フェンリルに勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない 作:ノシ棒
無印からじゃないですかヤッターーーー!!!!
下乳が揺れるのが待ち遠しすぎる!!!!
【キャラクターep.リョウタロウ1】
リョウタロウは激怒した。
必ず、かの邪智暴虐の憎いあんちくしょうの顔をめがけ叩け叩けしなければならぬと決意した。
「きゃー! ソーマ先輩よ!」
「今日もクールね~」
「カッコイイ~!」
リョウタロウにはモテ方がわからぬ。リョウタロウは元壁外の住人である。
その日暮らしの底なし生活をして浮世を離れ、はぐれアラガミと遊んで暮らしてきた。
けれどもモテ野郎に対しては、人一倍に敏感であった。
「毎日毎日、飽きない奴らだ」
だから反射的に拳を振り上げてもしょうがないと思いませんかねえ?
これは、この感情は、そう嫉妬。
嫉妬の仮面を被り、笑顔で接するナイスガイ。
今日の俺は、嫉妬仮面……嫉妬マスクだ。
「おい、どうした?」
――――――いや、別に?
「そうか……疲れてるなら、そう言えよ。お前は無理をしすぎるからな」
大丈夫大丈夫。
別になんともないですから。
うん、別に? 別になんともないよ?
べっつにぃ~? 羨ましいとかじゃないですし~?
うん、羨ましくないもんね。全然羨ましくないわー。
あれれーおかしいなー?
何だか目からしょっぱい水があふれてくるよー?
おいソーマ、お前ちょっと前まで“こちら側”の人間だったじゃねえか。
俺と同じで死神とか言われててちょっとシンパシー感じてたのに。
何なの?
ここ最近の黄色い声援、何なの?
「悪いな。今日も付き合ってもらっちまって」
――――――いや、いいよ。ソーマ博士のためさ。
「まだ早いがな」
――――――まだ、ね?
「ふっ……お前にそう言われるとこそばゆいな」
あ、わかったこれ。
インテリオーラのせいだ。
世紀末世界観っていっても、野性味溢れる男がモテた時期は終わったんですね。
今は知的ながきてる……と。
つまり俺に、インテリオーラはないということか。
解せぬ……眼鏡でもかけようかしら。
「しかし、コウタの驚き様は笑えたな。『リョウは同類だと思ってたのに』、か。お前の学力検査の結果は、ゴッドイーターの平均レベルを超えて、研究職並みだって出てたのにな」
――――――バカラリーとはちょっと……ま、所詮はペーパーテスト用だよ。“生きた”知識じゃない。
「そういえばアリサに資材運用法や治世論まで教えていたな。どこで学んできたんだ?」
――――――昔ネモス・ディアナのナチ総統に教わったり、シックザール支部長付きになってた時はエイジスの建築関連の教育受けたりして、まあ色々教えてもらってさ。最近じゃ榊博士の助手みたいなことしてるからなあ。
「アリサが一人でクレイドルの現場指揮が出来るまでになったのは、お前のおかげだろうな」
――――――こんなご時勢だし、勉強することが一番の贅沢だからね。アリサはよく解ってる。
「違いない」
フ、と笑うソーマの横顔に、黄色い声援。
「まったく、こうも騒がれるとうっとうしくなるな……」
それはモテ男の余裕ですかねえ!?
博士論文とか手伝うんじゃなかった。ていうかソーマの家庭教師とかしてやるんじゃなかった!
アリサといいソーマといい、スポンジみたいに色々教えてやるとすぐ吸収して楽しかったからぐぬぬぬ。
敵に塩を送ってしまった。
ソーマにシオは効果覿面だってわかってたのに。
ソーマに、シオを!
