ドラえもん のび太の魔法科高校の劣等生   作:むぅち

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頑張るしかないの〜?

 昼休みが終わり、午後の実技の実習

 

 

「風紀委員?」

 

「ああ、という訳で放課後に話を聞きに行くことになった」

 

「そりゃまた面倒そうな・・・」

 

「風紀委員の仕事って危なくないんですか?特にのび太君」

 

「そうね、喧嘩止めようとして1番大怪我しそう」

 

 

 中学からとは言え美月でさえのび太のドジっぷりと不幸体質を理解しているようで心配していた。それもそのはず、ここは魔法科高校であり、喧嘩をする時ほとんどと言ってもいいくらい魔法の撃ち合いになる。それもそこそこ威力のある物ばかり、その魔法の撃ち合いのせいで魔法師として使い物にならなくなるほどの重症をおうこともあり、2人はそこについて不安になっていた。

 

 

「あはは・・・でもそんな大怪我するような事ないでしょ。なんやかんや今までもそんな怪我した事ないし」

 

「そうよねぇ、ピー助の時とか、ペコの時とか」

 

「確かに」

 

「ペコ?」

 

「ピー助?ペットの名前か何かか?」

 

「あっ・・・ま、まぁそんな所」

 

 

 うっかり昔の事を口にしてしまったエリカ、一応ペットって言うのは間違っていない為皆にはそうだと答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 放課後

 

 昼休みの返事を返す為に再び生徒会室までやって来た達也達。達也の内心では自分には無理だと考えており風紀委員の話は断る事にした。

 

「失礼します。司波達也です」

 

「司波深雪です」

 

「野比のび太です」

 

「いらっしゃい3人とも」

 

 

 部屋には入ると市原とあずさはデスクワークを行っていて、真由美と摩利は入ってきた3人に挨拶をする。そして、その近くで外の景色を眺めていた男、彼こそ昼には会わなかった生徒会副会長の『服部』だ。

 服部は彼らに気がつくと振り返ってだんだんと近づいてくる。そして達也とのび太には目もくれず深雪の前に立ち

 

「副会長の服部刑部です。司波深雪さん、生徒会へようこそ」

 

「っ・・・」

 

 

 と、明らかにこちらを無視した。深雪は兄を無視されたことに腹を立ててはいるがそれを口に出さずにそっと会釈を返した。

 

 

「僕達のこと見えてないとかそう言うやつじゃないんだよね達也君?」ボソッ

 

「違うだろうな」ボソッ

 

 

 のび太は無視をされている原因が分かっておらず達也に尋ねてみるが違うと言われる。

 

 

「それじゃ、アタシらも移動しようか」

 

「どちらへ?」

 

「風紀委員本部だよ、色々見てもらった方が分かりやすいだろうからね」

 

 これは、不味いな。どんどん断りづらくなっていってる。達也がそう思っていると服部が待ったを掛けた。

 

 

「渡辺先輩、待ってください」

 

「なんだ、服部刑部少丞範蔵副会長?」

 

「フルネームで呼ばないでください!」

 

「なが、そんな名前の人いるんだね」

 

「古い家系の出ならそう言うのもあるんじゃないか?」

 

「じゃあ服部半蔵副会長」

 

「服部刑部です!」

 

「それは官職だろ、お前の家の」

 

「今は官位なんてありません、学校には服部刑部と!っと、そういう話ではなく!」

 

 

 服部は名前の事で色々話すが話が脱線してしまう為に直ぐに本題に戻すために達也とのび太の方を向いた。

 

 

「その2人の二科生を風紀委員に任命するのは反対です。過去、ウィードを任命した例がありません」

 

「二科生をウィードと呼ぶのは禁止されている。私の前で使うとはいい度胸だな?」

 

「取り繕ってもしょうがないでしょう。それとも全校生徒の3分の1以上を摘発するつもりですか? 風紀委員はルールに従わない者を実力で取り締まる役職です。実力の劣るウィードには務まらない!」

 

 

 服部の言っていることも間違ってはいなかった。魔法を使っての乱闘騒ぎで重要なのは魔法力の高さや魔法を構築する速度。その両方で見てしまうとどうしても二科生の方が思ってしまう。しかし摩利の狙いはそこではなかった。

 

「確かに風紀委員は実力主義だが、実力にも種類がある。達也君には起動式を読み取り、発動される魔法を見分ける目と頭脳がある!」

 

「まさか!基礎単一系魔法の起動式だってアルファベット3万字相当の情報量があるんですよ?!それを一瞬で読み取るなんでできるはずがない!」

 

