いよいよ...自称、天才少女のご登場です。
私が翼ちゃんを飼い慣らしている内に、期末試験もあっさりと終わった。
1年Aクラスでは...一夏ちゃんと石上くんが全教科100点という、前回と変わらない優秀さを見せつけた結果だったね~!
なお、今回は1年Dクラスは妨害をおこなう事もなく、テスト勉強に専念していたので揉め事が起こる事もなかったのは、ほんとに喜ばしい事だよ!
「一夏ちゃんは、今回も全教科で満点だなんて...ほんとにすごいよね~!」
「私も早く、一夏ちゃんと肩を並べられるようになりたいですね~!」
今日も私は...あゆみちゃん、春日ちゃん、徹子ちゃんという、いつもの三人娘と一緒に...
「ねぇ!七瀬ちゃんもそう思わない?」
「そうですね...私も一夏さんのお友達として...力になりたいと思っています!」
いや、いつものメンバーに翼ちゃんを含めた五人で、一緒に歩きながら...話をしていた。
あれから、翼ちゃんと過ごす時間が増えるにつれ...自然と翼ちゃんとあゆみちゃん、春日ちゃん、徹子ちゃんの三人組が交流する機会も増えていった。
そして!今では...すっかり、お友達同士に!
こうして...五人で集まって、ワイワイ話す機会も増えていったんだよね~!
そうやって...五人で歩きながら、話をしている時だった...
「ねぇ、天沢一夏って子は誰?」
見るからに...クールな割にはツンツンしてそうな女子が私達に声をかけてきた。
この人...私は見覚えがある気がするんだけど...
「えっと、私が天沢一夏ですけど...あなたは、先輩...ですよね?」
「2年Aクラスの神室真澄...」
あっ...思い出した!確か、坂柳先輩の付き人をしていた先輩で冬頃におこなわれた特別試験の結果、クジ引きによって退学者となった先輩だったよね?
「その、神室先輩が...私に何の用でしょうか?」
「私は伝言を頼まれただけ...1年Aクラスの天沢一夏を連れて来てほしい...ってね。」
要するに...坂柳先輩が一夏ちゃんの事を呼んでいるというわけだね!
坂柳先輩は確か、清隆先輩と出会った事で、ホワイトルームの事も知ってはいるはずだけど...私や拓也といった、五期生とは接点がなかったはずだから...なんで、呼ばれたのか分からないな~?
「分かりました!...というわけで、あゆみちゃんに春日ちゃんに徹子ちゃんに翼ちゃん!私は用ができたみたいだから...今日は、四人で帰っててね!」
「オッケー!」
「了解です!」
「うん!分かった~!」
「一夏さん...本当に大丈夫でしょうか?」
元気よく返事を返してくれたあゆみちゃん、春日ちゃん、徹子ちゃんに対して...翼ちゃんはどこか、不安そうな視線を私に向けているね...
「そんなに心配そうな顔をしないで!翼ちゃん!私なら、大丈夫だから...ね?」
「ううっ...」
私が明るい笑顔でそう言ったら...翼ちゃんも渋々、納得したかのような表情をして引き下がってくれた。
(...さて、肝心の坂柳先輩は...私に何の用があるんだろうね~?)
私はちょっとだけ、期待しながら...神室先輩の後をついていったんだ~!
・・・・・
私が神室先輩に連れてこられたのは、2年Aクラスの教室だった。
「...ここよ。この教室に...中であんたを待ってる人間がいるわ...」
「そうなんですね~?では、お邪魔しま~す!」
元気良く挨拶しながら、2年Aクラスの教室に入ってみると...
「あなたが天沢さんですね。では、こちらの席にどうぞ。」
そこには、案の定...銀色の髪に帽子を被り、片手には杖が握られている身長が低い女子...坂柳有栖先輩の姿があった。
「真澄さん、お疲れ様でした...天沢さんと大事な話がありますので、下がっていてください。」
「全くよ!捜すのに手間がかかったんだからね!途中で会った、八神拓也とかいう男子には...なぜか、キレられる始末だし...」
私を2年Aクラスの教室まで送り届けた、神室先輩はブツブツと坂柳先輩に文句を言いながら、教室の前から立ち去っていった...
「今日はわざわざ、このような形でお呼びする事になってしまい...申し訳ありません。」
「いいですよ~!私も2年Aクラスの女王様のお話の内容が気になってるんですから~!」
「そうですか...実を言いますと、私もあなたに興味があったのですよ?.........ホワイトルーム、五期生の天沢一夏さん?」
...おっと?坂柳先輩ったら...いきなり、ぶっかけてくるね~!
「えっ...ホワイト...ルーム~?確か、アメリカの大統領のアレがどうしたんですか~?」
「今さら、惚けなくても結構です。天沢さん?あなたが...ホワイトルームの五期生で、綾小路君の後輩にあたるという事実を...私は既に把握済みなのですよ。」
ニッコリと上面だけの笑顔を浮かべながら、坂柳先輩は私の苦し紛れの弁明をあっさりと切り捨てる...
「バレちゃってましたか~!大方、清隆先輩から聞いた感じですかね~?」
「えぇ、私と綾小路君は...幼馴染みのような関係ですからね。」
「それで?坂柳先輩~!肝心の用件って、なんですか~?私だって暇じゃないんですよ?」
「では、単刀直入に言わせていただきますね...なぜですか!?なぜ、ホワイトルーム生である筈のあなたが...綾小路君とデートをするほどまでに親しい関係になってるんですか!?」
やっぱり、その件だったか~!
あの日...尾行集団の中に坂柳先輩の取り巻きの金髪のチャラそうな男子が紛れこんでいたような気がしてたんだよね~?
「えっと、もしかしますと...あの時に尾行していた橋本先輩に教えてもらったんですか?」
「そうですよ!橋本君が偶然にも、あなたと綾小路君のデートを目撃して...その様子を撮影して私の携帯宛てに映像や写真を送ってきたんです!...それも、何なのですか!?人目につく場所でお姫様抱っこに...ア~ンとかいうやつに!綾小路君に何をやらせているんです!?」
「ううっ...いや、それは!その...」
いやいや...あれに関しては、一夏ちゃんの方がビックリしたくらいなんだよ~?
まさか、清隆先輩があんな行動に出るだなんて...予想できるわけないじゃん!
「いいですか?綾小路君の事を一番に理解しているのは、この私なのです!」
そう言い放つと...坂柳先輩は聞かれてもないのに、勝手に語り始めた。
清隆先輩と数年前に出会った事を...
清隆先輩との出会いがきっかけで、生まれながらの天才として作られた天才...ホワイトルームの最高傑作を倒す事を決意した事を...
「これで、分かりましたか?私こそが彼を理解していると...あなたごときが出る幕ではないのです。」
やれやれ...長い話を聞かされたあげく、この程度なのかな~?
さすがに自分の事を過信し過ぎているような...
「はぁ...あんたなんかに清隆先輩を倒せるわけがないから...むしろ、清隆先輩を倒すとしたら...この、一夏ちゃんだし...」
自分でも気づかない内に...心に思っていた言葉が口に出てしまったようだった。
その瞬間...二人っきりの教室内の空気が一変したのが分かった...