次の日
「たまには1人で行くか・・・」
高校に入学してからまだ遅刻はしていない所か以前よりも早起きする様になり少し早めに家を出ることにしたのび太。
駅を出て道なりに進んでいると達也と深雪の姿があり挨拶をしに向かう。
「おはよう、2人とも」
「おはよう、のび太」
「おはようございます。のび太君」
「今日はエリカ達とは一緒じゃないのか?」
「いつも一緒って訳じゃないよ。それに今日は早起き出来たから早く来ただけ」
「今日は?」
「中学まで結構寝坊したりしてたからね。高校では寝坊しないようにしないとまたエリカちゃんからお灸を据えられちゃうよ」
入学してからまだそんなに経っていないがクラスメイトらしい会話をしていられると感じるのび太だった。
すると後ろから
「達也くーん!」
と、手を振りながらこちらに近づいて来た真由美。自己紹介をしてからまだ2、3日しか経っていないのだがもう下の名前で呼んでくるのはかなりフレンドリーな人なんだと考える達也。
「達也君おはよう、深雪さんとのび太君もおはようございます」
「おはようございます、会長」
「「おはようございます」」
「深雪さんに少しお話したい事があるんだけど、今日のお昼はどうするご予定かしら?」
「・・・チラ」
深雪の本音は達也と一緒にいたいだが、生徒会長が居る前でそんなことは言えない。正直どうしたらいいから分からなくなり達也の方へ視線を向ける。
その視線は達也はもちろん真由美も気がついていてそれを利用する。
「なら、達也君も一緒ならどうかしら?」
「是非行かせて頂きます!」
「返答するのはやい」
「あ、あとのび太君も来てもらえるかしら?」
「え、僕もですか?」
「えぇ、入学式の日に言ったでしょ?」
あぁ、そう言えば・・・と思い出した。
「べ、別の日、とかは・・・?」
「そう言えば摩利が剣の練習相手が欲しいって言ってた様な・・・」
「是非行かせて頂きます!!」
エリカの家の道場に出入りしていた時から摩利にボコボコにされていたせいか若干トラウマが出来ていたのび太、だから摩利のトレーニング相手はごめん蒙りたいのだ。
昼休み
「ここが生徒会室・・・って言うか校長室っぽい雰囲気だね。流石魔法科高校」
「取り敢えずはいるぞ」コンコン
『どうぞ〜』
達也が扉をノックすると中から真由美が返事をした。達也は扉を明け「失礼します」と部屋の中に入り深雪とのび太はそれに続いて部屋に入る。
「失礼します」
深雪は両手を前で重ね、目を伏せ、深々と頭を下げる。一つ一つの動作に無駄がなく美しささえ感じるほどに。
3人が挨拶を済ませると先輩の一人と真由美が生徒会室に設置されていたダイニングサーバーから出てきた食事をそれぞれの場所に置き、ランチスタート
「入学式でも紹介したと思いますが、念の為。私の隣に座っているのが会計の市原リン、通称リンちゃん」
「私をそういう風に呼ぶのは会長だけです」
「その隣が昨日会いましたね。風紀委員長の・・・」
「渡辺摩利だ」
「そしてその隣が書記の中条あずさ、通称あーちゃん」
「会長後輩達の前であーちゃんはやめてください!私にも立場というものがあるんですから!」
と、あずさは嘆くがのび太達の内心は『あぁ、だからあーちゃんなのか』
と納得していた。
「そして、副会長のはんぞー君を加えたメンバーが今期の生徒会となります」
あずさの訴えも虚しく真由美に完全スルーされ、ここに居ない副会長の紹介を行い。紹介をすませた。
その後は何故か司波兄妹の夫婦漫才を見せられ(深雪とあずさの反応が怪しかったが)ながらも食事を済ませる。
「そろそろ本題に入りましょうか。当校生徒会は選挙で選ばれますが、他の役員は生徒会長によって、選任、解任が委ねられています。各委員会の委員長も一部を除いて生徒会長にその任命権があります」
「私が務める風紀委員長はその例外の一つだ。風紀委員は生徒会、部活連、教職員委員会の三者が3名づつ選任するが、その内部選挙で風紀委員長が決まる」
「うん、さて・・・これは毎年の恒例なのですが新入生総代を務めた生徒は生徒会の役員になってもらっています。深雪さん、私は貴方が生徒会に入って下さることを希望します。引き受けて頂けますか?」
「私が、ですか・・・?」
深雪は戸惑いながら達也の方を見る。達也も『お前の好きにするといい』と言う意味で達也は頷く。すると深雪は
「会長は、兄の入試の成績をご存知でしょうか・・・?」
「っ?!」
達也は自分が予想していたような行動を取らず、何故か自分の事を話し始めた深雪に驚いてしまった。一方の真由美も予想していた事とは違う事を言われ少し戸惑ってしまったが顔には出さず深雪の話に耳を傾ける。
深雪は自分よりも達也の方が優秀であり生徒会に入るのなら達也も一緒ではダメなのかと真由美に問いかける。だがそれに応えたのは真由美ではなく市原だった。彼女が提示した答えは『NO』であり、理由は生徒会の規則で『生徒会には1科生から選ばれる』とされていてそれを覆すには生徒総会で制度の改定が決議される必要があるらしい。
それを聞いた深雪はしゅんとなりながらも謝罪をし、真由美は再度深雪に生徒会に入って貰えないかと聞き。深雪もそれを承諾した。
「そう言えば・・・さっきからのび太君が静かだね?」
と、摩利は思い出したようにのび太の事を見る。それにつられ他の人間ものび太の方を見る。するとそこには