「常識的に考えればできるはずがない、だからこそ、彼の特技には価値がある。彼は今まで罪状が確定できずに軽い罪で済まされてきた未遂犯に対する強力な抑止力となる」

 

「なら、もう1人の方は?聞くところによると彼は渡辺先輩の知り合いらしいじゃないですか」

 

「ああそうだ、知り合いだからこそ彼の実力を知っている。正面からの戦闘なら私は彼に勝ったことがない。それでも実力の証明にならないかな?」

 

「なんだって?!」

 

「ッ!?」

 

 

 摩利の発言に対して達也も驚いていた。この学校でも指折りの実力者と言えるであろう摩利に勝っているとなると彼への認識を改めなければならないと。

 

 

「いや、それは相性とかもあるんじゃ・・・」

 

「それもあるかもしれないが、君の場合分かっていても君の魔法は避けられないだろう?」

 

「そ、そう、なんですかね・・・」

 

 

 と、のび太は照れくさそうに頭を搔いた。

 

 

「それに彼らを風紀委員に入れるのには別の目的もある。お前の言う通り当校には一科生と二科生との間に感情的な溝が存在する。一科の生徒が二科の生徒を取り締まり。その逆は無いという構造はその溝を深める事になってた。私が指揮する委員会がその差別意識を助長するのは私が好むところでは無い」

 

 

 摩利の意見に対して服部は悔しそうに顔を俯かせる。恐らく理屈としてはそれが正しい事なのだろう。しかし彼の中の差別意識がそれを許さなかった。すると服部は真由美の方を向く、委員長本人がダメならそれと同格である生徒会長に話を付けてもらおうとしたのだ。

 しかしそれに待ったを掛けたのは真由美ではなく深雪だった。

 

「確かに兄は魔法実技が芳しくありませんが、それは評価項目に兄の力が適合していないだけなのです。実戦ならば、兄は誰にも負けません!」

 

「司波さん、魔法師は事象をあるがままに、冷静に、論理的に認識できなくてはなりません。不可能を可能にする力を持つが故に社会の公益に奉仕する者として、自らを厳しく律する事が求められられます。魔法師を目指すものが身贔屓に目を曇らせることがあってはなりません」

 

「お言葉ですが、私は目を曇らせたりはしていません!お兄様の本当の力を持って、ッ!」

 

 

 深雪が感情的になりついつい余計なことまで話し出した為に達也は深雪を静止させた。深雪はハッとなりながら達也の方を見ると『後は任せろ』とアイコンタクトをしてきたのでそれ以上は何も言えず少し下がった。

 

 

「服部副会長、俺と模擬戦をしませんか?」

 

「何?」

 

 

 達也が模擬戦の提案をしたことに対し周りの人達は驚愕を顕にした。今までの達也の行動からしてそういう争い事は極力避けるようなタイプなのかと誰もが思っていたからだ。

 

「思い上がるなよ、補欠の分際で!」

 

「・・・フッ」

 

「何がおかしい!?」

 

「先程、ご自分で仰っていたではありませんか。『魔法師は冷静さを心がけるべき』でしょ?」

 

「くっ・・・」

 

「別に風紀委員になりたい訳ではありませんが、妹の目が曇っていないと証明しなければならないなら、やむを得ません」

 

「・・・良いだろう、身の程を弁える必要があることをたっぷり教えてやる!」

 

「でしたら、2階の実習室を使いましょう。達也はCADを持ってきてね」

 

「はい」

 

「なら、のび太君、君もCADを持ってきてくれ」

 

「え、僕もですか?!」

 

「服部達の模擬戦の後にでも皆に実力を証明させようじゃないか」

 

「はーい・・・」

 

 

 

 実習室

 

 達也とのび太はそれぞれCADを取ってきて各々が準備をしていた。

 

「へぇ、達也君って色んなカートリッジ持ってるんだね」

 

「あぁ、汎用型を使うには処理能力が足りないからな。それよりのび太のCADは・・・」

 

 

 達也とのび太、両名のCADはどちらも特化型のCADであるのだが、のび太のCADはCADと言うよりも本物の銃、それもコルトパイソン357マグナムと形状が同じだったのだ。

 そして達也が気になっていたのは先程のび太が聞いてきたカートリッジの存在だ。特化型の中にはリボルバーの形をしたタイプもあるが、達也の見た限りのび太の持っているものは本物と呼べる代物だ。

 

 

