「あはは、なんせ5年振りに会ったんだからこうなるのも仕方が無いよ。僕もさっきまであんな感じだったんだから」
「それでエリカでもああなってんだな」
「ドラえもん、こっちもいい?」
もみくちゃにされている中何とか引っ張ってきて達也達の前に連れ出した。
「初めまして、僕ドラえもんです」
「司波達也だ」
「妹の司波深雪です」
「西城レオンハルト、よろしくな」
「柴田美月です」
「北山雫」
「光井ほのかです!」
「皆良い人そうだね」
「でしょでしょ?」
率直な感想で少し恥ずかしさを感じつつも悪い気はしていなかった。
「なぁ、ドラえもんって一体何なんだ?なんかの魔法で動いてるのか?」
「ドラえもんは24世紀の未来から来たロボットなんだよ!」
「えっ・・・・・えぇぇ?!な、なにかの冗談だよな?」
「本当さ、元々はのび太の子孫のセワシ君に頼まれて色々ダメダメだったのび太君の未来を変える為に来たんだ」
「・・・・・ダメだ、信じらんねぇ」
レオの反応を見て自分達もそうだったなと出会ったばかりの頃の事を思い出すのび太達、するとエリカがある提案をしてきた。
「まぁ普通はそうよね。ねぇドラちゃん、何か道具出してみれば?」
「いいね〜。どれにしようかな・・・・」
そう言いながらポケットの中を漁る。
「これにしよう!テッテレー『きこりの泉』〜」
「っ?!今、どうやってそのポケットからそんな大きなのも出した?!」
「あぁこのポケットは『四次元ポケット』って言ってね、ポケットの中身が四次元空間になっているんだ」
サラッととんでもない事を言ってるがそこまで思考が回らなかず道具の方が気になっていた。
「これはどう使うんだ?」
「見てて」
ドラえもんはきこりの泉を地面に置いてどら焼きをポケットから出し、その泉の中へ投げ捨てた。するとピカーンと泉が光ると中から女神ロボットが出てきたのだ。
「な、なんじゃこりゃぁ?!」
『貴方が落としたのはこの大きなどら焼きですか?それとも普通のどら焼きですか?』
「普通のどら焼きです!」
『正直ですね。そんな貴方にはこちらをプレゼントしましょう』
と女神ロボットは落とした普通のどら焼きではなくその倍の大きさのどら焼きを手渡し、そのまま泉の中へと戻って行った。
「童話そのままのことが起こるのか」
「ちなみに嘘をつくと何も貰えないんだ」
「そこも一緒なのか・・・・」
またまだ理解が済んではいないが、今の道具を見て現代科学では説明出来ないものであることは認識できた一同。そんな中美月がずっと思っていた事を聞いてきた。
「あの、ドラえもんさんって一体なんのロボットなんですか?」
「確かに、人型って感じでは無いな、3Hやガイノイドとも違う」
「・・・・たぬきのロボットか?」
「ちがあぁぁぁぁう!僕はネコ型ロボットなの!!」
これも初めてドラえもんに会った人は大体こういう反応をされ、たぬきと勘違いされてしまうのだ。(例外もあり)
「ね、ネコ?」
「ネコ要素がない、耳とか」
「えっとね、元々耳はあったんだよ。なんなら体の色も青色じゃなくて黄色だったんだから」
元々ドラえもんのようなネコ型ロボットは猫耳が着いていてボディも黄色に統一されていたのだが、ある日ネズミに齧られ、その後緊急手術をしたのだが
そこで耳が無くなった自分の姿を鏡で見て青ざめてしまいそのまま青いボディになってしまったのだと説明した。
「そんなことあるの?」
「実際起きたんだからこうなってるんだよ」
「ね、ねぇ、達也。司波さん。時間、大丈夫かな?」
「「あっ・・・・」」
ドラえもんの紹介を軽くしたかっただけなのだが、質問会に変わってしまってしまった。そのせいで時間がかなり経っていることに気づかず、2人は急いで次の試合の準備に取り掛かりに行った。
「なんか、申し訳ないな・・・・」
「これだけ色々あっちゃうとしょうがないわよ。そんな事よりドラちゃんも一緒にミラージ・バット、見に行来ましょうよ」
「う、うん」
少しの気まずさを感じながら一同はミラージ・バットの会場へと向かっていた。道中人に見られたらどうしようなんて話もあったが、特に違和感を持たれることは無かった。
横浜中華街のとある場所
首から先が切り取られた竜の掛け軸が飾られたその一室は、葬式か何かと思うほどに沈痛な雰囲気に包まれていた。
「……第一高校が、モノリス・コードを優勝したようだ」
