まこーらヤッつけたらすっくん先輩が出てきてシバかれてる←今ここ
正直な話。
日々研究を勤しむ拝神に遺物の余裕はない。
宿儺が現れた時点で戦闘に使うために持っていた遺物は今憑依している赤血操術と最後の一つ。
つまりもう後がない。
式神による呪霊の術式降ろしは死んだ呪霊しか出来ないという制限がある。残ったのは花御と漏瑚。内心、真人殺しとけば良かったと心底思っていた。
拝神の降霊呪術は戦闘向きではない。
戦闘系の技は黄泉渡りが最大威力。それも受肉体には人間以上呪霊以下の威力だと推測する。特に宿儺は自分で魂を指に切り分けるほどの人物。さほどダメージを与えられるとは考えにくい。
そもそも術式拡張の目的が子供たちの魂の生き返りを目指していたために領域展開も極ノ番も戦闘系ではない。
特に領域に関しては術式が焼き切れれば今憑依している術式も消えてしまうため使えない。
そうなると最後の遺物になる。
それは五条家の六眼を持っていた人間の遺骨。
だが、少しトラウマがある。
拝神崇は六眼の部分憑依を一度失敗している。
術式を降ろすだけなら重ねて使うのは容易い。呪力が足りるかは別として。
だが、六眼は特別だ。
『何してんの? お前』
数年前、六眼を手に入れるために五条家に潜入したことがある。
「
持っていた遺物の九割を失った。
そして手に入れたのは一つだけ。
だが失ったものを上回る価値と意味がある。そう思ってその目をウッキウキで降ろそうとした。
出来なかったのである。
まるで塗り潰されたように六眼の情報だけ抜け落ちていた。その時はずいぶん落ち込んだのを良く覚えている。
「
六眼はその時代、世界に一人だけ。
二人と存在したことはない、そう羂索は話す。そういう因果なのではないか、と。
だが六眼の因果は天内理子の一件により破壊され、そして、六眼を持っていた五条悟が獄門疆に封印された。
獄門疆。その中は死ぬまで生きていられる空間。死と生の曖昧な空間。時間も空間も有耶無耶な世界。
そのまま千年六眼がいないかもしれないという可能性。そんなのは死んでいるのと変わらないだろう。その不安定さが拝神にとっての幸運を呼ぶ。
「
今手にしているのは羂索からの贈り物。
六眼の遺物。
また失敗するかもしれないという不安。一か八か。詠唱して強化してからの憑依。その慎重さと本来あり得ない状況が奇跡をおこした。
「降霊呪術、多重部分憑依『六眼』」
その目に蒼が宿る。
それはきっと五条悟が獄門疆から出てくるまでの奇跡。
「蓋棺鉄囲山」
「伏魔御廚子」
拝神は領域に自信があった。
上の位置にいる術師や呪霊との戦いは必ず領域勝負になる。あの五条悟だってそうだ。だから死ぬほど研究したし、弄り倒した。陀艮の情報も取り込んで、今は六眼の後押しがある。
そこで必中必殺の漏瑚の領域。
自身の呪力での自爆は差し引きで考えた時与えるダメージの方が大きい。漏瑚の熱だってそれに該当するはず。一撃で終わらずともその領域内の戦いになればダメージ量は宿儺の方が大きい。
まさか負けへんやろ!
結果、外から切り裂かれていく領域。
焼き切れ、死んだのは式神に降ろした漏瑚の術式。
とはいえシン陰流を修めたものの魂を解析して手に入れた自身の簡易領域までロスタイムがある。
その無限の刃が届く前にポチッとな、と持っていた与幸吉のアンプル型簡易領域で身を守る。その数秒で速やかに簡易領域に移行する。
俺が領域展開すると全然活躍しねーなとか思いつつ眼の前の光景を分析し始めた。
両面宿儺の領域展開。
それは閉じない領域。空に絵を描く神業。
あり得ないと思いつつ、なるほどと納得する自分がいる。そしてそこから受け取るどデカいインスピレーション。その発想と実現する実力。素直に凄いと尊敬する。
その御業の証拠に月明かりが二人を照らす。
「よほど領域に自信があったのだろうが、無意味だったようだな」
「いひっ、すっげぇ! こんなん見れただけで値千金もんじゃん!」
「聞いておらんな…………」
御厨子の斬撃。六眼で捉えられるかと思ったがそんなことはなかった。宿儺の斬撃は六眼があっても見抜けない。技術がありすぎてチートに疑われる。そう宿儺が廃ゲーマー過ぎる件、みたいな感じだ。
幸運だったことがある。
それは集められた宿儺の指が十五本だったこと。
宿儺自身の実力、それはきっと指で左右されないのだろう。技術や経験、知識は指一本でも備わっているはずだ。だから指一本で領域展開が可能。ならその指が増えるごとに何が増えるのか。呪力量、呪力出力、後は格とかそのへんだろう。
拝神はそう推理する。
そこに生き残るためのヒントがある。
指五本分。六眼で形作られた簡易領域を削るのが遅い。
今するのは反転を程々に簡易領域を強く保つこと。戦闘のダメージは赤血操術の体内での血液操作だけでも十分すぎる。
白兵戦が始まる。
宿儺という呪力操作の見本。その凄さを六眼を通して理解する。もちろんその技術の吸収も忘れない。見本を見ながら自身の動きを修正していく。
何度も打ち合って、ようやくその宿儺の強度に追いつく。まともに殴り合いが出来るようになった。
それでも体術に劣る。やはり最強の名は伊達ではないのだ。
「
「イヒッ! まだまだこれからでしょう!!!」
「だと良いな?」
だからこそ、体術で及ばないからこそ俺は術式で上回らないとならない。
そう、イメージするのは常に最強の自分。
六眼によって可能になったロス無し原子レベルの呪力の最高効率操作。それに伴う反転の燃費改善。その結果、自由度が上がる赤血操術。
腰から血を噴出してあの赫子のような形に。
このぉ木なんの木! カネキくぅぅぅん!!!
人間に出来ない動きで!
宿儺の想像を超える動きで!
術式を広く、鮮やかに、もっと自由に!
「イヒッ! イヒヒヒヒッ! 宿儺様ぁ、千引く、七はぁ?」
「悪くない! 悪くないぞ! 下郎!!!」
呪力が見えるということは、手の中の加圧した百斂の完成状態の呪力を確認して模倣出来るということ。さらに精密な操作で赤血操術の血液を起因とする病の心配がなくなる。
空中で生み出した百斂を凝固した血の筒に入れる。さっきまでの威力の低いなんちゃってファンネルとは違う、ガチファンネルの完成。
いやむしろここは!
手は銃の形で!
「セロ・メトラジェッタ! なんちゃってぇぇぇぇ!」
簡易領域が破られる寸前に無数の穿血が宿儺ごと、あのどう見ても狙うべき領域のシンボルをぶっ飛ばしてその領域から抜け出した。
ここまでやってそれでもなお、その余裕を崩せない。
宿儺は本当に楽しそうに笑うばかりだ。
なにわろてんねん…………。
ほぼ完全体の話だけど200%のアレを片手だけで済ませる奴にどうやってダメージ与えろと?