オガミ婆の孫(本物)   作:スターリー

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「なかなか面白いことをしているな。下郎」

 

 悠然とこちらに歩み寄るその男。

 虎杖悠仁の姿を借りた呪いの王、両面宿儺。

 その肩書きは史上最強の術師。

 

 五条悟とはまた別次元の存在感。怖気、畏怖、悪寒。そして圧倒的な邪悪。

 

 水を被ったかのように一気に目が覚める。

 焦げ臭い。白いバケモノに集中し過ぎて周りが見えてなかった。

 おそらく漏瑚が宿儺を目覚めさせ、何らかの交渉の末、戦いになり漏瑚が死んだ……そんな感じだと推測する。

 

 状況は最悪だな。

 

「…………どうして宿儺様がこのようなところに?」

「ん? ああ、そうだった。お前、この辺で伏黒恵を見なかったか?」

「彼なら仲間の術師に連れられて今は治療を受けてるところかと」

 

 宿儺の地雷は伏黒恵なのかよ。あぶねー。

 

「そうか。そうか。当てが外れたな。まあ良い。…………ところで、これをやったのはお前か?」

 

 消えかけまこーらの下半身を見て言う。

 

「はい」

 

 すると目を細め、顎に手を当てニヤリと笑うと。

 

「いいだろう。ちょうど暇になったところでな。少し付き合え」

「……見逃してくれたりは?」

「ない」

「羂索に免じてくれたりは…………?」

 

 何だお前そっち側の人間か? という、うへぇとした顔をした後。

 

「死ね」

 

 ちょっと羂索さん? 貴方、宿儺と仲いいんじゃないの? 

 

 談笑もここまでかな? 

 これ以上下手に喋ると殺されそうだ。

 

 目に映る限りの惨状。

 広範囲にばら撒かれた戦いの痕跡を見るに、漏瑚は宿儺を捉えられなかったのだろう。だから、点での一撃ではなく面での範囲攻撃を狙った。

 

 それで無傷。

 

 深呼吸。そして構える。

 小さくコンパクトに俺の呪力を身体に集中させる。ただひたすらに重ねて濃縮するように。原子レベルの呪力操作は出来なくても細胞レベルでの操作はやってやる。

 

 宿儺も構える。

 

「赤血操術、赤燐躍ど」チン

 

 う? 

 

 宿儺はただ構えただけぞ? 

 

 斬ら、れた? 

 

 赤血操術で血を止める。てか呪力を高めてなかったら死んでたが? 

 

 これが宿儺の術式……。

 

 ウン分かった。

 

 よし。もう避けるのは諦めよう。

 

 予備動作が、呪力の起こりがない。

 熟練の呪術師ほど呪力の流し方がスムーズで攻撃の瞬間が分かりにくい。

 

 なんて話ではない。

 

 格闘技で言うノーモーションは最小限の動きだがこっちはマジモンのノーモーション攻撃。現代兵器でも開発できなさそうなものを軽く当たり前にやってきた。

 赤血操術のおかげで何とかなっているし、まだ防げる。命に届く斬撃ではない。だけどこれが試し斬りなくらいはわかる。

 

「よしよし、斬れておらんな? ではもう少し呪力を上げるとしよう」

 

 楽しそうに笑ってる! いや斬れてる斬れてる! 

 黒閃を決めてなきゃ内臓やられてるレベルで斬られてますから! 

 

 これまでの戦闘で出た血を集めて、命に関わる重要な部分をコーティングして守る。その上で衣服に染み込ませて作る簡易的な血の鎧。

 

 

 両者、空を駆ける。

 姿を消しては衝撃波と共に現れる。一撃一撃が即死級。衝撃波だけでビルを吹き飛ばす。それが数秒のうちに繰り返されること数百。交わすは体術の応酬。斬撃と血の弾丸が周囲を崩壊させながら、倒壊する瓦礫を縫うように街中を駆け回る。

 

 だが呪いの王の優位は崩せない。拝神が打ち負ける。

 その体には体術の隙に混ぜられた斬撃で無数の赤い線が走っていた。

 

 くそっ、人型のダイヤモンドかよ。体術もクソ強ぇ! 俺の中の千四百三十七人の経験値がみんなお手上げ状態だよ! 全員見事に白旗上げてるから! 

