迷いの森の引きこもり   作:曽良紫堂

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第19話

「………………それ……マジ……?」

「本当よ?少なくとも樹木のある所では全く見かけなくなったって聞いてるわ」

「……じゃあ俺らは何なん?」

「なにか追われてた人族が二人を私の本体の隙間に置いて行ったのよね」

 

 マジらしかった。っていうか、追われてた人が置いてったって、その置いてった人が俺らの親なんじゃないの? まあ状況的に、置いていくっていうか、隠したが正しいんだろうけど。

 

 でも、どっちにしろ捨て子じゃないですか!! 恨めないけど!! むしろ、ありがとうございましたって感じだけども!!

 

あの人(エルフ)達には困っちゃうのよね。最近、色んな所を壊したり、森にも火をつけたりして荒らすのよ。何が楽しいのかしらねぇ?」

 

 嫌な事情を聞いた俺がその人物について思いを馳せていると、リオは困った様な仕草で頬に手を当て追加情報を話していく。

 ちょっとした世間話みたく、とても軽い調子で次々と出てくる情報に俺のテンションはダダ下がりさせられています。ゲンナリだわ。

 

 あと、エルフって木に火を放つの?いいんかそんな事して?前世の印象じゃ森の守護者とか半分精霊的なサムシングとか、なんかそういう感じな立ち位置だと思ってたんだけど……。

 

「え?別にそんな事はないわね。精霊も関係ないし。そもそも、どこの森も誰かに守ってもらうほど困っていないと思うわよ?誰に聞いたのそんな話?」

 

 そう思って、その疑問をリオにぶつけてみた所、回答がコレ。

 誰に聞いたかというのは適当にボカシつつ、俺は再びう〜んと考え込む。

 

 やっぱ前世の知識はそこまで当てにならないわな。まあ、ココあからさまに異世界だしそりゃそうか。むしろこの感じだと氣を扱う知識が通用したほうが奇跡だろ。いや、マジで。不良坊主に感謝……した方がいいのか、コレ……?

 でも、あのチャランポランなジジイに感謝するのはヤだなぁ……。

 

 それと俺とシアを置いていった推定親、もしくは恩人はどうなったんだ?

 リオが言わないって事はそういう(もう死んでる)事なんだろうか?それとも単純に話し忘れてんのか?

 どっちの可能性もありそ〜!この精霊さん俺らとは、あらゆる感覚違いそうだからな〜。

 聞いてみりゃハッキリするんだろけど、聞きたいような、聞きたくないような……。

 

 とまあ、そんなことをつらつらと考えてる俺をまるっきり放置して、シアとリオはお喋りを継続している。

 

「ねぇ~、リオは何でそんなに色んな事を知ってるの?」

「聞いたのよ」

「ええ〜?誰に?」

「主に他の木たちにね。こことは違う森の木からも話は伝わってくるから」

「すごいね!どうやってお話しするの?」

「うーん、なんて言ったらいいのかしら……雰囲気?」

「……雰囲気?」

「そう、雰囲気ね。こう、ピピピって来るのよ」

「……へ、へぇ~。そうなんだ〜」

 

 

 シアさんですら反応に困ってらっしゃるだとっ!?

 

…………………………

……………………

………………

…………

……

 

 

 リオから聞いたここまでの話を纏めると、俺とシアには既に帰る故郷もなければ保護者もいないらしい。ついでに親族どころか、種族単位で滅んでるときた。

 

 ここで物語の主人公なら生きてるかもしれない親を探しに旅に出るとか、滅んだ故郷の復興をとか、なんでマテル族が攻撃されたのかの謎を探ったり復讐したりするモンなんだろうが、俺は見たことも話したこともない親や故郷の為に何かする気はさらさらない。

 今のところ自分とシアとの生活で精一杯なんだ。むしろ、この先それすらちゃんとできるか分からない。

 そんな状況でわざわざ危険に首を突っ込む必要もないだろ。危険の方からこっちに近づいてくるならまだしも、俺は安全で安定した生活がしたいんですよ?

 

 

 種族ごと滅ぼすようなヤツらなんか、いちいち相手にしてられっか!

 

 

 こういった俺の熱い思いをシアさんに提案したところ、軽い感じで「私もそういうのあんまり興味ないからいいよ!」との御回答。

 

 よかった〜!これで復讐やら何やらにノリノリだったら頭を抱えてたところだわ。

 

 これで当面は衣食住の心配だけすればなんとかなるでしょ。なんなら住環境は解決してるまであるし。衣服も一応身に着けてるから、いま最優先で探すべきは食!

 

 という事でそろそろリオの膝の上から離れて、この巨樹の森の探索を再開したいと思います。

 

「つきましてはリオさん、そろそろ食料探しを再開したいからさ、俺を膝から降ろして解放しては頂けませんかね?」

「何がつきましてなのか分からないのだけれど。二人の食料ならさっき作り方を教わったから、そこで作ってるところよ?」

 

 クスクスと微笑みながらリオがそう言った。そして俺は膝に乗せられて頭を撫でられ続けている。

 

 アッレ〜?この精霊、離してくんないぞぅ〜?

 

 思い通りにいかない現実に俺は頭を傾げながらも、気になった事をリオに聞く。

 

「そこでって、さっき光の粒を操って何かしてたとこ?」

「そうそう。小さい子達を行き渡らせたから、もうすぐできると思うわ」

「小さい子達って?」

「精霊の子よ。まだほとんど自我も力もない子達。今は光の粒に見えるけれど、成長すると私みたいな精霊体が作れるようになるの」

 

 詳しく聞くと精霊体ってのは精霊力っていう力を使って形作るものらしい。で、その精霊力っていうのは精霊だけが扱える自然の力であるそうなんだけど……。

 

 

 

 ……なんか俺、使えるっぽいぞ? その精霊力ってヤツ。 

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