「なんだ?」
――――――別に……うん、別に……モテるなって。
「フン……ちょっと前までは誰も近付きもしなかった癖にな」
それに比べて俺はどうでしょうか。
少し、見てみましょう。
「きゃぁぁああああ! 神狩人様! 神狩人様よ!」
「こっ、こっち、こっち見た! こっち見た!」
「今日メイクしてないのに……ああっ、にこって、にこって!」
「ああ……意識が……はふう」
何この嫌われ具合。
走って逃げられるとか。顔そむけられるとか。目を合わせたら失神されるとか。
名前すら呼ばれてないし。
何か俺がエントランス行くと、みんなこう、ササーッて避けていっちゃうし。
ヒバリさんところまで一直線に道が出来るし。
俺がエントランスに座ってるとみんな遠巻きにヒソヒソ言ってるし。すごい噂されてるし。
ごめんコウタ。コウタの気持ちがわかったよ。
あ、泣きそう。
今ちょっと話しかけないで。泣きそう。
誰も話しかけてこないけどね……。
「お前もお前で、たいがいだな」
ほらこの嫌味ですよ!
モテ期きて調子乗ってるんじゃないですかねえ!
もうこいつの前じゃ泣かない。絶対泣いてなんかやらない。
あぁぁぁもぉぉぉぉおやっぱ泣けてきた!
コウタ呼んできてコウタァ!
「オーッス! リョウ、ソーマ、今日は非番?」
コウタキター!
これで勝つる!
「いやー俺は今日入った新人達の訓練でさあ。ほら、こいつこいつ。結構やるんだよ」
わぷぷ、とコウタに頭をワシワシ撫でられ、むずがる新型使いの女の子。
もう一度言います。女の子。新人の女の子。
「もーやめてくださいよ先輩」などと言いながら、コウタの胸を叩く。
あれはまんざらじゃないと言う顔だ……俺にはわかるぞ。
「先輩、この方は?」と俺を見上げて言う新人ちゃん。
ソーマのことを聞かないのはあれですよね? 知名度の差ですよね?
有名になりたいわけじゃないけど、こう、極東初の新型使いですよ俺?
しばらく海外にいたから人事についていけてない感がすごいけども。
もっとこう、もっとさあ。
「ああ、俺達の永遠の隊長さ! ほら、神狩人って言えばわかる?」
「ひえっ」と口元を押えて後ずさる新型ちゃん。
まただよその反応。
コウタ、にひひじゃないよ!
それ今までの仕返し? 仕返しなの?
ごめん謝るから。もう堪忍して!
ああ、泣きそう。
ごめん、これからちょっとだけ泣く。
胸の中で。ちょっとだけね。
誰ガデー! ダデニモデデモ! オンナジオンナジヤオモデェー!
ンァッ! ハッハッハッハー! この極東ンフンフンッハアアアアアアアアアアァン!
アゥッアゥオゥウアアアアアアアアアアアアアアーゥアン!
コノキョクトゥァゥァゥ……アー! 世の中を……ウッ……ガエダイ!
「またリョウ、新人の子見て遠い目してら。あんまり言わないけど、やっぱつらいのかな。神機失くしちゃったこと」
「そっとしといてやれ。自分と重ね合わせてるんだろう……新型の新人は特にな」
「榊博士も困った顔して何とかしてくれってさあ。人類への大きな損失だって、リョウ、博士とリッカの所に頭下げに行ってるらしいよ。今でも」
「クソ真面目だからな、あいつは。この前リッカが泣きそうになって俺のとこにきたぞ。リョウを慰めてやれってな」
「せっかくだから休めばいいのに、罪悪感かなんだか知らないけど、アイテムだけ抱えて新人とか前線の手伝いに出て行っちゃうんだからなあ。知ってる? 最近こんな噂があるの」
「どこからともなく現れて、禁忌種にスタングレネードを投げつけて追い払ってくれる、お助けアバドンマン、だろ?」
「そうそう、それそれ。知名度に比べて顔が知られてないっていうのがリョウらしいんだけどね」
「これだけ人員の入れ替えが激しけりゃな。繰り返し海外遠征させられたあいつに同情すべきか、新人を補充させ続けなければ回っていかない極東の死亡率を嘆くべきか」
「アリサは喜んでるけどね。リョウに時間できて、一緒にクレイドル見て回れるーって」
「任務を口実にしてないか? それ……ん? リョウに時間、できたか? いや待て、あいつの出撃率はどこだ。見せろ」
「ちょっと、他人の出撃率の閲覧とか、隊長権限なんですけど一応。まあいいや、ほら」
「これは……おかしくないか? 前とほとんど変わってないんじゃ……」
「いや、そんなことあるわけ……あったよ」
「……これは」
「見なかったことにしよう」
「ああ……そうだな……」
【キャラクターep.リョウタロウ2】
加賀美リョウタロウ。
極東支部所属ゴッドイーター。神機損失につき無期限警戒待機処分。
テンションが上がった故の神機全損という過失に、持てる謝罪力に限界を感じ、悩みに悩み抜いた結果、彼がたどり着いた結果(さき)は感謝であった。
自分自身を育ててくれた仲間達への限りなく大きな恩。
自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが……一日百回、感謝のアイテム合成!!
