「さて...ここなら、安心でしょうか?」
あの後...私は綾小路グループのメンバーの先輩達を人が少ない場所へと誘導し、とある話をする事にした。
「それで...清隆が俺達を巻き込まないようにしてるって、どういう事なんだ?」
「話が長くなるかもしれませんが、最後まで聞いてくださいね~!」
そして...一夏ちゃんは話し始める。
「実はですね~!4月になってパートナー筆記試験の開催が告知された直後にですよ?一部の新入生達の間で裏試験という...全く別が開催されていたんですよね~!私も...選ばれたメンバーの一人なんですよ?」
「裏の試験だと?...その内容っていったい、何なんだ?」
「内容は単純、2学期の間までに綾小路清隆を退学に追い込めば...2000万ポイントを手に入れられるというものですよ。」
「「「「えぇっ!?」」」」
案の定...裏試験の内容を知らされた綾小路グループのメンバーの先輩達は、驚きを隠せない様子だ。
「嘘だろ?清隆はどうしてそんな大事な事を...俺達に話してくれなかったんだ?」
「ゆきむー...」
幸村先輩が悲痛な声をあげる。
「理由は大きく分けますと...二つです。まず、一つ目は選ばれたメンバーの中に宝泉和臣...彼がいる事でしょうか?」
「くっ...よりにもよって、あの宝泉か!薄々、感づいてはいたが...」
三宅先輩は宝泉くんの名前を聞くと、納得したかのような表情を浮かべている。
「三宅先輩は知っているのでしょうが...彼は目的のためならば、先輩方も予想だにしない行動に出てくる事は十分にあり得ます。その方法が清隆先輩本人ではなく...清隆先輩の友人関係を狙ったものだとすれば?」
「そうか...俺達を人質にして清隆に退学を迫るという方法も使えるというわけだな。アイツなら、やりかねないからな...」
実際には...仮に宝泉くんがそんな作戦に出ても、清隆先輩相手だと返り討ちに遭うだけだという事を一夏ちゃんは完全に分かってるけどね~?
清隆先輩曰く...龍園先輩に軽井沢先輩を人質にとられた時も、難なく救出に成功したぐらいなのだから...
「はい、清隆先輩は自分の事にあなた方を巻き込みたくない...かといってこの事を忠告などしてしまえば、あなた方は不安に駆られる日々を過ごす事になる...よって、何も伝えない事を選んだのではないでしょうか。」
「清隆くん...」
「きよぽん...」
佐倉先輩と長谷部先輩は...自分達のために清隆先輩が配慮してくれてると思ってしまい、その事を悪く思っているんだろうね...
さて...ここまでは私から見ると、ただの友情劇という茶番に過ぎないんだよね~?
...本題はここからだもん!
「二つ目の理由ですが、それは...清隆先輩は先輩達の事を信用していないからです。」
「「「なっ!!?」」」
「清隆くん...」
私の言葉に長谷部先輩と幸村先輩と三宅先輩は驚きのあまりに声を発しており、逆に佐倉先輩は悲しそうな表情をしていた。
「清隆先輩は、家庭環境の事情で感情というものが理解できない人間なんです。中学時代から一緒の私の事すら、内心では信用なんてしていないでしょうね。今まで...心当たりはありませんでしたか?」
「そういえば、きよぽん...ずっと無表情で何を考えているのか分かんないところがあった...」
長谷部先輩がボソリと呟く...
「その通りです。清隆先輩は最後に自分さえ残っていればそれで良いという思考のタイプの人間に育ってしまったんです。その代わり、勉強やスポーツといった様々な分野で優秀な成績を出せていて最高傑作と呼ばれてはいましたが...」
「でもっ!清隆くんは、私を助けてくれた...」
「えっと、私は詳細は分かりませんが...それは、佐倉先輩を自分の手駒にしたかったからだと思いますよ?」
「勝手な事を言わないでよっ!!」
私の言葉に佐倉先輩が今まで、誰にも見せた事がないであろう...怒りのまなざしで私を見つめる。
好意を寄せてる清隆先輩の行動を悪く言われたのが、我慢ならなかったんだろうね...
(へぇ~?気弱なだけに見えたけど...佐倉先輩って、そういう表情もできるんだね~?櫛田先輩ほどじゃないけど...その顔も似合ってるよ~。)
佐倉先輩は分かってないな~?清隆先輩がただの善意であなたのような無能を助けるわけがないってことを...
「その、天沢が知っている...清隆の家庭環境というのは...いったい、どういうやつなんだ?」
「う~ん、申し訳ありません。その件に関しては...清隆先輩から口止めされているので、私の口からは何も答える事はできませんね。」
「そう...だよな...」
三宅先輩が質問をした相手が当の清隆先輩ならば、殺気を纏って...『俺の詮索はするな。』と冷酷に言い放っていただろうね...
「私が言いたいのはですね~?先輩方は...これらの事を知ってもなお、今まで通りに清隆先輩の事をお友達として見れるのか?って事ですよ。」
私の言葉に綾小路グループのメンバーの先輩達は黙り込んだ...
これで...先輩方が清隆先輩を拒絶するような事があれば、所詮はその程度の仲良しごっこだったってこと...
でも...もしもだよ?先輩方が...それでも清隆先輩の事を受け入れるというならば、綾小路グループというグループの存在こそが清隆先輩を本当の友情というものに目覚めさせる鍵となるかもしれないね...
一夏ちゃんは、微かな期待の感情を胸に秘めながら...綾小路グループのメンバーの先輩達の選択を待ったのだった。
七瀬翼の決断は⁉️
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原作通りの展開
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原作よりも早く...綾小路の忠犬へ