愛してるんだ。君たちを   作:極光のAUroRA

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「出番が来たじゃない」
「来週の活躍が待ち遠しいわね」



短編なのにお気に入りが入るってことはちょっとは需要があるのかな?
そろそろ好き勝手しても……バレへんやろ……








フリーレンは今いないじゃない

 

 

【勇者ヒンメルの死から28年後。

中央諸国 ブレット地方。】

 

 寄り道をしつつも勇者パーティのひとり、アイゼンと30年ぶりの再会を果たしたフリーレン。

 ハイターとアイゼンの共同作業によりフォル盆地に大魔法使いフランメの手記があることを知ったフリーレンたちは、無事にフランメの手記を見つけることに成功した。

 魂の眠る地(オレオール)。死者と対話できる場所。

 フリーレンたちは手記から判明した大陸北部・エンデを旅の目標に定める。

 それは奇しくも、かつての旅と同じ目標だった。

 そして数日後の夜の夢。

 先日会いたくない奴に会ったからか。手記に師匠(せんせい)の影を見たからか。

 ここ数日、フリーレンの記憶の扉が開かれていた。

 考えたくなかったひとつの魔法の存在。

 

 

 

 

「なかなか様になって来たじゃないか。私には及ばないけどな」

 

 自然に囲まれ、世界を見渡せそうな崖の上。

 フリーレンがいつも修行を行う場所に、フランメがやってきた。

 

「そうだね。師匠(せんせい)、わざわざそんなことを言いに来たの?」

 

 何とも思ってなさそうに(面倒に思いながら)フリーレンは振り返りもせず答える。

 

「及んでもらわなきゃ困るから言うんだろ。ちゃんと用はあるさ」

 

 そこでようやくフリーレンは振り返った。

 出会ったころとはまた別の熟練した魔力の塔が見える。

 しかし、フランメ自身の表情は衰えを見せていた。

 

師匠(せんせい)、老けたね」

 

「そういうお前はいつもちんちくりんのままだな」

 

「エルフとしては普通だよ」

 

(…………そういえば、人間は(エルフ)と違うんだっけ)

 

 自分の中でフランメを人間の枠を超えた何かと思っていたことを認識しながら、フリーレンはフランメに問いかける。

 

「用って?」

 

「こいつだよ」

 

「…………なにこれ?」

 

 フランメがフリーレンに見せた、手のひらに乗っていたものは鎖。

 しかし実体あるものではない。魔力で作られたものだ。どこかに繋がっているのだろうが途中から見えなくなっている。

 

鎖を握る魔法(フェゼルーン)

 奴に仕込んであるものだ。お前にはこれを習得してもらう」

 

「ふーん、師匠(せんせい)のペットの?

 そういえば今日は一緒にいないんだね。あんなの野放しにして平気?」

 

「平気じゃねぇから()()があるんだろ。

 そしてすぐそこにいるさ。わかんねぇか?」

 

 言われてフリーレンは魔力を探るが、生命の気配に隠れているようでうまくいかない。

 

「わかんない」

 

 それに対してフランメは特に責める雰囲気を見せず答える。

 

「だろうな。近頃は隠れるのが上手くなっていて私もさっさと始末したくなって来てるよ」

 

「じゃあ始末しなよ」

 

「面倒なことに今は無理だ。そして理由もある」

 

 フランメが手の鎖を引く。

 

「ぎえっ」

 

 フランメの背後の森で何かが落ちた音が聞こえた。

 

「この魔法は物理的な距離に関わらず対象を縛ることが出来る。その気になればいつでも絞め殺せるし、相手の位置も把握できる。

 最近はお前にご執心のようだぞ? よほどお前の魔力が気に入ったらしい」

 

 フリーレンは魔法の効果以外を聞き流した。

 

「で、その魔法はどう使うの?」

 

「……まぁお前はそういうやつだったな。安心しろ、術式は単純だ。

 ただし相手の精神抵抗を突破しなきゃならん。そしてそのために必要なのは」

 

「基礎魔力」

 

 フリーレンの答えにフランメは満足そうに微笑む。

 