気を整え、拝み、祈り、構えて、合成する。
一連の動作を一回こなすのに当初は数十分。
百回合成し終えるまでに初日は半日以上を費やした
合成し終えれば土下座する様に寝る。
起きてはまた合成するを繰り返す日々。
二日が過ぎた頃 異変に気付く。
百回合成し終えても 日が暮れていない。
リッカとの反省会を越えて、完全に羽化する。
感謝の合成、1時間を切る。かわりに、祈る時間が増えた。
ターミナルを下りた時、リョウタロウの合成は……。
音を、置き去りにした。
「でっきるっかな、でっきるっかな? リョウー、今日は何をつくるのさ?」
――――――今日は~……じゃん! さあコウタ! 今日はスタングレネードを作るよ!
「わあ! スタングレネードを作るなんて楽しみだなあ!」
――――――じゃあ、まずは爆縮体を用意しよう!
「まっかせて! あそこにいる勝手に商売してるように見えて実はフェンリル傘下の商人だった小汚いおっさ……よろず屋さんから爆縮体を買って来たよ! ついでにマグネシウムも!」
――――――むむっ、コウタは相変わらず準備がいいなあ。僕も見習わなくっちゃ!
「えへへ~、ねえねえ、スタングレネードはどうやって作るの?」
――――――おっけい! まず、右手に爆縮体を持とう!
「右手にだね!」
――――――そしたら次は~、左手にマグネシウムを持っちゃおう!
「よいしょ、と。持ったよ!」
――――――はい、合成しまーす。
「ファッ!?」
――――――ちゃららちゃっちゃちゃ~、スタングレネードー。
「ごめんリョウ。俺、疲れてるのかな……もっかいやって?」
――――――いいってことよ。右手に爆縮体、左手にマグネシウム。はい合成、スタングレネード完成。
「そ、ソーマ! ソーマちょっと! ちょっとソーマこっち来て! 早く! ほらこれ、これ!」
「おい、うるさいぞ。少しは静かに……」
――――――はいスタングレネードスタングレネード。
「ファッ!?」
「ソーマから変な声が!」
――――――ドヤッ、おいちゃんのスタングレネードやで!
「おい、“ガワ”はどうした。中身は一万歩譲って目を瞑ってやってもいい、ガワはどこから出しやがった」
――――――どこからって、こうして、こう。
「な、なん……だと……!?」
「な! なんかおかしいだろこれ! なー!」
――――――なんていうの? ほら、こう、メインストーリー終わってから合成するようになるよねとか。なんかそういうの。
「いくらですか?」
「アリサァ!」
「ソーマから変な声が!」
「いくらなんですか? いくらなんですか!?」
――――――出撃するゴッドイーター達のために、なんと無料で提供中さ! さあ、持って行ってくれ!
「あるだけください! 私、使いますから! ちゃんと使いますから!」
「お前は、それを、なにに使うと……」
「ソーマ? ソーマ!? しっかりしろ、ソーマァァアア!?」
【キャラクターep.リョウタロウ3】
本日は晴天なり。本日は晴天なり。
格好の運転日和なり。
たまにはハンドル持たないと、腕が鈍っちゃうからね。
「リョウ……その、ごめんなさい。休みの日なのに、付き合ってもらっちゃって」
――――――いいんだよ。何もしないでいると、腐っちゃいそうだ。
「私、その、なんて言ったらいいか」
それきり、ジープの助手席で俯いてしまうアリサ。
コウタもソーマもそうだったけれど、神機をぶっ壊しちゃった俺にやたらと気を遣ってくれてる。
ありがたいと思う。思うけど、それなんかこう、これから刑を受ける奴に対する同情っていうか。
気遣いが超痛いでやんの。
神機過失で全損させるとか、これやっちゃダメな奴でしょ?
