デザイア・ストラトス リメイク   作:狼ルプス

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邂逅 Ⅶ:代表決定戦

 

クラス代表決定戦当日、アリーナは満席状態でありお祭りと変わりないくらいのムードであるが、絶賛大問題が発生していた。

一夏の専用機が来ない…お陰セシリアを待たせるという事になっており、このままでは不戦敗という事になってしまう。出来ればそれだけは避けたいと思う一夏はただ待つことしかできなかった。

 

「あっ、いました!!」

 

山田先生が慌てて此方に向かって来た。

 

「どうしたんですか、そんなに慌てて」

 

「あのですねっ……来ましたっ!織斑君のISが」

 

「やっとですか」

 

「織斑、アリーナの使用できる時間は限られている。申し訳ないがぶっつけ本番でものにしろ」

 

「無茶言うよと思いたいけど、まっ…そうなるわな…」

 

隔壁が開いて一つの色が目に入ってきた。白だった。

 

「これが織斑君の専用IS【白式】です」

 

「(へぇ…カラーリングはほぼ白か、出来たら黒色も入れて欲しかったな)」

 

しかし真っ白で無機質なそれは、俺を待っているように見えた。

 

「背中を預けるようにしろ…ああそうだ、あとはシステムが最適化してくれる」

 

「了解…」

 

千冬の説明通りに進めていった。

 

「ハイパーセンサーは問題なく動いているな。一夏、気分は悪くないか?」

 

「ん、問題ない(着心地は仮面ライダーの方が一番いいけどな)」

 

「そうか。それより一夏、お前…そのスーツは一体どうした?」

 

「ああこれか?届いた荷物の中に入ってたよ。男用のISスーツだけど…思いの外動きやすいし邪魔にもならないし、楽だよ…」

 

「そうか…」

 

一夏のISスーツは水着のようなぴちぴちスーツとは違いどこかジャージに違いパイロットスーツだった。

 

「(このスーツ作ったの束さんだな、デザインはおそらく英寿(エース)さんが考えた物だとしたら…納得いくんだよな。あの人、正真正銘の完璧超人だし…)」

 

一夏は調子を試し、スタンバイし、指示を待つ。

 

「発進シークエンスよし、タイミングを織斑くんに移譲します」

 

「了解……織斑一夏、IS白式……出るぞ」

 

そのまま、足場は勢いよく進み、一夏は浮かび上がって前へと動いた。

 

「あら、逃げずに来ましたのね」

 

オルコットが鼻を鳴らしながらライフルの銃のセフティーロックをいつでも解除できるようにしながら

 

「わざわざ負けて、惨めな姿を晒すためにご苦労なことですわ。今ここで謝るというなら許してあげないこともなくてよ」

 

「(口は達者で…)」

 

よく言ったもんだと思いながら一夏は持っている武器を確認する。

 

「(武器はこいつ一本だけか…問題ない)そいつはできねえな」

 

「あらそう、残念ですわね。なら、お別れですわねっ!!」

 

それを合図にBTライフルから一筋の閃光が駆け抜けた。

 

 

「(馬鹿かこいつ……)」

 

一夏は内心で呆れながら余裕で避け、セシリアは動揺の表示を浮かべる

 

「避けたですって!?」

 

「あのな、お前の視線と銃口でどこ狙ってるかなんてわかるし、ご丁寧に喋って撃ってんじゃねぇよ。おかげで発砲のタイミングも簡単に読める( 英寿(エース)さんならもっと上手く撃てるぞ。俺なら喋ってる時点で撃つ)」

 

避けたことに驚いてそのまま静止しているセシリアに一夏はただ呆れていた。仮にこれがDGP、或いは戦場だったらセシリアは既にやられているだろう。

 

「くっ!いいですわ、ならば踊るといいですわ。わたくし、セシリア・オルコットの奏でる 円舞曲で!」

 

「いいぜ、少し付き合ってやるよ」

 

一夏は白式の装備である接近戦ブレードを構える。

 

「中距離射撃型のわたくしに、近接格闘装備で挑もうなんて……笑止ですわ!」

 

 

「(さてと…準備運動といくか)」

 

IS同士による戦いが、始まった。

 

 

 

 

 

激戦が始まってから25分が経っていた。今の一夏は押され気味になっている流れに見えたが…

 

 

「すごいです織斑君。とてもISを動かすのが二回目とは思えません」

 

「………あぁ」

 

「どうしてんですか、織斑先生?」

 

「いや、ISについては素人のあいつがどうして此処まで出来るのかが気になってな、それに、おそらく一夏は…オルコットの動きを完全に見切っている」

 

