仮面ライダーW×リリカルなのは ~Oの願い事~   作:アズッサ

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第二話 Mな願い/不思議な出会いなの?

Mな願い/不思議な出会いなの?

 

 フィリップは風都とは違う景色を楽しみながら、前部が黒、後部が緑のバイク「ハードボイルダー」を走らせていた。向かう先は翔太郎のいる海鳴市。今回の依頼主が届けた手紙に記されていた街だ。普段、風都にいても外へ出る事の少ないフィリップにとって風都を飛び出すという行動は中々に刺激的なものであり、彼自身、依頼の為以上に自分の中の知的好奇心が抑えられないからこそ出た行動でもあった。

 むろん、今回の依頼をおろそかにするほど彼は自分勝手ではない。故にこうして制限速度ギリギリまでスピードを上げ、海鳴市へと向かっているのだ。

 「アリシア・テスタロッサ」という名の依頼主から届いた「妹を探して欲しい」という依頼、そして同封されていた小さな宝石、その後の調べで判明した海鳴市で起こる謎の怪事件の情報、それら全てが謎であり、フィリップを持ってしても詳しい事が分からない事が殆どであった。だが、フィリップは半ば直感で、これらのキーワードが繋がっている事を感じ取っていた。それは相棒である翔太郎も同意見であろう。

 そうこうしている内に、フィリップの視界に標識が見える。そこには海鳴市と書かれており、それを確認したフィリップはアクセルを強め、バイクを加速させる。右手には海鳴市を囲うように山々が点在しており、それらをぐるりと回るようにして超えれば市街地へと入る事が出来る。時刻は分からないが、既に夕暮れが迫っていた。心なしか道を走る車をついぞ見かけない。

 瞬間、フィリップの眼前を何かが横切る。驚いたフィリップは小さく声をあげ、バイクを急停止させた。ブレーキ音が夕暮れの道路に響く。他の車がいなかった事が幸いであった。もし後ろは対向車線に車がいれば事故は免れなかっただろう。

 フィリップはヘルメットのカバーをあけ、周囲を見渡す。その中で、ふと奇妙なものを見つける。自身から10m程前に巨大な生物がいた。夕焼けの逆光のせいで認識するのに僅かばかり時間がかかったがそれは犬、いや獰猛な顔立ちは狼のようにも見える。しかし、大きさは虎程もある。全体的に茶色の毛並みであり、首回りの濃い色の毛がライオンのたたてがみのようにも見える。

 

(あれは……照井竜の情報にあった犬のバケモノ……だが、情報ではもっと巨大な姿をしていると聞いたが……)

 

 そんな思案をしながらも、フィリップはいつでも発進出来る準備をしていた。何故かはわからないが、その目の前の獣は唸り声をあげ、こちらに対して睨みを利かせているのだ。獲物を狙う肉食生物、狩りをおこなおうとする猟犬とも言うべきか。獣はゆっくりとした足取りでこちらへと向かってきた。

 

「野生動物に注意の看板はなかったんだけどね」

 

 そんな事を呟きながらもフィリップはバイクを発進させた。エンジンが唸りをあげ、一気に加速する。それと同時に獣も走り出す。その速さはやはり彼の知る犬以上の走力であった。お互いの距離があっという間に縮まる瞬間、フィリップはハンドルを切り、滑るようにして、その横を抜ける。だが相手もまた俊敏であった。すぐさま方向転換し、フィリップの後を追いかける。バックミラー越しにフィリップは驚いていた。相手はトップスピードではないがバイクの速度に追いつているのだ。フィリップはすぐさま相手を脅威と判断し、速度を上げる。

 

(ハードボイルダーのスピードなら逃げ切れる可能性はある……だが、あの運動能力と速さを持ちながら先ほどはあっさりと横をすり抜けさせた。まさか、罠……?)

