して、一つ賢くなったハイドくんなのだけども気になることが幾つもある。具体的にはここは何処でどんな所なのかとか、この人ここで何してるのだとか。
だが! その中でも
『そもそも、この人誰なんですか?』
これに尽きるのだ!!
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事情を説明する前からこの人は俺たちの事を大まかに知ってたっぽいけど、俺たちはこの人が誰かさっぱり分からない。シアに確認は取ってないけど、俺が知らないんだから多分知らないでしょ。そういうことにしとこう。
こんだけ友好的なんだから取って喰われる様なことはないだろうけど、そうじゃない可能性はゼロじゃあない。
何故ならば、この人のことな~んにも知らんから。
大人に言われたことあるだろ? 知らない人には付いていかないって。それは知らない人は信用も信頼もできないから、何されるかわかんないってことだ。
……いや、まあ……既に抱え込まれてる今の俺は付いていっちゃいけない所の話じゃないんだけれども。なんか落ち着いちゃってる俺には遅いんだけどもぉ!!
なれば挽回するにはどうするべきか。ここは知らない人を知ってる人にして失態を有耶無耶にするために素直に尋ねるといいだろう。
な~に、俺は前世で散々騙されたんだ。相手が嘘ついてるかなんてすぐ見抜けるぜ!
と、イキがったとこで俺は早速美人さんに尋ねた。
「時にお姉さんはさ、どこのどなたなんです?」
「あら?分かっていないの?てっきりわかってこうしているのかと思ってたわ」
上を向いてお姉さんにそう尋ねると、彼女はこちらを見下ろして意外そうな顔をする。バッチリ合った目線からはホントに驚きが見て取れたので、マジで俺の知り合いなんだろうと思います。全然知らんのだけど。
「いや、こんな美人さんと知り合いなら忘れないよ。っていうか失礼かもしれないけど、ホントに人間?」
「ふふっ。あなたと同じで人族ではないわ」
「えっ? いや、あなたとって――」
「私は精霊よ。あなた達の体がいる木が私の本体なの」
「クソッ!お姉さんの正体に驚きたいのに、それ以上に気になることがあって素直に驚けないっ!!」
今この人?精霊?なんつった?
俺って人間じゃないの?
じゃあ俺ってなんなの?お姉さんと同じ精霊なの?
急なアイデンティティーの危機に狼狽えてしまった俺は、判明したお姉さんの正体に驚くに驚けなかった。
明らかに動揺してる俺に対して、精霊のお姉さんはあらあらうふふと笑ってるだけだし、シアは俺と推定双子なんだから自分にも関わる事だろうに気にした様子もなく「へぇ~、じゃあ私たちおねーさんの身体の中にいるんだね!スゴい!」なんて話をしてる。
「ねぇ、おねーさん!私とハイドはさ、このままおねーさんのとこに居てもいい?それとも出てった方がいいかな?」
「好きなだけ居てくれていいわよ!むしろ私が出ていかないでってお願いしたいくらいだわ!」
「ホント!?ありがとーおねーさん!」
そして、俺が狼狽えまくっている間に気付けば話題は流れていて、こういう時に流れた話題を蒸し返して話に割り込めない存外シャイな
俺ってば昔から変なとこで押しに弱いというか、流されやすいからなぁ。ましてや初対面の精霊さんとかいう、ようわからん人には気後れしちゃうわぁ。
えっ?そうは見えなかったって?
それはほら……ね。そういう見解もあるかもしれませんが、ホントはきんちょーしてたんですぅ~!それが事実なんですぅ~!
とまあ、こんな風に内心で言い訳をしている間にも、精霊のお姉さんとの話は進んでいく。
「あのね、私のお名前はシアっていうんだけど、おねーさんのお名前なんていうの?」
「あ!俺はハイドね」
「シアとハイドね、わかったわ。それで私の名前だけど……。私ね、名前ないのよ」
…………なんですと?