仮面ライダーW×リリカルなのは ~Oの願い事~   作:アズッサ

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ヤバい!


第五話 Oの願い/母と子と……

 その光景は狂気に染まっている。悪趣味ともとれるが、そんな言葉で包める程安易なものではない。薄い紫色を輝かせる光の鎖はフェイトの両腕を縛り、虚空へとつるしあげていた。既に彼女の全身は裂傷が無数に出来ており、僅かに血が滲んでいる個所もある。

 シュッと風を切る音と共に鞭が振るわれる。その度にフェイトは絶叫し、だが、それでも耐えるのだ。うつろの瞳は鞭を振るう女に向けられる。

 その女こそが、プレシア・テスタロッサである。

 

「これほどまでにあなたが無能だとは思わなかったわ」

 

 彼女が一つ、言葉を話す度に鞭が振るわれる。

 

「五つのジュエルシードを手に入れるチャンスがありながらたったの二つだなんて!」

 

 僅かに怒りの感情がこもる。対するフェイトは小さな声で「ごめんなさい」と繰り返すだけであった。

 

「フェイト、お願いよ。これ以上母さんを困らせないで。あなたの折檻をするのも疲れるのよ?」

 

 だがそれでも鞭は振るわれる。何度も何度も振るい、遂にはフェイトの絶叫も消える。意識を失ったのだ。だが、フェイトが意識を失ってからもプレシアは鞭を振るった。もはや感情的という言葉では済まされない狂気がそこにはあった。

 プレシアが鞭を振るうのを止めたのはそれから十分も後のことである。フェイトを縛る鎖を解き、床へと落ちるフェイトを尻目にプレシアは小さく肩で息をしながら広間を後にする。通路を歩きながら、プレシアは幾分かの冷静さを取り戻そうとしていた。

 

「もう……あの子は駄目ね……次が最後かしら」

 

 その言いようは使えなくなった玩具を捨てる子どものようにも感じられた。プレシアにとって、今のフェイトは使えない道具程度にしかない。他人が聞けば罵倒されようが、今この場にはそんな言葉を発する者はいない。だからこそここまでの事が言えるのだ。

 

「けど……そう、最後よ。最後なのよ……あの子の命を捨ててでもジュエルシードは手に入れさせてもらうわ……」

 

 僅かに言葉尻には笑いがあった。通路の先は赤い空が続いていた。黒々と枯れ果てた木々がしなだれる。かつては美しい植物が咲き誇っていたらしい場所だが、プレシアがこの『時の庭園』を手に入れた時点でそんなものは当の昔に枯れ果てていた。一々手間をかけてまで戻す必要もない故にそのまま放置している。

 

「けれど……懸念があるとすれば……」

 

 プレシアは手前に画面を出現させる。それは海上での戦闘を記録したものである。プレシアは移動を続けながら画面を操作し、一人の戦士に注目した。二色の戦士、仮面ライダーダブルである。彼女にしてみれば、この存在はイレギュラーであった。管理局にかぎつかれるであろう可能性は考慮していたが、この二色の戦士と、もう一人、白衣の少女、この二人はプレシアの中では一つの懸念材料であった。だが……やはり一番気になるのは、二色の戦士である。

 

「マスクドライダー……まさか……次元の破壊者ディケイドでもあるまいに」

 

 それは、次元世界でも眉唾の噂として流れている話である。マスクドライダー、仮面ライダーと呼ばれる次元の、世界の破壊者がいる……と。

 

「ディケイドは幾多の世界を巡ると聞く……ならばアルハザードへの道もまた……」

 

 だが、言いかけたプレシアは自身でその仮説を否定した。

 

「いえ、今はそんな不確かなものより、確実性の高いジュエルシードを優先しなければ……あの戦士がディケイドであるかどうかはついでに分かればいい事……今は少しでも早く……もう時間が少ないわ」

 

 歩き疲れたようにその場に立ちすくむプレシア。突如して咳き込み、口元を押さえる。生温かい液体が喉を逆流し、外へと飛び散る。血であった。少量の血が口を押さえた手の平へと付着する。プレシアは口元についた血を手の甲で拭うと血を払うようにして、衣装でふき取る。

 刹那、彼女の背後で爆発が起こる。だが、プレシアは特に反応を示さず、歩みを再開した。

 

「うあぁぁぁぁ!」

 

 爆発により生じた土煙りを払いのけるように、獣のような雄叫びをあげ、人間体のアルフがプレシアめがけ、拳を突きたてていた。だが、プレシアは振り向かずに背後へと障壁を展開する。意図も簡単に障壁で弾かれるアルフだったが、それでも食い下がらず、二度目の飛びかかりを行った。同じように障壁が展開される。

 だが、アルフは怒りに任せた瞳でプレシアを睨みつけ、障壁に爪を立てる。直後、障壁は砕かれ、アルフの腕がプレシアの胸倉を掴みあげる。

 

