無人島サバイバル試験、7日目の朝頃...
片方の手にそれぞれ、トランシーバーとカメラを持って、清隆先輩と翼ちゃんの二人を尾行している櫛田先輩を一夏ちゃんは追跡していた...
(そろそろかな~?)
まぁ...ボコボコにするとは言ったものの...基本的には元の世界よりもちょっとだけ...痛めつける程度のつもりでいるよ~!
やり過ぎたら、暴行として第三者から訴えられかねないし...それに伴って周囲からの一夏ちゃんの評判も下がっちゃうかもしれないからね...
「あれれ~?こんなところで何をしてるのかな~?櫛田先輩?」
「えっ...あなたは確か、綾小路くんと同じ中学校出身の1年Aクラスの天沢一夏さん!?」
櫛田先輩が単に情報通なのか、私の噂が広まりすぎたのかは分からないけど...私の事は既に知っていたみたいだね~!
「ダメですよ~?清隆先輩を退学に追い込むだなんて~!」
「何の事かな?私はただ、綾小路くんが七瀬さんに変な事をしないかを...こっそり見張ってるだけなんだけど...」
「ふ~ん?」
いやぁ...この世界でも相変わらずの...見事な猫かぶりだね~!
ほんとなら、そのくだらない茶番に付き合ってあげたい気持ちもあるけど...あいにく、今の私はさっさと終わらせたい気分だからね...
だから...早く化けの皮を剥いであげますね?
「嘘ばっかり~!自分の過去を知る清隆先輩を退学に追い込みたいだけでしょ?ねぇ?この学級崩壊女さ~ん?」
「だっ...誰から聞いたあぁぁぁ!!!」
私がそう言うと、櫛田先輩はあっさりと本性をあらわにしてくれた。
(うん、やっぱり...そっちの話し方の方が櫛田先輩には似合ってるよ~!)
そう思いながら、私は左手で櫛田先輩の前髪を強く握って引っ張った。
「離せ!この糞女!!」
「それだよ!それ~!さっきまでの猫かぶりも悪くないけど、櫛田先輩にはこっちの本性の方がお似合いですよ~!」
「うるさい!!その手を離せ!」
「離しませ~ん!」
櫛田先輩は必死に私の手を引き剥がそうとするけど、櫛田先輩ごときの力では私の手を引き剥がす事なんて不可能だ。
「はい!まずは、いっぱ~つ!」
「うっ!!...」
彼女の頬に軽~く(私から見て)ビンタをお見舞いしただけで櫛田先輩は痛そうにしている。
...が、声を出さないという事は~?やっぱり、手加減しすぎたのかな~?
「そして、もういっぱ~つ!」
「ぐわっ...」
今度は先程より...ちょっとだけ強くビンタをお見舞いすると、櫛田先輩がようやく声をあげた...
「続けて、ドッカ~ン!!な~んてね!」
「.........!!!」
さらに腹パンをお見舞いしてあげると、櫛田先輩は痛みのあまりに声も出せないのか...お腹を押さえて悶絶している様子だ。
「あっ...あんた...絶対に普通じゃない!」
「不思議?年下の女に怯えて体が震えるなんて...どう?」
...櫛田先輩からは最早、先程までの私に対する怒りは感じられずない...
いまや、私に怯えてるだけだね...
あ~あ、ツマラナイ...
「櫛田先輩ごときに清隆先輩が退学に追い込まれるなんて、冗談じゃないからね~!」
「あんた...アイツの事が好きなわけ?」
「好き?...違う違う...『好き』なんて一言じゃ言い表せないかな~?ただ、清隆先輩を無性に愛してる...身も心も彼に汚されてしまってもいい...だって、清隆先輩こそが私の存在価値...私の全てだもん...」
その答えを聞いた櫛田先輩はまるで、『コイツは正気か?』って言いたげな表情で私を見つめる。
「はっ...あんたが綾小路と同じ中学校出身というのが納得できた気がする。あんたといい...綾小路といい...いったい、何者なわけ?」
「はぁ...過去の詮索はしない事をおすすめしますよ?知らない方が幸せな事だってあるんですから...」
「ひっ...」
今では、ちょっと殺気を纏って威圧しただけでこの様だし...もう良いかな?
「やれやれ...これ以上、櫛田先輩と遊んでいても面白くなさそうなので失礼しま~す!あと、忠告しておきますね?残りの学園生活を平穏に過ごしたいなら、清隆先輩や八神くんを退学に追い込もうなんて考えない方が良いですよ~?」
「あんた、なに言って...」
「もう忘れたんですか?櫛田先輩のこれからの人生はあなたの過去を私達が握ったも同然なんですよ?これ以上、調子に乗るならば...今まで以上の地獄を見せちゃおうかな~!...なんてね。」
それだけを言うと、私は櫛田先輩を残してその場を立ち去ったのだった...
・・・・・
あの後...元の世界と同じように、清隆先輩と翼ちゃんに接触した私は...自分が知った情報を清隆先輩に提供していた。
それからは特に何も指示は出されていない。
ひょっとすると...清隆先輩は私が自分のために動き過ぎて、下位に落ちてペナルティを受ける事がないようにと配慮でもしてくれたのかな?
(さて、気を取り直して...しばらくは点数稼ぎに専念しておこうかな?)
私は清隆先輩の意図を組んで14日目までは点数稼ぎに専念しようと考えた時だった。
「あっ!いちかのんじゃん!」
(ん?)
私をこんなニックネームで呼ぶ人間なんて、一人しかいない...
「長谷部先輩じゃないですか!それに佐倉先輩に三宅先輩も...三人でグループを組まれてるんですかね?」
まさか、こんなところで再会できるとはねぇ...
「そうだよ~。みやっちと愛理と一緒のグループなんだよね~...ところで、いちかのんは一人なの?」
「はい、私は単独グループで...」
「きよぽんのために動いてんだよね?」
いきなり、長谷部先輩が確信を持ったような質問をしてきた。
「きよぽんがこの特別試験において、狙われてるのは分かってる。なのに、なんで私達には何も言ってくれないんだろう...って!いちかのんと出会う前の私達なら思っていたかな?」
「えっ...」
戸惑う私を尻目に長谷部先輩は話を続ける。
「残念だけど、私達は...きよぽんの敵に立ち向かえるだけの力を持っていない...きよぽんもそれが分かっているから、私達には何も言わずに一人で動いてると思うんだよね。」
「長谷部先輩...」
「余計な足手まといになって清隆を困らせるくらいなら、俺達は...清隆の勝利をただ、願っている方が良いのかもしれないな...」
「三宅先輩...」
「何もできない私達が偉そうに言うのもなんだけど、それこそが!本当のお友達と言えるのかなって...」
「佐倉先輩...」
長谷部先輩の言葉が始まりだったのか、佐倉先輩と三宅先輩もそれぞれの思いを口にした...
その中に...清隆先輩の行動に理不尽に怒りをあらわにするような言葉は一つもなかった。
(ねぇ、清隆先輩...あなたは本当に良いお友達を持てたんですから...綾小路グループのメンバーを大事にしてあげてくださいね!)
私はその場にはいない清隆先輩に...心の中で、そうお願いをしたのだった...
一夏ちゃんはクラス移籍しちゃう?
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ホワイトルーム生最強のコンビ! Bクラス
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暴君と忠犬の中間管理職? Dクラス
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無難に平穏に過ごしたい! Cクラス
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クラス移籍なんてしないもん!