「一体、何故だ?」
「お兄様・・・・」
達也と深雪はコミューターの中で不安な様子で座っていた。
というのも元々今日は予定は無く自宅にて自由な時間を過ごそうと考えていたのだがそんな時自宅に連絡が来た。その内容は
『予定が無いなら本邸に来なさい』四葉真夜
と、書かれていた。彼女が突然用事を伝えて来るのはいつもの事なのだが、実家の、それも本邸に呼ばれるのは初めてで達也と深雪は困惑しながらも四葉家当主の“お願い"ならば行かない訳にはいかない為、直ぐに支度をし、今に至るという訳だ。
それから数時間後。達也と深雪が駅に着くとそれを待っていたかのように1人の初老の男性が立っていた。
彼の名は葉山、四葉家当主四葉真夜の執事をしている人物である。本来なら真夜の傍で執事の役目をこなしているはずなのだがそんな人がわざわざ迎えに来るなど余程の事態が起こっている。そう考え更に緊張感を強めた。
そして達也と深雪は車に乗り、四葉本邸へと向かっていき、やがて奥にある当主の真夜の部屋にやって来た。
────やはりここへやってくるのは気が滅入る。
そう思いながらも扉を数回ノックし「失礼します」と言って扉を開けたその時
「やったー!ドンジャラ〜!」
「うっそ・・・・」
「あと一つだったのに〜!」
「強いなぁ」
「・・・・・・・・・・・・・・すみません間違えました」
中では4人の人間?がドンジャラをやっていた。
「葉山さん・・・・・部屋を間違えていませんか?」
「いいえ、こちらで合っております」
「あの、お兄様?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・????????????????????」
バッ!
部屋の中で見たありえない光景に達也は激しく動揺し、今度はノックを忘れ思い切り扉を開いてしまった。
「次は勝つからね〜!って、あれ?達也君、どうしてここに?」
「え?」
「あら、もう来ちゃったのね。達也さん」
「いきなり扉を開けちゃって、どうしたのよ?」
「あっ、その、これは、一体・・・・・」
「お兄様?中で何が・・・・って、のび太君?!」
「深雪ちゃんも、なんで?」
当主の部屋で遊んでいたのはなんと当主である四葉真夜とその姉である深夜、そしてクラスメイトののび太とその友人ドラえもんがドンジャラをやっていたのだ。
「ふふっ、さっき言ったでしょ?息子達を呼ぶって」
「えっ、息子・・・・・あぁ!」
のび太は2人、っと言うより深雪の顔を見て声を上げた。
「通りで見た事ある顔だと思った。2人にそっくりだったんだ!」
「雰囲気は深夜ちゃん譲りなんだね!」
「えっ、み、深夜、ちゃん?」
「真夜ちゃんの子ならこんな風になってないもんね!」
「どう言う意味かしら〜?」ぎゅうぅぅぅ
「痛ててててて!!」
目の前のありえない光景を目の当たりにしたせいで頭痛がしてくる。
そして、そんな光景を受け入れるために使われていた達也の脳は・・・・・
「すぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・これは夢だ、そうに違いない・・・・」
「お兄様?!」
今までに見た事ない反応を示した達也に深雪は驚愕し、母と叔母は
「ふふふふっ・・・・」
「あはははは!達也さん面白い事言うわね」
この有様である。
五分くらい経ってようやく落ち着きを取り戻した2人。その間に紅茶とどら焼きが運ばれてきてドラえもんとのび太と真夜はそれを食べていた。
「・・・・・そろそろ話していただけませんか?叔母上」
「ご覧の通りよ?」
「それで何もかも伝わると思ったら大間違いですよ。・・・・百歩譲ってのび太達が居ることはまだいいです。でも叔母上や母上のその豹変ぶりはなんなんですか!?」