「あんたは! なんであんな事が出来る!」

 

 アルフの腕力は常人のそれより上だ。軽々とプレシアを持ちあげると、なおもプレシアへと詰めよる。

 

「あの子はあんたの娘だろう! 母親のあんたがなんであんなことを!」

 

 煩わしい。

 プレシアが抱いたアルフへの感情はそれだった。たかが使い魔風情がなにをいうかと思えば……と。だからこそ、プレシアは何の返答も表情も返さなかった。しかし、遠吠えに反応してやる程暇でもなかったが、聞き流す程寛容でもない。

 プレシアは虫を払いのけるような感覚でアルフの腹へと手をむけ、魔力の塊の放った。

 

「がっ!」

 

 その一撃はアルフを吹き飛ばし、石柱へと衝突させ、それを砕きながらもさらに後方の岩場へと追いやった。

 

「うるさいわ……本当にうるさい……使い魔風情が……」

 

 プレシアは長杖を出現させると、その先をアルフへと向ける。

 

「他人に噛みつく狂犬は処分よ。教わらなかったかしら?」

「プレシア!」

「消えなさい」

 

 その一瞬で、プレシアの放った光弾はアルフを飲み込んだ。刹那の閃光と共にその周囲には大きな穴が穿れる。だが、穴は深い。先ほどの光弾ではそこまでの破壊は出来ない。

 プレシアはアルフが済んでの所で逃走した事に気がついていたが、放っておいた。今更犬が一匹逃げた所で支障はない。

 

「あぁ……そうね……あの犬はフェイトのだったわ……」

 

 否、ひとつだけ支障が出る。フェイトである。だが、それもどうでもよかった。適当に説明すればいいとプレシアは思考を放棄した。そんなどうでもいい事に神経を使うのが無駄だったのだ。

 

「もうどうでもいいわ。あいつらの事なんて……そう、アリシアの為になるのならどうでも」

 

 その目は血走っていた。体をふらつかせながら、プレシアは最奥へと進む。

 

 

 

 この数日において、翔太郎とフィリップの調査は頭打ちであった。というのも、海上での騒動の後に突き止めたフェイト・テスタロッサが滞在していたと思しき高層ビルの一室は既にもぬけの空であり、さらに言えばこの『世界』の住人ではない存在が相手である以上、聞き込みをしようが、情報を纏めようが、無理があるのだ。

 それはアースラ側でも同じらしく、彼らにとってめぼしい情報はいまだ手に入っていない状況である。プレシア・テスタロッサという人物に関わる情報はどうやら深い意味で抹消されているらしい。偉大な魔導師、科学者の違法実験、そして失敗、これらの情報だけでもスキャンダラスな内容である事は容易に想像出来る。

 しかしある意味、序盤の調査がとんとん拍子に上手く行きすぎたのだ。思いがけない事態に巻き込まれてしまったかも知れないが、そういった意味では本来知りえなかった情報まで手に入ったのは僥倖である。

 だからこそ、

 

「聞きたまえ翔太郎。このケーキは素材の比率がまさに黄金比率でなりたっている。フルーツとクリーム、そしてスポンジケーキの甘さの絶妙なバランスだ。これは興味深い、一体どんな方法で、どんな材料を使えばいいのか……」

 

 こんな風にケーキひとつでメモ帳を使い切りそうなフィリップを眺めても呆れはしつつも、怒りはしなかった。

 元々、息抜きの為にという事で、翔太郎が偶然立ち寄った翠屋という喫茶店へフィリップを連れてきた事が始まりである。まさか一番高いケーキを注文されるとは思わなかったが。そして意外とそれが響いたのか、翔太郎はコーヒー一杯だけしか頼めないのだ。

 

「フィリップ! お前、ちょっと静かにしろ!」

 

 興奮するフィリップをなだめようと翔太郎はそう彼に耳打ちするが、そんな事でこの相棒が止まるはずがない。ところどころ入ってくるフィリップの言葉は一体どんな展開をすればそうなるのか、素粒子がどうのというもはや翔太郎の理解を超えた何かが論じられていた。

 

「おや、左さん。いらっしゃいませ」

 

 そんな翔太郎の助け船となったのは、以前聞き込みをした男性店員であった。

 

「あぁ、どうも……おい、フィリップ!」

 

 とはいえ、翔太郎は苦笑いをしながら会釈をする。この時、翔太郎はトンチンカンな持論を講じるフィリップへの苦情でも言いに来たのかとおもっていたのだった。だから、もう一度、フィリップに耳打ちする。

 

「ははは! 愉快な方ですね。ご友人ですか?」

「えぇ、まぁ……相棒です」

「ほぅ! そうですか」

 