「一応本物の銃なんだけど、普段は刻印型の術式で魔法を使ったりコルク弾詰めたりしてるだけだから安心して」

 

「良くそんなもの手に入れたな」

 

「ま、まぁね」

 

 

 本物と聞いて一瞬警戒したが弾丸が入っていないと聞いてホッとした。

 

 

「達也君準備はいいかい?」

 

「すみません。もう大丈夫です」

 

「達也君頑張れ」

 

「あぁ」

 

 

 摩利に呼ばれて部屋の中央まで向かう。そこには審判役の摩利と戦う相手の服部が待っていた。2人が揃ったことを確認すると摩利はルールの説明を行った。

 

1.相手を死に至らしめる術式、及び回復不能な術式の使用禁止。

 

2.直接攻撃は相手に捻挫以上の怪我を追わせなければ問題なし。

 

3.武器の使用は禁止

 

4.素手による攻撃はOK

 

5.勝敗は一方が負けを認めるか審判が続行不能と判断した時に決まる。

 

6.ルール違反は審判が力づくで処理される。

 

 

 と、ルールの説明を終えると服部は手首に付けているCADを準備、頭の中で試合に勝つためのシュミレーションを行い審判の合図を待った。

 

 

「それでは・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  はじめ!」

 

 

「っ!ぐはっ!」

 

 

 開始の合図と共に服部はCADに手を伸ばしコマンドを入力、魔法を達也に当てようとした瞬間、達也が素早く近寄って来た。服部はすぐさま座標を変え達也に標準を合わせようとした瞬間、体が左右に強く揺れる様な感覚に襲われ意識が飛んでしまった。

 

 

「・・・っは、勝者、司波達也!」

 

「凄い、あんな一瞬で勝っちゃうなんて!」

 

 

 と、1人興奮するのび太。それ以外は何が起こったのか理解が追いついていない。

 達也は直ぐにCADをしまってあったケースの方へと向かうと摩利が待ったを掛ける。

 

 

「今の動きは自己加速術式を予め展開していたのか?」

 

「いいえ、正真正銘身体的技能です」

 

 

 摩利がそう思ったのも無理は無い。達也の動きは素早くて服部の後ろに付いていたからであり自分も同じような動きをする為、その考えに至った。

 

 

「兄は忍術使い、『九重八雲』先生の指導を受けているんです」

 

「っ!あの九重先生の・・・!」

 

「では、先程の攻撃に使った魔法も忍術ですか?サイオンの波動そのものを放ったようにしか見えませんでしたが・・・」

 

「正解です。あれは基礎単一系魔法で、サイオンの波を作り出しただけです」

 

「しかしそれでは、はんぞー君が倒れた理由が分かりませんが・・・」

 

「酔ったんですよ」

 

「酔った?」

 

「魔法師はサイオンを可視光線や可聴音波と同じように知覚します。予期せぬサイオンに晒された魔法師は実際に体が揺さぶられた様に錯覚するんです。この錯覚によって激しい船酔いのようになるんです」

 

「そんな強い魔法を一体どうやって?」

 

 

 真由美は疑問に思う。魔法にも強さがある。強さと言っても多種多様だが今回の場合なら人間の意識を飛ばす程の強い揺れを作るとなると高度な魔法を使わなくてはならず魔法の構築が難しい。そして魔法の構築が難しいと構築にも時間がかかってしまい直ぐに相手にやられてしまう。だが先程の試合ではそれほどの強い魔法を達也は使っていなかったから余計疑問に思ったのだろう。するとタブレットで先程の試合の映像を見ていた市原がある結論をだしてきた。

 

 

「波の合成、ですね?」

 

 

 市原の出した結論はこうだ。振動数が異なるサイオン波を3連続で放ちその波が丁度服部のいる位置で合成されるように調整し、三角波の様な強い波動を作り出したのだろうと。

 

 

「お見事です。市原先輩」

 

 

 と、達也は市原の出した回答に関心している。だが市原それを聞いて更に疑問を持った。市原が言った理論を実現するにはそれぞれ違う魔法を3連続放っていることになる。それほどの事ができるなら実技の評価が低くなるわけが無いと

 すると今度はあずさが達也に近づいてきて持っていたCADを眺めながら話してくる。

 

 

「あの〜もしかして司波君のCADは『シルバーホーン』じゃないですか?」

 

「シルバーホーン?どっかで聞いたことあるような・・・」

 

「知らないんですか野比君!?」

 

 

 と、のび太のシルバーホーンってなんぞや、と言う言葉によりスイッチが入ったのか、シルバーホーンに付いて熱弁を始めた。

 