 

 その予想はまさしく的中した。フィリップの前方に無数の閃光が降り注ぐ。またも急ブレーキをかける羽目になったフィリップは今度こそ身の危険を感じた。すぐさま上方を見上げると、そこには、巨大な杖を携えた黒衣の少女があろうことか宙に浮かんでいたのだ。金色の長い髪をふたつ結いにした年端もいかない少女であった。

 

「女の子……!?」

 

 黒衣の少女のマントが風に揺らめく。彼女はゆっくりと降下してくると物悲しげな瞳をフィリップに向けていた。フィリップはなぜ彼女がそんな眼をするのかが気になったが、

少女は構わず、凛とした言葉を放った。

 

「ジュエルシードを渡してくれれば、これ以上危害を加える事はしません」

「ジュエルシード?」

 

 聞き覚えのない言葉だ。だが、フィリップは少女がいうものにある程度の目星は付けていた。それは恐らく依頼の手紙に同封されていた宝石の事であろう。

 

「それは危険なものです。早く渡してください」

「危険……なるほど、そのジュエルシードとやらは危険な代物なのか。そんなものを君のような子供に渡すのは少し気が引けるね?」

 

 少女はフィリップへ返答としてまず杖を向けてきた。

 

「先ほどのは警告です。一般人であるあなたに直接的な被害を加えたくはありません」

 

 フィリップは返事を返す前にバイクのミラーで後方を確認した。先ほどの獣がいつの間にか退路を断つようにして立ちふさがっていた。

 

「なるほど……虎と狼って奴だね」

「理解して頂けたのなら……お願いです、早く渡してください」

 

 フィリップは諦めたように首を振った。少女もまたフィリップのその態度をそのままに受け取ったのか、再度諭すような口調でジュエルシードを明け渡すように伝えてきた。

 フィリップはポケットに両手を入れる。僅かに少女が杖の構えを緩める。その隙をフィリップは見逃さなかった。フィリップは携帯電話と一本のメモリを取りだし、スイッチを押す。

 

《スタッグ》

 

 機械音声を響かせるスタッグギジメモリを携帯電話であるスタッグフォンに差し込むと、スタッグフォンは携帯電話からクワガタムシ型のメカへと変形し、少女に向かって飛び出していく。

 だが、次の瞬間には背後に待機していた獣が咆哮をあげながら、フィリップへと飛びかかろうとしていた。しかし、フィリップもまたそんな事は予想済みであった。鋭い牙を光らせ、大きく顎を開ける獣だったが、フィリップの眼前に迫ったと思った瞬間、その横面を何かが体当たりをしかけ、吹き飛ばす。

 

「アルフ! クッ……!」

 

 少女が叫ぶ。だが、その少女には変形したスタッグフォンが周囲を飛び回り、動きをけん制していた。少女はスタッグフォンを叩き落とそうと杖を振るが、スタッグフォンは小刻みに飛び回り中々捉える事が出来ない。

 

「来い! ファング!」

 

 フィリップの呼び声に反応するように、獣、アルフへと体当たりを仕掛けた物体が吠える。それは小さな恐竜であった。恐竜は小さく吠えながら軽やかにジャンプするとフィリップの左肩へと飛び乗る。それを確認したフィリップはアクセルを吹かし、バイクを発進させた。

 

「あぁ! 待て!」

 

 見逃すまいと少女は飛翔する。だが、それを遮るようにスタッグフォンが再び妨害行動に出る。少女の眼前を突っ切り、ひるませたスタッグフォンは仕事を終えたようにフィリップの元へと飛び去っていく。

 フィリップの耳元までたどり着いたスタッグフォンはその体から着信音を響かせた。

 

「ちょうどいい。照井竜には厳重注意を受けるだろうけど!」

 

フィリップがスタッグフォンを手に取ると、クワガタから携帯電話へと戻り、フィリップはためらいもなく受信ボタンを押した。

 

「あぁ翔太郎、ちょうど今からかけようと思っていた所なんだ」

 

 そう言いながらもフィリップはハンドル操作と背後より負ってくる少女たちの確認で忙しかった。故に最低限の情報だけを伝える事にした。

 

「いきなりだけど、ファングジョーカーで行くよ!」

 

 それだけ伝えるとフィリップは通話を切る。それと同時に背後より閃光が飛来する。初弾をかろうじてをそれを避けるフィリップだが、二発、三発と続けば今の彼の操作では振りきる事は難しかった。そして四発目、閃光はフィリップを追い抜き、彼の目の前に着弾する。その衝撃でバイクごとバランスを崩すフィリップ。勢いよく放り出される形になった彼は着弾の影響で生じた煙の中へと消えていく。

