第1種目、50m走。相澤は放課後マックに言って談笑なんてヒーロー科はできないと言っていたが…私はバーガーキング派なので関係がない。
やろうと思えば、テレポーテーションも、光のスピードで移動するのも、時間を止めるのも、簡単に出来る。出来ない理由を拒絶すればいいからだ。その代わり欲がとんでもないことになる。時間を1秒止めようものなら3日3晩寝ながらご飯食べつつヒミコを抱くことになった…あの時はもう何が何だか分からなくなっておかしくなりそうだった。
ソフトボールをどこまでも投げれたのは、空気抵抗と重力による影響を拒絶しただけに過ぎない。加速したのは所謂加速器である。荷電粒子を作り出すのは雷と同じ原理。指向性を持たせるのは他の方向への移動を拒絶すればあとは狙った方向にすっ飛んでいくだけ。ソフトボールのありとあらゆる物理的障害を取り除けば、荷電粒子に押されて空の彼方という訳である。
そうじゃなくてもマイナスとプラスの電荷を上手い具合いに拒絶していけば荷電粒子砲の完成なんてお遊びも出来るわけで…
まあ、大型ハドロン衝突型加速器が光の速度の99.999999まで出るのはあのサイズに他ならないので、それ程出る訳では無い。が、そんなもの人の目には誤差程度なので
「0.1秒」
「ふぅ…」
「「「ええぇえええ?!」」」
「僕より…速いだと?!」
「超加速?いやでも入試で助けてくれた時も青白い半透明の板を出していたし、それに付随する個性で間違いない。でも外にそんなものを出現させる個性なんて有り得るのか?個性は身体能力の延長だし…ブツブツ」
「緑谷怖ぇよ。」
問題のブラックピーク(地球上の空気中では荷電粒子が一定距離までほぼ減衰しないのにも関わらず突然急激にエネルギーを失い停止してしまう現象)だって、私の個性でなんのその。
ただ理解が出来るかどうかの些細な問題で、つまり個性とは身体能力の延長上にしかなく、突然死を拒絶=死なないという方程式は成立しない。その為には死因を拒絶する必要があり、例えばナイフで刺された傷は細胞レベルで認識して拒絶する必要がある。
ありとあらゆることが理解の上に成り立っており、分からないことはどうする事も出来ないのだ。
第2種目、握力。
リミッターを拒絶して、後で怪我を拒絶すれば大体普段の2倍ぐらいの力は出せる。筋肉が収縮するときの分子レベルでの収縮機構に依存している。アクチンとミオシンという分子の相互作用の特徴によって引き起こすことが出来る。
まぁ、荷電粒子を飛ばして速度で無理やり数値を出してもいいのだが、そんなことをするまでも無い。
「84キロ…か…」
「葵…アンタ凄いね…」
「個性を上手く使えてるだけだよ。得手不得手はある。」
響香が話しかけてくる。最初も今も、シールドを出して個性を使ってますよアピールはしておく。
「これが葵の個性?なんかクルクル文字が回ってるけど…」
「そう、まあ今度教えてあげる。今はほら…」
目線を無駄話するなという表情でこちらを見てる担任に向ける。
「あー…そうだね、また今度教えてもらうよ。」
第3種目、立ち幅跳び。
前に使った跳ねるシールドを使う。跳ねるとは言うが、実際は色んな物理現象を拒絶したり、今回は重力を拒絶して飛んでいくだけである。
やろうと思えば無限に飛べるので記録も無限。
第4種目、反復横跳び。
単純にそれ以上行くのを拒絶、エネルギーがそのまま跳ね返るのを利用して反対側へ、それを繰り返す。
第5種目、ソフトボール投げ。
さっきやったから割愛。
それよりも気づいていなかったが、入試の時にでかい仮想敵に飛んで行った彼と、ものを浮かしていた彼女がいた。
軽いいざこざ後彼は指を犠牲にボールを投げ700メートルを超える記録を出していたため、やはり仮説どうり身体を犠牲にするほどの超パワーなのか?最初相澤に止められてたのは腕ごと犠牲にするつもりだったからか。
個性による副作用や反作用、デメリットはある程度許容しなくてはならないが、それによって何も出来なくなりましたーなんて事は許されない。
それにしても、彼からは何か不思議な感覚がする。それに英雄オールマイトに目をかけられてるみたいだし?
