こっそり覗いてるのバレた? うわ~気まず。
とまあ、呑気に恥ずかしがってる
相手は俺たちの本体と同じような服を身に纏っていて、女性にしては背が高いと思う。最低でも170cm以上だろうか? 基準にしてる巨樹の大きさがバグってるから大体しかわかんないわ。
手足も長くスラッとした体型をしていて、髪は新緑のような緑色の長い髪だ。驚きからなのか目を見開いているが、その優しげな顔つきは超美人過ぎて若干現実感がない。
そして俺が知っている人間との一番大きな違いは、耳がほんの少しだけ長く、先が少々尖っている所だった。
「うわ~綺麗な人だね! ねえっ、ハイド話しかけてみようよ!」
「そうだねぇ。見つかっちゃったし行きますか」
超美人にテンションの上がっているシアの提案に乗った俺が片手を上げて、「あの~こんちわ~」なんて呑気に言いながら近づこうとすると、次の瞬間その美人さんは心配そうな顔をして突然俺の目の前に立っていた。
「菴輔〒??シ溘??迚ゥ雉ェ縺ョ霄ォ菴薙?縺ゥ縺?@縺溘???シ溘??鬲ゅ′謚懊¢縺。繧?▲縺溘?縺九@繧会シ√??縺昴l縺ォ荳?莠コ縺ェ縺ョ?溘b縺?ク?莠コ縺ョ蟄舌?菴募???シ」*1
「……なんて?」
動画のコマ落ちが起こったみたいな移動速度に、俺がはえ~なんて気の抜けた間抜けヅラで驚いていると、彼女は酷く焦った様子で全く聞き覚えのない謎言語を用いて何事かを喋りながら、俺の全身を足元から確認するようにペタペタと触る。
あっ、
何となくそのままなされるがままにされていると、その手は徐々に上に上がっていき、遂には俺の頬を両手でこねくり回し始めた。それに顔をしかめるが、彼女は気付くことなく周囲をキョロキョロと見回す。
何かしら探しているようだけど、如何せん何言ってるか全く分かりません。あと、何で頬を引っ張ったりされてんのかそれも分かりませんし、そもそも精神体の俺に何で触れられるのかもわかんねぇ。
「
「
頬をモニモニとされているせいでシアと間抜けな会話をする羽目になったけど、美人さんの気は引けたらしい。
ずっとこねくり回してた手を慌てて離し、その手を俺の肩に乗せ膝をついてしゃがみ込み、目線を合わせて真剣ながらも優しい声色の謎言語で何事かを聞いてくる。
う~ん、何言ってんのかわからん。心底心配してる感じではあるんだけどなぁ……。
「あ~! やっと見つけた~! ポチッとな!」
「シア、それ古くない?」
そんな風に俺が困って苦笑いしてると、シアが俺の記憶で学んだのであろう死語を言いながら精神世界で何かの能力のボタンを押した。
「お願いだから教えて! もう一人の子は今どこにいるの? あなたの身体は大丈夫なの!?」
するとさっきまでの謎言語が俺の母国語に聞こえるようになった。
「シア、これってシアの能力?」
「うん!『ほんやく』ってボタン押したの。探すの大変だったんだから~」
「シアさんマジ有能ですわ~」
俺は遠くにいるシアを拝み倒す勢いで手を合わそうとしたのだが、業を煮やしたのか美人さんは「ちょっと!」なんて言いながら俺の事をガクガクと揺さぶって来る。
「ちょ、待って、待って! お願い!」
「聞いてるの!? さっきから何か言ってるけど、お願いだから私にもわかるように話してちょうだい!」
「シアさ~ん!! 俺の言葉通じてないみたいなんだけど! 助けて!」
体を襲う激しい揺れに、俺は必死になって待ってと言いながら揺さぶる彼女の腕をタップするが、言葉が通じてないようで一向に止めてくれない。
それを理解した俺は即シアに助けを求めた。精神年齢が上のプライドとか恥とかないんですかぁ?と誰かに煽られても、即座に「ない!」と力強く答えられるぐらいには俺ではこの状況をどうしようもなかったからである。
そんな俺のSOSにシアさんは「『ほんやく』だけじゃダメなのかぁ」とかぼやきながら打開策を探してくれているご様子。
なるべく早くお願いしますね! このままじゃ酔っちゃうから! ……いや、精神体って酔うのか?
まあ、そんなことを考えながら俺は
………………
…………
……
それから数分後、シアの「あった! これならどうだぁ!」という俺にとっての福音が口から飛び出たのと同時に言葉が通じたらしく、美人さんは俺を揺さぶるのを止めた。
「やっと止めてくれた……」
「あっ、ご、ごめんなさい。ちょっと冷静さを欠いていたわね……」
「いや、何か心配してくれてるのはわかりましたから、気にしないでください」
「本当にごめんなさいね……」
あんだけ揺さぶられたのに案外何ともない。でもまあ、気分的には疲れたのでため息と共にそう呟くと、少し冷静になって申し訳なさそうにしてた美人さんが俺に謝ってくる。
別に暴言吐かれたとかケガさせられた訳でもないし、こんなに心配してくれる人相手に怒るほど人間性が死んでるつもりもないから、普通に笑顔で許しの言葉を言ってフォローすると、一段と申し訳なさそうにする美人さん。これにはハイド君も苦笑い。
沈んだ雰囲気を変える為に俺はシアに気になったことを尋ねることにした。
「それで、シアさんや。俺の言葉が通じるようになったのは一体全体どういう能力なんです?」
「えっとね~『つうやく』ってボタン押したの!」
「それ『ほんやく』とは別扱いなのか……」
「ホントにね~。似てるんだから一緒でいいのに」
それを聞いてシアの能力ってそんなに細分化されてんのかって驚く。そのせいで微妙に融通の聞かない事になっていて二人でゲンナリしていると美人さんが小さく呟くのが聞こえた。
「あなた、何で声色を変えて独り言を喋っているの……? やっぱりもう一人の子に何かあったのね……」
ん?と思って彼女に意識を向ければ、その彼女はワナワナと口に手を当てながら目を潤ませちゃって悲しそうにしている。
マズイ! 何か非常に面倒臭い誤解されている気がする!
そう直感した俺は慌てて美人さんに事情を説明するのだった。