今回はちょっと短め!
森下先輩との会話であの銀髪ロリ先輩が予想していた以上に厄介な存在である事を嫌でも理解させられた。
(ひょっとすると...いや、絶対に夏休み以降に再び絡んでくるんだろうね...)
別に坂柳先輩の事を心の底から嫌っているというわけではない...
しかしだよ?そもそもだけど、一夏ちゃんの目的は清隆先輩に愛情という感情を理解してもらった上で彼と結ばれる事なんだよね...
そのためにも軽井沢先輩を筆頭に数多くいるライバル達をどうやって穏便に脱落させるかまでを常に考えている日々なのだ。
正直、坂柳先輩と頭脳戦で勝負なんてやってる暇はないし、はっきり言って勝ちが見えている勝負をやるメリットが私には皆無なのだ。単純につまらないとしか言いようがない。
(よし、何とかして坂柳先輩とは関わらないようにしないと...)
そんな決心をした一夏ちゃんは船内に入ると曲がり角を曲がる振りをして、さっきからずっと自分の事を尾行していたとある人物を待ち伏せする。
そして、その人物はあっさりと引っ掛かった。
「あっ、ど~も!山村美紀先輩~?」
「ひっ...!」
いやいや!そんなに怖がらなくても...一夏ちゃんは優しいから基本的に無抵抗の人間に危害を加えるような真似はしないんだけどな~?
山村美紀
学力は高いが地味で目立たない女子...と、ここまでなら頭の良くなった佐倉先輩と言えるのかもしれない。
しかし、彼女には固有の能力を持っている。
それは...圧倒的な影の薄さである。
何せ、逆行前の世界の清隆先輩の話によると交流合宿において彼女はババ抜きに参加したらしいのだが、その際に後輩達から何度も順番を飛ばされまくったあげく、名前まで間違えられるほどの影の薄さなのだ。よって、あの時の清隆先輩からもその存在の希薄さを不思議に思われていた。その反面、尾行のセンスはあるとも評価していたため、こうして坂柳先輩が私を尾行する役目を任せるのにも頷ける。
「単刀直入に言いますけど...あなたはさっきから、私の事を尾行してましたよね?まぁ、坂柳先輩の指示なんでしょうけど。」
「あっ、えっと...」
私の追及に山村先輩はごまかす事もせずに口ごもるだけだった。その反応で自分は黒だと言っているようなものだ。
(山村先輩は確かに尾行は上手いけど、バレたら打つ手なしのタイプなのかもね?)
このまま追及を続けるのも悪くはないけど...つい先程、坂柳先輩とはできるだけ関わらないようにしようと決めたばかりだ。よって、ここは見逃す事にする。
ただ...もちろん、普通に見逃すわけではない。
「山村先輩、坂柳先輩に『あなたを相手にするのは単なる時間の無駄でしかないから、できれば関わってこないでいただけるとありがたいです~!銀髪ロリトルガール先輩』って、伝えておいてください!」
「えっ?ですが...」
「いやだと言うなら、清隆先輩直伝の脳天竹割りをこの場で喰らう事になりますよ?」
「わっ...!分かりました...!」
山村先輩にそう告げると、彼女は逃げるように私の前から立ち去った。それを見届けた一夏ちゃんは船内の自分の部屋へと向かった。
何せ、待たせてる人がいるからね...
「皆~!お待たせ!」
「一夏ちゃん!待ってたよ!」
「一夏ちゃん!待ってました!」
「一夏ちゃん!遅いよ~!」
「あゆみちゃん、徹子ちゃん、春日ちゃん、遅くなってごめんね~!」
中にはルームメートのあゆみちゃん、徹子ちゃん、春日ちゃん...そして、
「一夏さん、お待ちしてました。」
「あっ、翼ちゃんも!わざわざ、待たせちゃって本当にごめんね!」
「いえいえ、お気になさらず。全然、気にしていませんので。」
そう笑顔で返す翼ちゃんだったが、彼女の目は一切笑っていない事に一夏ちゃんは気づいていた...