ようこそ一夏ちゃんが逆行する教室へ   作:たかきょう

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久しぶりの清隆先輩視点!


閑話.白き最高傑作の思惑 ②

 

 

本当に天沢一夏という少女はやれるものだと...不覚にも同じホワイトルーム生ながら、思ってしまった。

 

 

なにせ...1ヶ月も先の試験の内容を理事長代理から聞き出したあげく、新たに俺の駒となってくれそうな人物の紹介までしてくれるのだから...

 

 

(七瀬を完全に懐柔させたそうだが、果たして本当だろうか...)

 

 

俺ですら...同じクラスで場合によってはクラスの癌になりかねない櫛田桔梗を今になっても完全には懐柔できないでいるのだから...

 

 

櫛田は有能である事には変わりない事と堀北が櫛田を利用する方針で行こうと考えている事から、俺は櫛田を退学に追い込むつもりはない...

 

 

 

 

...その考えは、俺が天沢と出会う前までだったらの話だ。

 

 

 

 

あの日...俺と天沢のデートを尾行していた内の一人、天沢と同じクラスの栗原春日という女子に半ば、脅迫に近い形で聞き出した。

 

 

彼女によれば、天沢は成績優秀でスポーツ万能...さらには誰に対しても優しいため、自分のクラスのみならず...他のクラスにも友達が出来るほどにコミュニケーション能力が高いらしい。

 

 

その話を聞いて俺は思った...

 

 

 

 

(それなら...無理に櫛田をこの学校に残す必要はなくないか?...)

 

 

 

 

と...

 

 

成績や運動能力は言うまでもなく、圧倒的に天沢が勝っており...お互いに裏の顔があるといっても天沢は俺に従順的で俺が快適な学校生活を過ごせるようにと...裏の試験の事を教えてくれたり、駒にできそうな人材を紹介してくれたりと...俺に対していろいろと尽くしてくれる存在...

 

 

一方の櫛田はというと...今は休戦中とはいえ、隙があれば俺や堀北を退学に追い込もうと狙っている厄介な人物でしかない。

 

 

 

ついでに...今年の新入生として櫛田と同じ中学出身を名乗る八神拓也という生徒が入学してきたのだが、奴は天沢が話していた裏試験の参加者の中に名前があった人物...

 

 

要するに八神が櫛田に接触して俺を退学に追い込むための手助けをさせているとしたら...これは早めに対処しなければ面倒な事になりそうだからな...

 

 

今の俺が天沢一夏と櫛田桔梗...どっちを選ぶのかは明白だろう。クラスのためならともかく、俺個人のためならば...天沢を選んだ方が断然良い。

 

 

しかも、学年が異なり...俺と同じ中学という設定を知っている者は少ない状況なのも好都合だ...場合によっては、2年Dクラスのために動いてもらうのも悪くはない。

 

 

まさか、この俺に後輩にも駒がいるとは...同級生の奴らも予想はしていないだろうからな...

 

 

(クラス内投票の一件で、クラス内の櫛田の評価が微妙に下がっている状況...いっそ、次の無人島サバイバル試験とかいう名の特別試験で退学に追い込むか?)

 

 

とはいえ、櫛田の件は後だ。今日は会って話をしなければいけない人物がいる。

 

 

 

 

それは...

 

 

 

 

「失礼します。綾小路先輩...」

 

 

「よく来てくれたな...七瀬。」

 

 

1年Dクラスの七瀬翼...天沢曰く、俺の脱走を手引きしてくれた松雄という男の息子の彼女らしい。

 

 

それが原因で松雄とその家族は、あの男によって抹殺されてしまい...結果的に俺は七瀬の復讐の矛先とされてしまったらしいが、それを聞いても俺は何とも思わなかった...

 

 

そもそもだ。松雄はこうなる事を覚悟の上で俺の脱走を手引きしたのだ。松雄は俺を恨んでなどいないだろう...

 

 

それなのに七瀬に復讐心を向けられたところで...俺からして見ればとんだとばっちりでしかない。松雄の息子の彼女とはいえ、所詮は元一般人で赤の他人に過ぎないからだ。

 

 

まぁ...今は七瀬を俺の駒として、確実に依存させておく必要があるからな...言葉は選んでおくか...

 

 

「七瀬...すまなかった。俺のせいで栄一郎は死んだも同然だ。この事について許してくれなんて言わない...ただ、謝らせてほしい...」

 

 

「綾小路先輩...」

 

 

天沢は俺に対してひとまず、最初は謝罪の言葉を口にするように忠告してきた。

 

 

特に罪悪感はないのだが...人身掌握の術としては一理あると判断したため、ここは天沢の忠告に乗っておこうか...

 

 

「綾小路先輩...今回、私は...あなたの力となる事を伝えに来ました。昨日の一夏さんとのやり取りで綾小路先輩を恨む事自体が非常に愚かな事だと理解いたしましたので...」

 

 

天沢は俺の知らないところで、上手くやってくれたようだな...

 

 

「そうか...まだ、完全にお前を信用したわけではないが...よろしく頼む。」

 

 

「はい...約束します。」

 

 

意外にも、交渉はすんなりと俺の望む方向へ持っていく事ができたが...どうも、スッキリしない。

 

 

初めて天沢と出会って協力を誓われた時の...あの時と同じ気分には、どうしてもなれないからだ...

 

 

(天沢も七瀬も俺に協力する事を誓ってくれた者同士のはず...それなのに、どうして気分に差が出てしまうのだろうか...)

 

 

 

 

やれやれ、ホワイトルームの最高傑作と呼ばれた俺が...こんな些細な事で困惑する日なんて今日限りだろうな...

 

 

 

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