 

「しまった……!」

 

 これに苦い顔をするのは閃光を打ち出した少女本人であった。予想外の反撃にあったとは言え、相応の障害であると判断した少女はフィリップの身動きを止める為に攻撃を加えたが大怪我をさせるつもりはなかったのだ。

 

「フェイト! 来るよ!」

 

 だが、その心配は隣にいるアルフの言葉によって中断される。ハッとなったフェイトは何事かと正面を見据える。

 

《ファング・ジョーカー!》

 

 次の瞬間、咆哮と共に音声が夕焼けの空に響く。

 

「何!?」

 

 土埃を切り裂くように現れたのは、バイクを駆る白と黒の戦士であった。戦士はジャンプさせたバイクを巧みに操り、その場へと着地、ターンを決めて、真っ白な右半身を少女たちに向ける。

 

『ったく……相変わらず無茶をする相棒だぜ』

 

 黒い左半身の真っ赤な目が点滅するとフィリップとは異なる声が呆れたように言いながら、左腕でこめかみを押さえた。それを右手で軽く払いながら、フィリップも答える。

 

「それはお互い様と言いたい所だね? 何にせよ、助かったよ翔太郎」

『へっ……相棒のピンチ助けなくて何が相棒だよ。んで……』

 

 白と黒の戦士はバイクから降りると、少女たちと正面で向き合う。

 右側は白、左側は黒、全体的にエッジをきかせた戦士の名はダブル、「仮面ライダーダブル ファングジョーカー」である。

 

『あれが相手か……って、子供じゃねーか!』

 

 翔太郎の驚きも無理はないだろう。相棒のピンチにかけつけてみれば、予想外の相手がそこにいたのだから。年端もいかない少女に襲われて、変身を行う。今まで様々な不可思議な体験、相手をしてきた翔太郎でもこれは流石に想像はしていなかったのである。

 

『しかも……金髪にツインテールだぁ?』

 

 改めて少女の姿を見ると翔太郎は驚いたような声をあげる。

 だが、そんな驚きは翔太郎だけではない。対面する少女らもまた驚きを隠せないでいた。優男だと思った相手に不意をつかれ取り逃がし、再び追い詰めたと思えば珍妙な姿に代わり、こちらに対峙している。しかもその場にはいなかったはずの第三者の気配すら感じる。

 しかし、相手が何であれ少女の目的は変わらない。隣にいるアルフも唸り声をあげていつでも戦闘態勢に移行出来る準備は完了している。少女はすぐさま、杖を構え、ダブルに向けるのであった。

 

「そのような姿を取るという事はこちらに抵抗するだけの力があると見ました。そうなれば私も手加減はしません。これが最後の警告です。大人しくジュエルシードを渡してください」

「事情を話してくれるならこっちも譲歩するだけの余裕はあるんだけどね?」

 

 しかし、その返答として帰ってきたのはアルフによる体当たりであった。唸り声と共に牙と爪を光らせたアルフは刹那の合間にダブルとの距離を詰めていた。だが、ダブルはその間にベルトに装着されたファングの角『タクティカルホーン』を弾く。

 

《アームファング!》

 

 その声と共にダブルの右腕から白亜の刃が伸びる。ダブルはその刃でアルフの牙を受け止めると、振り払うようにしてアルフを弾き飛ばす。だが、その次の瞬間には少女が杖を変形させ、大鎌と化した得物をダブルへと振り下ろしていた。

 

「中々素早い動きだ!」

 

 しかし、ダブルは左手で鎌の柄を掴んで、その大振りの一撃をなんなく受け止めて見せた。

 

「くっ……!」

「言っておくけど、僕は問答無用で攻撃してくる相手の言う事を聞くほどお人よしじゃない!」

『おいフィリップ!』

「心配無用だ翔太郎! 傷つけるつもりはない!」

 

 事実として、フィリップは大鎌を受け止め、少女の体を掴む事以外は攻撃姿勢を見せていなかった。

 

『当たり前だ! だが俺がいいてぇのはそうじゃない! この女の子、ビンゴかもしれねぇぞ!』

「ビンゴ? ウゥッ!」

 