「そうだ。いくら10分の1で欺いても相手を必殺出来る魔力は必要だ。

 そして魔族の中でも警戒心の強い奴は極まれだが存在する。

 面倒なことにそういうやつらは魔法に高い抵抗を持つものが多い。

 だからこそ、その抵抗を突破して魔法を叩きこむ必要がある。

 そのための基礎魔力。こいつの抵抗を突破できるくらい鍛えたなら――――」

 

 

 

 

 

 

 

 華に彩られた墓の前。

 黄昏れるフリーレンの下へ人影が訪れる。

 

「御師様死んじゃったね。まぁ人間だったししょうがないか。

 でも御師様は流石だよねぇ。自分が死んでも契約は続くようにしておくなんて。

 こんな綺麗な契約魔法は魔族でも使えないんじゃない? ボクに負ける雑魚しか知らないけど。

 はぁ~。御師様いなくなって暇になっちゃったなぁ……。

 そういえば人間の魔法使い増えてきたんだっけ。ちょっと2,3人殺してみれば遊べるかな?

 君はどうする? 自分探しの旅とかしちゃう感じ?

 まぁ、それも君がここで死んだら意味ないと思うけどさ。

 でも安心してよ、魔王サマだかのせいでエルフは少なくなってるらしいから――――」

 

(やっぱり、魔族というのはクソみたいな驕りと油断の塊だ)

 

 魔力の反応。

 五月蠅い獣の鳴き声が耳に入ってくる中、フリーレンは師匠(せんせい)との約束を果たすべく、名前も知らない(木っ端の)魔族にひとつの魔法を唱えた。

 

鎖を握る魔法(フェゼルーン)

 

 

 

 

【勇者ヒンメルの死から28年後。

北側諸国 シェン湖】

 

 

 湖畔に建てられた小さなロッジ、ベッドの上。

 瞼の隙間を窓から差し込む朝日の眩しさが貫き、アウラは上体を起こした。

 右腕が重い。

 目をやれば女が腕にしがみついている。

 

「またか。あんた重いのよ」

 

 寝ているのをいい事に雑に腕を振りほどき、無防備な女の顔を見つめた。

 気持ちよく寝ているらしい。何かいい夢でも見ているのだろうか?

 もっとも、アウラにとっては面倒なことにさんざん巻き込んできたニクタラシイ顔だ。

 しかも先日ひとつ増えた。

 

「なんで私はこの女と一緒にいるのかしら」 

 

 アウラにとって、女は最初に出会った自分以外の魔族だ。

 それも生まれたばかりの自分よりはるかに弱い(魔力が少ない)とかいう。

 そのくせ、自分が『オカーサン』だとか名乗って舐めた口を利いてくるものだから本能的に識っていた支配の魔法をかけてやった。

 

『すごい、たまたま見つけた子が大当たりだ! しかもこの魔法が使えるって天才じゃない? ……あ、もしかしてこれがハジメテってやつ!? きゃーっ!』

 

 頭のおかしい女。しかし、頭以外もおかしかった。

 返り討ちにあってから、それが魔法を冒涜する制限の証だと知った。

 なぜあんなことをするのか。本当に同じ魔族なのかを疑いたくなるし理解に苦しむ。

 それどころか、その時かけられた支配(カウンター)のせいで『反抗』しなければならなくなった。

 女が何を思ってそんなことをしたのか、アウラはわからない。

 わかるのは、本能が叫ぶ強者への従属と反抗のせめぎ合いは心に負担を強いること。

 

 それからというもの、追い出すことも出来ず『家出』までの百余年を一緒に過ごした。

 もしかすると、魔族の中で一番『オカーサン』を理解しているのはアウラかもしれない。

 何かにつけて口を出す、面倒な奴だと。

 最近は『オネェサマ』とやらも同じようなものなのではないかと思わないでもなかった。

 それでもまぁ、利益になることを100に1つは言うような気がする。

 

「他の99が耳障りすぎるけど」

 

 アウラは記憶の欠片を引っ張り出した。

 

