女子バトルボードの予選が終わり、次はスピードシューティングの決勝を見に行く。予選では全てのクレーを撃ち落とし難なく予選突破。
スピードシューティング自体選手の体力がそこまで必要では無いため一日で予選と本戦が行われるのだ。
「この競技って、のび太さんが新人戦でやるのと同じなのよね?」
「うん、そうだよ」
「のび太ならこれくらい余裕でしょ!」
「いやーどうだろう。準々決勝から対戦形式だからさ、もしかしたら僕より早い人だっているかもしれない」
「「「「ないない」」」」
と、のび太をよく知る4人がのび太の意見を真っ向から否定。
「そんなヤツいるなら見てみてぇよ」
「のび太の腕前は知ってるつもりだけどよ、それでものび太より上のやつなんていくらでもいるだろ」
「ん〜どうかな。今までそういう人達見たことあるけど、良くてのび太と互角くらいの人しか見た事ないよ」
かつてそう言う人間にはそこまで出会ってきた訳では無いが、それでものび太が負けた事はないからこそのスネ夫の言葉だった。
『まもなく、女子スピードシューティング、準々決勝を開始致します』
会話をさえぎったのは競技開始のアナウンスだった。
そのアナウンスが終わると同時に2人の選手、真由美と対戦相手が同時に入場、2人は赤と白の競技台に立ち、カウントダウンのブザーが始まると同時にCADを構える。初めの合図が出たと同時に赤と白のクレーが射出、真由美は赤いクレーを、相手選手は白のクレーを狙って魔法を放つ。
スピード・シューティングは、選手の立つ場所から30メートル前方にある、1辺15メートルの立方体に定められた有効エリア内に入ったクレーを破壊する競技だ。クレーは5分間にランダムに射出されるため、素早さと正確さが求められる。
「早い・・・・」
「七草先輩の“魔弾の射手"、去年よりも早くなっていますね」
魔弾の射手、ドライアイスの雹を降らせる魔法ドライ・ブリザードを原形としている。ドライアイスの弾丸を形成し撃ち出す銃座を、遠隔ポイントに作り出す魔法。撃ち出されるドライアイスは超音速に達する。フレキシブルな威力設定がセールスポイントで殺傷力は事後的に評価される。
「そう言えば、のび太。スピードシューティングはモノリスコードの様なテストはしなかったのか?」
「やったよ」
「結果は?」
「コンマ数秒の差で負けた」
のび太は負けたと言ってはいるが達也からすれば凄いことである。1年で3年を、それも十師族の人間相手にコンマ数秒代での勝負までに持ち込むのは自分でもできることでは無いと思ったからだ。
負けた理由は使った魔法の問題だろう、真由美の場合3次元的に的を射抜けるのに対して、のび太は自分の位置からしか的を射抜けない、その差があったせいだろう。最も、それでも真由美にほぼ負けていないのび太も異常なのだが。
因みに対戦した真由美は他の人達から感想を求められた時こう返した。
『同い年の女の子じゃなくて良かった・・・・』
と。
プーーー!!
そうこう言っている間に試合は終わり、結果は30対100で真由美の勝利となりその後も順調に勝ち進み、女子スピードシューティングは真由美の優勝となった。
こうして、九校戦一日目は一校の快進撃で幕を閉じた。
『カンパーイ!』
夜、真由美と摩利の部屋にて真由美のスピードシューティング優勝と摩利のバトルボードの準決勝進出のお祝いをしていた。
「会長、スピードシューティング優勝おめでとうございます!」
「ありがとう、摩利もバトルボード準決勝進出ね」
「あぁ、まずは予定通りだな」
「スピードシューティングは男子も一校が優勝ですしね」
今日の試合、スピードシューティングとバトルボードは男子と女子両方が行われており、スピードシューティングは一校が優勝し、バトルボードも勝ち残っていた。
「バトルボードでは少しヒヤッとしたが、服部もなんとか勝ち残りか」
「CADの調整があっていなかったみたいです」
「今日は技術スタッフの木下君とずっと調整していましたね」
「幸い、はんぞー君は明日オフだし、本人の気の済むまでやらせてあげるしかないでしょう。でも木下君は明日女子クラウドボールがあったわよね?」
「彼はサブエンジニアなので、抜けても問題は無いかと」
「出水1人に任せるのもリスキーじゃないか?」
「では、明日明後日共にオフの司波君に頼むのはどうでしょう」
「ん〜・・・・そうね。それが一番かな。では深雪さん、達也君にそう伝えてくれる?」
「はい、かしこまりました」
深雪はそう返し、部屋を出て、真っ直ぐ達也の部屋へと向かった。
そして、真由美達が部屋で話をしている時、ホテルのロビーでは
「お嬢さん、俺とデートしませんか?」キリッ
「え、えっと・・・・」
「来てそうそうにナンパなんかすんな!」100tハンマー ズカァァン!
