オガミ婆の孫(本物)   作:スターリー

2 / 38
2

「やっ! 久しぶりだね。崇」

 

 夏油傑は死んでいる。

 ちゃんと確認した。夏油のパイセンがそう簡単に死ぬはずねぇって高専にわざわざ潜入したくらいだ。その物言わぬ亡骸をこの目で見た。物理的にも術式的にも。

 ただ確かに不自然なことはあった。ちょっと前から夏油傑の身体の情報が霞がかったようにあやふやで肉体のみが降ろせなくなったことだ。魂なら降ろせるのに。

 

 ババアやったか? と思ったが違う。ババアの術式なら俺が気付かないはずがない。見抜けないはずがないのだ。

 

 偽物? 変身の術式? 

 

 脳味噌フルスロットルである。

 降霊術は肉体と魂の情報を認識できる。ババア程度なら色々小細工して詠唱してやっと遺体から情報を引き出すくらいしか方法がないが俺様クラスなら見ようとすれば見ただけで分かります。ええ、そりゃあ魂の認識は専売特許みたいなもんですからね(フラグ)。六眼なんかより術式を自由な解釈で拡張をしまくってる俺のが優秀ですよ。えっへん。

 

 術式発動! はい解析解析っと…………。

 

「いや、お前誰だよ」

 

 ホントにだぁれ! 

 って言ってる場合じゃねぇぞ! 

 んだこの膨大な情報! 夏油の身体に語彙で表せんくらいヤバいやつ入っとるやんけ! 頼むから夢であっておくれ! 

 軽く里帰り気分で帰国したら魔王に出会したんですけど。しかも身内経由の紹介とか回避不可能やんけ! ほぼ裏切りやないかい! 

 

 思わず、ばっとどういう事かとババアの方を向く。

 するとにっこり笑顔でサムズアップを決めてきやがる! あら可愛い(殺意)! 殺すぞ(本気)! 

 おのれぇ、図ったな? ハメやがったな? いや巻き込みやがったな! 死なばもろともの精神か! 

 

 偽夏油(仮)は俺の呪力の動きから何かを察するとニヤリ笑う。

 

「誰って酷いなぁ。忘れてしまったのかい? ……ふーん。なかなか察しが良いね。君、思ったより見どころがありそうじゃないか」

「……ハハハっ、それは……どーもー……」

 

 オ・ワ・タ\(^o^)/

 わお! なんかお眼鏡に適っちゃってるよ。要らないのよ。その好感度。ヤダ俺ってやっぱ優秀。じゃあ帰っていいよね? 

 

「現代の術師にはあまり期待してなかったんだけど。なかなかどうして。是非君にも私の計画に手を貸してほしい。勿論断ってくれてもかまわないよ」

 

 うっそつけ〜。空気読みじゃーん。笑みの裏に見える見える。こっわ。断ったら絶対殺すというオーラが立ち昇ってますよぉ。あーあ、これ俺知ってる。魔王からは逃げられませんってやーつ。

 

 選択肢は実質一択。はいorイエスしかないクソゲーがよぉ! 

 

「内容次第で、良い報酬用意してくれるなら考えますよ」

 

 僕はキメ顔でそう言った。……声震えてないよね? 

 

 

 

 

 

 落ち着いて話をしようということになり喫茶店の中へ。ちなみに俺と差しで話したいと偽夏油パイセン(仮)が言うとババアは待ってましたとばかりに世辞を言って脱兎のごとく走り去った。何が脱兎だ! 可愛かねーぞ! 帰ってこい! これと二人にするとかマジかよぉ!

 うわぁああ、あのババアァ! もうあっさり簡単に見捨てやがった! まじ覚えとけよぉ! 許さねぇ! 

 

 うわーん俺も帰るぅ。

 

 

 相変わらずの五条袈裟で塩顔イケメンがオムライスというあざとかわいいチョイスをしてやがる。なんそれツッコミ待ちですか?

 うん。夏油は非術師が作ったもん食わないからやっぱり偽物。負けじと俺もお子様ランチを頼む。店員がは? みたいな顔をしてるが偽夏油(仮)が怖すぎて気にならない。うん、てかいっぱい食える気がしない。緊張で吐き気しそう。

 

 あっ、コーヒー追加で。

 

「君に関して、この身体の記憶を通して知っているよ。でも君は私に聞きたいことがあるんじゃないか?」

「それはもう、山程。とりあえず、誰すか。あとその身体どうしたんです?」

「ああ、そういえば自己紹介がまだだったね。私は羂索っていうんだ。これからよろしく。この身体はそういう術式でね。他人の身体を乗っ取れるんだ。勿論この身体の術式も使えるよ」

「夏油の身体は、高専で処理されたはずでは?」

「上層部とは仲が良くてね。よく融通を利かせてもらってるんだ」

 

 うわぁドン引き。腐ってやがる。

 

「君はこの身体を使うことに嫌悪しないのかい?」

 

 俺が日本で行動するときは必ず夏油一派と組むようにしていた。活動しやすいし、色々なすり付けやすいし、何より夏油傑という特級の呪詛師の庇護下にあるのはありがたい。御三家の呪詛師狩りから巻きやすいのだ

 

 それに過ごしやすいのは本当だった。

 

「まあ、そもそも俺は夏油一派ではありませんからね。しかも術式に関して言えば俺もそちら側なんで。夏油傑の肉体を利用しないなんてあり得ないでしょ。アンタが使ってなかったら俺が使ってましたよ」

「なるほど良いね」

 

 無事呪詛師同士意気投合。同じ穴の狢である。クズがよ(ブーメラン)! 

 

 さて、仲良くなり、話が滑らかに和やかに穏やかに情報交換と意見交換が進んでいく。なんとなんと羂索さんは夏油一派残党と特級呪霊数体で五条悟の封印を目論んでいるらしい。いやー、大掛かりですねー。人理崩壊クラスよ。悪党ですねぇ。

 

 ほほん。ほんほん。なるへそなるへそ。理解理解。それは呪詛師的に大助かりである。やったれ羂索さん。……いや、特級呪霊? あーハイハイ特級呪霊ね……数体……うん? 特級? うん? ちょっと理解が追いつきませんが? 

 

 仕事の内容はその手伝いと……。

 

 

「私としては彼らと上手くやっているつもりだけれど、万が一ってこともある。もしも私のコントロールから離れたら彼らのカウンターになってほしい、というのが一つ。何より、五条悟封印後に彼らを祓う一歩手前まで追い詰めてほしくてね。こっちが君への主な依頼になるかな? 特に真人という呪霊は取り込んでおきたい」

 

 …………え? 

 

「私だけでも出来なくはないけど、多少は骨が折れるからね。でも君にならできるだろう?」

 

 

 ちょっ、俺の評価、高杉くん……。

 

ナナミン、生存してほしい?

  • 強化して生存
  • 原作こそ美しい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。