そして、翌日の昼休み...
「~~~~~♪♪♪♪♪」
私...一夏ちゃんは、七瀬ちゃんから集合場所に指定されたカラオケボックスにて、マイクを手に一人...熱唱していた。
(...というか、あっちから私を呼び出しといて何で遅れるのかな~...)
集合時間を過ぎても、一向に宝泉くんと七瀬ちゃんが来る気配が見えないのだ。宝泉くんの性格上...わざと遅れて、私を怒らせてそれを逆手にとって交渉を有利に進めようという魂胆なのかな~?
まぁ...ホワイトルームでいろんな教育を受けてきた、この一夏ちゃんにはそんな浅知恵...通用なんてするわけないけどね...
(早くしないと...昼休みが終わっちゃうんだけどね~?)
昼休みにも限りがあるし...これで、もう1曲歌い終わっても二人がここに到着しなかったら、もう私は帰らせてもらおうかな?...
......なんて、考え始めた時だった。
「よォ!待たせたなァ...天沢ァ。」
「天沢さん、集合時間に遅れてしまってすみません!」
ようやく、宝泉くんと七瀬ちゃんが私のいる部屋に到着したみたいだ。
「二人とも遅いよ~!私、待ちくたびれてもう3曲も歌っちゃったんだよ~?もしも時間があったら、七瀬ちゃんとも一緒にデュエットでもしたいと思ってたのに~!そんな時間の余裕もなくなっちゃったじゃん!」
ちなみにこれは、私の紛れもない本心...七瀬ちゃんとも仲良くなりたいって思ってたんだもん...
「えっ?そうだったんですか!?あっ...それは、私としてもちょっと申し訳ないです...ですが!天沢さん?もし、良ければ...今日の放課後に時間が空いてるなら、ご一緒しませんか!?」
「いいの?じゃあ、決まりだね!ちなみに七瀬ちゃんはどういうジャンルの歌が好きなのかな?」
「えっと...私はポップス系とかですかね。あとは...」
「俺を無視してどうでもいい話をするとは...中々、いい度胸じゃねぇか...なァ!?」
あ~あ...せっかく、七瀬ちゃんとカラオケの話で盛り上がっていたのに...とんだ邪魔が入っちゃったよ。
この空気の読めないゴリラめ...
「じゃあ、さっさと本題を説明したら~?私だって暇じゃないんだからさ~?」
「なら、言わせてもらうぜェ?今回の特別試験の件だが...天沢、俺達と組め。」
うん、元の世界と全く同じ展開だね~!
「つまり...えっと、あの...綾小路先輩だっけ?...今回の特別試験では彼を確実に退学に追い込むために私に協力を求めてるっていう認識で間違いないのかな?」
「はっ!勘違いするなよォ...俺とお前の利害が一致したから、組んでやってるんだ。ありがたく思いやがれェ!」
はい!残念でした~!私は今のところ...清隆先輩を退学にするつもりなんて一切ないからね!あなたとの利害はちっとも一致しませんよ~だ!
そんな私の思考を...全然、理解できてないくせに私に対して上から目線で物を言うなんて...
ねぇ?宝泉くん、今のあなたは本当に滑稽で笑えちゃうね~!
「ふ~ん、それで?宝泉くん達は具体的には...私にどうしろって言いたいわけ~?」
「おい、七瀬...説明しやがれ。」
「はいっ!では、天沢さん!私から説明させてもらいますね!」
七瀬ちゃんから、説明された内容はこうだった。
①まず...私が何らかの口実を作って清隆先輩の部屋へと上がり込み、彼の部屋にあるペティナイフを盗んで宝泉くんに渡す。
②次に...宝泉くんが清隆先輩を監視カメラのない場所へと誘い出す。
③最後に...宝泉くんが自らの足をそのペティナイフで刺す。
④ナイフにはもちろん、清隆先輩の指紋がついているため...これで、清隆先輩に刺されたと訴えて罪を擦り付ける形で退学に追い込む。
以上...元の世界の時と全く同じ内容でした~!
あいにく、清隆先輩はね...そんなゴリラが思い付くような作戦なんて...見破るに決まってるんだけどね?
「はぁ...あのさ~!宝泉くんは、特別試験の説明の時にさ...不審に思わなかったわけ~?」
「あッ!?天沢ァ...どういう意味だ?」
「私...最初に間違えて別の先輩の名前を言っちゃったじゃん?その時の南雲会長と月城理事長代理の反応だよ。あの時の二人はどう見ても...焦っていた。」
私がそう言うと...宝泉くんは黙り込み、七瀬ちゃんも何やら思案している様子だった。
「...でだよ?間違いに気づいた私が訂正して綾小路先輩の名前を言ったらだよ?あの二人は途端にホッとしていたよね?」
「つまり...天沢さんは何が言いたいのでしょうか?」
七瀬ちゃんの問いに私はいよいよ、この疑問の核心に触れていく...
「要するにだよ~?2年生、157名の中から抽選で選ぶなんて嘘だね~!あの二人は本当は...綾小路先輩を退学に追い込みたかったんだと思うよ?」
「なるほどなァ、アイツら...そういう事かよォ...」
どうやら...宝泉くんも薄々、あの二人の態度が気になっていたのか、納得した表情をしていた。
「学校側の方が彼を退学に追い込みたい...つまり、綾小路先輩は私達が想像してる以上に恐ろしい何かを隠してると思うの。」
「「.........」」
「南雲会長や月城理事長代理は少しでも自分達の手を汚したくないがために、この特別試験を始めたと思うんだよね...ねぇ、宝泉くん?七瀬ちゃん?それでも...この特別試験に参加するつもりなの?」
ここで、宝泉くんと七瀬ちゃんがが行動をおこさなかったら...清隆先輩にかかる負担も少しは減るはずなんだけどね...
果たして...私の説得に対する二人の答えは?