 

 

「俺、食っても! 美味しくないですよ! 宿儺様ぁ!」

「なに、たまにはゲテモノも悪くない。存外イケるものだぞ?」

「誰が! ゲテモノじゃァァァ!!」

 

 投げ飛ばされて幾つもビルを突き破りながら、体勢を整える。血を集めて百斂を。完成した百斂の上に手のひらを突き破って出した血でさらに百斂を重ねる。

 

 二重百斂。

 

 手のひらと血は自己補完の真似事、過去の健康な時の自身を憑依させて治したように見せかける。所詮はダメージの先送りだが、反転を使うよりは軽い呪力で体を治せる利点がある。

 

「穿血!」

 

 外側の百斂で穿血を放つ。

 初速は落ちるがそれでも先読みで宿儺の目の前に持っていく。

 

「からの超新星!」

 

 血の弾丸の一つひとつに斬撃を当てられ分散する。その呪力ガードを突破することはない。

 

「まだまだ足りん。ほれもっと頑張れ!」

 

 一瞬触れられる。放たれたのは捌。

 

 鎧もコーティングも呆気なく斬り捨て、貫通する。一瞬死ぬ。だが死にきるまで時間はある。自己補完で延命し、赤血操術で肉体を繋ぎ止めて、反射的に回した反転で重要な部分を再生させた。

 再生を後回しにしていた右腕が飛んでいこうとするのを体を捻って左手で捕まえる。血で繋いではくっつけて反転で再生させる。

 

 くっそ。反転の燃費の悪さにイライラする。

 

 これをポンポン使えるやつを見てみたいもんだ! (フラグ)

 

 それにしても何だ今の、と唖然としている暇はない。

 冷静に事実だけを切り取る。

 二種類だ。通常と今の防御不可能の二種類の斬撃がある。この斬撃の雨の中、それを混ぜられたら流石に死ぬ。

 

 バシャリと血が落ちた。

 

「領域展延」

 

 中長距離の斬撃を確実に中和して、接近戦の距離になったら赤血操術に切り替えて挑む。領域展延と体術では攻めきれない。体術と術式で挑まなければ明日はない。

 

 思いつく限りの全ての手段を試す。

 

 格闘の最中に血の針に剣、鞭、肘ブレードも大したダメージなし。血で作った腕を増やしても対応される。

 俺がガンダムだ! といろんなファンネルやらドラグーンやらビットやらのマネごとをしてもすべて両断された。

 

 血の付いた半壊したビルを幾つも操って宿儺に投げつける。

 

 基本性能が違う。生き物としての格が違う。強さのステージに隔たりがありすぎる。だが、このまま何もしなければ確実に命が終る。何度シュミレーションを繰り返しても結果は変わらない。

 

 賭けに出る必要がある。それが成功すれば奇跡だ。だがやるしかない。

 

 残された最後の手段。

 

 遺物を飲み込んだ。

 

 

 呪力が尽きるその前に。

 

 

 

 

 

 宿儺はビルを寸断しながら愚痴る。

 

「つまらん。思いの外大した事ないな。これならさっきの呪霊の方が…………」

 

 爆発する呪力の高まりを感じた。

 ほう? と砂煙を払う。

 

「界層、曼荼羅、未開敷蓮華。降霊呪術、多重部分憑依『六眼』」

 

 そこには六眼を宿す拝神崇がいた。

 

「ようやく食いがいが出てきたな!」

「宿儺様。俺を食べると壊しますよ。ぽんぽんを!」

 

 

 拝神が式神を呼び出す。

 飲ませたのは漏瑚の血が入ったカプセル。そして部分憑依。式神は外付けの術式扱い。負担は少ない。

 

「領域展開」

 

 宿儺は笑う。いいだろう。見せてやろう、と。

 

「領域展開」

 

 両者、次のステージへ

 

「蓋棺鉄囲山」

 

「伏魔御廚子」

 




この時の宿儺には虎杖が目覚めるまで生きれればなんとかなる、そんな時間制限っていう勝利条件があると思うんですけど…やっぱり無理ゲーじゃねー?
頑張れ拝神!俺も頑張って生き残れそうなルート考えるから!

やっぱ無理かも(アニメ見た)
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