モニターを見ると一夏はビームを弾いたり、最低限の動きで避けており表情に変化はなかった。

 

「確かに、普通では考えられない動きですね」

 

「それにおそらく一夏は…オルコット相手にゲーム感覚で遊んでいるな…」

 

「あ、遊んでいる⁉︎相手は代表候補で専用機持ちで訓練もされているんですよ⁉︎IS初心者の織斑君にそんな芸当…出来るわけが…」

 

「私も信じられんが、実際オルコットは一夏に一撃も与えられていない。それにあいつの目はまるで……命懸けの戦いをしてる者の目だ」

 

 

真耶が言うように一夏の動きは普通と違っていた。まるで上空で戦った事があるような動きをしており、真耶は千冬の説明に驚き、一夏の戦いに千冬は疑問を待つ。何をどうしたらあんな目つきになるのかわからなかった。

 

 

 

 

「何故一発も当たらないんですか!おかしいですわ!」

 

「自分で考えな、ほら、喋る暇があるなら撃てよ?」

 

「くっ!」

 

一夏の挑発に乗せられたセシリアはビットで攻撃するが全部避けられた。一夏は余裕に体の調子を確かめるように動かす。

 

「さてと、だいぶ慣れてきたし、まずはそのビット…もらうぞ?」

 

「は?」

 

一夏は息を吐くと一瞬にしてセシリアに接近し、ティアーズを全て破壊した

 

「なっ⁉︎ビットを!それに今の動き…まさか、 瞬時加速(イグニッション・ブースト)⁉︎」

 

ISの技能技の一つである 瞬時加速(イグニッション・ブースト)を行った事にセシリアは更に動揺する。目の前の男はIS初心者の筈なのに 瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使った事が信じられなかった。

 

 

「お前のビット兵器はお前が集中して命令を出さないと動かない」

 

「な、何故それを!?」

 

「30分くらいも戦ってるんだぞ?そんなの簡単に見抜けるし、今のお前に動きながらそいつを同時に操る技術はない…そうだろ?」

 

「くっ…!」

 

 

「それに、距離を詰めれば、こっちが優位だ。お前、近接戦は得意じゃないだろ?さっきの攻撃にも反応出来てなかったしな」

 

一夏はそのまま迫り、ブレードを振りかぶる。その時にセシリアの顔が目に入る。

 

「(やっぱり何か隠してるな…)」

 

 

 

一夏の瞳に映ったのはビットを全て破壊されて焦る表情ではなく、してやったりの表情を浮かべ、勝ちを確信した表情だった。一夏は敢えて接近しセシリアの企みを模索する。

 

 

「……かかりましたわね?」

 

「ん?」

 

「あいにくブルー・ティアーズは、六機ありましてよ!!」

 

 

「(そう言うことか…)」 

 

ビットを動かしている間、セシリアは他の攻撃をすることが出来ず、無防備になる。ブルー・ティアーズにとって一番の弱点だった。しかし白式でも無防備になる瞬間は存在する。

 セシリアは一夏がビットは四機しかないと思い込んでいることを知り、わざと全てを落とさせた。

 

ビットを全て落とせば、近接武器しかない一夏なら近寄ってくることが分かったからだ。そこがセシリアの狙いだった。確実に当てるのなら相手を油断させ、回避出来ない位置まで接近させ、確実に当てればいいと。

 

セシリアの腰の左右に取り付けられた筒状のものが、一夏の姿に照準を合わせる。それが何なのか、一夏はすぐに理解することが出来た。

 

 

「やべ!?」

 

 

一夏が声を上げた瞬間、発射口から二つのミサイルが発射された。寸前で攻撃を中止し、身を翻してミサイルの追撃を振り切ろうと大空高く旋回する。

 

「(追尾タイプか、鬱陶しい!しゃあねぇ、一か八か!)」

 

 

しかしその努力空しく、二つのミサイルは一夏の機体を捉えるが、一夏はその場で止まりミサイルを迎え撃つため、ブレードを構える。

 

「斬!」

 

一夏はミサイルを目に見えない速さで斬り裂き、斬り裂かれたミサイルは大爆発を起こし爆炎が広がる。

 

 

 

 

「一夏ッ!!」

 

「っ!?」

 

「(あいつ、あの一瞬でミサイルを…)」

 