「Zzzzzz・・・」
「「「「「・・・」」」」」
目をつぶり口を開けながら眠っていたのび太が居てその姿を見て呆れてしまっている。すると摩利が立ち上がりのび太の席の後ろに立ち
「ふん!」
「ふげぇ!!」
摩利は持っていた冊子を丸めて筒状にし、それでのび太の頭を叩いた。
「な、何するんですか・・・!」
「何をするんですかじゃないだろ。相変わらず居眠りは治らんのだな?」
「は、話が長いんですよ〜・・・」
「そう言えば、のび太君と摩利って知り合いだったわね」
「確か、朝にそれらしき事を言っていましたね。のび太、渡辺委員長とはいつ知り合ったんだ?」
「エリカちゃんの道場で会ったんだ。摩利さんエリカちゃんの道場の門下生だから、それで知り合ったんだ」
エリカとのび太は小学生の頃からの付き合いで互いの家を行来したりしていた。その頃から何かと千葉家の道場の門下生と顔見知りなっておりその1人が摩利だったのだ。
「でもここまで話すようになったのはここ1.2年の事だけどな。彼が一校を受験する事になってから千葉家道場一同で教えていたんだよ。結構大変だったがな・・・」
摩利は遠い目をしながら思い出し、語った。
中学の頃も成績が悪く学年でも最下位だったのび太を一高に受からせるには最低限の中学の勉強と魔法の勉強を教える必要があった。エリカ達はまず中学の基礎から教え直す。その時の教え役としてエリカ、摩利、修次、寿和、それからそれぞれ得意分野の違う門下生達が交代交代で教えていた。ちなみに勉強の傍らエリカや摩利がのび太に自衛の為の武術を教えていた(という名のサンドバック)
正直ここまでする必要があるのかと当時の摩利は思っていたが想像以上にのび太の学力の低さと物覚えの悪さに大苦戦、一校の受験1週間前には道場に泊まり込みをしてまで勉強漬けをしていた。
「だからあの時期やたら眠そうにしてたのね・・・」
「なんでしたら何回か授業中に眠っていましたね」
「そのせいで何度先生から注意されたことか・・・」
「あははは・・・・すみません」
「でもその頑張りがあって君は入学出来たんだ、良かったよ。所でのび太君」
「はい?」
「君が受験を受かるためにアタシは君に協力した訳なのだが、その見返りがあってもいいと思うんだ」
「え、えっと・・・サンドバック以外なら・・・なんでも」
「安心してくれ、そんな事はしないから」
「そう言っていつも痛い目にあうんだけど・・・」
「何か言ったかい?」
「い、いえ!何も!」
摩利の黒い笑顔にビビりながらも答えた。すると真由美が何をするのかと摩利に問うと
「いや何、彼には風紀委員になってもらおうかと思ってな。風紀委員なら二科生の縛りは無いだろ?」
「え?えぇぇ!?」
摩利の突拍子も無い発言に驚くのび太、そして理解が追いついてない周りの人達。
「でもいいの摩利?風紀委員は実技メインで活動するでしょ?いくら委員長からの推薦でもこっちは直ぐに納得できないわよ?達也くんを入れたいって言うなら話は別だけど・・・」
「はい?」
「その辺は安心してくれ、彼の実力なら風紀委員でもやって行ける。私が保証する。何なら試してもらったって構わない。あと達也君にも風紀委員に入ってもらいたい」
「「ちょっと待ってください!僕「俺」の意思はどうなるんですか?!」」
「のび太君は、断ってくれても構わないよ?その後がどうなるか分からんがね?」
「脅しじゃないですか・・・」
「・・・何故俺なのですか、のび太は渡辺委員長の推薦でいいかもしれませんが、俺は風紀委員が何をする委員なのか説明を受けていませんよ」
と、謎のとばっちりを受ける達也。直ぐに反論を出すか市原が「妹さんにも生徒会の職務を説明していない」と返され黙ってしまった。
すると真由美がまあまあと市原を沈め達也に説明をする。
「達也君、風紀委員とは学校の風紀を維持する委員です」
と真由美が説明したが、達也が気になっていたのはそこでは無い。その仕事の内容だ。達也はそれだけですかと真由美に問うたがあまりピンと来ていなかったらしく、仕方がなくその視線を右にずらしていきあずさをじっと見つめた。あずさもびっくりしながらも風紀委員の仕事内容について話し始めた。
「え、えっと、風紀委員の主な仕事は魔法使用による校則違反者の摘発と、魔法を使用した騒乱行為の取り締まりですぅ・・・」
「・・・えっと、つまり?」
「ルール違反をしたやつを捕まえる」
「なるほど・・・」
あずさの分かりやすい説明があったにもかかわらず理解出来ていなかったのび太に滅茶苦茶簡単に説明をする摩利。そしてその説明を聞いた上で達也は更に摩利に聞く。
「念の為聞いておきますが、今の説明ですと風紀委員は喧嘩が起こるとそれを力ずくで止めなくてはならない、という事なんですよね?」
「まぁ、そうだな」
「そしてそれは、魔法が使用された場合も同様であると・・・」
「出来れば使用前に止めさせられるのが望ましい」
「あのですね!俺は実技の評価が低かったから二科生なんですが?!」
「構わんよ」
「?」
「力比べなら私がいる」
キーンコーンカーンコーン
「おっと、時間か・・・続きは放課後だな」
と、昼休み終了5分前の予鈴が鳴り、のび太達の風紀委員入りの話は放課後へと持ち越されることに
まさかたった2話で300件のお気に入りして貰えてしかもランキングにも乗るなんて、そんなに物珍しいですかね?