~FO&艦これ~ エンクレイブよ永遠なれ 作:dutch van der linde
目覚めた時、そこにはよく見知った鋼鉄の天井があった。もっとも、天井の蛍光灯は消えているが。
「う、うぅムゥ...?」(アレ、なぜ俺は制御室に-)
融合炉!!!
頭の中で言葉が発せられると同時に体が跳ね上った。急いで融合炉の状態を確かめに行こうとするが、足はコンソールに向かって半歩踏み出したところで止まる。
「ち、沈静化されてる...」
感嘆と安堵まじりに漏らした。
これは息子に礼を言わないと...
ガンっ!!
(!!)
心の中で息子に感謝の言葉をあげると、轟音が聞こえる。
助けが来たようだ。
「オータム大佐!?ご無事でしたか!?」
胸元に"SIGMA”と刻印つけられた兵士が自分へ手を差し伸べてきた。施設の自爆危機で逃げ出さなかったことを見ると、相当練度の高い部隊なのだろうか。あとで調べてみるか。
「今すぐに大統領区へ!大統領閣下が-」
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”閣下...”
電気が消えている都合、暗くてよく見えないが、床に血を流しているスーツ姿の男がいる。
間違える事はない。
この死体がリチャードソン大統領だ。
後ろに立つシグマ小隊分隊長が声をかけてきた。
「先程伝令が戻ってきました。大統領アクセスキーが侵入者の体にあったようです」
「警備陣がまんまとやられた訳か」
軍法会議モノの失態だが、過ぎた事は仕方がない。
電源が施設に戻らねばコントロールステーションは落ちる。今は一刻も早く復旧を急がねば。
「とりあえず...火葬は明日執り行う。とりあえず、今の最上位指揮官は誰になるんだ?」
一瞬の間をおいて、部屋中の視線が自分へと向く。
「おいおい、長官連中はどうした」
「奥の会議室で...」
分隊長が言葉を濁す。少なくとも生きているということはなさそうだ。
「分隊長!幹部陣で残存している者は何人いる?」
「えー電力の枯渇で完全な確認は完了していませんが、確認されたのは大佐のみです」
「壊滅させられたのか...外に出るぞ。確かめたいものがある」
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錆びついたドアを強引にあけ、ステーションの屋上へ出てきた。肺に新鮮な磯風が流れ込む。空気が妙に新鮮なような気がしなくもない。
「大佐?RAD計が...」
「0になっているか?」
「は、はい。誠に信じ難いですが」
実際に動くとは...
「アウガスタスのギャンブルは成功、と言うわけだ」
「お子さんの...?」
「気にするな、重要なことじゃない」
「はっ」
子供が育つのは早いもんだ。
それはそうと、現状把握を急がねば。
「これから忙しくなるぞ」
大佐は青い海を一瞥すると中へと戻っていった。
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プロジェクト『NOOSPHERE』
ターミナルの緑色の太字では、そう書かれていた。
元を辿れば、エンクレイブの他惑星移住計画のうちで試された一手段だったようだ。
数百万トンの施設ごと他惑星に飛ばすなどジェット中毒者のウェイストランド人が言う夢物語のようだが、これを依頼した当時のエンクレイブも、実際に作ったビッグエンプティの研究チームも、どちらもいたって真面目だったんだ。実際、試作品が完成していたのだから。
「結局、運び出される前にアカの爆弾が落ち...倉庫に眠っていた所をウチのタスクフォースが発見.."Curling-13"型FEVが完成しなかった時用の保険としてリアクタールームに保管となったのか...」
だが、こんな謎テクノロージーも必要はない。
FEVの改良が完成した今、あとは空気中に放出するだけだ。それでアメリカ中のミュータントは死に至り、新たなアメリカを創る場所ができる。
このテクノロジーもきたる祖国の復興と浄化のためには使い所はあるかもしれないが、現状、我々には必要がない。
「処遇は保留っと...」
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「大佐、大丈夫ですか?」
真っ暗闇のオフィスでAPAを着たシグマ分隊長がよぶ。暗闇の中、スーツの目がぼんやりと光っており、その姿は不審者さながらだ。
「ん...大丈夫だ。シグマ、で良いか?」
今は振り返る時じゃないな。眼前の課題が多すぎる。
「はい。ではレポートをー」ジ...ジジ...