しかも俺の神機、一応は極東で初めての新型じゃん。
榊さん「いいんだよ」って言ってたけど、あれ絶対怒ってたよ。目が笑ってなかったもん。
あれ絶対おこだったよ。激おこだったよ。
リッカだって「リョウが無事ならそれで……」って涙目になってたけど、あれって建前だよね?
神機命っ娘のリッカだから、神機ぶっ壊してくれちゃってこのやろう! な涙目だよねあれ?
べ、弁償とかしないとだめですよね?
謝罪のスタングレネード無料提供とかやってるけど、こんなんじゃ駄目だよねやっぱり?
うおお超ごめんなさい!
ほんと、テンションに任せちゃった行動っていうか、ほんと反省してますからあ!
借金だけは勘弁してぇ!
――――――神機を失くしてから、ゴッドイーターは何のために戦ってるんだろうって、思うようになったんだ。
「それは……私たちは、みんなを守るために」
――――――うん、俺もそう思ってた。ずっとそのために戦うものだって。でも正直言うとさ、神機を失って、少しほっとした俺もいたんだ。
爆縮体破産寸前になってる通帳残高を見るのは怖いけど。
でもまあ、ほっとしてもいるんだなあ。
だってさー色々啖呵切っちゃったけど、俺やっぱゴッドイーター向いてないって。
怖いもん。普通に。いつまでたっても。
やる気出してがんばるぞーって言ってはみてもね。
荒事とか向いてないんだって。日本人だもの。
適職と天職は違うんだなあ、これが。
あれ? そう考えると復職とかでビクビクしてなくても、このままでよくね?
過失でやらかしたゴッドイーターとか、そんな奴信用できるわけがないから。
次に適合する神機探すのも、後回しだろうし。
そうなると偏食因子うつだけの怪力人間として予備役に回されるわけで……。
遊ばせておくことなんて丸損だから、ゆくゆくは建設現場とか、サテライト拠点とか人力が必要なとこ回されることになるんじゃ。
なんて素晴らしいんだ。これは、もしかするともしかするぞ?
まさかの勝ち組ルートですかこれ?
やったー!
――――――だからさ、たぶん、本当はゴッドイーター達は。
そう、つまりは、こういうことだ!
――――――ゴッドイーターは、いつか神機を捨てるために、戦ってるんだと思う。
ほんとこれ。
これに尽きると思う。
正直になろうぜ。みんなさ、人々を守るんだーとか、使命に燃えちゃって見えなくなってると思うんだけどさ。
辞めたい心を、俺は隠しはしないぜ!
「はい……はい……! いつか、いつかきっと……!」
んえ?
あれ……?
なんでアリサさん、帽子を下にぎゅーって下げてるんですかね。
そんな顔に帽子押し当てたら痛いんじゃ。
なんでそんなしゃくりあげて……泣いてる?
これ笑うところじゃないの?
俺の情けなさ暴露で笑うところじゃなかったの?
こ、これは俺が泣かせたってことじゃ……やばい!
何でかはわからないけどこれはやばい!
――――――いつか、さ。神機を捨てる時が来たら、空を見にいこう。誰にも邪魔されずに、ゆっくりとさ。明るい空に浮かぶ蒼い月を眺めに。
「リョウ……私……!」
困った時のリンドウさん語録!
それに加えてジャパニーズ愛想ワード!
いつか、とか、きっと、とかは外国人に超嫌われるワードです。
日本人ははっきりしないな。いつかっていつだよ! っていう。
いつかはいつかなんだよ、永遠に来ないけどな! っていう。
――――――アリサ? どうした?
「胸が、一杯で……」
確かに。
チャック下りてないからね!
今日も“南半球”は眩しいです!
