『ドラえもんのび太と空の理想』と『ドラえもんのび太と銀河超特急』と『超時空要塞マクロス愛・覚えていますか』の4K『機動戦士ガンダムジークアクス』を見てきました。いつでも見れんじゃんとか思われるかもですけど、やっぱり映画館で見ることに価値があるんですよ。それと、一日で映画は何本も見るもんじゃないなと思いました
モノリス・コード予選、一高vs二高が行われる“市街地ステージ”の観客席。
そこに、1人は見た目からも知性を漂わせる中年男性、もう1人は若手の秘書を思わせるような妙齢の女性、という少し不思議な組み合わせの2人組がいた。どちらも目立たない夏服姿なので周りの観客も特に気に留めていないが、2人の会話に耳を傾けてみるとその内容も更に不思議なものであることが分かる。
「結局彼がさっきの試合で使ったのは、“術式解体”に“共鳴”に加重系魔法くらいか・・・・。“分解”を使わないのは良いとして、フラッシュ・キャストも“精霊の眼”エレメンタル・サイトも使わないというのは手抜きが過ぎないか?」
「彼がそれらを秘密にする“事情”くらい、先生もご存知でしょう?」
「しかし藤林、フラッシュ・キャストはともかく“精霊の眼”は使ったところで傍目には分からないだろう?」
「見えないはずのものが見えている、というのは見る人によっては非常に奇妙に映ります。“精霊の眼”は知覚魔法というよりも異能の類ですからね、下手すると“分解”以上に耳目を集めますよ。――少なくとも、“特別観覧室”の方々は何か感じ取りますよ」
その2人組の正体は、独立魔装大隊の山中軍医少佐と藤林少尉。かなり突っ込んだその内容は知識のある者が聞けば目を丸くするものだったが、観客席は周りの喧騒によって普通の会話程度は掻き消されるし、たとえ聞かれたとしても研究者レベルの知識を有する観客はそうそういない。
2人がここにいるのは、半分趣味で半分仕事だった。純粋に達也たちの試合が気になるというのもあるが、彼らにとって超重要な人物が出場する競技で、万が一機密指定の魔法が衆人環視の下で使われてしまったときに迅速な対応を取るためにここにいるのである。
とはいえ達也は、人目に触れてはならない技術を苦し紛れに披露するほど脆弱な精神をしていない。なので2人は達也に関しては特に心配はしていなかった。
むしろ2人は別の人物に関心が行っていた。
「それにしても、掘り出し物ってのはあるものなんだな。スピードシューティングでも中々良かったが、実戦形式だとこうまで化けるとは」
「そうですね。立ち回りや観察なんかもそこら辺の兵士より出来てましたし、今すぐにでも国防軍でやって行ける実力がありますね。ただ・・・・」
「あぁ、このまま上手く行けば一校は決勝で三校と当たるだろうな。三校と言えば、一条の次期当主と天才と言われる2人の魔法師、彼等が立ちはだかる」
「2人はともかく一条君とどう戦うのか、気になりますね」
一校は予選で第二高校と戦い、勝利。今回も達也が前衛幹比古が遊撃、のび太が守備となり幹比古の精霊との感覚同調をを使ってコードの入力を成功させての勝利となり、準決勝進出が決まったのだった。
そしてのび太達一行は次に行われる三校と九校との試合を見に来ていた。
ログを見れば良かったのではと思われるかもしれないが3人にはそんな時間が無かったため今までの試合の記録を見ることが出来なかったのだ。
試合は岩場ステージ、遮蔽物の少ない開けたステージでお互いのモノリスが視認できる程、そして今そのステージを悠々と進む選手が居た。
一条将暉だ。
彼は九校の選手達の攻撃を見えない壁で防ぎながらゆっくりと進んでいる。
「“干渉装甲"か、移動型領域干渉は十文字家のお家芸だったはずだが・・・・」
攻撃を続けても一条に全くダメージが入らない、そう考えた九校選手の1人が一条の脇を抜け、モノリスを取りに行こうとした。しかし一条がその選手の背後を魔法で爆発させ進行を止める。そこへ他の2名が一条に攻撃を仕掛けるも干渉装甲に阻まれ、逆に攻撃を受けてしまい九校選手達は全滅、この試合は三校の勝利となった。
(一条選手のあの行動、恐らく俺かのび太、あるいは両方を誘っているな)
「・・・・なんなのあの壁みたいなの。固すぎでしょ」
「結局、一条選手以外の手の内が分からなかったのが痛いね」
「吉祥寺選手の方は大体予想ができる。彼の発見した
「かーでぃなる?」
「吉祥寺真紅郎って、カーディナル・ジョージの事だったのか!」
