~FO&艦これ~ エンクレイブよ永遠なれ   作:dutch van der linde

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第二話『レイブンロック』

ザー..ザー..

 

雨が、整列するAPA兵に当たる。

 

ガシャ...ガシャ...

 

APAを着込んだ兵士が前に2歩程出る。その手に持たれたM1ガーランドが雨雲に向けられる。

 

バン!... バン!...バン!

 

「敬礼!」

 

一列に並び、星条旗をかけられた数十個の棺に火が投げられる。ほのかに油の匂いがした棺はたちまち燃え上がり、辺りを照らす。 

その日のコントロールステーションは、静寂に落ちきっていた。 

 

=====ーーーーー=====

 

「現区域ノ制圧ヲカイシシマス」ビュン!ビュン! 

グェ!

 

あたり一面を埋める白銀の中、プロテクトロンの手から放たれた赤い光線が中国兵を灰に変えた。

対抗側から負けじに弾が撃ち返されてくる。プロテクトロンの頭部ガラスが壊れた。 

 

バリッ!「中核構造ニヂ-ンン..ダイナヒ...」 バーン!!

プロテクトロンから爆炎が上がる

 

チェンチ! ウラァァ!!

 

ここぞと煙に乗じて何十人もの中国兵が突貫を始めた。

 

バララララ!!

走る中国兵の身突如と降り注ぐ5mm弾。隠れる暇も撃ち返す暇なく、アラスカの白銀の雪がたちまち濃い赤に染まっていった。

 

シュウゥぅ...

北極圏の大自然の中に佇む冬仕様T-51パワーアーマー。その手にはロックウェル社製『CZ23』歩兵携行型ミニガンをぶら下げ、赤熱化したバレルのぼんやりとした明かりを雪に反射させていた。 

 

巨大な銃が雪に置かれる。数百度はあるだろうバレルが雪に近づくが、不思議と雪は溶けない。雪が青白く発光し始めた。

凍えるほど寒かった気温が急に常温に変わる。着ていたはずのT-51が量子化し、自分の周りで現実が光と共に崩れていく。

幻覚が消えた頃にはポッドのガラス越しに鋼鉄の天井しか見えなかった。

 

「VR訓練終了!」 

 

APAを着込んだ教官がそう言う。

もう終わりなのか?

 

「ten-hut!」

 

なんだ、親父が来ているのか。

ただ一人ポッドから飛び降り、一人で整列線に急ぐ。同期のエンクレイブ・士官学校生はいないから親父の前まで直接いったほうが早いと思うが、規律は規律だ。  

 

「Recruit, Attention!」 

 

教官が号令をかけるとともに整列線でビシッと気をつけの姿勢を整える。

 

「訓練はどうかね?」 

「想定した時間よりはるかに早く進んでおります!この調子なら今月中の実戦配備も考えられるかと!」 

「良い知らせだー」

 

「が、前線訓練は今日を持って中止だ」 

 

 はぁ?

「はぁ?」 

 

教官と自分が呆れ声を漏らすが、親父が自分の腕を掴む。

 

「とりあえずアウガスタスをもらうぞ」

 

=====ーーーーー=====

 

バッバッ... 

 

「おやーオータム大佐。本当に自分も行くのですか?」

「御託は良い。さっさと乗れ、オータム中尉」

「...イエッサー」 

 

ガチャ... 

 

「大佐、本気ですか?」

「御託はいい。さっさと乗れ」 

 

バッバッバッ...バラバラバラバラ!! 

 

=====ーーーーー===== 

 

ブーン...

 

無機質なベルチバードの機内にプロペラの音が木霊する

 

バチッ...

 

隣に座るシグマのテスラパワーアーマーから出た火花の明るさではっと気が付く 

 

...飛び始めてからかれこれ10分経っただろうか

そろそろいいだろう

機内連絡用のヘッドフォンに手をやる  

 

『訓練を邪魔して悪かったな、アウガスタス』

『...その口調でいいのか、親父。兵が一緒だぞ?』 

『シグマという。ボディーガードだ。俺とお前共々これから付き合いが長くなるからいいんだ』 

 

フランクな態度にアウガスタスが呆れたような顔をし、一瞬肩から力を抜こうとした。が、自分の顔を見たら真剣な雰囲気を察知したのだろう。自分の面影が強く残る息子の顔の目は、自分に注目していた

 

『単刀直入に言おう、アウガスタス。下士官訓練プログラムをやめて、()の元で直接働いてもらう』

『...なぜ今更そんな事を?元々はといえば、自分でキャリアを作れとアンタが言ったんだろ』 

『単純に状況が変わったからだ。数日前の上級将校の大量殉職でアメリカは強く指導者を求めている。前から思っていたことだがお前の知略、リーダーシップは言わずもがな、機転は周りと頭が一つも二つも抜けている。その素質を俺の元で生かしつつ、お前を育てたい』 

『...ふーん。なかなか自分に都合がいいな、親父』 

 

アウガスタスは探るように自分の顔を見る。まぁ、当然のことだろう。 

 

『別に俺の手元に置くわけじゃないぞ。ただー 『大佐。レーダに反応が』 

 

どいつもこいつも都合が悪い時に...