セシリアの発射したミサイルが一夏に着弾したのは、アリーナにいる人間、そしてビットでモニターを眺めている人間にもはっきりと映し出されていた。シールドエネルギーが少ない状態で、二発のミサイルが直撃したらどうなるか。しかし1人を除き一夏の太刀筋を見切れた物はおらず、みんなはミサイルが直撃したかのように見えた。

 

今の一撃で、誰もが一夏の敗北を疑わなかった。クラスメイトだけではなく箒、真耶もだ。

 

箒は爆煙に包まれる一夏に悲痛な表情を浮かべ、真耶もミサイルが当たってしまったことにハッとした表情を浮かべる。

 

数多くの人間の中で、千冬だけはニヤリと笑いながら、その様子を眺めていた。まるでまだ戦いは終わっていないかのように。

 

 

 

 

 

「あいつ、今の一瞬でミサイルを斬り裂いたな。それに、機体に救われたな馬鹿者めが」

 

「え?」

 

「まさか……!!」

 

 

千冬の言葉に釣られて、三人ともモニターを見直す。相変わらず煙が辺りには立ち込めていて、姿一つ確認することが出来なかった。

 

見えないのも一瞬、徐々に一夏の周りから煙が晴れて少しずつ、その姿が明らかになっていく。

 

 

「……一夏!」

 

「これは…… 一次移行(ファースト・シフト)?」

 

 

煙が完全に消え去った後に残ったのは、閉じていた白銀の翼を左右に大きく広げ、無傷な状態で立つ一夏の姿だった。大きく翼を広げるその姿はまるで天使にも見える。

フォーマットとフィッティングが完全に終わり、初期状態から一次移行ファースト・シフトした白式本来の姿がそこにはあった。

 

完全に勝負はついたと思っていたセシリアは、口を大きく開きながら信じられないといった表情で、その姿を見つめる。

 

 

「(ふぅ、なんとかなったな。一か八かだったが、望みさえすれば運は巡る。あの人の言った通りだな)」

 

《フォーマットとフィッティングが終了しました。確認ボタンを押してください》

 

モニターにそう表示された。光が晴れたそこいたのは形が変わった白式を纏った一夏だった。

 

白式の色は赤と青、白色を基調とし、背中には剣のある尾のような物がついた。

 

 

《一次移行完了。白式・ギーツ起動します》

 

 

「(ギーツ⁉︎なんでその名前が)」

 

一夏が驚きながら呟くと更に新しいモニターが表示された。

 

《神経との擬似接続を開始…》

 

「は…うぐ!?…が!?」

 

突然、体に衝撃が走った。頭に膨大な情報が流れ込み、脳が悲鳴を上げ、鼻から血が吹き出す。

 

「ははっ、この……感覚…懐かしいな…成る程な…大体、わかったぞ」

 

一夏は久しぶりの感覚に思わず笑みを浮かべ鼻血を袖で拭く。

 

《近接特化ブレード「雪片弐型」使用可能》

 

一夏は手に持ってる刀を見ると刀の形が変わっていた。

 

「雪片…千冬姉の使った刀か」

 

雪片は一夏の姉、織斑千冬が使ったIS、「暮桜」の武器である。

 

 

「まさか……ファースト・シフト!? あ、あなた! 今まで初期設定だけの機体で戦っていたのですか!?」

 

「そう言うこと、これでやっとこの機体は俺専用になったらしいな。いやー、さっきのは流石に危なかったぜ」

 

一夏は調子を確かめながらセシリアを見つめ返す。一方セシリアは先ほどから何かを呟いている一夏に、何を言っているのかと言い返すが、一夏はブレードを構えて

 

 

「さぁ、ここからが…見せどころだ!」

 

「あぁ、もう! 面倒ですわ!!」

 

 

 

一夏の様子に痺れを切らしたセシリアが、四発のミサイルを一斉に打ち出してくる。

 

 

「……落ちろ」

 

 

襲い来るミサイルを一夏は背中のテイルブーレドを射出し、全て斬り裂き、的確に撃ち落としていく。

 

「し、尻尾⁉︎」

 

「(この感覚、テイルと使ってる時と同じ…)」

 

 

その姿は数分前の一夏とは比べ物にならないほど。スピードも初期設定の時とは圧倒的に違い、四発のミサイルをもってしても、一夏を捉える事が出来なかった。

 

 

一発も機体に掠ることなく真っ二つに切り裂かれたミサイルは、後方で爆発。

 

 

「さぁ、こいつでフィニッシュだ!」

 

「ああ!?」

 

 

ビット制御に集中していたセシリアは行動が出来ない。完全な立ち往生の状態になってしまった。

 