「どういうことだ! 野比のび太以外は急遽用意された代理の選手だったはずだろう! まさかこうなることを見越して、本命の選手を温存してたわけではないだろうな!」
「代理の選手といっても、1人は第一高校が新人戦でここまで躍進する原動力となったエンジニア・司波達也だ。後の1人は選手登録すらされていなかった無名の選手だが、私の記憶が正しければ日本の古式魔法を使う吉田家の人間だ」
「まずいぞ。モノリスのポイントは他の競技の2倍だ、もはや第一高校の優勝は決定的だぞ」
「そうなってしまっては、我々の負け分は1億ドルを超える。ステイツドルで、だ」
「ここまでの損失だ、楽には死ねんぞ? 良くて生殺しの“ジェネレーター”、適正が無ければ“ブースター”として死んでなお組織に搾り取られる末路を迎える」
テーブルに着く5人の男が口々に捲し立てるものの、その議論はもはや出口の見えない袋小路に陥っているような状況だった。
男の1人が、チラリと視線を外した。
壁一面に作られた防弾ガラスの窓の前に2人、部屋唯一の出入口であるドアの前に2人、そして左右の壁にそれぞれ2人ずつ、がっしりとした体つきでサングラスを掛けた若い男達が身じろぎ1つせずに直立していた。彼らは単純にテーブルの男達の護衛であると同時に、この部屋全体を包み込むように掛けられた障壁魔法を維持する役割も持っている。
そんな彼らの姿に、男の表情が引き攣った。
ミラージ・バット予選第二試合
深雪の出番は、第2試合となった。本当は休憩時間を多く取れる第1試合の方が良かったのだが、第3試合にならなかっただけ良かったとしよう、と達也は早々に考えを切り替える。
第1試合に出場した小早川は、特に危なげなく早々と決勝進出を決めた。チームの中には当然ながら、小早川に続いて深雪も、という雰囲気が漂っている。
ミラージ・バットのコスチュームを身に纏った深雪がフィールドに姿を現した途端、観客のボルテージがむりやり引き上げられた。体のラインが丸見えでありながら嫌らしさが微塵も感じられない神秘的な姿に、観客席の青少年は揃って動悸や息切れを起こし、選手にではなく観客に担架が用意されるという自体になりかねない。
それに釣られたわけではないだろうが、予定時間よりも数秒早く試合開始のブザーが鳴った。
光のホログラムが空中に現れた瞬間、選手達が一斉にそこへと向かって飛び立っていく。
その中でも観客の目を惹いたのは、やはり深雪だった。細く長い手足に緩やかな曲線を描く胸や腰、そして花のように咲き誇るその美貌に、観客はまるで本物の妖精を見ているような心地になった。たとえ彼女が誰にも劣らぬスピードでホログラムに向かって飛び立ったとしても、彼女だけは“ふわっ”という擬態語が似合うことだろう。
こうして深雪が観客の視線を独り占めにしながら、第1ピリオドが終了した。
もしこの競技が空中を飛び上がる美しさを競うなら深雪が間違いなく1位だろうが、残念ながら本戦はそこまで甘くはないらしい。
「まさか、深雪さんがリードされるなんてね・・・・」
一高の天幕でモニター越しに試合を見守っていた真由美が、詰めていた空気を吐き出しながら呟いた。
「今のところ、トップは二高の選手か・・・・。BS魔法師とまではいかないが、“跳躍”の魔法に特化した魔法性能を持っているみたいだな・・・・」
「しかも飛び上がるコースを計算して、深雪さんを徹底的にブロックしています。ここまで来ると、ミラージ・バットのスペシャリストと表現した方がしっくり来るでしょう」
摩利と鈴音の2人も、深刻な表情でそれぞれ正直な感想を口にしていた。
「元々あの選手も、摩利と並んで優勝候補と言われてた選手だものね」
「そう簡単に、ぽっと出の選手に優勝をかっ攫われるわけにはいかないってことか」
そんなことを言う真由美と摩利だが、けっして深雪の勝利を諦めたわけではない。
あの2人がこのまま終わるなんて有り得ない、という絶対の信頼がそこには隠されていた。
次に行われた第2ピリオドで、深雪が逆転してトップに立った。しかし2位の二高選手とはほんの僅かしかポイント差がない。深雪もまだまだ余力は残しているが相手もそれは同じようで、第2ピリオドはペースを調整していた節も感じられる。