 

「いいですか、シルバーホーンっと言うのは『FLT(フォア・リーブス・テクノロジー)』専属の魔工師トーラスシルバー、その本名、姿、プロフィールの全てが謎に包まれた奇跡のCADエンジニア!世界で初めて『ループキャストシステム』を実現させたプログラマー、シルバーホーンと言うのはそのトーラスシルバーがフルカスタマイズした特化型CADのモデル名で、ループキャストに最適化されているんです!」

 

「そ、そう、なんですね・・・」

 

 

 と、のび太はあずさの熱弁に少し引いており途中から着いて行けなくなっていた。

 

 

「あの、ループキャストって、なんでしたっけ?」

 

 

 のび太は助けを求めるように真由美や市原のいる方に目をやった。すると市原がその考えを読み取ったのか解説を始めた。

 ループ・キャストは、魔法師の演算キャパシティが許す限り何度でも連続して魔法を発動できるように組まれた起動式、またはそのソフトウェア技術のことである。先程あずさが言っていたトーラス・シルバーが開発した技法でもある。

 

 

「でもリンちゃん。それっておかしくない?」

 

「おかしいって、何がですか?」

 

「のび太君、先程私はループキャストは連続して魔法を発動できると言いましたよね、ですがループキャストはあくまでも全く同じ魔法を連続して発動しているだけであり、その前に言った振動数の異なるサイオン波は作り出せないはずなんですよ」

 

「へぇ、じゃあなんで波の合成なんて出来たんでしょう」

 

「そうですね・・・振動数を定義する部分を変数にしておけば可能でしょうけど、座標、強度、持続時間に加えて、振動数まで変数化するとなると・・・・まさか、それを実行していると言うのですか?!」

 

「えっと、つまり?」

 

「使う魔法をその場で変えながらその魔法を連続で使ったという事です」

 

「えぇ!」

 

「・・・多変数化は、処理速度としても、演算規模としても、干渉強度としても、この学校では評価されない項目ですから」

 

 

 達也の凄さに少し理解が遅れている中、先程まで意識が朦朧としていた服部が話し出した。

 実技試験に置ける魔法力の評価は

 

『魔法を発動する速度』

 

『魔法式の規模』

 

『対象物を書き換える強度』

 

 の3つで決まる。

 

 

「テストが本当の能力を示していないとはこの事だったのか・・・」

 

「はんぞー君、大丈夫ですか?」

 

「は、はい大丈夫です!」

 

 

 真由美に心配されると服部は何故か顔を赤くし、直ぐに立ち上がった。そして深雪の方を向き自分の認識が間違っていたと素直を謝罪をした。

 

 

「さて次はのび太君なんだが・・・服部、行けるか?」

 

「・・・すみません、まだ視界がハッキリしていなくて。ちゃんとした魔法の操作は行えるかどうか」

 

 

 実際服部の今の顔色はあまり良くなくまだ本調子では無いことはのび太でも分かっていた。

 

 

「さてどうしたものか・・・」

 

「摩利は相手しないの?」

 

「さっきも言ったが私は彼に勝ったことがない。それに私が相手をしてしまうと公平性がないだろ?」

 

「それもそうね。・・・・・誰かいないのかしら〜」チラッ

 

 

 真由美は少し考える仕草をするとわざとらしく大きめな声を出してチラッと達也の方を見た。達也も心の中で溜息をつきながら自分が相手をする事に。

 

 

「それじゃあ始めよう、ルールはさっき説明した通りだ。2人とも、準備はいいかい?」

 

「は、はい!」

 

「はい」

 

 

 先程試合をしたばかりの為か達也は落ち着いていて反対にのび太は緊張気味で摩利の確認に対して大きい返事で返す。

 

 

「それでは・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

始めっ!!」

 

 

 バンッ!!

 

「っ?!」

 

 カチカチカチカチ・・・・

 

 開始の合図と共に達也は先程と同じように背後を取ろうと1歩踏み出そうとした瞬間発砲音が聴こえた。次の瞬間達也の手からCADが離れていた。

 

 ガチャ

 

「っ、・・・参った」

 

 

 後ろに落ちたCADに気を取られていると目の前にのび太がやってきて頭に銃口を当てられてしまった。これでは何も出来ないと判断した為に達也は降参した。

 

「そこまで!勝者、野比のび太」

 

 

 

 

 

 

 




今年はここまでにしよう。他の作品も描きたいのでネ!それでは良いお年を〜
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