~FO&艦これ~ エンクレイブよ永遠なれ   作:dutch van der linde

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第三話『Eye-bot』

 

「それのどこが問題なんだ?」

 

ロブコ社製汎用小型ロボット『Eye-bot』

 

通信機に貧弱な装甲と頼りない自衛レーザーを取り付けただけのアイボットは長らくエンクレイヴの主要ロボットを務めてきた。 

それは何故か? 

 

汎用性だ。

 

小隊の工兵、看護兵から通信兵を担い、戦前由来のシステムなら簡単に侵入することができ、簡単な組み立てまで行える。外見は貧相なものだが、紛れもない傑作ロボットだ。 

だが、傑作故にアイボットは戦前でも世界中に輸出されていた。戦後世界と違って特段珍しい(流出したらマズイ)テクノロジーではないはずなのだ。 

 

機械音声のため息が響く。 

 

『大佐...もしかして、この世界は我々の2077年(戦前)だと認識しておられるのかね?』

「?」 

『図星か』

 

エデン大統領が黙りこくる。そこに違和感を覚えた。

エデンはZ.A.Xスーパーコンピューターだ。説明なんぞ、造作もないはずなんだ。ならなぜ黙っているか?十中八九此方の不安を煽ろうとしているのだろうが、軍事基地のZ.A.Xは政府に対する絶対的忠誠をプログラム自体に刷り込まれているはず。そんなことはできないはずなんだ。

自分を改造したのか?取り繕った人格が本当の人格に昇華したのか?

 

我々を主人(連邦政府)と認識していないのか?

 

『大佐。君はとんでもない思い違いをしているようだ』 

「何を言いたい」 

『これを見てくれ』

 

エデンの画面に新聞らしきものが映し出される。だが書いてある字が英語じゃない。

 

「...?レッド・チャイニーズの地下新聞か?」

『違う。ショウワ23年、西暦1953年に発行されたジャップの新聞だ。』 

「どこからそんなものを...」 

『来る時に見えただろう?麓の集落から回収したのだよ。ココは2077年の世界ではない!空質も2077年では有り得ない程綺麗だ。我々がいる"今"は地球の1953年なのだよ』

 

ありえん。 

Noosphere計画の目的は時代逆行ではない。惑星移住のはずなんだ。

そんなことができるわけが...

 

「嘘つけ!Noosphereがそんなことを出来るなんて、報告書には書いていなかったぞ!」

『Noosphere計画はビッグ・マウンテン産の技術だと自分で言ったじゃないか!あそこの報告書など何故当てにする?そもそも、報告書の内容が正しければこの施設がココに転移させられるわけはないのだよ』 

 

... 正論だ

 

一旦深呼吸だ。 

落ち着いていこう。 

 

「...じゃあNoosphereは一体何をしたんだ?我々の施設を時代逆行させたのか?」

『残念ながらどちらも不明だ。だが私が調査した結果、私のリアクタールームに関与が疑わしい機関が作り込まれていた』

「!戦前からプロジェクトは始動していたと言う訳か?」 

『おそらく。この理論でいくとコントロールステーション、ナヴァロと私以外も、戦前にルーツを遡る基地が転移していることになる』

 

あくまで憶測に過ぎんが、とエデンが付け足す。

 

『アイボットが捕縛されたのが問題に見えてきただろう、大佐殿?』 

「お前の言うことが正しければ、アイボットの存在は大騒ぎを起こすな...」

「だが、我々が今使える資源を再編するのには、膨大な時間が必要だ。あとは言わずともやるべきことはわかるな?』 

「...っ! ああ」 

残骸を回収しなければ 

 

=====ーーーーー=====

 

真夜中の鎮守府。

正門を照らすのは月夜と警備兵の電灯しかない。

 

ザッザッザッ...

 

「...」 

 

ザッザッザッ...

 

赤煉瓦の門の下で憲兵が辺りを見渡す。暗闇がどこまでも続いていた。

 

「正門異常なし」 

 

踵を返そうとすると、一陣の海風が吹く。

 

「うぉ..」 

 

樫の木がゆれ、地面の枯れ草が立つが所々伏せたままだ。

憲兵の脳が違和感を覚えた矢先、彼の意識は消えていた。

 

=====ーーーーー=====

 

「コレでよし、と...さぁーて、風呂入って寝ますかー」 

 

テキパキと作業机を元に戻していく。

一年もいれば慣れると言うもので、気づく頃には散らばっていた工具が消え完成した三式弾のみが机に残った。 

 

「終わりっと...」 

 

工廠の壁についた時計の針はもう12時を回って久しい。

体感では9時程度と思っていたものだが....

 

(危険はないけど工廠任務も楽なものじゃないね...)

 

ルーチンと化した動きで整備机に動くが机に散らばる謎の機械で腕が止まる。 

 

「おっと...こっちは箱詰めしないと...」 

 

明日か明後日か。目玉のような謎の機械は大本営いきになる。時間がある今のうちに包装を済ませよう。

 

そう思いながら箱を取りに行くものだが、数日の間自分を苦しめてきた機械が消えてホッとする一方、どうにも製作者に負けた気がしてならない。

 

(触るなって言われているし...余計なことはやめておこう)

 

奥部屋のドアを開ける。 

確か、ここら辺に木箱があったハズ...