限定された状況下とはいえ、まさか深雪と張り合う魔法師が高校生に存在していたとは思っていなかった達也は、相手が他校の選手であることも忘れて素直に賞賛していた。無意識に二高のブースへと視線を向け、いったいどのような選手だろうと興味を向ける。
しかし彼のそのような行動は、クイクイと深雪に袖を引っ張られることで中断した。
「お兄様、“あれ”を使わせていただけませんか?」
その目に強い光を宿しながら、深雪は達也にそう問い掛けた。その表情からは相手選手に負けたくないという思いがありありと滲み出ており、可愛いだけの“お人形さん”ではないことを示すこの顔が達也はとりわけ好きだった。
「良いよ。すべてはおまえの望むがままに」
それは今後の作戦や打算などを一切度外視した、おおよそ達也らしくない、しかし極めて達也らしい行動だった。
「あれ? 深雪さんのCADが変わってる……」
3人の中で最初にそれに気づいたのは、真由美だった。先程までいつもの携帯型CADを使っていた深雪が、今回はブレスレット型のCADを身につけている。左手にもCADを持っていることが、ますます彼女らに深雪の狙いを分からなくしていた。
いや、作戦スタッフとして達也からそのCADについて説明を受けていた鈴音だけは何かを悟り、そして普段よりも若干表情を固くしていた。
「どうやら達也くんは、“切り札”を使うことにしたようです」
「切り札だと? 鈴音、何か知っているのか?」
「はい、練習のときに使っているのを見ていましたから。――おそらくお2人も“アレ”をご覧になれば、度肝を抜かれると思いますよ」
普段から物事を冷静に観察し、けっして過大評価することの無い彼女からそんな言葉を引き出すとは、いったいあのCADに何が隠されているというのか。今すぐにでも聞き出したい衝動に駆られる真由美と摩利だったが、どうせ試合ですぐにでも明かされるだろうということで何とか我慢することができた。
やがてブザーが鳴り、最終ピリオドが始まった。
ホログラムが空中に現れ、深雪がそこに向かって飛び立った。すぐさま二高の選手も向かい、絶妙なタイミングで深雪の行く手を遮った。このままでは、深雪の方から選手に激突することになってしまう。
深雪は自らのスピードを上げることで、それを回避した。観客からどよめきがあがるのを聞きながら、深雪は体を反転させてその場に急停止、すぐさま次のターゲットへ向けて飛んでいった。
「・・・・ん?」
と、その光景を眺めていた摩利が、違和感に気づいた。
それを耳聡く拾った真由美が、彼女に尋ねる。
「どうしたの、摩利?」
「いや・・・・、いつ足場に下りるのかと思ってな・・・・」
その答えに真由美は少し考え、そして彼女と同じく気づいた。
そして深雪が一向に足場へと下りていく様子も無く、そのまま次々と別のターゲットへと向かっていくその光景に、観客も徐々にそのことに気づき、歓声を絶句へと変えていく。
「まさか深雪さん、――飛んでるの?」
他の選手が10メートルほどの高さを何度も往復しているのに対し、深雪は高度10メートルを維持しながら自由自在に方向やスピードを変え、次々とホログラムを消して得点を重ねていく。そもそも移動しなければいけない距離が違うのだから、あの優勝候補の二高選手でさえ、今の深雪では相手にもなっていなかった。
「おい・・・・、まさか飛行魔法か・・・・?」
「まさかあのCAD、トーラス・シルバーの・・・・?」
「そんな・・・・。あれは先月発表されたばかりだぞ・・・・」
「でもあれは、間違いない・・・・! 飛行魔法だ・・・・!」
呆然と深雪を見つめていた観客が、次々と囁き始める。その囁きが波紋となって広がり、それぞれの心に大きな衝撃となって降り注いでいく。
バランスや方向転換のために手足を振り出す深雪の姿が、まるで風と手を取り合って踊る天女のように見えた。空を飛ぶという、現代魔法で不可能と言われた技術が今まさに目の前で繰り広げられていること、そしてそれを実現している少女の美しさに、年齢を超えて、性別を超えて、そして敵味方すら超えて、文字通り空を舞う彼女の姿に見惚れていた。
「・・・・・なぁ、あれってそんなに凄いのか?」
「凄いなんてもんじゃ無いよ!今までは魔法で飛行するにはある程度の限界があったんだけど、あの飛行魔法はその限界を超えて飛び続けることができるんだ!」