 人を食べた時はどうだったか。

『あー! また隠れて人食べてるな!? いくら美味しくても偏食はだめだよ!』

『どうして?』

『健全なる魔力は健全なる精神と健全なる肉体に宿るから。だからこの魔草も食べて』

『それ(魔力)が嫌。人間で育てたとは思えない。人間を食べるとどうして健全じゃなくなるの?』

『ぐぬぬ、品種改良が必要か。「人間を食べる」んじゃなくて「人間しか食べない」と健全じゃなくなるの。いろんな動物、いろんな植物、バランスよく魔力を取らないと抵抗力つかないんだよ。ボクらは理性があるんだから原始欲求に支配されちゃだめです。でもボクは食べてもいいよ?』

『いらない』

 

 そういえばこんな朝もあった。

『アウラ! 今日は皿洗いをします』 

『…………なんで?』

『皿洗いがボクの中でブームだから。人間に出来ることが出来ないって上位生物として悔しいじゃん』

『私はべつに思わないわよ。比較するほうが同じ土台に立つようで愚かしいわ』

『でも人間が悔しがる姿は見たいじゃん。上からマウント取るの気持ちいいよ?』

『皿洗いとやらはそんな大層なものに思えないじゃない』

『そんなこと言わずにさ~! 皿洗い出来たらたくさん褒めてあげるから!』

『いらないったら』

『へぇ、アウラは人間に出来ることが出来ないんだぁ? しかたないか。赤ちゃんだし』

『…………冗談、やってやろうじゃない』

『おお、流石アウラ! やっぱりかわいい~!』

『ちょっと、触らないでよ。ぐっ、この馬鹿力女……!』

『やり方は手取り足取り教えてあげるからね!』

 

 小鳥が囀る中で五月蠅くなったこともある。

『あ~うら あうら あ~うら

 あ~うら あうら だいまぞく!』

『何それ。あんたの新しい鳴き声?』

『違う違う。アウラのための応援歌だよ』 

『気が散るんだけど』

『だめだぞ~、こんなので魔力を乱してたら。ほら、集中、集中!』

『…………』

『お、ムカついた? アゼっちゃう? アゼっちゃう!? たまにはアウラに服従したいからいいよ?』

『……頭おかしいんじゃない?』

『誉め言葉だ。まぁ安心しなよ、この調子ならアウラは大魔族になれるだろうからね』

『そうね、貴女より偉くなってあげるわ』

『ふふん、楽しみにしてるよ』

 

 魔法の研究に行き詰った時だって勝手に口を出して来た。

『アウラの魔法ってさぁ。格下にはえぐいけど格上に不便じゃない?』

『魔力の高い相手に勝てないのは当たり前じゃない。貴女は何を言っているの?』

『あー、うーん……何と伝えればいいかな。魔力が指標だとボクみたいな抜け道がいるしさ』

『あんたみたいな背信者が他にもいるって? ありえないわ』

『ありえるんだなぁ、少なくとも2人』

『ふぅん……で、結局何が言いたいのよ』

『そうだねぇ……うん。もっと理不尽クソ魔法に調整していいと思うんだよ』

()()魔法をクソ魔法呼ばわりはやめてもらえる? 貴女よりマシよ』

『言葉の綾! もっと「はい私の勝ち~!」みたいなシンプルに行こうよ。せっかく拡張性の高い魔法なんだからそっちに挑戦してみない? 魔法はもっと自由に、だよ』

『そんな魔法は品性の欠片もないじゃない』

『うわ、そこでクソみたいな驕りと油断が出るのか~』

『そういう貴女はどうなのよ。口を出して来て具体的に考えているの?』

『ふふん、考えはあるよ? ――――魔法の女神を作るとかね』

 

 

 

 意識が現世に戻ってくる。

 アウラは天秤を出現させた。

 ひたすら魔力と魔法の鍛錬をして大魔族に登り詰めた証を。

 天秤を()()()見た女の魔力はやはり強大。

 ()()()()アウラの魔法はその優位をひっくり返せる。

 そうあるべき魔法だからだ。

 いい加減、この五月蠅い女との(しがらみ)から解放されるべきか。

 断頭台という二つ名。

 それは歴史上、最も多くの人間・魔族の首を自ら落として来たことに由来する。 

 その二つ名に女をひとり加える程度、造作もない。

 アウラは右手に呼び出した剣を握りしめて――――やめた。

 確かに支配はできる。しかし魔力の多いコイツはすぐ拘束を破るだろう。

 こちらが首を落とす前に。

 その動きが想像(トレース)出来たから、天秤と剣をしまった。

 