 苦笑いを続けながらもその最後の言葉だけははっきりと答えた。その事は男性店員にも伝わったらしく、微笑しながら納得してくれた。

 

「探偵に相棒……何だか不思議としっくりきますね。特にあなた方二人を見ているとますますそう思いますよ」

「そ、そうですか?」

「えぇ。そういえばお仕事の方、どうです? 話せない事も多いでしょうが」

「まぁ、いいところまでは来てる……って感じですかね? それが乗り越えられないのが辛い所ですが」

 

 翔太郎は敢えてハッキリとは答えなかったが、男性店員もそれを察してくれたのか小さく「そうですか」とだけ答えてくれた。

 

「しかし……流石は荘吉さんのお弟子さんです。核心までは迫っているという事ですよね」

「いえ……迷子捜しでこんなにも迷ってちゃ、おやっさんにはまだまだ……」

 

 よもや異世界なんてものが関わり、つい最近は空と海で戦ってきたなどとは言えない。必然的に、以前彼に話した迷子の捜査という事で説明をしなければならないのだ。

 

「フフフ……けどあともうひと踏ん張りじゃないですか? 私は今、左さんのお仕事がどうなっていて、どんな内容になっているのかは分かりませんが、本当に自信のない人は態度に出ます。その点、左さんはまだ諦めている様子はありません」

 

 だが、この男はそれでもと言ってくれる。何かを察しているのか、はたまた気遣いなのかは、翔太郎には判断しかねるが、こう言ってくれるだけでも翔太郎にとってはありがたいのだ。見知らぬ街で受ける親切は心に染みる。

 

「それでは、私は仕事へ……あなた方もお仕事がんばってください。事が終わりましたら、また当店へ」

「えぇ、そうさせていただきます」

 

 翔太郎は軽く会釈をして、男性店員の背を見送った。

 

「翔太郎」

 

 フィリップの声は真面目な雰囲気を纏っていた。

 

「あぁ……調査を……」

「お代わりをしたいが、君はまだ小銭はあるかい?」

 

 この瞬間、翔太郎は亜樹子の突っ込みが欲しいと思った。だが、そんな大騒ぎを起こすようなものに頼らず、翔太郎はフィリップの首根っこを掴んでレジで会計を済ますとさっさと店を後にした。このまま居続ければ本当に追加のケーキを頼む事になるからだ。

 そんな二人をレジを対応した男性店員は笑顔で彼らを見送った。そして、ほんの少し、間を開けて、彼の妻と久しぶりに自宅へと戻ってきた愛娘が入れ替わるように入ってくる。

 

「やぁお帰り、なのは」

「うん! ただいまお父さん!」

 

 少女、高町なのはは、対して日数は経っていないはずだが、父と会うのが久しぶりに感じた。そんな娘を父は、大きな手で頭をなでて迎えてやった。

 

 

 

 自体が急転したのはその日の午後、夕暮れより少し前であり、翔太郎とフィリップは半ばせかされる形でアースラへと転送され、ブリッジに上がっていた。

 元より暇を持て余す形になっていた二人だが、進展あると聞かされれば即座に行動出来るのだ。

 彼らがブリッジに上がった時には既に話が始まっていた。クロノは大画面に映るオレンジ色の獣向かって何やら提案をしている様子であった。画面に映っていたのはアルフであった。

 

「これは?」

 

 翔太郎は近くにいたエイミィに事情を聞いた。

 

「フェイトちゃんの使い魔、アルフさんが偶然にもなのはちゃんのお友達の家で発見されたんです。怪我をしているようで、手当を受けていたみたいで……」

「怪我? 僕達の知らない間に戦闘でもあったのかい?」

 

 フィリップが聞く。

 

「いえ、違います。先ほど出た話しでは、アルフさんはアジトから逃げてきたようで……」

『その声……いつかの二色の奴もいるのかい……』

「次元通信の応用で、あなた達の声も念話という形で彼女に通信されています」

 

 エイミィの説明を受けて、翔太郎も画面の前へと移動して話に参加する。

 

『まぁいいさ……管理局でも誰でもいい、フェイトを助けて欲しい……何が目的かは知らないけど、あんな母親の元にいたんじゃその内本当に死んじゃうよ』

 

 その悲痛な声がアースラのブリッジに響いた。

 

「やはり今回の黒幕は我々が睨んだ通り、プレシア・テスタロッサだった。そして彼女はフェイト・テスタロッサの母親、彼女の指示により、フェイト・テスタロッサはジュエルシードを集めていた。その過程で君たちへの襲撃もあったらしい」

 

 クロノは今までも事をかいつまんで説明してくれた。翔太郎もフィリップもそれでおおよその事態は把握出来た。

 