あっ、そういえば。
――――――そういえば、アリサ。
「はい、なんですか?」
――――――新しい制服、似合ってる。
「は、い……? あの、今なんて」
――――――その白い制服、きれいだよ。
白くて、まあるくて。
まぶしくて、やわらかそうで。
おっぱいがより一層ときれいです。
その一言しか言えない。
「なっなななんななな!」
ななな?
「ンンーー……ッ!!」
アリサさん?
あの、その、なんでほっぺた押えてるんですか?
なんでそんな、顔がにやーってしないようにするみたいに。
「なんでもないですっ! その、リョウの新しい制服も、まあ似合うんじゃないですかッ」
そうかなあ。
農作業スタイルよりもしっくりこないっていうか。
この制服も最前線専門の隊服でしょ?
やだよそんなの……テンション下がるわー……。
「ねえ、リョウ。私たち『クレイドル』が、いつか安心してくらせる場所を作れたら……その、さっき言ってた、空を一緒に……」
――――――ああ、行こう。空を見上げに。
コウタやソーマも誘ってね。
雨宮一家もいいなー。
みんなでピクニックしたらきっと楽しいぞ。
世界が平和だった時に流行ってたっていう、ピクニック。いいねー。
週三くらいで外でご飯たべる人もいたとかなんとか。
そんな外食おおかったら大変じゃないのかなあ。
アラガミがいなかった時代の生活はよくわかんないや。
ところでアリサさん。
その、なんでそんなに目がキラキラして。
「約束、ですよ?」
お、おう。
「約束ですからね?」
お、おう。
「ほんとのほんとに、約束ですからねっ!」
う、うん。
なんだろう、若干外した感じがする。
キリッとしたい時に出るカッコイイセリフは気持ちいいけど、素の時に出ちゃったのは超恥かしいのはなんでだろ。
「デート……リョウとデート……極東でいう逢引の約束、ですよね、これ。パパ、ママ、オレーシャ……私を見守っていて。これで決めます!」
なんだろう。
盛大に外した感じがする。
【キャラクターep.榊】
さて、どこから説明したものか。
ああ、楽にしたまえ。そちらの首尾はどうだい?
そうかい、順調のようだね。それはよかった。
こちらは先日伝えた通りさ。
しかし驚いたよ。
君から『キュウビ』“2体”と同時に交戦したと聞いた時は、生きた心地がしなかった。
流石は異能とでも言うべき生存体……おっと。
それで、確認なんだがね。
欧州遠征中……確かにリョウタロウ君は、“右腕”を、キュウビに噛み砕かれたんだね?
それも、“腕輪”ごと……。
ああ、捕喰されかけたとみていいだろう。
一瞬、彼の腕輪から送られる偏食因子の信号が滅茶苦茶になったのを確認している。
“破損している”んだよ。
“彼の腕輪は、既に”。
さあ、ここからがお勉強の時間だ。
そう嫌がらないでくれたまえ。お姉さんに叩かれるよ?
彼女の事だ、リョウタロウ君の話をするのに席を立つなんてこと……ああ、もう叩かれたかい。
さて、腕輪の破損と聞けば、君ならば当然“アラガミ化”を想像するだろう。
偏食因子の投与時間さえきていなければ、腕輪が破損しても即時アラガミ化することはないんだがね。
即アラガミ化してしまうのはよほどタイミングが悪いか、体質として合わなかったのかのどちらかだが……リョウタロウ君は間が悪かったんだろうね。
偏食因子の投与リミットを2度ほど超えてしまっている。
ありえないことだよ、これは。
考えられることは唯一つ。
君の右腕にある“青いコア”のように、リョウタロウ君もまた外的要因によって、アラガミ化が防がれたということさ。
単純なことだね。
何によって、かい?
