「なりません!」
アクア・レジーナの招集で開かれた議会で開口一番そう言われた。本人も予想はしていたのだろう。しかしアクア・レジーナの意見に賛同する者をちゃんといた。
「彼らの言葉に嘘偽りはありません!」
そう、かつてのび太達と共に宿敵である『怪魚族』を倒し、長きに渡る因縁を終わらせることが出来、平和を勝ち取った『人魚族』の女王ソフィアが異を唱える。
「いいや信じられない!そもそもソフィア殿、貴女も貴女だ。海底憲法があるにも関わらず陸上人を自由にさせ、あまつさえ陸上に返してしまうとは!貴女方の事情はこちらも理解しているつもりだ。しかし物事には限度というものがある!“ポセイドン"が反応しなかったのは奇跡だ!」
1人の代表者の発言に他の代表者達も頷き、それに続くように
「ムー刑法、国境破りの罪は死刑と定められています!」
「そんなもの、7000年も前に作られたカビの生えた法律ではありませんか!」
「だが陸上人は海底の資源を奪い、工場のゴミや放射性廃棄物を海へ流しているではないか!」
人類が海へ進出するようになってから今日までに至る
「首相!ムー連邦の将来の為、死刑を求刑します!」
「そんな・・・・首相!」
「・・・・」
アクア・レジーナは迷っていた。連邦の1つを救ってもらったのも事実、しかし彼らが国境を出たと言うのもまた事実。悩みに悩み抜いたアクア・レジーナの答えは。
「・・・・では、こう致しましょう。人魚の国における件は『恩赦』という形で納めましょう。そして今彼らはやってきてしまいましたが国境を超えてはいない、ならばなんの刑にも処す事は出来ません」
「そんな・・・・」
「首相っ・・・・」
「以上、これを持って陸上人達の無罪を承認致します」
多少の反感はあったが無事にのび太達の無罪が決まった。
「女王ソフィア、長らく彼らとは会っていなかったでしょう。一度顔を見せてはいかがですか?」
「はい!是非お会いしたいです!」
「では共に行きましょう。今回の議会の報告もしたいので」
2人はエルを連れてのび太達の元へ向かっていった。
一方のび太達はと言うと
「あっ、深雪ちゃんUNOって言ってない」
「はっ!忘れていました・・・・」
「カード1枚追加ね〜」
自分達の処分はそっちのけでUNOをやっていた。
「いや、俺達こんな所でUNOなんかしてる場合か?」
「しょうがないじゃんやることないんだから」
自分の反応がおかしいだけなのか?と自分自身を疑い出す始末。そんなとき部屋の扉が開いた。
「失礼します」
「あっ、首相さんとエル、と・・・・・ソフィアさん!?」
「ソフィアさんだ!」
「ソフィアさん、久しぶりね!」
「ふふふ、皆久しぶりね皆」
久しぶりのソフィアとの再会を喜ぶのび太達。しかし達也達四葉組は初めて合う為話に割って入っていいのか分からないでいる。
「あぁそうだ、ソフィアさん紹介するよ。僕の友達の」
「四葉真夜です」
「その姉の深夜です」
「深夜の息子、達也です」
「その妹の深雪と申します」
「私は皆さんのお目付け役の櫻井穂波といいます」
「私は人魚の国の女王を務めております。ソフィアと言います」
軽く自己紹介を済ませ全員が席に座る。すると達也が全員が気になっていることを代表してアクア・レジーナに聞く。
「あの、我々の事はどうなりました?」
「・・・・一先ず身の安全だけは確保できました。国境さえ超えなければ死刑になることはありません」
「はぁ、それは良かった」
「でも出来たのはそれだけなんです。皆さんを陸上に返せるかどうかはこれからの話し合い次第」
「そんな・・・・」
「大丈夫、私達が必ず陸上に帰れるようにしてみせるから!」
沈んだ表情をするのび太を元気づけるようにソフィアは言った。
「エリカ、あのソフィア女王とはどうやって知り合ったんだ?」
「えっと、なんと言うか、ドラちゃんの道具に巻き込まれて陸上に上がってきちゃったのよ」
「何をどう間違えたら海底人を陸上に連れ出せるんだ・・・・」
そこでドラえもんが『思い出映画セット』でソフィアとの思い出を映し出す。始まりは以前見たピー助との思い出と似ていたがそこからソフィアとの出会いから人魚族の怪魚族との歴史、そして物語の鍵となる人魚の剣についても語られた。
「そんなことがあったのか。・・・・・」
「どうしたの?」
───映像を見た限りかなりの規模の戦いだった。なのに、この時期に海で異変が起きたなんて話聞いたことない。
達也はそう思っていたが・・・・
「・・・・・いや、何でもない」
今のこの状況でもついて行くのがやっとな達也、その思考は最早「まぁ、そんなこともあるだろう」となっていた。
すると
ドッカァァァン!