『翔太郎さん!』

「なのはか!」

『今、クロノ君やアルフさんが言った通りみたい。フェイトちゃん……やっぱりとても辛い目にあってるみたい』

「我々は今後の目的をプレシア・テスタロッサの捕縛へと移行する。黒幕がわかった以上、これを押さえれば話も終わる。事情が深い故に、フェイト・テスタロッサの扱いは高町なのはに任せるが……探偵、君達はどうする? 君達の依頼と僕達の目的はある部分で合致している。協力をしてくれるのであればありがたい」

 

 この時になって、翔太郎はクロノが柔軟な発想が出来る少年であると悟った。

 

「勿論、やるさ」

 

 その返答は意外な事にフィリップから発せられた。翔太郎も僅かに驚いた顔をしたが、すぐに微笑して、その意見に同意した。

 

「ようするに駄目な母親に一発ガツンと言ってやればいいだけの話だろ? だったらやるよ。子どもが悲しむようなことは放っておけねぇ」

 

 それは依頼だとか探偵だとかという建前を抜きにした翔太郎自身の結論でもあった。

 

「本当の意味で、迷子をうちに帰れるようにしなきゃならねぇからな……」

『迷子……?』

 

 アルフは一瞬、何のことだろうと思い言葉を返したが、すぐに納得した。

 

『そうだね……フェイトは今一人ぼっちだ……そして家も家族も……あんなんじゃ帰っているなんて言えないよね……迷子か……フェイトは迷子……』

「アルフと言ったね。君も辛そうだが、これだけは聞いておきたい。テスタロッサ親子にもう一人、娘はいるかい? 名前はアリシア・テスタロッサだ」

「フィリップさん、手短に」

 

 フィリップがその質問を投げかけた時、クロノはそれとなくアルフの限界をそれとなく伝えた。フィリップも頷き、アルフの返答を待った。

 

『アリシア……? 知らないね……私達のアジトには私とフェイト、そしてプレシアしかいないよ……名前も聞いた事ない。一体何だってそんな事を聞くんだい?』

「それについてはまだ答えられない。ありがとうアルフ」

 

 その答えで十分なのか、フィリップはクロノに目配せして、質問が終わった事を相図した。

 

「では、アルフ。君の貴重な情報と協力に感謝する。約束しよう。君の主フェイト・テスタロッサは悪いようにはしない。君の証言があればいくらでもフォローは出来る。あとは任せてくれ」

 

 それだけを伝えるとクロノは通信を終える。何人かのクルーが一応の監視としてアルフの様子を見守る形となり、それを確認したクロノは小さくため息をついた。だが、すぐさま翔太郎とフィリップへと振り返り、「話があります」と言ってエイミィを引き連れ、応接室まで移動する。

 応接室へと到着後、クロノは腕を組んで黙りこくっていた。その表情は少年がするにはあまりにも深刻なものだった。ややあって、その重い口を開けたクロノだったが、その言葉は二人にとって衝撃的でもあり、どこか想像していた通りのものでもあった。

 

「単刀直入に言おう。君達へ手紙を送った依頼人、アリシア・テスタロッサは既に死亡している」

 

 まずは結論から述べるクロノ。翔太郎もフィリップもそれを黙って聞いていた。反応は、驚いたような納得したような、どこか微妙なものであった。

 

「あまり……驚かないようですね」

「あぁ……まさかなとは思っていたが……」

 

 翔太郎も歯切れの悪い返答しかできなかった。

 

「それともう一つ」

 

 エイミィが付け加える。

 

「彼女が確認できる範囲で、最後に行っていた実験。それは人造生命体の生成、言い方を変えれば死者蘇生の実験です。そしてその研究コードの名はフェイト」

「死者蘇生……NEVER……」

 

 その言葉に翔太郎はある記憶を蘇らせていた。かつて風都を恐怖のどん底に叩き落とした不死身の集団、そして悲しき親子の事を。

 

「僕達はかつて死者を蘇らせる技術とその成果である集団と戦った事がある」

 

 不意にフィリップが発言する。

 

「なに!」

 

 それはクロノにとっては驚きである。

 

「この世界に死者蘇生を可能とする技術が……!?」

「だが、それも完全なものではなかった。確かに死者は生き返るが、その代償として絶えず特殊な酵素を投薬し、それでも時間経過と共にその人間性は失われる……一人の母親が愛する息子の為に悪魔の研究を完成させてしまった事件さ……」

 

 その事件はフィリップにとっても大きな意味を持つ事件であった。

 

「済まない。話が逸れてしまったね」

 

 ほんの少し苦笑しながらフィリップは話を続けて欲しいという風にした。

 

「死者蘇生はそう簡単ではない……という事ですね」

 

 話を続けたのはエイミィであった。

 

「それは、プレシア女史の実験も同様です。結局、その実験はクローニング技術の精度を高めるという一定の成果をあげましたが、彼女の求めた死者蘇生とは程遠いものだったようです。実験は中断、その直後に彼女は失踪しています」