「ぎぁぁぁぁ!!!」
「・・・・・何やってんですか」
「あら、のび太君。獠のいつもの発作よ」
連絡を貰ったのび太がホテルのロビーへやってくるとのび太の知り合いの人達が色々騒いでいた。
来ていたのはのび太の銃の先生である『冴羽獠』とその相棒『槇村香』
警視庁特捜部の警部補『野上冴子』とその妹で探偵の『野上麗香』
冴羽獠のライバルであり、のび太のトラップの先生である『海坊主』(伊集院隼人)とその奥さんの『美樹』の6名だ。
そして今騒ぎを起こしているのは獠であり、彼は無類の女好きで美人なら誰彼構わずナンパし、そしてそのせいで香の100tハンマーの餌食となるのがいつもの流れである。
「あ、あのー・・・・」
「あぁ、気にしないで行ってください」
「分かりました・・・・」
そう言って女性はそそくさと去って行った。
「思ったより来るのが早かったですね。新人戦の前日かその日に来るかと思ったんですけど」
「その本当はそうしようかと思ったんだけど、急な仕事が入ったりしたら来れなくなるかもだし、何より獠が寝坊とかしたらシャレにならないから」
「あぁ・・・・」
「ったく、俺がそんな事で遅れたりした事あったか?」
「少なくとも僕がいた時にも3〜4回くらいありましたよね」
「あれは大体香との待ち合わせとかだろ」
「それがアウトだって言ってんだろうが!!」
「はいはい、そこまでにしましょう。そろそろチェックインしないと」
「あ、そうだった」
「あのー獠ちゃんの部屋は・・・・」
「当然、海坊主さんと同じ部屋。海坊主さん、獠の見張りお願いします」
「任せろ」ズルズル
「いやだぁ!こんなタコ坊主より冴子達と一緒に寝たぁぁい!」
獠は海坊主に縄でグルグル巻にされ、ホテルの部屋へと連れていかれて行った。
2日目
この日の競技はクラウドボールとアイスピラーズブレイクの2種目、一校と他のメンバーは深雪と雫の希望で後者の競技を見に行った。しかしのび太だけは別で、獠達と女子クラウドボールを見に来ていた。理由は勿論
「やっぱり現役の高校生の体つきはええなぁ〜 特にあのもっこり太ももちゃん」
「やっぱりこうなったか・・・・・」
獠がクラウドボールの衣装目当てで来ていた。が獠が想像していたのはスカートを履いている姿だったのだがそんな格好をしているのは選手の中でも1人だけだ。そう、第一高校の七草真由美だ。獠は双眼鏡で真由美を、特に下半身を見ているのだ。
「冴羽さん、悪いことは言いませんから七草先輩はやめておいた方がいいですよ」
「ええ〜なんでだよ〜」
「獠、七草って言ったら十師族の中でも一二を争うほどの家系なのよ?そんな家の娘に手を出してみなさい、ただじゃ済まないわよ?」
「それってどのくらい?」
「ヤクザの抗争なんて可愛いレベル」
「・・・・遠くから見てるだけにしておく」
見ることは辞めないんだ。その後、真由美は難なくクラウドボールでも優勝、アイスピラーズブレイクも千代田が優勝。という結果になった。
しかし男子クラウドボールの結果が思わしくなかったらしく、その事がのび太の携帯にメールで送られてきた。
「うわぁ」
「どうしたの?」
「なんか男子クラウドボールの結果が良くなかったみたいで」
「男子クラウドボール・・・・あぁ、あれじゃない?」
麗香が右側にあるモニターを指さす。そこには女子の隣で行われていた男子クラウドボールの結果が映し出されている。
「確かに、3位になっているわね」
「それで、残りの本戦の6種目の内、4種目、モノリスコード、ミラージュバット、男子ピラーズブレイク、女子バトルボードで優勝すれば総合優勝の安全圏らしいです」
「そりゃまた、難儀な事だ」
「ねぇ、それってもしそのどれか1つでも落としたら、一校の総合優勝は無くなるの?」
「最悪の場合は、そうなりますね」
「なるほど、だからのび太はプレッシャーを感じているわけだ」
「どういう事ファルコン?」(ファルコンは海坊主のコードネームです)
「仮にその本戦のどれかを落とした場合、その点数の差を詰めるには新人戦で点数を稼がなくちゃいけねぇ、特に1番点数の高いモノリスコードは勝たなきゃいけないわけだ」
「ま、そこまで深く悩む必要もねぇだろ。お前ならモノリスコードとやらでも優勝できる。そうだろ?」
「冴羽さん・・・・」
自分の師からの激励に今までの問題行動を忘れ、感動した。
「あ!優勝できなかったらお虎さんとこで飲み会、全員分奢りな!」
ズコォォ!
が、すぐにその感情は消えた。
「なんでそうなるんですかー!!」
「そのくらいしないとお前本気にならないだろ」
「払えなかったらどうするんですか!?」
「その時は」
「私達が払ってあげてもいいけどぉ?」
「絶対に嫌です!」
野上姉妹に弱みを握られたら死ぬまでこき使われるに決まってる。そんなの絶対に嫌だ!
「俺達でもいいんだぜ?」
「・・・・・」
「そこまで本気で悩む?!」
正直、野上姉妹より海坊主から借りた方が後が楽なのだ。ロクでもない依頼を引き受けるより海坊主と美樹がやっている喫茶店でタダ働きした方が遥かにだ。
九校戦3日目、事件は起きた。
「この仕事が終われば、九校戦を見に行けるわね」
「ですね。このまま行けば明日には会場に着けるかと思われます」
「深雪さんの試合も見たいわね」