次の日の朝
「おはよう、左江内」
「あぁ、おはよう森崎。っと?」
「初めましてだよね、1-Eの野比のび太です」
「1-Aの左江内英雄です。所で、2人ともどうしたんだい?」
2人は昨日の事とそのことに対して協力して貰えないかを聞いた。
「ふむ・・・・私で大丈夫でしょうかね、確かに色々な魔法が使えますが、何か飛び抜けて凄い魔法とかはありませんし・・・」
「いや、今回は凄い魔法よりチームとしての力を重視するからその辺はあまり関係ないな」
「なるほど、分かりました。協力しましよう」
「ほんと?!ありがとう!」
「助かるよ、じゃあ取り敢えず俺は会長に連絡してくる」
「いきなり頼んでごめんね。左江内君」
「いえいえ、モノリスコードはいつもテレビで見ていただけで、今年は会場で見られると思っていたのですが、まさか自分が選手に選ばれるとは思いませんでした」
「皆見てるんだね。僕は勉強ばかりだったから九校戦自体知らなくて」
「なら後で動画で見てみるといいですよ。モノリスコードは九校戦の中でも人気の種目ですからね」
なるほど、と頷いていると連絡が終わった森崎が戻ってきて、放課後に訓練場に来て欲しいと言われたらしい。
昼休み
「「「「モノリスコードの選手?!」」」」
「ま、まだ正式に決まった訳じゃないよ、放課後テストするって・・・・」
のび太はいつものメンバー達と一緒に昼食を取りながら昨日の出来事を話した。
「いや、話を聞く限りじゃあほぼ決まったようなものでしょ」
「そうなのかな?」
「他は、森崎は分かるけど。左江内ってのは?」
「左江内君は入試の成績が5位で、何でもこなせる。七草先輩みたいなタイプの魔法師」
「なるほどな」
「でも本当にいきなりのテストだな」
「今の段階でどのくらい出来るのか知りたいとか?」
「かもしれないな。伸び代がなければ来年以降にも差し障りが出るかもしれないし」
「でものび太で大丈夫なのか?風紀委員の話を聞くだけでも結構ドジ踏んでるみたいだし」
レオの発言にエリカ以外のメンバーはうんうんと頷く、普段の行いのせいかとてもモノリスコードで活躍できるとは思っていないらしい。
「まあ、その辺は平気じゃない?」
「そうなのか?」
「こいつ、普段はそんな感じだけどいざって時の逃げ足とか滅茶苦茶凄いんだから、中学くらいから逃げ足に更に磨きが掛かったわ」
「逃げ足だけじゃないよ。ちゃんと相手がどの辺を狙ってるとか分かるようになったんだから!」
「ほーん」
放課後
十文字に指定された場所へ向かったのび太達、そこには十文字の他に服部、そしてもう1人の生徒がいた。
「来たか」
「あの、テストって一体何をやるんですか?」
「うむ、お前達にはこれから実際にモノリスコード、を模した戦闘を行ってもらう」
「い、いきなりですか?!」
「なんの練習もしていないのに!」
「それについては済まない。初めての試みである為に練習の時間を例年より増やそうと考えていたてな。だが闇雲に練習するのも時間の無駄となってしまう可能性がある。だからある程度の方針を固める為のテストと考えてくれ」
なるほど、と3人は思った。そして3人は用意されていたプロテクターに着替えて準備に入る。
「ルールはモノリスコードと同じだが、今回はモノリスがないためチームの全滅が敗北だ」
「「「分かりました」」」
それぞれが一定の距離離れる。
「どうしよっか?」
「3人一緒に行動した方が良いでしょうか」
「いや、それでいっぺんにやられる可能性がある。俺達じゃあそんなこと出来ないが十文字先輩の『ファランクス』ならそれが出来る、俺達は互いにある程度距離を置いた方がいいかもな」
「じゃあ、最初は誰から狙う?」