そう達也と深雪、いや、魔法師の共通認識として四葉家、そしてそのトップである四葉真夜と四葉深夜は恐怖の象徴として知られておりそれは親族である達也達でさえそう思ってしまうほどの人物、だったのだが・・・・今目の前にいるのは
「これ美味しいね」モグモグ
「私のお気に入りの店のやつなんだもの」モグモグ
そんな人物像とは正反対、まるで“昔からの友人"であるかのように振舞っている。しかもそれだけでは無い。
「・・・・」チラッ
「ドラミちゃんは元気にしてる?」
「うん、未来に戻る度に病院行けってうるさいけどね〜」
「ふふっ、相変わらず病院が嫌なのね」
真夜だけではなく深夜も同じだった。今まで他の人は疎か娘の深雪の前でさえそんな風にはしたこと無かったはずなのにだ。
「だいぶ面白い顔になって来たわね達也」
「誰のせいですか、誰の・・・・」
「ちなみに演技ではないわ。寧ろ今まで見せてきた姿が演技みたいなもんよ」
「“あれ"が素の姿・・・・あれじゃあまるで・・・・・」
────子供のようじゃないか
と、どら焼きを頬張る真夜を見ながら思った。
「あれは元々の性格よ。別に何かあって子供みたいになったんじゃないわ」
「そう、なんですか・・・・・のび太は二人とずっと交流があったのか?」
「えっとね〜2人ともなら小学校5年の頃で、あとは真夜ちゃんに1度会ったくらいかな。でも本当に驚いたんだから。今日突然知らない人に声をかけられてここに連れられてきて」
回想
「暑いね・・・・」
「エアコンが壊れちゃったからでしょ」
「もうなんでこのタイミングで修理できる系の道具一式メンテナンスに出しちゃってるんだよ・・・・」
夏休みも後半に入るが8月の真ん中というのもあって気温はかなり高い、そんな中最悪なことにのび太の部屋のエアコンが壊れてしまい、2人はスライムのごとくドロドロに溶けていた。
「ねぇ、アイスでも買いに行かない?そのついでにコンビニで涼もう」
「さんせー」
そう言い外に出る。当然外の気温は部屋の中よりも暑く2人とも体が溶けそうなくらいの暑さを感じていた。しかし2人は諦めずまだ見ぬ
そんな2人の前に1台の車が止まった。先に運転席からスーツを着た女性が降りてきて2人に軽く会釈をし、回り込んで後部座席のドアをあける。中からワインレッドのドレスを着た若い女性が降りてきた。
のび太達は誰だろうと思いながら目を凝らしてその女性の姿を見てみると記憶の奥底から一人の人間の名前が出てきた。
「・・・・・もしかして、深夜ちゃん?」
「深夜ちゃん・・・・あぁ!!」
「ふふっ、久しぶりね。2人とも」
と言うような感じで再会し、四葉本邸へ招待されたのだった。
そう言えばのび太とドラえもんが何故この屋敷を知っているのかを疑問に思っていた達也だったが連れてこられたなら納得がいく。
「ここまで来た経緯は分かった。でも2人が叔母上達とどうやって知り合ったのかを知りたいのだが」
達也が真夜からのお願いを聞いてからずっと気になっていたことを本人に問う、しかし2人はうーんと唸りながら考える素振りを見せる。
「ん〜そうは言ってもねぇ・・・・」
「言ったところで、信じてもらえるかどうか・・・・映像か何かあればいいんだけど・・・・“あの写真"だけじゃ・・・・」
「うーん・・・・あっ!そうだ、ドラえもん。雫ちゃんの別荘で使ったあれ。まだある?」
「あっ!『思い出映画セット』か!」
のび太の提案は以前使った『思い出映画セット』を使って達也と深雪に説明しようと言ったのだ。
ドラえもんはその提案に賛成し、ポケットから道具を出して色々準備をする。
「あら、知らない道具ね」
「未来デパートのくじ引きで当たったんだ。このアンテナをおでこに貼れば共通する思い出が映画の様に見られるんだ」
「いいわね。説明の手間が省けるわ」ペタ
4人は額にシール型のアンテナをくっつけ映写機を回し始める。
今回は少し短いけどこんなもんですかね
次は・・・・
「双子との出会い」
と言ったところですかね