「じゃあ、あのフェイトって子は……」

「恐らくは……」

 

 翔太郎の問いにエイミィはそのように答えた。翔太郎もそれを察して敢えて言及はしなかった。

 

「この事は高町なのはとユーノ・スクライアには秘密にしてもらいたい。今更それで決心が鈍る事はないと思うけど、余計な重圧をかけたくない。ですが、あなた方の場合は……依頼の事もあると思って説明しました」

「そうか……」

 

 翔太郎は短く返事を返した。クロノという少年は、背伸びをするきらいがあるが、その中に優しさがあるのだと再認識した。

 

「ですけど……アリシア・テスタロッサが蘇生されず、なおかつフェイトちゃんもアルフさんもアリシアさんの事を知らないとなると、一体誰が左さんたちへ手紙とジュエルシードを送ったのかしら?」

「誰でもいいさ」

 

 臆せず翔太郎は即答した。

 

「この手紙の通りに、俺たちは迷子を家に帰す。探偵は依頼を必ず果たすのが義務なんだ」

「ま、そういう事さ。とっくの昔にこの依頼はただの迷子捜しじゃなくなっている。ここまで来たらもう後は意地でも解決するさ。僕達がね」

 

 そう言って二人は笑った。

 その表情は自信にあふれていた。

 

 

 

 翌日の早朝、アースラのブリッジ内は静かではあったが、ピリピリとした空気が流れていた。それは今回の事件の黒幕であるプレシア・テスタロッサの牙城を特定し、確保するという大掛かりな作戦があるからである。そういう事にもなれば艦内では誰かが言わずとも一層空気を引き締めなければという感覚が広がる。

 そしてその前哨戦という形になるのが、画面に映しだされるなのはとフェイトの決闘である。そこには、僅か9歳の少女たちが戦っているとは思えない程に壮烈な空中戦が繰り広げられていた。ブリッジクルーらはそれを見守りながらも作業を続けていた。

 そんな中で特に仕事がないのが翔太郎とフィリップである。フェイトの事はなのはに任せるとなった事もあるが、お互いのジュエルシード全てを賭けるという二人の少女の一世一代の大勝負に水を差す真似はしたくなかったのだ。この二人の決闘の勝者がどっちであれ、後に控えるのは黒幕との対面である。そして、それこそが彼らの仕事の始まりであった。

 先の戦闘では不意をつかれたアースラではあるが、今回は万全の準備の元、活動している。それは本拠地である『時の庭園』の座標を捕捉することである。なのはとフェイトの決闘の間にそれらの準備を進める。

 話の結果だけを言えばなのはが勝とうがフェイトが勝とうがそれは問題ではないのだ。どっちに転んだとしてもフェイトは本拠地へと帰還せざるを得ない。それを追尾するというのが今回の大まかな流れである。なのはを囮のように使っているという感覚はクロノにもあったが、今はそれこそが一番効果的であることも認識していた。

 

 一方、海上での決闘はさらに苛烈さを増していた。なのはとフェイト、お互いから放たれるピンクと金色の光弾が交差し、互いに打ち消し合い、漏れた光弾は狙いも定まらずに明後日の方向へと流れ霧散した。

 だが、流れはフェイトにあった。高速で動きまわるフェイトだが、その魔法の火力はなのはに引けを取らない。だがそれ以上に彼女には近接戦闘の心得がある。相棒のバルディッシュを鎌とし、光弾による射撃を交えながら、刃を振るう。時には盾としてなのはの光弾を切り裂き、迫る。既になのはのバリアジャケットの胸リボンは切り裂かれていた。

 だが、それでも、それ以上のダメージを受けないように戦いを続けるなのはもまた、己の能力というものを理解していた。スピードも近接戦闘でも敵わないのなら、それ以外で勝負するしかない。彼女の張るシールドは鉄壁である。証拠として、フェイトの光弾は一発もなのはのシールドを貫通していない。そして射撃である。無数の光弾と砲撃は僅かにだが、フェイトを上回る。むろん、総合的な観点から見ればフェイトに軍配は上がるだろうが、それでも堪えているなのはの底力を無視する事は出来ない。

 

「強い……!」

 

 なのははそんな言葉しか出なかった。少なくともつい最近までは普通の少女だったなのはがここまで出来る事自体上出来なのだ。

 

「あぁ!」

 

 だから一瞬の隙、雨のように降りかかるフェイトの光弾をシールドで防ぐも数に圧倒され、体勢を崩す。その瞬間であった。なのはの四肢を金色のリングが拘束する。身動きの取れないなのはを見下ろしながら、フェイトはバルディッシュを構える。

 

『なのは! 不味いよ、それはフェイトの本気だ!』

『なのは!』

 

