「......ってるよ。」
しばらくの沈黙が続いた後...意外にも、最初に口を開いたのは佐倉先輩だった。
「確かに...確かに清隆くんが私達の事を信用していないって、分かった時は...ちょっとだけショックだったよ!...だけど!暴力事件の件やファンの店員との件に夏休みの件まで!私は清隆くんに助けもらったのだって確かだから...」
佐倉先輩...ここまで、大声で感情をあらわにするなんて本人も初めての事だっただろうね...
私は分かる。発言中にところどころ...緊張している部分が見てとれたからさぁ...
「...ましてや、私がこのグループに入ったのだって!清隆くんがいたからだもん!たとえ、清隆くんが私を信用してくれなかったとしても!私は清隆を友達として信じ続けたい!」
佐倉先輩が力強くそう言い切った...
(佐倉先輩にとっても、清隆先輩は大切な人なんだよね...)
その言葉が皮切りになったのか...
「そりゃ、きよぽんの事が少し分からなくなっちゃったっていう気持ちはあるよ...でも、感情がなかったとしても!私達と接してきたきよぽんは悪い人じゃなかった!だから、私も...綾小路グループの発起人として、きよぽんの支えになりたい!」
「俺もだ...詳しくは言えないが、俺も家庭環境に問題があった身だからな...清隆の力になれるなら、なってやりたい...」
「まぁ...俺は特にこれといったエピソードはねぇけど...綾小路グループが結成されるまでは、ずっと一人を好んでいたっけな...けどよ、今じゃ...綾小路グループに居心地の良さを感じてるんだ。清隆が良ければ、これからも5人で一緒にいたいと...俺は思ってるんだ...」
長谷部先輩、幸村先輩、三宅先輩...それぞれ、言葉は異なっていたけど...全員が清隆先輩を信じ、力になりたいと願っているみたいだった。
「そうですか...清隆先輩は本当にいいお友達を持てたみたいですね。私からもお礼を言わせてください...清隆先輩と仲良くなっていただき、本当にありがとうございます!」
綾小路グループの絆というものは、私の予想以上に強かったみたいだね...一夏ちゃんにも、こういう存在がいてくれたらな~と、少し羨ましくなってくる。
「ふ~ん?天沢さんって、きよぽんの事が...まるで、自分の事のように大切なんだ~?」
「そりゃ、もちろんです!長い付き合いですからね!清隆先輩の事は本当に大切な存在だと思っています!」
「それって~?単に中学時代の先輩と後輩だからって、だけじゃないよね?もしかしてさ...天沢さんって、きよぽんのこと...」
おっと!長谷部先輩は鋭いね~...というか、清隆先輩とのデートを尾行されてたから当たり前かな?
「はい!私は清隆先輩の事を...愛してますので!」
「「「「なっ!!?」」」」
だから...思い切って、堂々と言ってやったよ~!
それに対して、綾小路グループのメンバーの先輩達...特に佐倉先輩が動揺しているのか、ガクガクと震えているのが見てとれる。
「それって...」
「えぇ!私は清隆先輩の事を異性として見ています!いつか、私に対して愛の感情を抱いてもらおうと思っているんです!」
「じゃあ...あの時に清隆と二人でデートをしてたのもか?」
今、三宅先輩がサラッと...自分達が私達のデートを尾行していた事実を自白してしまったが、その前の私の発言の方が重大すぎたためか...誰も、その事については言及しなかった。
「そうです!表向きは『パートナー筆記試験で協力したお礼』という建前でしたが...実際には、私とこういうデートを重ねる事で...私への愛に目覚めて頂こうと思っています!」
私が本気で清隆先輩を好きだという事を理解してしまったのか、綾小路グループのメンバーの先輩達が黙り込む...
そして...次に口を開いたのは、あの先輩だった。
「天沢さん...その、私も...清隆くんが好きなんです!私を何度も救ってくれた彼に...いつの間にか、惚れちゃったみたいなの...」
「愛理...」
佐倉先輩が自分の口で清隆先輩への好意を認めるのは初めてだったらしく、長谷部先輩が驚きの声をあげている。
「正直...私は天沢さんには、実力で大きく劣ってる事ぐらいは言われなくても分かってるの...だけどね?こればかりは...どうしても譲りたくないの!私は...私なりの方法で清隆くんを振り向かせてみせる!」
「へぇ~?宣戦布告なんて面白いじゃないですか~?良いでしょう!私もこれまで以上に清隆先輩にアピールしていくつもりなのでご覚悟を!」
「望むところだよ!私達...ライバル同士だね!」
まぁ...今の佐倉先輩なら、私に勝てる可能性は1%にも満たないからね...王者の余裕ってやつで宣戦布告を受諾しておこうかな?
「え~っと...あまっち?いや、ワンちゃん?う~ん、イッチー?...」
ところで...その様子を見ていた長谷部先輩がなにやら、ブツブツと呟いてるんだけど...
「...決めた!よし、きよぽんを愛という感情に目覚めさせるためにお互いに頑張りなよ!愛理...そして、いちかのん!」
「えっ?いっ...いちかのん!?」
「私達の友達の...きよぽんの昔からの後輩として...これからは、あなたの事も信用するつもりだったからさ~!ちょうど良いあだ名のネーミングを思い付いたんだ~!【のん】って文字は、最初はきよぽんのあだ名候補につけようとしたんだよね~!【あやのん】って!」
「いちかのん...いちかのん...いちかのん?」
そう言われてしまうと...『いちかのん』というあだ名も悪くないと思えてしまうね!
「ふふっ!気に入りました!では、綾小路グループの皆さん!これからもよろしくお願いしますね~!」
思いもよらぬ出会いだったけど、色々と収穫も得られたし...良しとしちゃおっかな?
七瀬翼の決断は⁉️
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原作通りの展開
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原作よりも早く...綾小路の忠犬へ