「……て……起きて」
気持ちよく微睡んでいると、ゆさゆさと誰かに体を揺さぶられる。そして微かに子供の可愛く高い声が聞こえた。どうやら俺を起こそうとしてるみたいだけど、今俺は猛烈に眠いのでそっとしといてほしかった。
「……お~き~て~!」
ぺちっと音を立てて俺の頬が叩かれる。全く痛くはなかったが、その衝撃に驚いた俺は目を見開いて飛び起きた。
「起きた!」
「なにっ!? 何なのっ!? 敵襲ですか!? この俺の寝込みを襲おうなんざゲスめ! やったるぞオラァン!!」
起きあがった勢いで周囲を威嚇し、
髪は輝くような金色で長く、お目めはパッチリして可愛らしい。幼げながらも顔のパーツは整っていて、将来はさぞ美人さんになることだろう。肌は透き通るように白く滑らかで、俺の見間違いかも知れないけど、瞬間瞬間で本当に少し透けて見えたりする気がする。体格は小さいながら健康的を絵に描いたようだった。
総合的に見て、現実の存在なのかを疑う程あり得んくらい可愛い幼女がそこにいた。
ただ一つ常人と明らかに違う点を挙げるとすれば、額に綺麗な宝石がくっついてる事だ。そして俺はそれに見覚えがあった。
「……もしかして……お隣さん……です……?」
「……? そうだよ?」
念のために恐る恐る問いかけると、その子は不思議そうに首を傾げながら肯定する。
「……。……せっ、成長しとるぅーー!!!!」
お隣さんだった。普通に認められてしまった。
………………
…………
……
「え、え~っと、じゃあ君も今さっき起きたばっかりってことでいいの?」
「うん!」
「そっかぁ~。良いお返事ですね!」
突然成長していたお隣の子に
「俺の事は分かる?」
「隣の子!」
「いや、……うん、まあ、そうね。呼び方は後で決めるとして、ここはどこだか分かる?」
「うぅ……わかんない……」
「ああっ! 分かんなくても良いんだよ! 俺も同じだからさ!」
「うん……」
「そう
「んふふっ。う~んとね、何か金色の光がバァーって来て、ブワッってなって、ゴゴゴッっていってから私も寝ちゃった」
「かっ、感覚派ッ!?」
そして冒頭に戻る訳で……。
この質疑応答により、お隣さんも俺と同じでほとんど何も分からんという事がわかった。なので、改めて自分達を含めた周囲の観察をする。
先ず見えるはお隣の彼女。改めて見ても、ちょっと引くくらいに顔立ちやら体型含めて整ってる。服はどこから手に入れたのか分からない緑色のワンピースを身に纏っている。なれば自分はどうなんだと自身の身体に目を向ければ、彼女と同じような体型で、同様に緑色のワンピースを着ていた。俺はズボンが良かったんだけどなぁ。なんかスースーして落ち着かん。ちなみに、思っていたとおり異性であるようだ。
次に周囲に目を向ければ、滑らかな木の壁が三方を囲んでいる。正面だけは外に通じているようで壁は無く、そこから柔らかな光が差し込み、この空間を明るく照らしていた。幼児二人が歩き回っても余りあるくらいには広い空間だ。なお、時計が無いので今が昼間と言うことぐらいしかわからない。
最後に、外の確認をするために正面の穴から顔を出すと、外には見上げても
そして、ゆっくりと元いた隣の子の側に戻ると、そのまま天を仰いで叫んだ。
「マジでどこなんだここーっ!!」
「声、大きい」
「あっ、スンマセン」
そして怒られてしまったのでした。反省反省。
……じゃなくて!
「参ったな。こんな高さからじゃ地上に降りれないぞ?」
「下に降りるの?」
「そうしないと困るでしょ。お腹が減っても、ここには食べ物も飲み物も無いんだからさ」
「う~ん。そうかも」
「そうだよ? っていうか凄い今更だけど、言葉が通じてる!! いつどこで覚えたんよ!?」
今まであまりの自然さに全然気付かなかったけど、何で言葉が通じているのか。発音から何から、完全に俺の母語なんだけれども。
「うんと、繋がってた時に色々教えてもらったの」
「繋がってる時? 俺が氣を送ってた時のこと?」
「そうそう」
「教えてもらったの? ……誰に?」
「うん? 何か変な格好して踊ってた二人だよ?」
「……?? ……!? まっ、まさか、あいつらかぁ!?」
俺が驚きながらそう言うと、彼女は不思議そうに頷く。どうやら
ホントに! ホンット~に! 何なんだアイツらはよ! 今はこの子と意志疎通できるから助かってるけど、まさか何か変なこと教えて無いだろうな!?
今は影も形も感じない奴らが彼女に変な影響を残してないか、とても不安になった俺なのだった。