 アルフとユーノが叫ぶ。だが、それと同時にフェイトの準備は整っていた。

 フェイトの周囲には無数の光弾が生成されていった。

 

「ファランクス……!」

 

 フェイトは腕を振る。瞬間、バインドされたなのはめがけ、無数の光弾が迫る。一撃一撃が直撃する度に爆煙がなのはを覆う。

 フェイトにとっては必殺の布陣である。動きを封じ、そこへ最大火力を連続で叩きこむ。事実、もはやフェイトの魔力も突き掛けていた。それほどまでに本気だという事だ。

 しかし……

 

「そんな!」

 

 驚愕するフェイト。着弾地点には、僅かにダメージを負ったなのはが、しかし無事に空を飛んでいるのだ。しかし、周囲の紫電が走る度になのはのバリアジャケットにも電撃が走るのを見るに、完全には防ぎきれなかったようである。

 

「撃たれた後にバインドが解けてなかったら不味かったかも……」

 

 その土壇場で最大出力のシールドを展開する手際の良さは成長のあかしなのだろう。

 

「今度は私の番!」

 

 ビリビリとあまり考えたくはない痛みを押さえながら、なのははレイジングハートを展開させる。今、彼女の周囲にはフェイトの放った魔法の残滓が残っている。なのはとレイジングハートはそれらをかき集めるようにして、エネルギーをチャージする。

 

「そんな大技させない!」

 

 バルディッシュを鎌にし、迫ろうとするフェイト。だが、それは今しがた自分が取ったのと同じ方法で防がれる。

 

「バインド!?」

 

 目を見開き、バインドされた腕、そして、今なおチャージを続けるなのはへと視線を向ける。薄いピンクの魔力がなのはを中心に集まっていく。それはまるで星の輝きのようであった。

 

「行くよフェイトちゃん! これが私の全力! 全開!」

 

 レイジングハートの輝きが最高潮へと達する。

 

「スターライト……! ブレイカー!」

 

 その瞬間、膨大な魔力の奔流は一直線にフェイトへと向けられた。星の爆発のような光景、フェイトは眼前に迫る強大な魔力の塊を唖然と眺めている事しかできなかった。

 

 

 

 勝敗はその瞬間に決していた。ブリッジにてそれを確認していたクルーらの仕事は早かった。それは翔太郎も同じである。フィリップの肩に軽く叩き、翔太郎は一人ブリッジを後にした。向かう先は転送ポートであった。

 残ったフィリップは画面にて事の推移を見守っていた。決闘は終わった。勝者はなのはであった。フェイトは決闘の約束通り、全てのジュエルシードをなのはへ、管理局側へと譲渡するという。

 だがそれで解決するはずがないのを誰もが想定しているのだ。少なくとも、決闘を繰り広げていた、二人の少女以外は。

 

「来た!」

 

 エイミィが思わず席から立ち上がる。

 その瞬間、決闘の場であった海上の空が歪む。轟音と共に雲が渦を巻き、紫色の閃光がフェイトを直撃する。

 

「来た! けどあれ不味いよ!」

「なのは! 彼女を保護するんだ! 死んでしまうぞ!」

 

 エイミィとクロノが叫ぶ。それほどまでにその雷は危険だという事だった。画面の向こうでは、その雷の影響か、フェイトのバルディッシュは粉々に砕け、フェイト自身も意識を失った様子だった。それをなのはが保護すると同時にフェイトが譲渡しようとしたジュエルシードは吸引されるようにして、渦の中心へと吸い込まれていく。

 

「座標固定! データ転送しましたよ!」

「武装局員ならびに左さんを転送!」

 

 満を持しての号令、リンディの指揮と共に転送ポート内にいた局員らと翔太郎はプレシアの待つ『時の庭園』へと転送される。

 

 

 

 転送終了と同時に翔太郎は他の武装局員と共に乗り込んだ本拠地を通過する。驚くほどに抵抗はなかった。不気味な程にすんなりと進行した面々は中枢部と思われる区域へとたどりつく。

 だだっ広い空間の奥、玉座のような椅子に座るプレシアを確認する。局員がプレシアを包囲する中、翔太郎はゆっくりとプレシアの真正面へと移動した。他の局員がデバイスを構える。その中、隊長格と思われる局員がちらりとダブルを見た。

 

「あんたがプレシア・テスタロッサか」

 

 翔太郎の問いにプレシアは答えなかった。それが回答である。

 

「俺は鳴海探偵事務所の左翔太郎だ。依頼の関係であんたに会いに来た。あんたには色々と聞きたい事も言いてぇ事もあるが……これだけは聞かせてくれ。フェイトはあんたの娘なんだよな?」

 

 それでもプレシアは答えなかった。翔太郎は内心の怒りがこみ上げてくるのを押さえた。帽子を深くかぶり直した。それが合図になったように、局員らが包囲を狭める。

 

