原作を読み返す度に直哉のドブカス具合を再確認して、こっちももうちょいドブカスにしようかと思ってしまう。
特に何事もなく入学式が終わった。
(つまんなすぎやろ、こんなんまじで時間の無駄やんジジイの話なんて聞きたないわ。)
心の中で愚痴を言いながらこれからどうするかを考える。
(まぁ、とりあえず日用品を買わなあかんな。俺そうゆうのに疎いねん。1人だとあれやしな⋯)
そんなことを考えていると、目の前に、周りがグループで固まっている中1人寂しく下を向いて歩いてる人を見つける。綾小路である。
「おーい、清隆くんこの後暇ならどうや?買い物でもいかへん?」
直哉が綾小路に声をかけると、食い気味に頷いてきた。こころなしか顔が明るくなったように感じた。綾小路曰くコンビニに行ってみたいらしいので、いくつもの店を回るのも面倒なため日用品等はコンビニで買うことにする。
「にしても、どうしてそんなにコンビニに行きたいんや?」
「まだ人生で1度もコンビニに行ったことがないんだ。噂には聞いていたから行ってみたかっただけだ。」
この発言に直哉は少なからず驚いた。現代社会で生きていてコンビニを一度も使った事のない人間なんて見たことないからだ。直哉は実家が浮世離れしていた超金持ちだったこともあって、あまり俗世的なものに対しては詳しくないが、コンビニ程度ならは何度も利用している。そのため綾小路に対する疑問が一層深まった。
(こりゃ、清隆くんには日用品の知識、期待出来そうにないなぁ。まあ何とかなるやろ。)
そんなことを考えている内にコンビニに着いた。コンビニの自動ドアが開く。ドアの先には黒髪ロングの女子生徒の姿があった。
「鈴音ちゃん、こんなとこに1人でいてどないしたん?友達いないんか?」
会って早々煽り散らかす直哉を見て堀北は露骨に嫌そうな顔をする。
「いちいち話しかけないでくれるかしら、あなた余程かまってちゃんなのね。とても惨めだわ。」
「いやいやぁ、コミュ障の鈴音ちゃんは知らんかもやけど、普通知り合いにあったら声ぐらいかけるもんやで。良かったなぁ新しい常識知れて。」
再開して早々コンビニの店内で、二人が言い合っている。それをぼうっと眺めていた綾小路が突然柄でもないことを言い出す。
「それにしても入学して早々にコンビニでまた再会するとはなにか運命的なものを感じるな。」
「嫌な運命やなぁ」
「あなただけには言われたくない。」
会話が途切れたので直哉と綾小路は堀北の買い物カゴの中身を見る。
「堀北、女子はシャンプーとかトリートメントって色々と気にするものじゃないのか?」
「せやで、鈴音ちゃん。そんなコンビニのやっすいシャンプー使っとったら、せっかくのツヤツヤの黒髪が台無しや。」
いちいち言葉がトゲトゲしい直哉のことは完全に無視しながら、綾小路の質問に堀北が面倒くさそうに答える。
「女性がどうとかそういう括りに勝手に含まないでくれるかしら、私はそういうことを気にしないだけだから。」
そんな話をしながら店内を見て回ると、綾小路がカップ麺コーナーの前で止まった。直哉と堀北が綾小路に声をかける。
「どうしたん清隆くん、急にカップ麺コーナーなんかに止まって?そんなにカップ麺好きなんか?」
「やっぱり男子ってカップ麺とかそういうものが好きなのかしら?」
今の堀北の発言は先程の発言をみたら完全にブーメランなのだが、綾小路はそこをいちいち指摘したらとても面倒くさいことになると思い、そこについては触れないまま、堀北の質問に応える。
「いや別に好きというか、そういう訳では無いんだか⋯直哉、このカップ麺の値段は一般的に適正な範囲内か?」
そう言って今度は直哉に質問を投げかけながら、156円と書かれている値札を直哉に見せる。どうやらGカップという商品名らしい。
「んー俺こういうもんあんまり食ったことないんやけど、まあカップ麺ならそんなもんやろ。」
すると綾小路は納得したような顔をしながらお礼を言う。
「そうか⋯ありがとう。それにしてもこの商品名、Gカップってなんかすごいな、とても⋯大きそうだ。」
「なんや、清隆くんは巨乳派なんか。」
綾小路の脳内に一瞬浮かんだことを直哉にド直球で言われたため、少し焦りながら答える。
「いや別にそういう意味じゃ⋯⋯堀北、頼むからそんなゴミを見るような目でこっちを見ないでくれ。」
ある意味とても高校生らしい会話をしながら、3人は再びコンビニ内を歩き出す。すると次は直哉が急に立ち止まった。
「なんやこれ?無料コーナー?」