グラウンドの端、体育倉庫の影から此方を見ているNo.1に目を向ける。慌てて顔を隠したが、ガタイが良すぎて肩が見えてる。
ヤンチャそうな…確か爆豪勝己とか言ったか?超パワーの彼、緑谷出久とイチャイチャしている間に、測定が全て終わった。
相澤の捕縛布術は素晴らしいものがあったし、彼の個性は私にとってどう作用するのだろうか?もし、もし…私の個性を貫通して消すことが出来るのならば…
(相澤消太…危険だな…)
「んじゃあパパっと結果発表。点数は単純に評価点の合計だ。一括開示する。口頭で1人ずつなんて非合理的。」
1番は私。それだけ確認できたらどうでもいい。誰が抜けようと…
「ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す合理的虚偽。」
…嘘だ。そんな事をする様な教員では無い。まぁ全員お眼鏡にかなったようで何より。
今日の時間割は全て終えたし、ぱっぱと帰ってしまおう。個性も結構使ってしまったし…
「じゃ解散。教室にカリキュラム等の書類があるから確認しておけ。明日からもっと過酷な試練の目白押しだぞ。」
入試の時に助けてくれた彼女は、どうやら守衛葵というらしい。盾のような、板のようなものを出す珍しい個性。
制服を着崩して、インナーカラーの入ったネオウルフとでも言ったか、襟足の長いウルフカットが良く似合う。黒いマスクで顔はあまり見えないが、どう見てもギャル。話しかけるのは怖かったが、帰る前に入試の時の感謝を改めてしようと思って探していた。
「指は治ったのかい?」
「うわっ?!飯田くん…うん、リカバリーガールに治してもらったよ。」
後ろから肩を掴まれてびっくりしたが、飯田天哉君だった。リカバリーガールに治してもらいはしたが、自己治癒力の強化という点、そしておばあ様の濃厚なキッスのせいで体力をごっそり持っていかれた気がする。後者の方がなんなら大きい。
彼女を探しながら今日の相澤先生の話をしていると、前から手を振って女の子が走ってきた。
「おふたりさーん!駅まで?待って〜!」
「む…君は…∞女子?」
それだと守衛さんも∞女子になるんじゃないかなぁ…?
「麗日お茶子です!えっと…飯田天哉くんに、緑谷デクくんだよね?」
「デク?!」
「え?個性テストの時に爆豪って人が…」
あぁ…かっちゃんが言ってたのか…
「えっと、本名はいずくで、それは蔑称というか…」
「えー?!そうなんだ…でも私頑張れ!って感じでなんか好きだな…!」
「デクです!!」
「緑谷くん!!」
ごめん、でもあまりにもコペルニクス的転回だったんだ…っ!!!
「あ…そういえば守衛さん知らない?入試の時助けて貰ったから感謝言いたくて…」
「あ、ウチも介抱して貰ったっけ…でもそそくさと帰っちゃったよ?あの人凄かったねー…」
「全科目で1位を取るなんて…この僕が速さで負けるとは思わなかったっ…飯田天哉一生の不覚!」
出来ないことが色々あったけど、友達ができたことぐらいは喜んでいいですよね?オールマイト…?
「ただいま。」
「おかえりなさーーーい!!!」
家に着くとヒミコがすっ飛んできた。抱き締めて背中を撫でる。
「お待たせ、会いたかった。」
「私も会いたかったです、お疲れ様でした…あ、やろうと思ってたことがあるんです!!」
身を離せば裸にエプロンというとんでもない姿で慌てて鍵をかけた。
「ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?♡」
「ヒミコ。」
「知ってまし…ひゃっ…もう…♡」
「まずお風呂一緒に入ろ。」
「そう言うと思ってマットも用意しときましたよ!!」
「さっすが私の大好きなヒミコ。」
ヒミコをお姫様抱っこしてお風呂まで連れていく。
「大好きだけですか?」
「愛してるよ。」
「ふへへー…♡」
原作完結しましたね…長い間お疲れ様でした。トガヒミコというあまりにも可愛い女の子を作り出してくれたホリー先生に感謝です。