 

『反応は?』 

『コイツは...ナヴァロ基地隊の奴です』 

 

ん? 

頭が真っ白になる 

 

『ちょ,ちょっと待ってくれ... ナヴァロ?』 

『? 何かおかしいのですか?確かにナヴァロはちょいと遠くですが..とりあえず無線を繋ぎます』 

 

ナヴァロ基地があるのか?

クソっ 不安定すぎる... コレだからビッグエンプティ産のテクノロジーは使いたくないんだ

 

アウガスタスが訝しんだように見てくる。 

 

『なんかおかしいのか、親父?』 

『いや、おかしいも何もー』 『えー、えっと大佐』

『どうした』 

 

『ワシントンD.C、"レイブンロック基地"に誘導されましたけど...』 

 

=====ーーーーー=====

 

昼下がりの横須賀鎮守府。

無限の彼方まで続く、海のように蒼い空に積乱雲が遠くに浮かび、帝国海軍旗がそよ風にはためいている。 

湿った薄暗い工廠から、そんな景色が見えた。 

 

「んー...わからないなー...」 

 

横須賀鎮守府所属、工作艦の明石がうなる。 

 

この鉄の球体は、最近工廠に入ってきた新顔だ。 

だが、数日経った今でも謎の存在であり続けている。

 

「ハァー..."何なのか調べて"って...」

「作業の進捗状況を見に来たんだけど...作業はどうだ?」 

 

声に慌て、後ろに振り向く。

 

「て、提督!?なんで工廠に?!」

「書類作業がひと段落したからな。こちらを見に来たんだ」

 

そう言う提督の目は、作業机を埋めるスクラップに張り付いていた。 

 

「で?なんかわかったことあるか?」 

「いやー...それが..」 

「やっぱり難しいか」 

 

そりゃそうだろうな、とでも言いそうな顔をして提督が言う。 

 

「提督...すみません」

「そう気負いすんな。そもそも空中浮遊する所属不明の機械の解析なんて鎮守府の仕事じゃないんだ。今週中に大本営から回収人がくるよ」 

「!そうですか... でも技術者としてなんか、負けた気がします...」 

 

提督が笑う。 

 

「その気持ちこそ、明石が仕事熱心な事の証だよ。お疲れさん。少し休みなさい」 

 

言われてみると、瞼が重い。

ここ数日寝てないんだっけ...

 

「御労い、ありがとうございます。では少しの休みをとらせてもらいますね」

 

=====ーーーーー=====

 

工廠のドアを開ける。 

油と錆の匂いがなくなり、新鮮な空気が鼻を抜ける。

 

「あ〜〜〜っっ..」 

 

体を思いっきり伸ばしてみる。ボキボキと体の至る所から音がする。 

今度から定期的に外に出るようにしようかな...

 

「Oh!hi明石!」

「あ、アイオワさん!今日の出撃はもう終わったんですか?」

「Yes! Princessと比べたら、Sortieは楽すぎるネー!」

「アイオワさん、ついこの前に着任したばっかなのに...すごいですね!」

「ふふ、そうでしょう!この調子で america まで no time だよ!」 

 

アイオワが笑っていう。その自信に満ち溢れた顔を見ていると、本当にそんな気もしなくもない。 

 

「で明石に聞きたいんだけど..」 

「ロボットのことですか?」

「!! YES! 何かわかりました?」 

 

首を横にふる。

 

「すみません...私じゃどうにも...」 

「oh...」 

 

アイオワが目に見えてがっかりした。

 

...聞いた話によると、このロボットの知らせを聞いた時アイオワの目の星が輝いたと言う。

現に、何かにつけて私からロボットのことについて聞いてくる。このロボットが流していた音声のことを知っていれば、理由もわかる。 

だからこそ、自分の無力さを痛感してしまう

 

「力になれなくてごめん...」 

「oh no no... 明石の性じゃないよ」 

 

「Americaはもう...」 

 

=====ーーーーー===== 

 

ババババ!!

 

『大佐、外を』

『おお』 

 

目前に森と草が広がる。

緑の..草? 

 

ありえん

本土にこんなものは無いはず...

結局Noosphere は作動したのか?