コンビニの角に無料コーナーたるものが設置されていた。どうやら月の個数制限はあるらしいが、石鹸やシャンプー、トイレットペーパーなどの日用品等のものが無料で貰うことができるらしい。随分と太っ腹である。
「これは⋯ポイントを使い切ってしまった人への救済措置かしら。」
直哉は今朝のホームルームでのやり取りを思い出しながら応える。
「まあ普通に考えたらそうやろなぁ。こりゃ、ポイントの変動は確定的やね。さすがに月10万も使い切っちまうバカのためにここまでせえへんやろ、この学校は。」
「非常に憎たらしいけれど、あなたの推理が正しいようね。」
その後はこの学校のシステムについてああだこうだ話をしながら会計を済ませると。直哉と綾小路はそのまま寮に向かい、堀北はどうやら用事があるらしくコンビニの前で別れを告げた。
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入学式から5日が経った。現在1-Dでは数学の授業をしている。直哉は教師が出した問題を解き終わったので、ペンを置いて顔をあげ、頬杖をつく。
(それにしてもまじでうるさいなぁ。今授業中やで。動物園かと思ってしもうたわ。入学して1週間たってないんや、さすがに気緩みすぎやろ。このバカ共一応入試通ったんよな?なんでこんな奴らに合格出したんや?まじで謎やなぁ。)
周りを見渡すと、約3分の2の生徒が真面目に授業を受けていない。寝ている者、スマホを触っている者、喋っている者と色とりどりだ。
普通入学などで新しい環境になったばかりの頃は、慣れないこともあり、自然と気が引き締まるものなのだが、このクラスはその様子が一切ない。
(寝とるやつと、スマホ触っとるやつはまだ分かんねん。自己責任やしな。それより普通に喋っとるやつ、なんやねんあいつら。あんなでかい声出しとったら、ほかの奴の邪魔になることぐらい分かるやろ。まじで生きとる価値ないわ。)
(はぁ⋯こりゃ佐枝ちゃんの言っとった「評価」っちゅうやつも秒でなくなってまうやろなぁ。悲しいなぁ、ほんとこんなゴミ共がこれからの日本社会支えるとか絶望しかないで。)
そう考えながら今度は窓の外を眺める。外には花が少し散ってしまい、細くなった桜の木が立ち並んでいた。
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今日は教室が朝からやけに騒がしい。まあ騒がしいのはいつもの事なのだか、それにしてもみな浮き足立っている状態だ。それもそのはず、今日は今年初めのプールの授業だ。本来まだ肌寒い日もある4月の半ばからプールがあるのは異常なのだが、この学校には大層にも50mの室内プールがあるらしい。直哉と綾小路は自分の席でプールの会話をしている。するとそこにクラスメイトが声をかけてきた。
「綾小路と禪院、二人も賭けに参加しないか。」
どうやら、男子達は女子の胸の大きさでギャンブルをしているらしい。なんと、女子の胸をしっかり観察するために、わざわざプールを見学するものまでいるようだ。クラスメイトに呼ばれて男子の集団に混ざろうとする綾小路に直哉が声をかける。
「清隆くん、あのバカ猿共に混ざるのはやめとった方がええで。」
「そうなのか?年頃の男子はこういう談合に参加するのが普通だと思っていたのだか。それに、こういうことってとても青春っぽいことだと思わないか?」
「青春かどうかは知らんけど、まあ⋯とりあえずあれを見いや。」
そう言いながら直哉は女子生徒の集団の方に親指を向ける。するとそこには男子集団のことを汚物を見るような目で睨んでいる女子達がいた。コンビニでの堀北の目が比較にならないほど男子の集団に対して引いているようだ。耳をすませてみると、「まじでキモイんだけど」や「本当に死んで欲しい」などど、かなりキツい言葉を呟いている。
「これから三年間女から腫れ物扱いされたくないんやったら、あそこに入るのはやめとくべきやなぁ。清隆くんだって彼女欲しいやろ?」
先程の女子達を見て綾小路は自分がしようとしていたの事の過ちを理解したらしく、直哉にお礼を言う。
騒がしかった朝はいつの間にか過ぎ、プールの時間になった。
本来はプール編入るつもりだったんですけど、思ったよりコンビニの話が長くなってしまった。やっぱ文を書くは難しいね。
ちなみに今のところクラスメイトの直哉の評価は口が悪いってだけでクズだとは思われてません。特に女子からは意外と人気です。顔がいいからね。