「まぁ、剛田君達は魔法師じゃないから分かりづらいかもしれないけど。とにかくすっごいことなんだから」
ほのかの言う通り本来なら一般人であるジャイアン達にはその凄さが伝わりづらい、が
「ん〜でもよ。空飛ぶくらいなら別に大した事ないだろ。俺達いつも飛んでたし、なぁスネ夫?」
「うん。飛びすぎてよくバッテリー切れになってたけど」
「「「「??????」」」」
2人の謎の発言に一高メンバーは頭に?マークが再び浮かぶ。
「あのねジャイアン、スネ夫、あたし達は確かに何時でも飛べたけど、他はそうじゃなかったんだからね?」
「ど、どういう事?」
「あははは、後で説明するね」
そしてそれは、試合終了のブザーが鳴り、彼女が地面に足をつけるその瞬間まで途絶えることはなかった。
ミラージ・バット予選第2試合は、深雪の圧倒的勝利に終わった。
横浜中華街
「・・・・17号から連絡があった。ターゲットが予選を通過した。もはや手段を選んでいる場合ではないと思うが、どうだ?」
「大会が中止になれば、払い戻しは当初の掛け金のみだ。損失ゼロとはいかないが、まだ許容範囲内だろう」
「よし。――実行は17号だけで大丈夫か?」
「多少腕が立つ程度なら、ジェネレーターの敵ではない。武器は持ち込めないが、“あれ"を持ち込ませることは出来た。それなら素手でも100人や200人は呼吸をするように簡単に殺せるさ」
「“あれ"を使う気か?流石に我々の存在に気づかれるのでは?」
リーダー格の男が“あれ"を使うと言った瞬間全員の顔が強ばった。
「それにいくらジェネレーターでも“あれ"を使ってしまったら我々の制御から離れてしまうぞ」
「そんな事は百も承知、しかし我々が懸念しなければならないのは何よりも組織の制裁だ!」
「意義は無いな?ではリミッターを解除する」
発表されたばかりの新技術が九校戦で突如お披露目されたこと、そしてそんな新技術を使いこなす深雪の人間離れした美しさに、観客達がただただ目を奪われ、言葉を失っていた頃。
そんな観客達の中にいながら深雪には一切目を向ける様子も無く、それどころか試合をよそにヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)を装着してメッセージを眺める1人の男がいた。
その男、「ジェネレーター」17号は受け取ったメッセージ通りに行動を開始、通路を出て近くにいる観客をターゲットに大量の殺人を行おうとしていた。
「おい」ガシッ
「っ?!」
突然後ろから声を掛けられ更にかなりの力で肩を捕まれた事に驚く17号。
誰がそんな事をして来たか、17号が振り返るとそこには自身と同じくらいの体格で迷彩柄の服にサングラスにスキンヘッド、見るからに一般人とはかけ離れた雰囲気を醸し出す男、海坊主が立っていたのだ。
「ッ!!」
「行かせん!」
手を振り払い、自慢の腕力で海坊主から殺そうとするも簡単にいなされ、更に突進、そのまま担がれる形で観客席から離される。海坊主が真っ直ぐ進む先には空いている窓があり海坊主は力一杯17号をその窓から放り投げる。
窓から飛び出た17号は直ぐに慣性中和魔法を展開させ、落下速度を軽減、20m程の高さから落ちたにも関わらず大したダメージも入らずに何事も無かったかのように立ち上がった。
そしてそれに続くように海坊主も飛び降りてきた。魔法を使わずに。
「随分魔法の出が早いな。普通じゃあそんなに早く魔法を展開させられるやつってそうそういないだろ?」
「獠、気をつけろ。こいつは恐らくジェネレーターだ」
「ほう、コイツが噂の改造人間ねぇ・・・・・」
下で待っていたのは獠を含めたメンバーが17号を囲うように集まっていた。
本来魔法師ではない彼等が改造された人間であり、魔法師であるジェネレーターと戦うのはかなりリスクがある。しかしそれは一般人である場合に限る。
「はーいこれで魔法は使えないでしょ?」
香、冴子、玲香の3人がペンライト型のキャストジャマーを使い、魔法の発動を阻害、これにより17号は肉弾戦を余儀なくされた。しかも他の3人、獠、海坊主、美樹の3人に銃を向けられている。
しかしそんな中、17号は懐から箱を取り出し蓋を開ける。中には注射器が一つ、ありその中身は赤色の液体で満たされていた。
17号は注射器を自分に打とうとした瞬間
ビリビリビリビリッ!