 

アウガスタスが訝しむ。

 

『おー大佐...これは?』 

『中尉。これが、貴様の機転の成果だ』

『???』

『大佐。直下に町のようなものが』

『なんだと?』

 

ハッとする

まずい

戦前の町なら、レーダーがあるはずだ

 

『迎撃機は上がって来ているか?』

『大丈夫そうです。VB-02型はレーダー対策を施してませんが、かなり遠くから大規模な戦闘のような音がします。こちらに構っている暇はないのでしょう』

『都合が良いな。とにかく、早く目的地へ』 

『もう着陸状態に入りました』 

 

バラバラ!!バラバラ...

シュウン...

 

ドアを開けると、山嶺のような場所に降り立った。

 

「ふー...空気が-」

 「これは!オータム大佐殿!」

 

そう言っていると、ナヴァロの者に敬礼される。

このドスの効いた声はわすれられない。 

 

「おお、アーチ・ドーナン曹長か。ナヴァロはどうかね?」 

「はっ!こちら、ナヴァロ基地は健在であります!忽然と周りの様子が変わりましたが、それ以外は至って順調です!」 

 

あーもう やっぱりこの男の声は耳に悪い... 

 

「そうか、それはとても良い。ナヴァロの異常は本部の計画の一環だから心配ご無用。さ、エデン大統領...とやらへの案内を頼めるか?」

「はっ!喜んで!」 

 

=====ーーーーー=====

 

カンカン...

 

ドーナンに導かれ、最下層まできた。 

彼によると、ナヴァロ基地も発信された電波に導かれて集まったようだ。 

さすがD.Cの施設だけあって凄まじい。 第二のコントロールステーションともなれるかもしれない量の施設とセキュリティーだ。 

だが、不思議と駐屯兵が一人も見当たらん。みんなただのセキュリティロボットだ。 

無人だったのか?ならなぜ大統領がいる? そもそもなぜ、D.Cの施設までもが影響されたんだ? 

 

「ここが大統領執務室でございます!」 

「ご苦労...?」 

「なおエデン大統領から大佐だけが入るようにと、指示が届いておりますので残りの二人は私共と!」

 

ここは執務室でもなく、中枢コンピューター室だ

改装でもされてるのか?

 

「大佐...何かおかしいですよ」 

「わかっている。外でまて」 

「はっ」「はっ」 

 

 

ドアが開くと、バビロンの塔のような構造物が目に入る。アメリカの技術の結晶こと、Z.A.Xスーパーコンピューターだ。基地を総括しているのだろう。だがなぜこれを...?

構造に巻き付いた階段を登る。 

 

....

 

『やぁ、オータム大佐』

 

!?  

壮年の男性の声が響く。だが執務室らしきものはない。

まさか...

 

「そういうことか」 

 

Z.A.Xの画面、いや、”エデン大統領”に言う。 

 

『御足労ご苦労だったな』 

「レイブンロック基地付属のZ.A.Xユニットか?」 

『そうでもあるが、是非、エデン大統領と呼んでくれ 大佐殿』 

「"大統領"と名乗るとは... 我々エンクレイヴ本部からZ.A.Xごときを総司令官に任命するオーダーは出ていないと思うが?」 

 

発声器越しのくぐもった笑い声が響く。

 

『なら”エデン”と、今はそれでいい』 

 

無駄な刺激はしない。

エデンがZ.A.Xである以上、このバンカー基地がオータム家の墓標になりかねん 

 

「詐称罪を見逃す代わりに質問に答えてもらおうか、エデンとやら。なぜ我々をここに呼んだ?」

『現状確認だよ、オータム君」 

 

青い画面が切り替わり、どこかの地図が映し出される。

 

『この地図は私がアイボットを通して調べられた周辺の状況だ。見ての通り、全部鮮やかな緑だな。ここは明らかにキャピタルウェイストランドではない。 寧ろ、アイボットが調べたところでは戦前のジャパニーズ・シティのようなものを見つけた』

「...!」 

 

Noosphereは作動していたか。

だが、すでに戦前国家が屯する土地だと...?

ウェイストランドの状況の方がまだ良かったかもな

 

『さて、その様子だと本部はこの現象について少し、"理解"があるようだね。教えてもらえるかい?』 

「...了承した」 

 

=====ーーーーー===== 

 

「...と言うわけだ」

『それはそれは...放射能汚染がない訳だ。ん?... ちょっと待ってくれ』

 

青い線が消え、エデン大統領が急に押し黙る。 

数十秒待つと、画面の青い線が発光し始めた。

 

『オータム君。来たところ悪いが、問題発生だ』 

「どう言うことだ?」 

『アイボットが一つ、現地民に捕まったようだ』

 

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