 そしてそれは、また今日も女の世話が始まることを意味していた。

 女を起こさねば駄々をこね始めて面倒なことを知っている賢者は日課を始める。

 

 アウラは女の細い首に手を添えた。

 ゆっくり、ゆっくりと(魔力)をこめていく。

 首に流れる回路を圧迫され、頭部に送られる魔力が阻害される。

 次第に女の顔に赤みが増し、口の端から泡が零れ、目じりから涙がにじみ出る。

 

 「ぁ……ぅ……ぁ……」

 

 声にならない吐息を出しながら女は目を開ける。

 アウラが手を放すと女は呼吸を始めた。

 

「ゲホッ、ゲホッ。おは、よう。やっぱりアウラの手で起きるのはいいね」

「そう」

 

 やはり頭がおかしいのだ。なぜこんな起き方がいいのかアウラには理解できない。

 それでもこれをするとしないのでは『反抗』の度合いが変わってくる。

 だからやっている。アウラにとってはそれだけだ。

 

「あれ、目覚めのキスはしてくれないの?」

 

 ベッドを降りると女が何か言って来た。

 

「いやよ。したいならひとりで勝手にすればいいじゃない」

 

「うう、ボクはアウラを愛しているのに素っ気ない態度でカナシイ……」

 

「私はそんな――――」

 

 頬から送られてくる魔力。

 振り返ったところを不意打ちされたらしい。相変わらず動きが追えない。

 しかもその魔力自体は心地よいのがまたココロを苛立たせた。

 毎度毎度、こんな魔法を冒涜するふざけた使い方をするなんて。

 が、それもすぐ離れる。

 

「それじゃあ朝ご飯よろしく~」

 

「…………炭でも食べることね」

 

「ええっ!?」

 

 おお、哀れ。かつてフリーレンにマウントを取っていた女はだらけきっていた。

 情けない女を放ってアウラは今度こそ寝室を後にする。 

 

 それでも。アイとやらを押し付けておいて。

 

 

「ふ、ひひひ。ふりぃれん……」

 

 自分がつけた首の赤みを撫でながら、ここにいないヤツの名前を出して笑う女が扉の隙間から見えてしまったら。

 

 

「フリーレンは今いないじゃない」

 

 

 フユカイ、というやつが鎌首をもたげ始めるというものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね、アウラ。でも、こればかりはやめられないんだよ」

 

 ひとり、ベッドの上で。

 帯状に首を絞めつける赤い痕を女はいつくしむように人差し指で撫でる。

 他人に生殺与奪を握られる感覚。

 絶対強者の自分が味わうことのなかったものを一度知ってしまったら、もう手放せない。

 フランメ亡き今、フリーレンさえ生きていればこの残響(えつらく)を何度も堪能できるのだから。

 もちろん最高は死ぬときに味わえるのだろう。これは名もなきご友人と同じ結論だ。

 けれど、そのために死ぬのは()()()()()()。まだまだ満足したいじゃないか。

 

「くひ、ひひひひ。感じるよ。渇きを、痛みを、苦しみを。これが君の愛なんだね」

 

 千年以上の時が熟成した、腐敗の賢老もびっくりな淀み。

 それでいて、女――魔族は研究者でもあった。

 

 魔族に人のココロ――特に愛だの罪悪感だのはわからない。

 それはなぜか。

 女の答えはこうだ。

 

「かくあれかしと望まれたから」

 

 魔物から進化したとか、収斂進化などはくだらない。

 そう望まれたからそう()()だけだ。そこに御大層な理論なんてのはない。後世で新人類と呼ばれても驚かない自信がある。

 だが、この考えはご友人とも意見が合わないで喧嘩別れしてしまった。

 では誰に望まれたのか。

 

 ()()()()()()()し、なんだったら女神サマが望んだことにしてもいい。

 

 そもそも人間だって自分たちがなぜ存在しているのかなんて知らないだろうし、愛についても確固とした解をもっていないだろう。

 例外を得てそれははっきりした。

 