簡単さ。
神機、だよ。
そう、新型使い……今となってはこの名称も過去のものだが、彼等は特殊な偏食因子によって、感応現象を引き起こしてしまうということは周知の事実だろう。
つまり、脳内にまで偏食因子が融合してしまっているということだ。
偏食因子は神機の影響を顕著に受ける。
神機解放、バーストモードがそれだ。
そして適合率が高ければ高いほど。戦闘経験……神機解放の回数が多ければ多いほど。
その影響は大きく、深く、本人の知り得ない領域まで喰い込んでいく。
つまり、リョウタロウ君には“混じっている”のさ。
神機が――――――。
君たちゴッドイーターがいう“素材”というのは、そのままアラガミのパーツをそっくり持ち帰ることではない。
オラクル細胞の集合体であるアラガミは、倒せば塵になってしまうからね。
そう、君たちが言うところの素材とは、神機に付着した細胞片のことだ。
それをいくつも集め、培養し、生体パーツとして組み上げる。素材はね、物理的には極々少量のものなんだよ。これが神機のパーツ生産の流れさ。
その過程で、神機によって様々なアラガミを捕喰すればするほど、神機は微細な変化を遂げていくということも、君はよく知っているはずだね。
進化しているんだ。
自らが喰らったオラクル細胞によって、自らを作り変えているんだよ。
それは形の固定された旧型よりも、第二世代機がより顕著だと言えよう。
様々な武器種を装着しても、始めは拒絶反応を示していたのに、次第に適応していくのがそれだ。
神機は神経接続により繋がっているのだとしたら、それは確実に双方向のはず。
自らの要素を、持ち主へと還元させているんだ。
血管を、神経を、血を、肉を使って。
リョウタロウ君の身体を調べたらね、面白いことがわかったよ。
うん、彼はいつも素晴らしいデータを提供してくれる。
赤い雨然り。神機兵のデータ収集然り。
そうそう、赤い雨の治療法とまではいかなくても、感染してしまっているかどうかを潜伏期間中に調べるようになれたんだ。
あと、極東オリジナルの無人神機兵も製作段階に入ってね。もちろん有事の際には中に入って操縦できるように……あ、この話はいい?
うん、リョウタロウ君も他の新型使いよろしく、脳細胞と偏食因子が癒着しているのが認められた。
その偏食因子には微量の、神機からなるオラクル細胞も含まれている。
まあ、ここまで通常の新型使いと同じだ。
問題はここからさ。
彼の神機が失われてしまったことは、知らされているよね?
ん? 姉上がリョウが落ち込んでいるから慰めないとって、母性本能剥き出しに?
まあ、それは置いておいて、だ。
神機が失われてしまっているというのに。
彼の脳内では、未だに神機由来のオラクル細胞反応が確認されたんだ。
“本体”の制御を離れて、なお存在し続けている。
恐らくは脳内に発生する電流を捕喰することで存続しているのだろう……。
さて、先ほど君にも言ったね?
神機と、ゴッドイーターは深く結びついていて。
お互いこれしかいないと言えるほどの、運命的な出会い……極めて適合率が高いものを使用し続けたのならば。
神機とゴッドイーターはある種の融合を果たすのだと。
では質問だ。
神機の“本体はどこにある”?
コアかい?
人工的に、扱いやすく加工した、コアだと?
私はそうは思わない。
リョウタロウ君はね、かつての君の神機に意思が宿っていたと言ったよ。
その意思は何処に宿っていたのだと思う?
いや……旧型機であったのだから、この場合は神機が本体だと言えようか。
ではその意思は、“何処から”産まれたのだと思う?
そして君の神機は、それを保存していただけなのだとしたら?
私の仮説はこうだ。
神機は、使用者の脳を間借りし、自身のソフト面での拡張を行う。
神機もまたアラガミなれば、進化の本能を持つのは当然のことだ。
ハード面は当然として、ソフト面もまた……そう、“彼女”のように。
そう、リョウタロウ君の脳内に残留している、神機の“本体”が、彼をアラガミ化から救ったんだ。
もう、わかったね。
面白いことが起きそうだと思わないかい?
君の送ってくれた『キュウビ』の持つ、混じり気の無い極めて純粋なオラクル細胞……『レトロオラクル細胞』。
これを応用した技術を、今ソーマ君と一緒に煮詰めている最中なんだ。
アラガミ防壁に応用すれば、“独りでに育って”、“アラガミだけを自動迎撃する”ものが作れるかもしれない。
神機のシールドに応用すれば、一度食らった攻撃を見極めて、オートで弾き返すなんてこともできるかも。
では神機を神機たらしめる、生体部分に使用したら?
