その日の放課後...
「あっ!一夏さん!」
「お~!翼ちゃんじゃん!」
私は七瀬翼ちゃんと4月以来に会話していた。なにせ、5月に入ってからは中間試験などでお互いに忙しかったからか...話す機会が中々、作れなかったんだよ~...
「翼ちゃん!5月になってからも、元気にしてた?」
「はい!ただ...宝泉君には相変わらず、手を焼いていますが...って、あっ!そうでした...一夏さんに謝罪をしなければいけませんでしたね。」
「ん~?何の事かな~?私は翼ちゃんに酷い事をされた記憶なんて一切、ないんだけど~?」
「いえいえ、中間試験に向けての...図書室での各クラスの勉強会の際に...うちのクラスの白鳥君、加賀君、三神君の三人組が一夏さんと一悶着あったそうじゃないですか!?同じクラスとして私からもお詫びします!」
そう言うと、翼ちゃんは私に向かって頭を下げて謝ってきた。
元の世界の私だったら...彼女の低姿勢を良いことにそのまま、煽りまくって喧嘩を売っていたんだろうけど...今の私には、そんなに残酷な事はできないかな?
「全然、良いよ~!今となっては、別に大して気にしてないから!たぶんだけど...あの三人は宝泉くんの指示に逆らえずに仕方なく動いていた感じでしょ?」
「はい...中間試験でのDクラスの一連の行動は、全て宝泉君の指示です。他のクラスにちょっかいを出して...あわよくば、プライベートポイントやクラスポイントを狙っていたという感じですね...」
「むしろ...あの三人には、同情しちゃうかな?感じんの計画が失敗したあげく、私相手に逃げ帰ったなんて宝泉くんが知ったら...間違いなく暴力という名の制裁を食らってるだろうからね~!」
ただでさえ、宝泉くんは私と清隆先輩のコンビネーションで打ち負かされたからね~!
まぁ...彼の性格からして...まだ、根に持ってると思うよ?
「えぇ...実際にその通りになりましたよ...」
「うわぁ...なんか、かわいそうだね~。」
三神くん、白鳥くん、加賀くん...三人とも、ご愁傷様だね...
「いいえ!まだまだ足りないくらいですよ!?特に一夏さんに手を出そうとしたらしい三神君...彼だけは、ほんとに許せません!」
「あの~?翼ちゃん?」
え~っと...なぜか、翼ちゃんが滅茶苦茶ヒートアップしちゃってるんですけど?
「あっ!それよりも!噂をすれば、あそこに例の三人がいるじゃん!」
「なっ...どこです?」
「「「げっ...七瀬さん...」」」
偶然なのか?三神くん、白鳥くん、加賀くんの三人が近くを通りかかった。
彼ら三人は私達の姿を見ると、まるで化け物の姿でも見ているかのようにブルブルと怯え始めた。
「...白鳥君に加賀君に三神君?何を立ち止まってるのですか?さっさと離れて下さい。それと...三神君?あなたは、あと今月いっぱいは...私のありがたい教育をしっかりと、受けていただきますからね?分かりましたか?」
「「「はっ...はいぃぃっ!!!」」」
翼ちゃんがそう言い放つと...三人は完全に震えあがった様子で、この場を走り去ってしまった...
あれ?...なにげに聞き捨てならないようなワードが聞こえちゃったような?...
「えっと...翼ちゃん?あの三人にいったい、何をしたのかな~?」
「いいえ、大した事はしていませんよ?ちょっとした教育をしたまでです。私が宝泉君みたいな粗暴な事をするわけがないじゃないですか~?」
「めっちゃ怯えてるように見えたんですけど!?」
いつもよりも気味が悪い笑顔を浮かべて腕を鳴らしている、今の翼ちゃんが穏便な教育を施したとは...正直、とても思えないんだけどな~?
「ついでに三神君に関しては、今月中はずっと...ありがたい教育を受けてもらうつもりです。逆ギレ同然に一夏さんに手を出そうとした彼の罪は、他の二人よりも遥かに重いんですから!」
「へぇ~...そうなんだね...」
あの~...私が人の事を言える立場じゃないかもしれないけど...とても正気の沙汰とは思えないな~?
(三神くん、あなたは完全にかわいそうに...これが...【憐れみ】って事なのかな?)
拓也や翼ちゃんの境遇を気の毒だとは思った事はあったけど...所詮は、自分には関係ないという認識だった。
(元の世界の時に関しては、拓也とはお互いに...幼なじみとしての最低限の情しか持ち合わせてなかったからね...)
まさか、私が最初に本格的な憐れみを覚えた人物が...自分に手を出そうとしてきた三神くんになるとは、思ってもなかったかな...
「それぐらい、私は一夏さんが大好きなんですよ!」
「えっ?もしかして...翼ちゃんって、そっち系の子なの?」
「ふぇっ!?ちっ...違いますぅ~!!!今のはお友達としての意味ですから!!!」
良かった...私のちょっとした疑問に対して顔を赤くして必死に弁明しているね~!
よく分からないけど...どうやら、普段通りの翼ちゃんに戻ってくれたみたいだね...
「ゴホン!...ですが、一夏さん?特別試験では別の話です。お互いに敵同士だという事を忘れないで下さいね?」
「うん!もちろんだよ!今回の特別試験...お互いに頑張ろうね!」
「はいっ!望むところです!」
そして...一夏ちゃんと翼ちゃんは固い握手を交わした。
(うんうん!なんか、お互いに戦友感みたいなのがあって良いよね~!)
...と、その時だ。翼ちゃんの表情が、さっきまでの照れくさそうな笑顔から...なにか、意を決したかのような真剣な表情に変化したのは...
「ところで...一夏さん、最後に...あなたに聞きたい事があるのですが...」
「なになに~?どうしたの~?」
真剣な表情で話しかけてきた翼ちゃん相手に、軽い気持ちで返事をした私だけど...次の瞬間、そのあまりの軽率さを後悔する事になる...
「前から思っていましたが、あなたは...ホワイトルームの人間なのですか?」
一夏ちゃんは生徒会に入る?
-
この世界では...入っちゃおうかな?
-
元の世界と同じように拓也に任せよう...