 背後からの衝撃で大鎌を掴む手を離すダブル。弾き飛ばしたアルフが体勢を立て直し、反撃に出たのだ。ダブルは姿勢を崩しながらも、すぐさま立ち直る。

 

「ビンゴという事はつまり、今回の依頼についてかな?」

『あぁ……絶対とは言えねぇが、聞き込みで手に入れた情報とぴたりと当てはまりやがる。金髪にツインテールの外国人の女の子! ついでにやたらでかいが犬もいやがる!』

「偶然……にしては合いすぎてるね……けど!」

 

 二人の論議を遮るように閃光が次々と降り注ぐ。ダブルはその合間をすり抜けるように回避し、先ほどの続きを言いあった。

 

「君の言う通り絶対じゃない。それに相手はこっちの話を聞くつもりはないようだ」

『だが、お前を狙ってきた。いや正確には……』

「ジュエルシード。察するに僕たちの元へと届いたあの小さな宝石。なるほど、合いすぎている」

 

 ダブルは最後の閃光をアームファングで切り裂くと、その場で立ち止まり、右腕を顎に当てながら、思案する姿を取った。その姿は少女の癇に障った。だが、表だってその感情をだす事はない。僅かに表情が堅くなるが、それと同時に焦りも感じていたのだ。

 

「早くそのジュエルシードを渡せ!」

 

 大鎌を振るい、少女が突撃してくる。ダブルは再びアームファングで受け止めると、つばぜり合いとなり、紫電が走る。

 

「なぜ君はジュエルシードを狙う?」

「黙れ!」

 

 少女は大鎌を払い、ダブルから離れる。それと同時に閃光を放ち、それの直ぐ後ろをアルフが駆ける。流石のダブルも全てをさばききる事は不可能であると判断し、大きく回避行動を取る。残像が現れる程のスピードで閃光をジグザクに避けるダブルだが、それに追いつくのはアルフであった。アルフは再びその牙と爪をダブルへと向けるのである。

 ダブルはアルフの攻撃をアームファングで受け止め、左手で押しのけるようにして飛ばす。そして、タクティカルホーンを二回弾く。

 

《ショルダーファング!》

 

 アームファングが消え、右肩から同様の刃が伸びる。ダブルはそれを掴み、ブーメランのように投擲した。高速回転する刃がアルフへと向けられる。アルフも不安定な体勢のまま無理矢理にでも空中へ飛び、爪を伸ばして、ショルダーファングを弾く。だが、パワーの違いか、再び地面へと叩き落とされてしまう。一方、ショルダーファングは軌道を変え、少女へと向かう。

 

「くっ!」

 

 少女は数発の閃光を発射、しかしそれらはショルダーファングに弾かれる。少女は大鎌での迎撃を行う。下からすくい上げるようにして振りかぶられた大鎌の刃がショルダーファングと激突する。バチバチとエネルギーが放出される。結果としてはお互いが弾かれる形となり、ショルダーファングはダブルの元へ、少女はそのまま空中で二回程回転しながら、体勢を立て直す。

 

「『アリシア・テスタロッサ』……」

 

 不意にフィリップが依頼人の名を言葉にする。その名前に少女が僅かに反応を示す。

 

「この人物から僕たちは手紙を貰った。その手紙にはジュエルシードが同封してあった」

「それが何だと言うのです」

「単刀直入に聞こう。君はアリシア・テスタロッサという人物を知っているかい?」

「そんな人、知らない」

『知らないだと?』

 

 少女の返答に翔太郎は自分の推測が外れたのではと思わせた。少女の言葉に嘘は感じられなかった。だとすればやはり偶然の一致なのか。

 少女はこれ以上話す事などないという風に、空いた左手をダブルにかざす。バチバチと少女の周りが帯電し、金色の電撃を走らせる。無数の雷球が浮かび上がり、その照準をダブルへと向ける。

 

「大人しく渡してくれないのが悪い……!」

 

 雷球が輝き、周囲のと影響しあい稲妻が走る。

 

「翔太郎!」

『あぁ仕方ねぇ!』

 

 それに対応するようにダブルもまた腰を低く、構えを取る。

少女は無言のまま、手をあげ、そして振り下ろす。その瞬間、無数の雷球はダブルへと殺到する。対するダブルはあろうことか、その雷球の群れへと走る。

 