 

「あったあった。よっと...」 

 

さぁ工廠へ戻るか。 

一歩ごとに木ばりの床が軋む。四大鎮守府の一角といえど、大本営から回される資金は昔のように潤沢とは言えない。噂によれば、陸軍の計画に多くの資源を使ってるそうな。渡される資金は艦隊運営に回され施設改築は噂もない。この工廠もすでに齢20-30といったところか。

だが、こんな状況でも他よりは大分マシなのだろう。

 

(改築を進言してみようか) 

 

謎の機械の横に木箱を置く。

散々悩ませてくれた難敵だった。

 

(大本営の私でもわかるかな?ー) 

 

ギィ...

 

後ろから軋む音がする。

(見回りかー !?!?!) 

 

突如として口が塞がれ、強烈な力で後ろから抑えられる感覚に襲われる。 

 

「...!」 

 

叫ぼうにも鋼鉄のような質感を持った透明な何かに阻まれ、上手く声が出ない。

まだ動く足で相手を蹴るが、相手の抑えはびくともしない。 

 

(誰かー!!) 

ドスっ

 

腹に痛みが走り、身体中の力が抜ける。体から何かが引き抜かれ、自分を拘束する力が急になくなる。

私は膝から崩れ落ちた。

 

『Package obtained』

 

(てい-とくー) 

 

『Sigma leader, what do we do about this one?』 

『Leave her be. I would rather it look like a accident than a struggle』

 

=====ーーーーー===== 

 

『回収完了』 

「お見事。お迎えは西に2マイルの森の中だ」

『Roger』 

 

あとは脱出するだけか。

肩から重荷が少し降りた気がする。 

 

ウィィィン...

 

自分のデスクに埋め込まれた鉄の球体が回り出す。数秒回り続けると突然止まり、青い目のような部分をこちらに向けて止まった。

 

『進捗はどうかね、大佐殿』

「ステルスボーイのおかげか、順調すぎて警戒するくらいだ。むしろ基地の異質さに気を取られるな」 

『”異質”というと?』

「女性の多さ、服装、謎の装置など、挙げればキリがないな。シグマ分隊が始末をつけたあのピンク髪の女など最たる例だ。小型のクレーンを腰につけたセーラー服姿の女なんて、1953年のニホンの文化では普通なのか?」 

『私が知る限りではそんなことはないはずだがね』 

「あと警備が緩いな。発見した歩哨はたったの三人だぞ?まるで陸からの敵を殆ど想定していないかのようだ」 

『そうだな。その癖して戦闘機にしても軍艦にしても、一つも見つかってないようだ。私にも基地の目的が全くわからん』 

 

全く理解できん。さすがはレッド・チャイニーズの同族と言ったところか。

だが、潜入先が馬鹿な分こちらの仕事は楽になる。ありがたいことだ。

 

『大佐』

 

シグマの声がする。

 

「どうした?」

『シグマ3のカメラをご覧になってください』

「了解した」

 

ピッピッ...ピッ...

 

画面に砂嵐が流れ、シグマのヘッドカメラに切り替わる。 

 

「??なんだね...この、機械?」

 

どこか冷凍生命保存装置の面影が見えるその機械は、何やら大掛かりな機械に人がちょうど一人くらい通れる大きさのハッチがついているようだ。

その横にはスロットマシーンを彷彿とさせるレバーと四つの計器盤がならんだ、巨大な仰々しい装置が設置されている。四つの計器盤上に示される数字はもれなく”000”だ。 

 

「エデン。この機械の用途はわかるか?」

『いや...わからんな。見当もつかん』

「データベースにないのか?」 

『それを全部確認して、"ない”と言っているんだよ、大佐ど....の?』

 

急に止まった。どうしたんー『シグマ分隊、伏せろ!』

*バガァン!!!!*

 

=====ーーーーー=====

 

『て、敵はどこかに行ったようですっ...』 

「よし、そこから動くな。落ち着いて待ってろ」

 

『工廠西側、固め終わりました』

『東もネー!』

『全機上がりました。いつでもお願いします』 

 

「行くぞ....」

 

すぅ....

 

「攻撃開始!」

 

*ドォン!!!* ガラガラ...

「砲撃やめ!突入隊、突っ込め!」

『了解ぃ!』

 

...

 

『明石確保!』

「すぐにドックへ運べ!残った者は鼠を追い詰めろ!」

『おうよ!』『了解よ!』『да』 

 

=====ーーーーー=====

 

*バガァン!!!!*

 

シグマ...

 

モルパイン...

 

シグマ隊長...

 

「隊長!大丈夫ですか!?」

「そのこえは...サンダーズか?」

「イエッサー」

 

倦怠感の塊のような身体を起こす。だが、感覚だけなら綿飴のような軽さにも感じる。

 

(モルパインか...) 

 

「報告」 

「ハーミズとホセもいます。ですが.. 「shhh....」 

 

カッカッカッ.... 

 

「鼠さんはどこかしら〜」 

 

カッカッカッ....

 

「...ステルスボーイ無ければ、見つかっていタナ」

「マジかよ、いいケツしてんじゃねぇか。アイボットの代わりにアイツ攫うか?」 

「! アイボッ...ト...」

 

ハーミズが笑って指を刺した先には崩落した屋根がある。

 

「...少なくとも解析は無いな」 

 

ヘルメットの通信装置を弄る。が、何も来ない。 

 

「...通信は?」

「さっき私のも切れました。多分敵さんの仕業ですね」

 

 

「音信不通、包囲そして降伏勧告。俺らは101stで隊長がパットンってところか」 

「ふふ...」「クク...」「ハハ...」

 

ふぅ...

 

プラズマライフルを拾い上げ、NVをつけ直す。

 

「シグマ分隊。Exfil開始」 

「おう」「Si」「了解」




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