「プレシア・テスタロッサ! 時空管理局法違反、及び管理局艦船への攻撃容疑であなたを逮捕します!」

 

 なおも答えないプレシアであった。局員らはそんな彼女を諦めたのだと思い、一部の方を残して周辺へと散会する。その内の何人かが玉座の背後に隠された通路を発見する。瞬間、沈黙を保ってきたプレシアに動きが見られた。

 大きく瞳を開けたプレシアは一瞬にして、玉座より消える。

 

「短距離のワープだと!」

 

 隊長格の男が驚愕する。瞬間、玉座の奥より悲鳴が聞こえる。急ぎ、現場へと駆け寄るとそこには信じがたいものが鎮座していた。ガラスのシリンダーの中、液体で満たされた容器の中には一人の少女が浮かんでいた。

 そして、その周囲には地に伏した局員と、それを見下すプレシアの姿があった。

 

「これは……!」

 

 その光景に翔太郎は目をそらす事も出来なかった。そのシリンダーに浮かぶ少女は、フェイトと瓜二つだったのだ。

 その衝撃はモニタ画面を通すアースラ内にも走っていた。いや、その中で一番衝撃を受けていたのは保護、回収されたフェイトであろう。なのはとの決闘、母による攻撃、ジュエルシードの強奪、そして母の逮捕の場面、衰弱しきった彼女には十分過ぎる程の衝撃があったにも関わらず、目の前に広がる光景は、フェイトの思考を混乱させた。

 

「まさか……あの子が……」

 

 画面越しに眠ったように浮かぶ少女を見て、フィリップは呟いた。

 

「アリシア……テスタロッサ……!」

 

 そしてそれは、現場にいる翔太郎も同じことを言葉にしていた。

 

「この子が……俺達の依頼人……だってのか!」

 

 唖然とする翔太郎を押しのけるように局員が割って入る。各々がデバイスを構え、反抗を見せたプレシアに対して光弾を放つ。

 

「おい、待て! 後ろに!」

 

 翔太郎は思わず静止したが、遅かった。局員の放った光弾は寸分の狂いなくプレシアへと放たれる。だが、それらがプレシアの体に届く事はなかった。見えない障壁に阻まれるようにして、光弾は弾かれる。

 

「私のアリシアに近寄らないで!」

 

 プレシアはそう叫びながら手をかざす。その瞬間、閃光が走る。

 

『防いで!』

 

 リンディの叫びが聞こえる。翔太郎はベルトを装着、ガイアメモリを挿入し、変身の準備を整えた。フィリップもまたそれを想定していたのか、すぐさまガイアメモリを挿入する。

 それと同時に落雷が起こる。局員たちの悲鳴が響く。次々と倒れていく中、一人、ダブルだけはかろうじてその場に立っていた。僅かな間にダブルはメタルメモリとヒートメモリを用いてダブル・ヒートメタルへと変身していたのだ。パワーと耐久に優れた形態である。だが、それでも直撃を受けたダメージは大きい。いつぞや受けた雷とは比べ物にならなかった。

 

「ぐ……う……」

『翔太郎!』

「大丈夫だフィリップ……」

 

 ダブルはメタルシャフトを杖のように立て、何とか立ち上がる。

 

「一人残ったようね……まぁ……いいわ」

 

 プレシアは興味が失せたように、背を向け、少女が浮かぶシリンダーへと寄り添う。

 

「もう時間がないの……邪魔な虫どもの相手をしている暇はないわ……けど、そうね……確かめたい事があるわ」

 

 プレシアはのっそりとした動きでダブルを睨みつけるとニィと笑みを浮かべる。

 

「次元を渡る者、世界の破壊者……ディケイド。またの呼称をマスクドライダー……」

 

 プレシアが再び手をかざすと、倒れていた局員が魔法陣にのみ込まれていく。

 

『強制転移! 左さんだけを残して!?』

「何!?」

 

 意図も簡単に局員を送還させた力もさることながら、プレシアの放った言葉。その言葉はダブルにとっても特別な意味を持つ。

 

「あなたがディケイドなのかしら」

「残念だがよ。俺は、俺達はダブル。仮面ライダーダブルだ」

「そう……残念ね……ならもういいわ」

 

 たったそれだけの会話をしただけで興味が失せたのか、プレシアはまたもシリンダーへと向いた。

 

「やはり時間の無駄だったわ。消えて頂戴……8個のジュエルシードじゃ確率は著しく低下するけれど……私はアルハザードへ向かう」

「アルハザードだと?」

「禁断の地、古の秘術の眠る世界……そう、私はアルハザードに行くのよ。アリシアと一緒にね……そして終わりにするわ。アリシアのいない人生を、この子の代わりの人形を愛でるのも……終わりにするのよ」

 

