第46話.一夏ちゃんは忠犬ナナセを飼い慣らしま~す!
昨日の清隆先輩と翼ちゃんの会合はどうやら、上手くいったらしい。
やっぱり、一夏ちゃんが事前に翼ちゃんの懐柔をしておいたのが良かったんだろうね~!
一つだけ、問題があるとするならば...
「なにげに綾小路先輩が話していましたが...一夏さんは、綾小路先輩の事が好きなのですか?」
「うん!もちろんだよ!清隆先輩は私の憧れ...いや、神様みたいな存在だもん!」
「ふ~ん?そうなんですね~...」
あの日以来...翼ちゃんが私に対して過剰にスキンシップを取ってくるようになった点かな?
まぁ...私から見たら、翼ちゃんにスキンシップを取られる事が嫌なわけじゃないんだけどさぁ...
「あの~?翼ちゃんは...なんで、拗ねちゃってるわけ?」
「別に...拗ねてませんが?むぅ...」
「...いやいや!拗ねちゃってるよね!?どうしちゃったの!?」
それと...私が清隆先輩の事を好きだという事に翼ちゃんが拗ねちゃってるのは何でだろうね?
「確かに綾小路先輩に協力するとは言いましたが...だからといって、私は綾小路先輩を完全に信用したわけではありません!もしも...不都合な事があれば、私や一夏さんを切り捨ててしまう可能性だって否定できないんですからね!」
「あはは...清隆先輩はそんな事はしないって!」
いや...実際にはね~?今の清隆先輩は私達の事も...自分に有益な駒としてしか見ていないだろうからね...
そのため、翼ちゃんの懸念...実は正しかったりするんだよ?...
でも!これから、私達が清隆先輩に尽くす事によって...清隆先輩のそういう思考を変えていけばいいと思ってるから安心してね~!
「もしも、綾小路先輩が一夏さんを裏切る事があれば...私は絶対に許せませんから!」
「えっ...その、ありがとう?」
あれっ?...なんか、この世界の翼ちゃんは...清隆先輩の忠犬というより、私の忠犬になってる気がするんだけど...きっと、私の気のせいだよね?
「それと...もう一人のホワイトルーム生は、八神君ですよね?」
「やっぱり、気づいてたんだね...」
第三者の前ではそれぞれ、【天沢さん】【八神くん】呼びを貫いてるけど...翼ちゃんに関しては出会いが唐突すぎたせいで、お互いに連携して取り繕う事ができずに...やむなく、幼なじみという設定にしていた。
しかし...私の正体がホワイトルーム5期生であると翼ちゃんに明かした以上、私の幼なじみという設定だった拓也が必然的にもう一人のホワイトルーム生と断定されてしまうのは、想定していた事なんだよね...
「私達と綾小路先輩の協力関係の件は、八神君には伝えなくても良かったのですか?」
「いや、近い内に伝えるつもりだよ。でもさぁ~...拓也って、いまだに私が清隆先輩の事を慕っているのを快く思わないのはなんでだろうね~?あれだけ...大人達に無理に認められる必要なんてないって、忠告したはずなのに...」
「たぶん、それは...八神君が一夏さんの事を...あっ...いいえ、何でもありません...」
「ん?」
ひとまず、私達と清隆先輩の協力関係の事を拓也に伝えるのは後回しかな?
だって、拓也には...いろいろとやって貰いたい事があるからね~...
「それで、翼ちゃんは...覚悟はできてるわけ?」
「覚悟...ですか...」
「うん、翼ちゃんがおこなおうとしてる事は...あなたをこの学校に送り込んだ、月城理事長代理に対する裏切り行為にあたるんだよ?...下手をすれば清隆先輩と同じように...良くて退学、最悪の場合は命を失う事にも成り得るからね?清隆先輩のために...そこまで賭けられるのか?って、聞いてるんだよ~!」
「何を今さら...その程度のモノを賭ける覚悟がないなら、協力なんて誓っていません!」
私の意地悪な問いかけにも、臆せずに協力を誓っているあたり...翼ちゃんが秘めている覚悟は本物と見て良さそうだね!
「それと、もう一つ...翼ちゃんに、どうしても聞いておかないといけない事があったんだよ!」
「はい!何でも聞いてください!」
途端に翼ちゃんが...真剣なまなざしで一夏ちゃんを見つめる!まるで...これから、何を聞かれるのかが分かっているかのように...
さて!さっそく、教えてもらっちゃおうかな~?
「あの~!翼ちゃんってさぁ?結構、大食いだったりするのかな~?」
「えっ...そうですね...大食いとまではいきませんが、それなりに食は進むタイプです...って!なんで、あんな真剣な雰囲気の割に...聞いてきた質問のレベルが低いんですか!?」
はっ!?質問のレベルが低いだって!?
とんでもない!!
一夏ちゃんにとっては、今後の戦略を大きく左右しかねない事案なのだからね!?
「つまり、翼ちゃんの胸が大きいのは...いっぱい、食べてるからと...」
「えっ...一夏さんは、私の胸に興味がお有りなのですか?」
そう言って...自分の胸を両腕で抑えながら、顔を真っ赤にしてこちらを見つめる翼ちゃん...
一見...周りから見たら恥ずかしがってるように見えるけど、1割程...喜びの感情が混ざってる気がするのはどうしてだろうね?
それと...なにか誤解しているようなので、優しく訂正してあげるね。
「違う!違うよ!そういうのじゃなくて~!清隆先輩が巨乳の女の子に興味を持った時に備えてさぁ~!私も翼ちゃんみたいに胸を大きくして、清隆先輩を誘惑できたらな~って!」
「へぇ~、そうですか...そうですか...」
いや!今度は急に...嫉妬と軽蔑と落胆が混ざったような目で見られちゃったんですけど~?
「はぁ...やれやれ、清隆先輩...このワンちゃんを飼い慣らすのは...あなたでも意外と難しいかもよ...」
「なっ...私は犬ではありません!!!」
いや!そこは...しっかりと否定するんだね...