「な、なに?!」
「誰がやってるの?!」
「誰って、そっちにいる美人さんに聞けばわかるんじゃねぇか?」
獠が香達の後ろを指さすとそこには1人の女性が立っていた。
「どちら様で?」
「国防陸軍第101旅団所属の藤林と申します。到着が遅れてしまい申し訳ございません」
「国防軍・・・・」
目の前に現れた女性は藤林響子、国防陸軍に所属する軍人であり。九校戦に来ている九島烈の孫に当たる人物でもある。
そんな人か何故ここに来ていたのか・・・・・
元々彼女は、自分が所属している第101旅団のメンバーと共にこの九校戦に来ていたのだが、会場内で競技のステージ以外での魔法の発動を確認し現場に急行した所既に獠達が17号と交戦状態に入っており、そこへ参戦し、今に至る。
「それで、そこの人形さんはどうするのかしら?」
「こちらで回収して解析に回します」
「良かった。お休みの日なのに上司に連絡をしなきゃ行けなくなるところだったから助かったわ」
と、冴子が言った瞬間
「お前ら下がれ!」
『えっ?!』
獠が叫んだと同時に17号が立ち上がって腕を振り回し近くにいた香達を殺そうとした。だが獠と海坊主と美樹が一斉に発砲し17号を止める。
「なんで、避雷針はちゃんと効いているはずなのに・・・・」
「あれだ」
獠がある物を指さした。そこには17号が持っていた注射器がありその中身は空になっていた。
「おたくの魔法が当たる前にでも打ち込んだんだろう。中身に関しては、どうやら何らかの薬物みたいだな。あれだけ撃ってまだ動けるなんて普通じゃない」
「どうすれば・・・・」
「来るぞ!」
海坊主が呼びかけると同時に17号は海坊主に襲いかかる。2人は互いの手を握り力勝負を仕掛ける。海坊主はただの死体人形なんかに負けるかと全力の力で応戦するが
「うぉぉぉ?!」
「馬鹿な、海坊主が力負けするだと?!」
「ファルコン!!」
「美樹来るんじゃない!うわぁぁぁぁ!!!」
17号に力負けしたどころかそのまま近くの柱まで投げ飛ばされ激突、柱には大きな亀裂が入り今にも壊れそうな程ボロボロになる。
「無事か、海坊主」
「あぁ・・・・・獠、あのバカみたいな力、見たことある気がするんだがお前は?」
「奇遇だな、俺もだ。あれだけ撃たれても動ける上にこんな力出せる薬物なんて1つしかねぇ・・・・」
「「エンジェル・ダストだな」」
エンジェル・ダスト
投与すれば人を死すら恐れない、命令をただ遂行するだけの戦闘マシンに変貌させる。痛覚を遮断、恐怖心を消し異常な興奮作用で戦闘を強制し、人間の筋力を限界以上にまで高める。
投与された人間は人体のリミッターを超えた驚異的な怪力や運動力と凄まじい耐久力を持った「怪物」となり、最終的にはマグナム弾で頭を撃ち抜かれようが顔面を吹き飛ばされようが死なずに動き続け、警官隊から20発以上の弾丸を喰らっても倒れない「死すら忘れた狂人」となってしまう。
しかし数年前、その薬物の開発者であり売人でもあった“海原神"は獠達によって葬られ、その製造方法等は闇に葬られた。
「なっ、なんで・・・・“海原神"はもう居ないはずなのに!」
「あぁ、根っこは確かに潰した。だが既にばら撒かれたヤツはまだ残っているんだろう」
「・・・・なるほど、奴ら程の組織なら」
「なぁ、あれは生きて捕まえなきゃダメなのか?」
「いえ、最低限動かなくすればいいんです。まぁ、ジェネレーターになってる時点で人間的には死んでいるも同義なんですが」
「そうか・・・・」カチャ
バキューン!
そう言うと獠は17号の眉間に弾を撃ち込んだ。357マグナム弾の威力に負け17号は後ろに倒れる。しかし、頭を撃ち抜かれたはずの17号は倒れてもなお体を起こそうと動き続けるがもう1発、今度は心臓を撃つと弾丸は17号の心臓を貫きコンクリートの地面に埋まり、今度こそ17号は動かなくなり、本当の意味で死ぬ事が出来たのだった。
その後
「もしもし、教授?」
『ん〜?誰かね』
「俺ですよ俺、新宿の種馬です」
「相変わらず酷いあだ名だな」
『おぉベビーフェイス。今日はどうしたんだ?』
「ちょっと調べて欲しい事があって、今九校戦にちょっかいをかけている連中の事を調べて欲しいんです」
『ふむ、分かった。少し時間をくれ』
「分かりました。なるべく早めにお願いします」ピッ
「あ、あの、一体、何を?」
「ちょっと調べ事さ、そんじゃ、俺達はこの辺で」
「アイツらに手を出してきたこと、後悔させてやる」