特別試験の説明が全て終わり、南雲会長と月城理事長代理が出ていった後の生徒会室にて...
「おい、天沢...俺達はもう帰るぞ。これ以上はここに留まる理由がない。」
「うん!そうだね~!私達は帰ろっか!」
少しの間だけ...静かになっていた生徒会室にて、最初に口を開いたのは石上くんだった。
彼のその言葉につられて、私も生徒会室をさっさと出ていこうとしたのだが...
「おい!ちょっと待て!石上、天沢!...お前達、二人はこの試験に参加するつもりでいるのか?」
そこに...宇都宮くんに特別試験の是非について、問いかけられた。宇都宮くんはこの特別試験をどう思っているのかな?
「さぁ~?どうだろうね~?そう言う宇都宮くんの方こそどうするのさ?」
「お前に答える気はないって事か。まぁ、別に構わないが...俺の方は、同じクラスのやつに相談して決めるつもりだ。1年Cクラスと1年Bクラスにはもう一人、他のクラスメートに試験について話す事が許されていたからな...」
なるほど...元の世界と同じように椿ちゃんに相談するつもりでいるんだね~!
「...僕はこんな、ふざけた試験には参加するつもりはありませんよ。」
そして...拓也も元の世界と同じように表面上はこの試験に否定的な意思を表明している。
最も...この世界の拓也は清隆先輩に憎悪の感情は持っていないはずなので、本心で出てきた言葉なのかもしれないけど...
「けッ!根性のない奴らめ...こんなのが、俺よりも上のクラスとはなァ...恥ずかしいもんだぜェ!」
「なっ...なんだと!?宝泉!俺達を侮辱するつもりなのか?」
宝泉くんも宝泉くんだけど...宇都宮くんも宇都宮くんで一々、宝泉くんに突っかかる必要なんてないのにね~。
「あ~あ...どっちにしろ私達はもう戻るね~!下位のクラス同士の喧嘩を見せられるなんて、ほんとに見苦しいからね~!」
「はァ!?...おいッ!!天沢ァ!てめぇ、待ちやがれェ!」
「ちょっ...宝泉君!とりあえず、落ち着いて下さい!!」
案の定...私の軽い挑発に乗って怒りをみせる宝泉くんと、それを必死な様子で制止する七瀬ちゃんを眺めながら、私は石上くんと共に教室へと戻ったのだった...
・・・・・
その日の夜...
一夏ちゃんは自分のベッドの上でゴロゴロと寝転がりながら、これからの事について考えていた。
「元の世界だと~、明日の昼休みに宝泉くんと七瀬ちゃんが私に協力を持ちかけるんだっけ?」
ちなみに明後日には...宝泉くんと七瀬ちゃんが2年生達と接触したらしいって噂で聞いたけど...あいにく、元の世界の私はその現場を見ていないんだよ...本当かどうかは分からないね~。
「...とりあえず、表面上は二人に協力しておくとして...七瀬ちゃんの心の闇を早めに解いちゃう?って、手段も...いや、ダメ!...そうすると、七瀬ちゃんを送り込んだ月城理事長代理に私の裏切り行為が露見しちゃいそうだよね...」
別にホワイトルームから見放されても、今の私は何とも思わないけど...そうなっちゃうとね~。清隆先輩のみならず、私までもが退学のターゲットにされる可能生もあるからね...
(仮に清隆先輩の退学を防げても...私が退学になっちゃ、意味がないよ...)
その際に...清隆先輩が私の後を追って退学してくれる程の深い関係性になっていない限りは、私が退学になるわけにはいかないもん。
...だったら、どうしようかな?...
ピロンッ!
「...ん?おやおや、七瀬ちゃんからだね~‼️このタイミングでってことは...」
入学式の日にお互いに携帯の連絡先を交換していた七瀬ちゃんから連絡が来た。
まぁ...わざわざ、用件は言われなくても、この一夏ちゃんにはお見通しだけどね~!
「もしも~し?七瀬ちゃん?」
「あっ!天沢さん、夜遅くにすみません!」
「全然いいよ~、それよりも私に何か用かな?」
「えっとですね...今日の特別試験についての重要な取り引きをしたいので、明日の昼休み辺り...時間をいただけないでしょうか?」
まぁ...そう言ってくるとは思ってたよ...
「明日の昼休みだね~!分かった~、時間を空けておくね。...それで、どこで話し合うのかな?」
「はい!それで、集合場所はですね...」
そんな感じで七瀬ちゃんと明日についての話をしていた私だったが、ここで...清隆先輩の恋人になる計画において、一番の懸念材料となるものを思い出してしまった...
いや...今まで、何で思い出せなかったのが不思議なくらいだ...
(そうだ、軽井沢先輩...あの人をどうしよっかな?)
それは...清隆先輩の
(う~ん...できるだけ、私が別れるように強要するんじゃなくて...清隆先輩の方から軽井沢先輩に別れを切り出すように仕向けたいな~!)
...だって、今の一夏ちゃんは優しいから...できるだけ、軽井沢先輩が傷つかない形で清隆先輩を奪いたいの。
だからね?あくまで軽井沢先輩を退学に追い込むっていうのは、最終手段にとっておくのがいいもの...
「......天沢さん?あの...私の声、聞こえてますか?」
「あっ...七瀬ちゃん!ごめんね~!ちゃんと、聞こえてるよ~!つい、ボーッとしちゃっててさ~!」
おっと...まだ、七瀬ちゃんと通話をしている途中だって事を忘れちゃってたよ...
「では、天沢さん。明日の昼休みはよろしくお願いしますね。」
「オッケー!宝泉くんにもちゃんと、この事を伝えておいてね~!」
「もちろんです。...では、ありがとうございました。」
「うん!七瀬ちゃん!また明日~!」
とりあえず、今は軽井沢先輩の事は後回しかな?...
そんなわけで...まず明日は、七瀬ちゃんと宝泉くん...それと、月城理事長代理を相手に色々と根回しを済ませておかないとね~!