「わわわ!なんだなんだ!?」
「何事ですか!?」
「外からだ!」
「あそこじゃない!?」
スネ夫の指さす方に視線を向けるとすぐ近くの場所から煙が上がっているのが見え、全員が部屋から飛び出し煙の上がっていた場所へ向かった。
その場所へ来るとそこにはボロボロで今にも爆発しそうな潜水艇があり、その出入口からムー連邦の兵士が這いずって出てきた。
「何があったのです!?」
「ほ、報告します・・・・き、鬼岩城が活動を始めました!」
「な、なんですって!?」
「「ッ!!」」
鬼岩城と言うワードに海底人の3人はものすごく驚いていたがのび太達ははてなを浮かべる。
「まさか、あの禁断の死の都へ立ち入ったのですか!?」
「い、いえ、違います!いつものように遠くから離れていたら海底火山が大爆発し、それを鬼岩城の目と耳がキャッチ・・・・警報が響き、バトルフィッシュの群れが舞い上がり鬼岩城は7000年ぶりに臨戦態勢に入ったもよう!」
「あぁ・・・・なんてことでしょう。こんなことにならぬ様気を配っていたのに・・・・鬼岩城を刺激してはと誰一人あの水域には近づけなかったというのに」
「まだあるのです。地震計は、バミューダ沖の海底に新たな火山脈の発生を認め、近々更に大規模な噴火を予測しているのです」
「っ!分かりました。貴方は怪我の手当を、皆さんは部屋に戻っていて下さい」
そう言うとアクア・レジーナはソフィアと共に首相官邸へ戻っていきのび太達も部屋に戻って行った。
海の神を祀る神殿
「神よ、全ての海を束ねし海原の神よ。ついにこの世の終わりが来ました・・・・ここ2、3日のうちに、大西洋の火山が大噴火の見込みです。しかもそれが鬼岩城真近の場所なのです。その時、鬼岩城は7000年の眠りから目覚め、恐るべき“鬼角弾"を世界の隅々まで雨のように降らせることでしょう・・・・海原の神よ。我々にはもう防ぐ手立てはありません・・・・」
「首相、何かを成すべきでは?」
「鬼岩城に潜り込み、ポセイドンを破壊するとか・・・・」
「不可能です。皆さんも分かっているはず、永遠の闇に囚われ、死の壁に囲まれ死の軍団に守られた死者の国。その奥にいるポセイドンを倒すため、7000年の間に何千人とという有志が鬼岩城に潜り込み、そして虚しく死んで行ったことか・・・・我々に出来ることはただ1つ、神に祈るのみ・・・・」
「もう1つ道があります!」
誰もが諦めていたその時ソフィアが声を上げた。
「彼らが、陸上人の彼らなら出来るかもしれません!」
「しかし・・・・」
「我々人魚族も怪魚族との争いでもう勝てない、そう諦めていました。でも彼らは違います。彼らは決して諦めることなく強大な的に立ち向かっていきました。そんな彼らならきっと共に戦ってくれます!」
「・・・・信じているのですね。彼らを」
「はい、なんたって自慢の友人ですから!」
「分かりました。では行きましょう」
全てを決心し、代表陣を連れて再びのび太の元へ向かった。
「一体なんだったんだろう、さっきのあれ」
「鬼岩城がどうのって、言ってたな」
「これってもしかしてまた厄介事に巻き込まれるんじゃ・・・・」
「そ、そうとも限らないでしょ、多分・・・・」
───各々が不安な様子を見せている。当然だ、彼らは魔法師では無い。例え非日常的なことに慣れていたとしても戦うことに慣れているわけではないのだから。
するとそこへ神妙な趣でソフィア達がやって来た。
「皆さん・・・・・頼みがあります。皆さんの持つ不思議な力をお貸ししていただけないでしょうか、是非ともお願いします・・・・地球を救うために」
「地球を・・・・救う?」