魔法式の研究分野には、“基本コード仮説”と呼ばれる理論がある。
加速・加重、移動・振動、収束・発散、吸収・放出。これら4系統8種にそれぞれ対応したプラスとマイナス、計16種類となる基本の魔法式が存在しており、組み合わせることですべての系統魔法を構築することができるという理論であり、その基本となる魔法式が“基本コード”と呼ばれている。
結論から言うと、基本コードを組み合わせただけでは完成しない魔法が存在することから仮説そのものは間違っているが、基本コードと呼ばれるものは存在する。
基本コードは作用力を定義するものなので、作用力そのものを直接発生させることができる。しかも、一般的な魔法に不可欠な事象改変結果を定義する必要が無い。よって情報を書き換える必要が無いために魔法式はずっと小さなもので済むし、情報改変を妨げる“情報強化”では防御することができないのだ。
「のび太の方は出来杉選手の事で何か情報は無いのか?」
「うーん、ごめんあんまり分からないかな。僕と一緒にいた時はエンジニアがメインでやってたから。でも放出系の魔法が得意って言ってたような・・・・」
「無いよりはいい。だがその前に今は九校との試合だ」
一校VS九校の試合だが、特筆すべき事が特になかった。それはこの試合の中で一度も戦闘がなかったのだ。
試合が行われた“渓谷ステージ”は、全体が「く」の字形に湾曲した人工の谷間であり、底には水深50センチ前後の湖がある。
この環境で幹比古が使用したのは、飽和水蒸気量に関係無く空気中の水蒸気を凝結させる古式魔法“結界”である。特定の空間に濃い霧を発生させるこの魔法に、九校の選手は四苦八苦していた。
風を起こして霧を吹き飛ばそうとしても、“閉鎖”の概念が含まれる魔法の影響でステージ内の空気が循環するだけである。また気温を上げて飽和点を引き上げようとしても、湖からの蒸発を促して余計に霧が濃くなるだけだ。
元々現代魔法は、霧のように実体の掴みにくいものへの対処が苦手という欠点がある。本来ならば幹比古の設定した“結界”ごと認識する必要があるのだが、古式魔法に対してそれほど知識があるわけでもない九校の生徒がそれを思いつけるはずもなかった。
よって、意図的に周りの霧が薄くなっている達也は、誰にも邪魔されることなく九校のモノリスに辿り着き、専用の魔法でモノリスの鍵を開けた。蓋が落ちる際に大きな音がして九高選手がそれを頼りにやって来るが、すでに達也はそこから離脱していた。
今回コードを入力するのは、幹比古である。彼は精霊と感覚を同調させて、離れた場所から九高のモノリスに刻まれたコードを読み取っていた。
ほどなくして、審判席にコードが送信された。
こうして、決勝のカードが出揃った。
一高vs三高は、午後3時半から行われる。
一校テント
「さてと、次の試合どうする?」
「作戦自体はステージの選択次第だな。それとこれを次の試合に使おうと思って持ってきた」
「何これ?」
達也が2人に渡したのは大きめのマント、何のためかと聞かれる前に実際に使って見せた。のび太に渡した方を手に持ち、硬化魔法を発動させるとゆらゆらと揺れていた布がピンッとなりちょっとした鉄板のようになった。
「これで魔法を防ぐつもりなの?」
「それもあるが、どちらかと言うと視線を遮る為に使うんだ。カーディナル・ジョージが使うインビシブル・ブリットは魔法の性質上相手を視認しなければならないと言う欠点があるから」
「もう1個の方は?」
「それは幹比古、それを着て精霊魔法を使ってみてくれ」
「普段より精霊が多く集まってくる・・・・」
「そのマントには魔法陣を織り込んであって幹比古の補助が出来るようになっているんだ」
そんなことも考えていたのかとのび太と幹比古は感心していると真由美が話しかけてきた。
「3人とも、決勝のステージが決まったわ。草原ステージよ」
「草原ステージか・・・・」
遮蔽物の無い草原ステージでは砲撃戦の得意な一条将暉が前に出てくるであろう、ならばここは俺が前に出るべきか?そうなると出来杉選手と吉祥寺選手
の相手はのび太と幹比古だ。幹比古の方は問題ないかもしれないが、のび太の方が問題だ。のび太は魔法師としての出来杉選手をよく知らないが、その逆、出来杉選手はのび太の事を知り尽くしている。俺が一条将暉とぶつかると向こうも考えいるはず、なら必然的にのび太の相手は出来杉選手がするだろう。そうなれば不利なのはこちら側。
───多少リスクを背負ってでも勝負に出るべきか?
