復讐少女は拒絶する。   作:3m6ry0

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主人公にまだ愛着を持てない。最初から好かれる主人公を書くつもりは無いが…


容認

拒絶とは、即ち魂への直接攻撃であり、この個性の本質である。基本的にこの個性は、物理学的に説明は着くが、だからこそ回らない理を、拒絶することによって無理やり行っている。

 

然しながら、この魂への直接攻撃とは、巨大な拒絶の気持ちを固めて、相手にぶつける事でその気持ちの大小や、強度、回数で魂を少しずつ削る。

 

凄く簡単に言えば悪口や口撃のそれである。突然拒絶されれば当然傷つく。それの最上位互換だ。

 

魂とは何か、それはまだ分からないが、物質的な存在を超えた精神的・永続的な要素であり、人間の本質や意識、精神の根源を成すものと考えられるのだ。

 

それを少しづつ削ることで、精神が崩壊して行く。強い拒絶は、大きく削る。空になった肉体は直ぐに心臓や脳の機能が止まる。そしてそれは多大な苦しみを伴う。

 

これは、私が復讐を行う為に神が授けた力で、守るいわゆるヒーローの力では無い。きっと、そうなのだ。もしくは呪いである。

 

 

 

 

 

 

 

「それで、この槍みたいなのはなんなのです?」

 

丁度よくソファーがあったので、突然発情してしまったヒミコと愛を確かめた後、落ち着いたようでリーダー格にまだ刺さってた極彩色のそれを指で触ろうとした。

 

何ともないだろうけど、一応止めて置く。触って傷付いたらたまったものじゃない。

 

「これは、拒絶の力その物だよ。この世の理を全て拒絶してるから、目に見えるのはこの色だけなんだ。」

「んー…?なんでそれで死にそうなってるんです?」

「私に悪口言われたら辛いでしょ?それの超上位互換って感じ。」

「あー…分かったような分からないような…?」

 

ヒミコの服を着せながら胴に極彩色を突き刺す。叫び声が一々うるさいので強い拒絶となって現れた威力は、人格を破壊するのに十分だった。

 

「でもこれ血が出なくてちょっとガッカリなのです。」

「私以外の血で汚したくないもん。」

「きゃっ…♡」

 

ヒミコを撫でながら外を見る。日に照らされて室内が少しづつ明るくなってきていた。

 

ん…?明るく?

 

「ヒミコ…まっずい。」

「ふぇ?どうしました?」

「朝。」

「…まっずいですね…」

 

2人で顔を見合せ、急いで倉庫を出る。海に赤い太陽が反射して眩しい。私は朝が好きだ。いい匂いがする。その日が始まるという昂揚感はたまらない。が、今はそんなことをヒミコと共有する暇もなく家に帰って制服に着替える。眠れてないが、たらふく食べる事で何とか釣り合いを取るしかない。

 

「ヒミコ、行ってきます!!」

「行ってらっしゃい!あ、今日お昼ぐらいに行くので校門と職員室からは離れておいてくださいね!!!」

 

軽くキスをして急いで家を出る。さっさと行かないと学校に遅れる。

 

今なんて???学校に来る?敵が?

 

いや、そんなこと…で流すべきでは無いが、何より時間が無い。ぱっぱと走る事にする。まあなんとかなる。

 

校門に大量のマスコミが居たが、全て拒絶して教室に入った。何人か捕まっておくれそうだったのでついでに首根っこ掴んで引っ張っておいた。

 

「あ、ありがと…」

「助かったよ、ありがとう…」

 

確か芦戸と尾白だったか?感謝はいい、遅れてあの教師に何されるか分からない。連帯責任にされたらたまったものじゃない。

 

 

 

 

 

 

いつも通りやはりヌルッと教室に入ってきた相澤は、書類を教卓に乱雑に投げながら口を開く。

 

「昨日の戦闘訓練ご苦労さん。Vと成績は見させてもらったぞ。」

 

面倒くさそうにかつ忌々しそうに2人の生徒を見比べる。

 

「爆豪、能力ある人間が、二度とガキみたいな事はするな。緑谷は腕を壊して一件落着…はぁ…やれることは全てやれ。個性の制御さえ出来れば出来ることは増えるはずだ。」

 

昨日、様々なことがあったが、それより少し前、学校の戦闘訓練の話である。あの後生徒同士で訓練を始めたが、爆豪と緑谷が嬉しそうにイチャイチャし始めたのだ。

 

なぜか戦闘のセンスがある爆豪が、あんな無様に負けたのか。その負けというのも試合ではなく、緑谷に個人的に負けたというのは、彼にとって耐えられぬ恥辱で、下らない弱いもの特有の何の覚悟も信念も無いプライドをへし折られ、そして幾分か大人しくなった。

 

闇弱。思春期特有の全能感。とてもくだらない取るに足らないプライド。見下していた男に勝つ事すらままならないが為に折れた心。ようやく、男らしくなった。

 

そして緑谷。彼はどうにも分からない。何が引っかかるこの気持ち悪さの元が探せぬままなのは、喉に魚の小骨が刺さっているようだった。

 

「ああそれと、君達には今日、急だが学級委員長を決めてもらう。」

 

思考の隅に担任の声とざわつきが顔を覗かせた。

 

これは投票であるべきだというイインチョーの発言に私ははっきり言って賛成だったし、民主主義に則り公平にと言いながら聳え立つその手に笑いが止まらなかった。

 

つまるところ私は委員長という誰かを容認し、組織を回すような真剣さ、真摯さは無いわけで、勿論委員長に相応しい人間に押し付けることにする。まぁ飯田な訳だが…

 

「僕に1票…誰が入れてくれたんだ…っ?!」

「他の人に入れたのね…。」

「お前もやりたがってたのに、何がしたいんだ飯田…」

 

自分で自分に入れなかったのか。なんともつくづく難儀な性格だ。

 

兎にも角にも曰く民主主義に則り、委員長は緑谷出久、副委員長は八百万百になった。渾名を新しく考えなくては。

 

 

 

 

 

 

昼。いつもより多めの食事をとる為誰もいない端を陣取っているとけたたましく警報がなる。

 

『セキュリティレベル3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外に避難してください。繰り返します。』

 

件の警報は、どうやら校舎内に侵入者が現れたというものらしく、騒がしく逃げ始める生徒を遠巻きに、朝の言葉を思い出す。

 

「そういえば…来るみたいなこと言ってたな…」

 

きっと今頃職員室にでも忍び込んで何かの情報を抜いているのだろう。帰ったら聞いてみよう。そう思いながら白米を頬張る。

 

やはり、ランチラッシュの炊く飯の美味いこと。ヒミコには劣るが、それにしても甘さが際立つ米は料理に合わせて硬さを変えているようだった。

 

麗日にでも浮かせてもらったのだろう。飯田が物凄いスピードで非常口看板の上に張り付いていた。ウケる。

 

その後、やはりと言うべきか、委員長は飯田になった。渾名は考えなくても良い様だ…残念。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな門。雄英のその力を示すかのように強固に、頑固に、頑強に作られたその門は、何者かによってグズグズに破壊された。

 

「ただのマスコミにこんな事が?いいやまさか。唆した者がいるね。」

 

未だに細かい粒子にさらさらと、崩れる門を眺める教員。

 

しかしその少し前。破壊する前の話だ。監視カメラで確認できたその一瞬。門は独りでに侵入を容認したように見えた。ひとりがギリギリ通れるような細い動線は、こちらの操作や、破壊では説明出来ないような、不気味なものであった。




何言おうと思っていたか忘れたので寝ます。
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