「何を……!?」

 

 一見すれば自殺行為としか思えない行動を目の当たりにした少女だったが、ダブルはそうとは思っていない。走りながら、素早くタクティカルホーンを三回弾く。

 

《ファング・マキシマムドライブ!》

 

 同時に、ダブルの右足側面から刃が伸びる。

 

『ファングストライザー!』

 

ダブルは飛び上がると共にその技の名を叫びながら、雷球へと向かう。瞬間、青白いエネルギーがダブルの体を包み込み、巨大な恐竜の頭部を作り上げる。そのエネルギーは大きく口を開け、今まさに無数の雷球を飲み込まんとしていた。

 そして……衝突、閃光、爆発と共に周囲に膨大なエネルギーの奔流を生み出す。少女は腕で顔を覆い、障壁を展開すると同時に倒れ込むアルフの元へと降り立つ。ほんの数秒程度の衝撃波が止み、爆煙が晴れると、バイクの走り去る音が彼方で響く。

 

「逃げられた!?」

 

 咄嗟にダブルの後を追おうとする少女だが、アルフが少女のマントを加え静止する。

 

「駄目だよフェイト! 時間をかけすぎた、奴らに見つかったようだ!」

「けど……くっ……!」

 

 アルフの言葉に、少女は僅かに歯ぎしりをさせながら苦悶の表情を浮かべる。未練の残った視線を、道路の向こう側へと向けながら、少女は杖を振るう。

 

「バルディッシュ、ジャミング」

『イエッサー』

 

 バルディッシュと呼ばれた杖はそのように答えると、特殊なジャミング機能を発動させる。こうすれば暫くの間は見つかる事もない。少女はアルフに寄り添い、怪我の具合を確認する。

 

「だ、大丈夫だよフェイト……それよりもまずはここから離れよう」

「うん……」

 

 少女、フェイトの周囲に紋様が浮かび上がりと同時に彼女らの姿は霧のように消えていったのだった。

 

 

 

 一方、隙をついてその場から逃げ果せたダブルはその状態のままでお互いの意識をリンクさせていた。

 

「何とか撒けたようだね」

『あぁ……にしても、何なんだあの子供は? そこらへんのドーパントよりも手ごわいぞ』

 

 翔太郎は少女の戦闘能力の高さに驚きを隠せないでいた。さらに共にいた巨大な犬のような生物もまた脅威である。あの状況は、相手がこちらに対して油断していたのを利用して勢いに乗っていたようなものである。故に優位に立ててはいたが、それでも対等な条件下での戦いではどうなるか分からない程であった。

 

「さぁ……ね……だが、彼女がこのジュエルシードを狙うと言う事は、翔太郎。君の予測は恐らく間違いではないはずだ」

『けど、あの子は白を切った』

「あるいは本当に知らないか……あの状態じゃこちらの話を聞く気はないだろうし、どちらにしろ、退いて正解だったようだ」

『あぁ……ったく、今度も問答無用か?』

 

 ダブルはブレーキをかけながら、車体を滑らせ、道路をふさぐように止めると、上を見上げる。

 

「あれは……」

『また……子供?』

 

 ダブルが見上げた先、そこには先ほどの少女とは対照的に純白の衣装を身にまとったッ少女が杖を持ちながら降りてくる。その肩には小さなフェレットがちょこんと乗っていた。

 白い少女は距離を保ったまま、着地するとダブルを見てどう声をかけていいのか分からないのか、少々びくびくしているように見えた。

 

「あ、あの!」

 

 出だしの声は少し上ずっていた。警戒の色もある。

 

「はじめまして、私高町なのはといいます! あの、半分こさんのお名前は……」

「くっくく……」

 

 なのはと名乗った少女の言葉にフィリップは苦笑する。

 

「え、あ……その済みません!」

「構わないよ。僕の……いや……僕たちの名はダブル」

『仮面ライダーダブルだ』

 

 翔太郎とフィリップが同時に名乗る。なのはは一人だと思っていた人物から二人の声が聞こえてきた事に驚いていた。

 そして一陣の風が吹く。日が暮れ、夕闇へと変わる頃、二人の探偵と一人の少女が出会う。そんな不思議な出会いであった。

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