「十文字先輩は無いかな、出来たとしても時間が掛かりすぎるし・・・・」
のび太達はある程度作戦を立てる、が、正直な事を言ってしまうと何も思いつかないのであった。
理由はまず先にも述べたように十文字の魔法『ファランクス』にある。この魔法は分かりやすく言えば防御特化の魔法でこの壁は少なくとも競技用に調整された魔法では壊すことが出来ない。
ならば他2人を落とせばいいのでは?と思うかもしれないがそうはいかない。1人は服部、2年の中でも12を争うほどの実力者なこともあり自分達よりモノリスコードを経験している事もあり簡単には落とせない。
もう1人、『内木』という先輩、こちらは情報がないがモノリスコードの選手に選ばれるという事は相当腕の経つ魔法師なのだろう。
「じゃあ釣ってみる?3人纏まってるならどうにも出来ないけど1人にすれば僕達3人で戦闘不能に出来るかもしれない」
「それはいいかもしれませんが、誰が囮を?」
「それは僕がやるよ、逃げ足には自信があるし」
「・・・・・・そうだな、難しい事やるよりそっちの方がいいかもな。じゃあ俺と左江内があの辺で待ち伏せるからのび太は誰か一人引っ張ってこい」
作戦が決まりそれぞれがスタート位置に付き、試合開始のブザーが鳴り響く。
「さて、どう来るのかしら?」
「時間が取れなかったから、変なことはしないと思うがな」
今回の試験を見ているのは参加している6人だけではなかった。生徒会室のモニターに試合の映像を映して服部を除く生徒会室メンバーと摩利、達也、それから興味本位で見に来ていたいつものメンバーが居た。
「てかこれ本気なの、あの3人で本戦メンバーを倒せるって思ってる訳?」
「まぁ、不可能とまでは言わないが難しいことには変わらないな。他2人はともかく十文字を攻め落とすのは厳しい」
「じゃあどうして・・・・?」
「今回のテストは勝てない事前提で3人を見てるの、それはテストじゃあ分からないような部分を見る為のテストだから勝ち負けは二の次」
と事情を知らないエリカ達に今回のテストの事を話す。するとモニターを見ていた達也が
「動きがありました。どうやらのび太達、囮を使って先輩チームを釣るつもりらしいですね」
「囮役はのび太君ね。・・・・大丈夫なのかしら」
「「・・・・・」」
真由美は心配そうにしていて司波兄妹は不安そうな顔をしている。普段の巡回などでよくドジを踏んでいる光景を見ているせいか何かミスをするんじゃないかと思いながら続きを見ているとそこには驚きの光景が映っていた。
『くそっ、なんて素早い!』
普段の光景からは想像できないくらい素早くあちこち動き回っていて木の影から茂みへ、一瞬たりとも止まらず常に動き続けており服部も普段とのギャップに驚いていた。
動きを捉えきれていないせいで魔法が当たらず徐々に他2人の先輩から距離を離しつつ森崎達のいる方へ向かっていく。
「驚いたな。普段とまるで別人の様に動いている」
「お兄様、あれは・・・・」ボソッ
「あぁ、あの動き、実戦慣れした動きだ」ボソッ
達也の目には普段の訓練で見ている動きに近い、が所々変わった動きも混ぜながらも常に相手に捉えられないように動き続けている。
「さっすがーこれなら行けるかも」
「エリカ、のび太のあの動きは千葉家の道場で教えたものなのか?」
「ううん、元々逃げ足は凄かったんだけどあんな動きじゃなかったのよ、いつからかあんな感じに逃げたりするようになったのよね」
「じゃあ独学?」
「アイツが独学なんて出来ないわよ、やっても射撃とあやとりだけ。確かそれを教えた先生がいるって言ってたわ」
もし教わるとしたらあの新宿まで家出をした期間か・・・・
『2人とも、今だ!』
『ッ?!』グラッ(こ、これは、司波の・・・・!)