蛍光灯が数度点滅したあと、眩しく発光し始める。
「融合炉が復旧したのか?」
「いえ、バックパップ電源です。エンジニア・コアによると融合炉は完全に焼き切れており、地下施設で部品が製造できるまで復旧は不可能との見通しです。幸い、効率と電力の量は劣りますが核分裂炉もあるのでそちらを整備し発動させた模様」
「施設全体を賄う電力は作れるのか?」
「いえ、バックアップ電源だけでは無理です。とりあえず、バイタルシステムと最低限の自衛システムに電力供給を始めた様子です」
「うぅむ」
側から酷い知らせだ。
6割方の労働力をロボットに頼るコントロールステーション・エンクレイブにとって電力不足は施設の完全崩壊を意味しかねない。今のところはバックアップで首の皮は繋がっているが、電力問題が解決しない限りは、このコントロールステーションはただの油田と変わらない。
「電力生産を増やす方法はないのか?」
「私には詳細はわかりませんが、融合炉を復活させるしかないかと」
まあそうだろうな
「地道に機会を探すか...次」
「フランク・ホリガンに関してです」
「容態は?」
「侵入者との相打ちの末下半身が吹っ飛びましたが...奇跡的に息があった様子。今は培養タンクで実験と治療を受けています」
写真では床中を臓物と血が埋める。臭いを想像しただけで昼飯を戻しそうだ。
「侵入者を仕留めて、裏切り者も仕留めるとは上々。さすがは我々のスレッジハンマーだ。治療にはどれだけかかる?」
「三週間ほどかと。ですが、この機会を利用して彼のデータを取りたい、という声も...」
「確かに興味深いが、エージェント・ホリガンにはできるだけ早く復帰してもらいたい」
「不許可、ということで。では、最後にですが」
シグマが紙を整え咳払いした。
「研究陣からです。..."謎の魚類"...なるモノを捕獲したので、実験許可を求めてきました」
「ふざけているのか、彼らは」
この非常事態にお魚の解剖か。全く、研究者という生物は理解し難い。
「いえ、報告によると...この"魚"はプラズマライフルの直撃を耐えたようです。それもかなりの数を」
「は、はぁ?」
「しかも、拾い上げてみたところ外傷が極めて-」
「ちょっと待ってくれ。...こいつは"魚"なんだろうな?」
エンクレイブ制式プラズマライフルが放つプラズマ弾は所詮、紛いものといえども、高純度のプラズマだ。打ち出すプラズマ弾の温度は最低でも一万度前後には届く
防御装備もつけてない原生生物が直撃に耐えれるわけがない
「ええ。今写真を見ていますが、"魚"かどうかはラインを攻めてますね...」
シグマが写真を見せてくる。そこには、黒い外角を纏った骸骨みたいな魚?がいる
口の中にあるのは銃か?
「なんだこいつは...?」
「こちらのPA兵に気づくなり、20mm相当の砲撃を加えてきたようです」
「それのどこが"魚"なんだ!」 バンッ!!
思わず机を叩くが、はっとして座り直す
エンクレイブの大佐なんだ
化け魚類が見つかった程度で、痴態を晒すわけにはいかない
「...確かに面白い"魚"だな...研究を許可すると言ってくれ」
「了解しました」
シグマはスルーして、
「最後に、他基地との連携ですがー」
「それは無理だろうな」
当然だろう
ナヴァロ基地はコントロールステーションから少なくとも180マイル
Project 『NOOSPHERE』の射程はわからないが、そんな広大な範囲を転移させたとは考えにくいだろう
Project 『NOOSPHERE』のことなんぞ露知らず、シグマが首を傾げる
「なぜそのようなことがわかるので?」
「貴様は知らんでいいことだ。ただ、融合炉の上にあったあの機械が原因だと言っとこう。ああ、それとこの件に関してだが、ベルチバードは何機動かせるんだ?」
「確認は済んでおりませんが...」
「ならすぐにでも確認してきてくれ。可能になり次第、陸地を探したい」
「陸地を?そんな、本土に部隊を送るほうに部隊を割いた方良いと思いますが」
「事情は説明できんが、その本土の存在自体が怪しいんだ。無論、本土方面にも部隊は送ってもらうがー」ジリリリ
チッ こんな時に電話か
受話器を手に取る。
「こちらオータム。要件はなんだ? ....はぁ?」
「エデン大統領だと?」