「のび太」
「何?」
「お前が出来杉選手を相手にするとした時、勝てる見込みはどれほどだと思う?」
「うーん・・・・・多分勝つのは難しいかも、相打ち覚悟なら出来るかもだけど」
ここまでの九校戦の中で珍しく弱気な発言をするのび太、それもそのはず、前までのび太のCADを見ていたのは出来杉であり、CADを預けるという事は自身の中身を見せること、自分の弱点を晒す事に等しい。それはいくら実力のあるのび太でもそうそう勝つことが出来ないことを意味していた。
そして達也はその言葉を聞いてある決意を固めた。
「そうか・・・・なら、のび太には一条選手の相手をしてもらおう」
「えっ、えぇ?!」
「た、達也?」
達也の発言に驚く2人とその周りにいたスタッフ達。
「僕じゃあ砲撃戦で戦うの難しくない?!」
「話は最後まで聞け。のび太、お前にはこのCADを使って戦ってもらう」
「これって、予選で達也君が使ってたやつ?」
「そうだ。この中にはグラム・デモリッションが入っている」
「でも僕CADを2個使う方法知らないんだけど・・・・」
「あぁ、でもこれから覚えてもらう。なに難しい事は無い。ちょっとコツを覚えればすぐ使える。それと一応このブレスレット型CADもな」
「これはどうするの?」
「もし一条選手の砲撃を掻い潜って懐まで行った時に使ってもらう物だ」
と、達也はのび太に特化型とブレスレット型のCADを渡した。
「ね、ねぇ、達也君・・・・一応確認なんだけど、どういう作戦で行くつもり?」
「はい、作戦はのび太に一条選手の相手をしてもらい他2人を自分達が倒す、そういう作戦にしました」
「あ、あんな防壁突破出来る気がしないんだけど・・・・」
「安心しろ、そこまで行くとは思っていない。どちらかと言うと足止めがメインと考えてくれ。のび太が一条選手を足止めしている間に俺と幹比古で他2人を倒して一条選手を倒すかモノリスを抑える。だがもしものび太が一条選手の懐まで潜り込めた場合も考えてもう1つのCADにはある魔法が入っているが、それは調整しながら教える。今は時間が惜しい」
達也とのび太は次の試合の作戦の為にCADの調整作業に入り、それは試合の直前まで続いた。
そして試合開始の時刻
『お待たせ致しました。選手の入場です』
「なんだ、あのマント・・・・」
「彼の事だからはったりっていうわけでもなさそうだけど」
「だろうな、奴はジョージの事を知っていた。インビシブル・ブリット対策かもしれない」
一条達は新人戦が始まった頃に一度達也と顔を合わせており、その時に自分達の事を知られている事知ったのだ。
「確かにあの魔法は貫通力が無いけど、布1枚で防げる様な物じゃない」
「彼がそんな甘い考えで対策してくるとは思えないな。まさかここで隠し球を用意してくるなんて」
「分からないことをあれこれ考えても意味は無い。あんな布1枚で俺達の勝利が揺らいだりしない」
各校それぞれ作戦の最終確認や心の準備を済ませ、息を整えたと同時に試合開始のブザーが鳴り響いた。
特別席
「始まるわね」
「えぇ、でも先生方は宜しかったんですか?こんな所で」
「構わんよ。こういうのは自分の目で見た方がいいからな」
「どんな試合を見せてくれるか、楽しみだな」