『少年、こんな世界…忘れるに限る』
『忘れろって…どう言う意味だよ?こんなの…忘れられるわけないだろ!!』
周囲の建物は瓦礫と化し、辺りには人が倒れており、その前には謎の化物がこちらにじわじわと迫っていた。
『ISでも敵わない化け物…どうすることもできないだろう…もう、終わりだよ…この世界は…』
『恐竜が絶滅しても…世界は再生してきただろ?』
『いつの時代の話だよ…俺は今を』
『だから、こんな世界終わらせよう。もう一度やり直す為にも』
『やり直すって…無理だろ。この辺りも壊滅状態。これだけの被害…何年かかると思ってるんだよ』
『諦めたらそこまでだ。願い続ければ…必ず叶う』
『ジャー』『ジャー』『ジャー』『ジャー』
化け物の集団が何か言葉を発しながら迫ってくる中、目の前の男は懐からバックルを取り出し装着し言う。
DESIRE DRIVER
『“新しい世界”を作るためにな』
キーンコーンカーコーン〜♪
「っ!」
目を醒めると少年は机に伏しており、予鈴により叩き起こされた。
「またか…最近よく見るな」
「一夏、昼休み終わったよ。寝ぼけてないで目を覚ましなさい」
「…わかってるよ詩乃」
「やたら熟睡してたみたいだけど、何か夢でも見たの?」
「いつもの夢だよ」
「ああ、狐の仮面の戦士が謎の怪物と戦ってる夢?」
「ああ…」
「毎度思うけど、あなたの見る夢は特撮じみてるわよね?」
「わかってるよそのくらい。同じ夢を見るし…俺でも訳がわからないんだよ。けど、なんか現実染みてるって言うか…」
「…そう。きっと疲れてるのよ。アンタ一応特別な許可はもらってるとは言えバイトしてるんでしょ?」
「そう、なのか…?」
「そうよきっと。偶にはバイトをしない週もあってもいいんじゃない?」
「おーいお前ら、次移動授業だぞ〜?イチャイチャしてないで準備しろよ」
「「してない!!」」
悪友の五反田弾に揶揄われる2人。一夏と話してる少女の名前は朝田詩乃…一夏が付き合っている彼女である。他愛のない学生生活が広がっているがっており、少年少女達は当たり前の日常を過ごしているが、この世界は少し普通ではない。
インフィニット・ストラトス 通称IS。
それは天才科学者篠ノ乃束が宇宙での活動を想定して作りだしたマルチフォーム・スーツ。
発表当初は全く興味すら持ってくれなかったが、日本へ撃ち込まれた二千発以上のミサイルの約半数を束が作ったIS《白騎士》が迎撃し、さらに各国が日本に送り込んだ大量の軍事兵器の多くを無力化した。
後に『白騎士事件』と呼ばれるようになりその圧倒的な性能を発揮したISは世界中に知れ渡るが各国は宇宙に進出せず軍事利用して各国の抑止力となった。
だがこのISには【女性】にしか使えないと言う欠点が存在していた。
それにより男女の地位は逆転してしまい、女尊男卑の風潮が世界中に広まっていった。
そして少年の名前は織斑一夏。彼の姉である織斑千冬は第一回IS世界大会《モンド・グロッソ》に出場し優勝し、当然のように有名になり、一夏は周りの人達からいつも姉と比べられ、『出来損ない』やら『凡人』やら罵られた。『千冬様の汚物』だの『お前みたいなやつが何故存在しているの?』と言われたこともあった。
しかしそんな彼をを理解してくれる人は少なからずいた。姉の織斑千冬は勿論のこと、数少ない友達の五反田弾やその家族、御手洗数馬、鳳鈴音、今は訳あって会えない篠ノ之箒。
IS 《インフィニット・ストラトス》の生みの親である篠ノ乃束だ。
この者たちだけがいつも一夏を支えてくれているのだ。
人気のない夜の道…一夏は1人歩いていた。
「少し遅くなったな…千冬姉も今日は帰らないか」
メールを見ながら道を歩く中学二年の少し事情がある普通の少年だが、バイトを済ませた帰り道を静かに歩いている。
「(ん、誰かいる。荷物は頼んでいないはずだが、千冬姉のか?)」