のび太の合図で木の上に潜んでいた森崎と左江内が服部に向けてサイオンの波動を放ち服部に当たるタイミングで波動が重なり合った。4月の模擬戦の時と同じ感覚が彼を襲ったあの感覚と同じ、サイオンの波動が重なり合って強力な波となり服部の三半規管を狂わせまともに立てない状態にした。
これにより服部はダウンとなりのび太チームが1歩リードしている。
「今のは、"共鳴”よね?」
「そうですね」
「予め打ち合わせしていたのかしら」
『ぶっつけだったけど上手くいって良かったな』
『合わせる方の身にもなって欲しいんですが・・・・』
まさかのぶっつけ本番で共鳴を起こしたらしくこの発言に一同唖然としていた。
「・・・・ねぇ達也くん、あれってぶっつけ本番で出来るものなの?」
「・・・・簡単には出来ないと思うのですが」
「合わせるのも?」
「そもそもサイオンの波動自体は目に見えないもののはずなのだが・・・・」
「あ、また動いた」
のび太達は服部を撃破した後すぐに移動を始め、2人もそれに続いた。
「服部がやられたか」
「これは俺達もバラバラに動かない方がいいか?」
「・・・・そうだな、今度は彼等から来てもらおうか」
残された2人はのび太達に待ちの姿勢を見せる。3人のオフェンスの力量を知りたい、十文字はそう考えていた。
「2人とも一緒だね」
「やはり動いてはくれませんか。どうします?」
「・・・・かなり強引になるが─────」
「えぇ、難しくない?」
「でも2人が揃ってるってことは十文字先輩がガードしてその後ろから内木先輩が自由に攻撃してくるんだぞ。それが続くってなると俺達に勝ち目は無くなる」
「・・・・そう、だね」
次の作戦に難色を示すが他にいい案が思いつかず賛成する他なかった。
「じゃあ、行くぞ!」
「うん!「はい!」
のび太達はまず束になって十文字達の前に突っ込み、ある程度近づくとのび太、左江内は十文字の方へ、森崎が内木の方へと別れた。
「そう来るか!」
「1年1人にやられる程ヤワじゃねぇよ!」
「意識が削がれるとはいえ3年生を1人で相手にするのか」
「って事はあの2人は時間稼ぎかしら?」
「いくら数で優位だとしても十文字相手にどこまでやれると思う?」
「どうでしょう、2人の動きを見る限りでは5分位は粘れそうですが」
達也は今ののび太達の動きを見てそう結論づけ画面に視線を戻す。
のび太と左江内は十文字のファランクスを全力で避け、一瞬でも隙が見えたら攻撃をしているがその攻撃さえも多重障壁のせいでその攻撃さえも通らない。
その間森崎も内木に向かって振動系の魔法を放ってはいるが他2人より目立たないとは言え彼もまたモノリスコードの代表選手なだけあって森崎の攻撃がほとんど当たらず徐々に焦りだしてきていた。
───くっ、当たらない!
「どうした、狙いが定まってねぇぞ!」
────うむ、向こうは内木1人で問題無さそうだな。
十文字はのび太達の相手をしながらもチームメイトを気に掛けられるほど内心に余裕が生まれていた。
それが・・・・
彼等の狙いだと知らずに1人から視線を外してしまったのだ。
───ここだ!
森崎は内木から視線を横にずらし完全に自分から視線を外した事を確認した瞬間、体勢を変え十文字にCADを向け魔法を放った。
「っ!!?」
「今です!」ギュイーン!
「これでぇぇ!!」バキューン!!
森崎が放った魔法は十文字の後頭部に当たり、彼の意識が一瞬途切れた隙にのび太、左江内の魔法を同時に受けてしまい体勢を崩し掛けた、が!
「っ!はぁぁぁ!!」
「えぇ!!?ぐはっ!」
「うっそぉ!!ぐぇっ!」
「うわぁぁぁ!!」
倒れかけたがギリギリ踏み止まりファランクスで3人を吹き飛ばし戦闘不能状態になり、1年組の負けが決まったのだった。
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
「済まない十文字、1年だからって舐めてたわ。まさかお前を狙うなんて思わなかった・・・・」
「いや、正直俺も狙われるとは思わなかった。可能性が無いわけではなかったが内木を狙う可能性の方が高いと判断すると思っていた。3人とも、大丈夫か?」
「「「はい、なんとか・・・・」」」
「良かった。焦って出力を間違えて大怪我をさせていないか心配した」
「あはは・・・・丈夫さだけが取り柄なので。それで、テストの結果は?」
「うむ、突発的なテストだったのにも関わらずあれだけの事が出来たのだ。結果は負けたが、新人戦なら十分な活躍が出来るだろう」
「えっと、それじゃあ」
「お前達3人を新人戦モノリスコードの代表選手に推薦しよう。っと言ってもほぼ決まっているだろうがな」
「・・・・もしかして今回のテスト、生徒会とかに見られていたんですか?」
「あぁ、生徒会メンバーに部活連数人、他生徒もこのテストを見ている」
地面に伏せっているが3人の顔は『えぇ・・・』となってしまっていた。
その後
「そうだ、野比、森崎、お前達2人は新人戦男子スピードシューティングにも選ばれている。詳しい話は七草から聞いてくれ」
「「え?」」