一夏はテイルブレードをセシリアに叩きつけ立ち尽くすセシリアに向かって、勢いそのままに蹴りを喰らわせる。

 

「ガハッ⁉︎」

 

なす術もなく地面に勢いよく落下したセシリア。

 

「ううっ…」

 

なんとか起き上がり見たのは既に接近し雪片弐型を構えている一夏の姿だった。

 

 

「ひぃっ!」

 

「……」

 

一夏の目は殺意がこもっており、セシリアの命を奪おうと剣を構え、雪片弐型を振り下ろした。

 

 

「(こ……殺される!!)こ……降参します!!」

 

セシリアの発言と同時に刃先はセシリアの顔の真横に突き刺さる。スレスレの状態にセシリアは震えながら涙を浮かべていた。

 

セシリアは感じた…この男は本気になれば命を奪う事も躊躇わない、そう感じさせられるには充分だった。

 

《オルコット選手降参により勝者、織斑一夏!!》

 

 

アナウンスの後に剣先を首から離れ、するとオルコットはその場でへたりこむ。 

 

「俺の勝ちだ、オルコット」

 

「あ……」

 

「勝負って言うのはな、何が起こるかわからない。相手を見下す奴なんかに…勝利の女神は微笑まない。最後まで諦めない奴が…運を引き寄せることもある」

 

一夏はこれまでの事を思い出しながらセシリアに要点を伝える。

 

 

「お前の敗因は…最初から戦いの結果を決めてた事だ」

 

 

一夏はセシリアに背を向け、ピットに戻っていった。

 

 

 「やったな、一夏!」

 

「すごいですよ織斑君!代表候補相手に完勝ですね!」

 

ピットに戻ると箒と真耶が歓迎してくれた

 

「織斑、よくやったな。少々やりすぎる所もあったが…中々の動きだったぞ」

 

「どうも(まっ、こんな物かな…ジャマトの方がまだ歯応えはあるな…)」

 

一夏は内心で物足りなさを感じてはいたが…ISによるクラス代表決定戦は一夏の勝利に終わった。

 

 

「白式がテイルフォームを模した姿…こいつを持ってたからか?」

 

試合か終わり着替えるため更衣室に向かう際、懐に入れていたデザイアドライバーとテイルレイズバックルを見つめる。

 

「……はぁ、 今度のデザグラで英寿(エース)さんに相談して束さんに伝言頼もうかな…」

 

一夏は面倒事を 英寿(エース)に押し付ける事にし、そのまま更衣室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっくし!」

 

「うわぁ⁉︎ど、どうしたのエー君、風邪でも引いたの?」

 

「いや、ノアールの奴が変な噂を流してた気が…」

 

一方何処かの家では、浮世 英寿(エース)とISの生みの親である篠ノ之束が仲良くお茶を飲みながらテレビを見て過ごしていた。

 

「いっくんが?まさか⁈…写真の事ちーちゃんに話しちゃったりして…」

 

「それなら束の携帯に織斑千冬から直接連絡が来る筈だろ?それがないってことは、そう言う事だろ?」

 

「それもそっか…」

 

「お父様、束様…お茶のおかわりはいかがですか?」

 

「ああ、もらうよクロエ」

 

「ありがとうクーちゃん!」

 

家の中では 英寿(エース)、束とクロエの3人が過ごしており、温かい家庭の中寛いでいた。

 

「ねぇエーくん、今度のデザグラでどんな願い事をかいたの?」

 

「ふっ、それは願いが叶ってからのお楽しみだ」

 

 

「でた、エーくんのいつもの誤魔化し!」

 

束はふくれっ面をしながら、お茶を飲み干す。

何故束とクロエが参加者でもないのにデザイアグランプリを知っているのには理由がある。

 

それは 英寿(エース)が今まで参加したデザイアグランプリ中で願いを叶えているからだ。

 

内容は【束とクロエがデザイアグランプリの秘密を共有できる世界】と書き、見事その理想の世界を 英寿(エース)は叶えたのだ。

 

「ねぇ、エーくん……もし……もしもだよ。私がね……」

束は下を向きながら英寿《エース》に何かを話そうとしたが、英寿《エース》はそれを手で遮る。

 

「言わなくてもわかってるさ束。だから俺に化かされたつもりでいつも通り信じてくれ」

 

 英寿(エース)は手で狐の仕草を作り束を安心させる。

 

「……うん。信じてる」

 

束は 英寿(エース)の事を信用しており、その事をわかっている様子の 英寿(エース)。安心させる様に自身の肩に束を抱き寄せ頭を優しくなでた。

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