼はやって来た...
「きっ...清隆先輩!待ってましたよ~!」
「すまない...どうやら、待たせてしまったようだな。」
緊張を押し殺しながら、普段通りに清隆先輩と会話する。
「その、天沢...」
「はい?どうしましたか!」
「その服...とても似合ってるぞ。」
「ふぇっ!?」
思わず変な声が出ちゃったよ...
確かにこの日のために選んだ洋服ではあるけど、恋愛初心者の清隆先輩が女の子をキュンとさせるような台詞を言うなんて思わなかったからさぁ...
「...どうした?嫌だったか?」
「いいえ...その、意外だなって...清隆先輩がそんなカッコいい台詞を言えるなんて...」
「女の子とデートに行くなら...まずは相手の服装を褒める事は当たり前だと、松下が言ってたからな...」
「清隆先輩?今日は私とデートですよ?私以外の女子の名前を出すのは禁止ですぅ~!」
とはいえ、松下先輩にはナイスと言っておいた方がいいかもね...
「それは、すまなかったな...それで?どこに行くのとかは決まってるのか?」
「うん!決まってるよ!だから、清隆先輩は私についてきて!」
「そうさせてもらうか...」
こうして、私と清隆先輩のデートが始まったのだった...
・・・・・
「清隆先輩~!早く早く~!」
「そんなに焦らなくとも、俺はお前についてきているぞ...」
まず...私達がやって来たのは、映画館だった。
「すみませ~ん!ポップコーンを2つ下さい!」
「はい、ポップコーンが2つですね?味はどうしますか?」
「清隆先輩?希望の味はありますか?」
ところで...清隆先輩って、ポップコーンを食べた事はあるのかな?
まぁ...どうでもいい話だけどね?
「基本は何でもいいが...強いて言うなら塩だな。」
「じゃあ、塩味を2...」
「ちょっと待て...」
「えっ!?清隆先輩?」
急に清隆先輩が私を遮ったかと思うと...
「すみません...ポップコーンは俺の分だけで結構です...コイツの分は結構必要ありません。」
「はっ...はい。」
いやいや!何でそうなるわけ!?自分だけ食べて、私にはポップコーンは食わせないって事?
「さぁ、会場に...」
「どこへ行くの~?」
「...?」
私が驚く程、低い声で言ったせいか...一瞬だけ清隆先輩の表情が歪んだ気がした。
(驚かせちゃって、ちょっとは申し訳ないとは思うけどさ...)
でも、さすがに...これは清隆先輩の口から説明してもらわないと、納得いかないかな~?
「それは...その、お前と一緒に映画を観る準備だ...」
「ふ~ん、1人分のポップコーンを持って?」
「お前に問い詰められるか...これもホワイトルーム生の定めか?...とりあえず、お前は誤解しているようだから、俺の話を聞け。」
どこかで聞いた事があるようなやり取りをした後、清隆先輩が私に説明を始める。
「言っとくが...俺が1人分のポップコーンしか買わなかったのは、決してポップコーンを独り占めしたかったというわけではないからな...」
「じゃあ、どういう事?」
「2人で映画を観ながら、1つの箱に入ったポップコーンを一緒に食べる...なんか、ロマンチックな感じがしないか?」
「なっ...」
いくらデートの日とはいえ、今日の清隆先輩...いつもよりも積極的に私を攻めてくるね?
(先輩に恋愛を教えてあげるべき私が...逆に先輩にドキドキさせられるなんて...)
私が恥ずかしさのあまり、先輩の顔を見れずにタジタジしていると...
「ほら、天沢...行かないのか?お前が見たい映画がもうすぐ、始まるぞ?」
清隆先輩がわざわざ、私の顔を覗きこんで...そんな事を言ってきたのだ。
「わーーー!!!いっ...行きますぅ!行きますよぉ!」
「じゃあ...行くぞ。」
そして...映画が始まった。
(そっ...そこで貴方が登場なんて...とってもカッコいい...)
私が選んだのは、恋愛映画だった。それも...主人公とヒロインが、かなり苦難の道を歩むやつ...
(親にも...周囲の友達にも...反対されていた恋が今!実ろうとしてる...)
そこまで観て、チラッと隣の清隆先輩の表情を見てみたけど、相変わらずの無表情...
どうやら、そう簡単には恋愛というものには目覚めてくれないらしい...
(この映画で、先輩をドキドキさせて自然と隣にいる私を意識させるつもりが...なんで、私の方がドキドキしちゃうの~?)
手を伸ばしてポップコーンを食べてる時なんかも...意図して先輩の手に触れてるのに清隆先輩は無表情で、逆に仕掛けてる側のはずの一夏ちゃんの方が顔が赤くなってしまう始末だもん...
そして...映画はあっという間にラストのキスシーンへと突入...
(きっ...キスしちゃってるじゃん!私も...実際に清隆先輩にキスしてみたら、どういう気持ちになるんだろう?)
ちなみに清隆先輩はこのシーンを観ても、無表情を崩していなかった。
「清隆先輩!面白かったですね~!」
「そうだな...中々、興味深かったな...」
まぁ...デートは始まったばかりだし、ここからが勝負どころかな?
その時だった...
「綾小路君?」
「ん?お前は...」
おやおや~?どうやら、私達の前に邪魔者が現れちゃったようだね...
一夏ちゃんは生徒会に入る?
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この世界では...入っちゃおうかな?
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元の世界と同じように拓也に任せよう...