(フェルンちゃん……ふふ、ボクが出会った初めてのニンゲン)

 

 研究者として赤点を貰いかねない答えだが、女はそれでもよかった。

 重要なことじゃないからだ。

 重要なのは、そう()()ことが出来ることだ。

 言い換えるなら、望みの通りに出来るということ。

 そう考えれば。いや、考えるからこそ。

 そこは()()()()()()

 別に完全でなくてもいい。それこそ()()ですら。

 

 今、アウラのココロは「経験から学んだ」模倣の段階なのだろう。

 本物などではない。

 けれど、十分な進歩だ。

 ハンコウキとやらのおかげだろうか。

 この僅かな差異はどうなる? 変わるのか? 変わらないままか?

 女はそれが気になって仕方がない。

 自分が変われているのかは、比較対象がいなければわからない。再現性すらあるのか。

 もしも、魔族が人のココロを手に入れたのなら。

 人間を欺く魔族が人間に罪悪感を抱くのだろうか。

 それは望まれた存在意義を歪ませる異常事態に違いない。

 

 そしてそれは、「魔族」という種族にとって――――。

 

(ふふ、お母様はどこまで考えていたのだろうね)

 

「まぁ、ボクの頭がおかしくなってもアウラは守ってあげなきゃ」

 

 でもココロを守るってよくわからないんだよね~。

 なんてことを考えながらようやくベッドから降りた女は着替え始め、自分と似たような研究をしている魔族を思い出した。

 

「あー。そろそろマハト君の研究結果も気になるなぁ。でもあそこ、御師様の魔法結界があるし……はぁ。喧嘩別れのままじゃダメってことかね~」

 

 気疲れを感じつつもリビングに向かえば、アウラは調理中のようだった。

 魔族らしからぬほど集中している。

 とりあえず、女は炭を食べずにすみそうで安堵した。

 

「ふぅん、ちょっかいかけようかな? ――おっ」

 

 家の外に魔力を感じたが、知らない魔力ではない。敵ではなかろう。

 アウラが調理中である以上、女は代わりに対応することにした。

 

「だーれっかな~」

 

 魔力で誰かなどわかっているが、なんとなく口ずさみながら扉を開く。

 果たして、予想通り。

 扉の先で待っていたのは長身の魔族とその後ろに立つ魔族の男女。

 三者は平伏しつつ、長身の魔族が口を開いた。

 

「ご機嫌麗しゅう、大魔族様――――」

 

 女は用件がわかっているので途中で割り込む。

 

「アウラを返せってんでしょ。君も飽きないねぇリュグナー。答えはだめだ」

 

「は……」

 

「娘を馬の骨にやれるわけないだろ」

 

「は……?」

 

 女の魔力に気圧されながら思考を停止したリュグナー。

 女は次に少女へ暖かい目を向けた。

 

「リーニエ、魔法のレポートありがとうね。大分助かったよ」

 

「よかった、です。はい」

 

「…………」

 

 何もしゃべらない男を見ながら、女は提案した。

 

「まぁ、あがりなよ。一緒にご飯でも食べようか」

 

 当然拒否できる空気でもなく、三者は女の後に続く。

 一行が家に入った時、丁度よく()()()()料理も出来ていた。

 

「お前たち、今日も来ていたのね」

 

「アウラ様、そのような格好は……」

 

「座りなさい、リュグナー」

 

「……は」

 

「アウラ様、お似合い」

 

「ありがとう、リーニエ」

 

 アウラの恰好に疑問を呈しながら、言われた通りテーブルに座る。

 5人ともなればテーブルもやや手狭だ。

 だが、その手狭さがオママゴトらしくて女は笑みをこぼした。

 

「さ! 美味しいご飯を食べようか!」

 

 

 

 

 

 一見、にこやかに食事は進んだ。

 その半数が困惑の表情を浮かべていること以外。

 

(怖ェ、怖ェよこのババア……)

 

 ドラートは料理の味などわからなかった。

 







同葬会


本作の現在ゴリラ度

女>>>アウラ>>>リーニエ>リュグナー>>能無し
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