新型もまた、“檻”であったのではないだろうか。
特別な脳によって“喚起”された神機には、それもまた狭すぎたのかもしれない。
だが、それに相応しい肉体を用意してやれば、どうだろうか。
そして本体が彼の脳内にあるのだとしたら、もしコアに本体があった時に、同居させることになってしまう。
これではいけない。
コアは真っ白なもの、とてもとても、ニュートラルなものを選ばなくては。
『混迷を呼ぶ者』――――――『アバドン』。
そのオラクル細胞は、何色にも染まる、純白の性質を持つ。
『チケット』、と君たちが呼んでいるものだよ。
コアもまた、等しくまっさらだ。
そして、このアバドンのコアも特別なものだ。
百田ゲン……始まりのゴッドイーターが、そのピストル型神機によって、初めて仕留めた獲物さ。
グレードは“ブロンズ”……希少価値はなかったが、長らく極東の資料庫に保管されていた。
記念、ということだろう。価値を意味に見出したということだろうね。
ピストル型神機の使用されたコアは、とてもキレイなんだ。
傷一つないアバドンのコア、これを使う。
原初(オリジン)のオラクル細胞。
始まりのゴッドイーターが初めて入手した、無色のコア。
この二つが合わさった時、一体何が起きるのか。
破壊の場、滅ぼす者、奈落の底……ヨハネの黙示録に登場する、喰らい尽くす蝗の王になるのだろうか。
興味が尽きないよ。
これは人体実験ではないか、だって?
さて……だが、私には確信がある。
こんな程度、彼にとっては試練の内にも入らないよ。
そして、これこそが彼が今、最も必要としているもの――――――神殺しの牙なのだと。
君には話したね。
リョウタロウ君に次に頼もうとしている任務は、潜入調査だと。
近々、移動型の巨大拠点が極東に接近するらしい。
ああ、そうだよ。『第三世代機』の試験艦さ。
移動型の拠点だ、その資材は全て外部からの搬入に頼っている。
神機の作成や、腕輪の構成素材もまた、ね。
だから通常の流通ルートを通して、送り届けてあげようじゃないか。
蘇らせてあげようじゃないか。
彼の神機を……!
ああ、こちらは何の心配もいらないよ。
全て私に任せて……いや、彼を信じてあげてほしい。
あらゆる修羅場を乗り越え、人々を救い続けてきた、アルティメットゴッドイーター。
加賀美リョウタロウ――――――神狩人を。
だからそちらは頼んだよ。
お願いだから、君の姉上を抑えて……えっ、もう手遅れ?
は? リョウタロウ君のために用意した新しい下着? 生身で勝負? ええと、何を言っているんだい?
ああ、そうかね。
私が殴られるのは確定かい。
そうかね……。
優しくしてほしいと伝えて……あ。
私の命日が、決まったかもしれない。
【キャラクターep.■】
You did your best.
(あなたは最善を尽くしました)
Was I helpful for you?
(私はあなたのお役に立てたでしょうか?)
I am deeply grateful to you.
(あなたに最大限の感謝を)
――――――SAYONARA Ryou.
R-you.
【R】---You.
Rebirth
Reincarnation
Resuscitation
Reproduce
YOU.
某狩りゲーが楽しすぎて脳汁ブッシャー!
でもまだHR6だっていう。
ううーん、しかし前書きにも書きましたが、アニメ化嬉しいと同時に、問題も。
無印からアニメ化すること確定ですので、何をしてもネタバレMAXになってしまうということに。
ど、どうしようか。
また無印→バーストでやったみたいに、以下ダイジェストね! で流してしまおうかしら……!
2のストーリも長いし、ダイジェストだけでいいような気もしなくもないですも。
そうすれば完結もさせられますし。
短編、なんだよねこれ……。
※なんだか以前要望があったので
ゴッドイーターの愛の歌フルバージョン書いてみたんですけども
まったく原曲と変わってなくて吹いたので、各自みなさんで想像してみてくださいませ!
活動報告はもう、あれだ。
ネタ書き場にしよう。モンハンとかの。