家につくと玄関の前に誰かがいる事を認識し、来た者が居る所に視線を向けると、一夏に気づいたのかこちらに近づく。
「おめでとうございます!厳正なる審査の結果、あなたは選ばれました!」
「は?」
「今日からあなたは、仮面ライダーです!」
「……誰だあんた」
怪しさ満載の女性だが、その人物が言い放った言葉よりも先に、何者かと聞いた。
「私はツムリと申します!あなたは仮面ライダーに選ばれました!」
「仮面ライダー?」
ツムリと名乗った女性の持っている物を見て一夏は首を傾げるが、女性は一夏の意思関係なく箱を手渡してくる。
「それでは、IDコアとデザイアドライバーをお取りください!」
「(これ…夢で見てたやつと!)」
ツムリは箱を開けるとバックルが入っており、一夏には見覚えがあった。夢で見ていた男が使っていたものと同じだが、この絵の描かれた物は青と黒色の狐だ。
「(これ、夢で助けてくれた人と同じ狐の絵…けど、色が違う)……よくわからないけど、これに触ればいいのか…?」
「はい。どうぞ!」
一夏は半ば強引にIDコアとデザイアドライバーと呼ばれた物を手にし…コアに触れる。
「……っ!」
『少年、こんな世界…忘れるに限る』
『忘れろって…どう言う意味だよ?こんなの…忘れられるわけないだろ!!』
『ISでも敵わない化け物…どうすることもできないだろう…もう、終わりだよ…この世界は…』
『恐竜が絶滅しても…世界は再生してきただろ?』
『いつの時代の話だよ…俺は今を』
『だから、こんな世界終わらせよう。もう一度やり直す為にも』
『やり直すって…無理だろ。この辺りも壊滅状態。これだけの被害…何年かかると思ってるんだよ』
『諦めたらそこまでだ。願い続ければ…必ず叶う』
DESIRE DRIVER
『“新しい世界”を作るためにな』
『さぁ、ここらが……ハイライトだ!』
それに触れた途端頭の中に謎の怪物に襲われる自分…そしてその怪物に殺される人々、ISでも歯が立たず破壊される光景、そこから自分を助けてくれた白狐の仮面の戦士が銃を駆使し怪物と戦い倒す姿が頭の中に流れ込んでくる。
「夢じゃない。あの出来事は…現実?」
「それでは、準備が出来るまでこの説明書を読んでおいてください!」
女性はそう言い、コアに触れていた一夏はツムリに何か言おうとするが…既にツムリはいなかった。
「いない…」
一夏は箱の中に入っていた黒紙に白い文字で書かれた説明書を手に急いで家に入り自室に荷物とデザイアドライバーの入った箱を置き状況を整理する。
「(あの出来事は全て現実…そしてその出来事は今現在じゃなかった事になってる)」
スマホを使い検索してもヒットする内容は0、一夏は箱の中に入っていた説明書を読むとDGPのルールが詳しく書かれていた。
だが一夏が気になったのは
「最後まで勝ち残った者は理想の世界を叶えられる?」
この文が一番気になり疑う内容だが…何処か納得いく内容でもある。
「(あの狐の人が言っていた世界を作り変えるって…もしかして)」
あの人が怪物を倒した途端鐘の音が鳴り始め、倒壊、破壊された建物が再生を始め、気がついたら学校で居眠りをし担任から叩き起こされる所から始まり、その時は単なる悪い夢を見たのだと思い込んでいた。
「……コイツをここに装着すればいいのか」
DESIRE DRIVER
装着するとベルトが自動的に巻かれ、それにビックリし思わず一夏は立ち上がる。
「じ、自動で巻かれた…それで、次はこのIDコアをここにはめ込んで…」
ENTRY
一夏はこの時知らなかった。このゲームが世界を変えるのと同時に命を賭けたゲームであり、この先自身の運命を左右する事になる事を…
DGPルール
ドライバーとIDコアが届いたら、
それは、仮面ライダーへの片道切符
もう、後戻りはできない