 それはフェイトにとって耳を塞ぎたくなるような事実であった。それを知ってか知らずか、プレシアは続ける。

 

「聞いていて? フェイト……あなたの事なのよ。せっかくアリシアの記憶をあげたのに、同じ顔なのに、体なのに……似ているのは見た目だけ! 役立たずのお人形!」

「お前!」

 

 思わず、ダブルはメタルシャフトを振りかぶり、プレシアへと迫る。

 

「邪魔と言ったわ!」

 

 虫を払うような感覚で、プレシアが腕を振るうと紫の魔力光が鞭のようにしなり、ダブルを薙ぎ払う。

 

「ぐあぁ!」

「どうせあなた達の事よ……私の事も調べたのでしょうね……」

『……事故で娘を失ったあなたが、人造生命体の生成に着手していた事実は既に掴んでいます……そしてそのプロジェクトの名前がフェイトであるという事も……』

 

 エイミィはこれ以上隠しだては無理だと判断し、事実を、聞かされていなかったなのはらに説明する。だが、そんな事実をいまさら語った所で何になろうか。フェイトは、そんな事実聞きたくもなかったし知りたくもなかった。だが、それでも無情な現実は彼女に突き刺さるのだ。

 

「アリシアは我がままだったわ。お転婆だった……けどいつも私に優しかったわ。私にいうことはちゃんと聞いてくれた。」

 

 シリンダーをなでながら、まるでフェイトに言い聞かせるようにプレシアは愛娘の想いでを語る。

 

「けどあなたは……駄目ね。アリシアの代わりにすらならないわ」

 

 プレシアは虚空を睨みつける。その目はまるで画面越し、見えないはずのフェイトを射抜くような視線であった。

 

「フェイト……私はね……あなたを作ってからずっと……」

『止めて!』

 

 アースラにいるなのはの叫び声は静止にはならない。

 

「あなたの事が大嫌いだったのよ!」

 

 その瞬間、フェイトは茫然となり、その場に倒れ込む。瞳は大きく見開いたまま、だが、それは何も映してはいなかった。

 

「うあぁぁぁぁ!」

 

 それと同時にダブルがメタルシャフト突きたてる。しかし、それもプレシアの障壁によって防がれる。

 

「プレシアぁ! お前は!」

『プレシア・テスタロッサ……娘を失ったあなたの思いは僕達には簡単に理解は出来ないだろう。だが、フェイトの想いは痛いほどわかる!』

 

 翔太郎とフィリップの怒号が飛ぶ。

 

「だから……?」

「だからだと!?」

「消えなさい!」

 

 瞬間、プレシアの放つ衝撃波がダブルを包む。一撃にして、壁をぶち抜き、広間へ押し戻されたダブルは、変身が解け、翔太郎の姿へと戻る。

 

「がぁ……! 変身が……」

 

 それと同時に周囲が揺れる。それは時の庭園そのもの大きく揺れ動いている証拠であった。揺れの激しさからか、それとも受けたダメージからか、翔太郎はその場に倒れたまま、身動きが取れないでいた。そんな翔太郎を尻目にプレシアがシリンダーと共にこちらへと向かってくる。周囲には奪ったジュエルシードが浮遊していた。その輝きは次第に大きくなっているのが分かる。

 

『不味い不味い! 庭園周囲の魔力反応増大!』

『エイミィ! 左さんを回収!』

『できません! 魔力の波が!』

 

 アースラ内も混乱が走っていた。それをさらに加速させるように、広間やその周囲、恐らくは庭園全てにだろう。巨大な甲冑が姿を現す。

 

「ふ……ふふ……ハハハ……ハハハ!」

 

 プレシアは笑いが止まらない。ジュエルシードの輝きはさらに増していた。

 

「私たちの旅は邪魔させないわ! 誰にも!」

 

 その狂気の姿は、翔太郎には哀れに見えた。だが、それ以上に自分も不味い。運が良い事にプレシアも巨大な甲冑も翔太郎には関心を示していなかった。障害にすらならないのだろうと判断されているようだった。

 

「くそ! いい気分がしねぇ!」

 

 翔太郎は苛立ちを隠すつもりもなくプレシアを睨みつけた。揺れがさらに強くなるなか、翔太郎は何とかして、立ち上がる。

 だが、次の瞬間、翔太郎の足下の床が音と共に崩れ去っていく。

 

「な……!」

 

 腕を伸ばす。

 だが、掴めるのは崩れ落ちるかけらだけだ。そして、衝撃波が翔太郎の体をあおる。いとも簡単に翔太郎の体は吹き飛ばされ、がれきと共に外へと放り出されていく。その光景を、モニタ画面で見る事しか出来ないアースラの面々は、そしてフィリップは絶叫した。

 

『翔太郎―!』




長い! 雑! 穴抜けチーズみたい!
けど次で終わり!

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