フェンリルに勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない   作:ノシ棒

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ごっどいーたー:25噛 GE2

○月×日

 

定時上りもすなる日記といふものを、社畜もしてみむとてするなり。

 

日報だけでは味気ないので、個人的に今日あったことを臨場感たっぷりに書いてみるぜ!

時間もあるしな!

ブラッド隊ってほんとホワイト。名前似てるのにどこかのブラック極東とは大違いだ。

隊長やってた時みたいな意味不明な書類の山をみなくてすんでいるからまあ、討伐が終わっても時間が余って仕方ない。

よくよく考えるとあの量のミッションこなしてからの事務仕事をぽんと渡されるとか、ほんともう、極東はほんともう。

コウタすまぬ・・・・・・すまぬ・・・・・・。

 

さて歓迎ムードも終わり、ブラッド隊各員に周辺地区に出向せよとの命が下って初日である。

極東のやり方を学ぶとのことで、各員少数にばらけて各地の防衛部隊の指揮下に入り、合同任務をすることとなった。

他チームはツーマンセルで回すらしいけど、俺とジュリウスは一人で部隊を回ることに。

指揮系統の擦り合わせのため、ということは解りますけど榊さん。

俺、こっちのGEとほとんど顔見知りなんですけどね? 一人でとか、誤魔化しようがありませんよね?

うわなんで腕輪黒いのとか名前違うのとかそういう視線が痛い。

 

不安だ・・・・・・と思っていたら、さすがは榊えもん。

微妙につながりの薄かった壁外自治区の見回り隊に配属されることとなっていた。

いわゆるフェンリルに壁から“はじかれた”人たちが、身を寄せ合って作った場所を護るお仕事である。

正式な住民区ではないので、防衛隊も編成されず、手の空いた遊撃隊が見回る程度の、ほとんど見捨てられたも同然の人達。

外周区なんかよりもよっぽど酷い扱いだ。

元々俺もそういう場所で生きていたわけだから、ただ生きるということがどれだけ大変かは理解してる。

そんな外周区周りの仕事は、ほとんどが一人で戦わなきゃいけないって場面が多くなる。

いや大丈夫だから、ほんと大丈夫だから、ね?

シエルさん、お願いだからシャツの裾から手を離してくれません?

 

え? 「極東は危険すぎます」って?

いや、「コクーンメイデンを何度も斬らなければ倒せないなんて・・・・・・」とか言われましても。

それが普通じゃないですかね?

むしろ今まで相手してたザイゴートとかコンゴウとか、ワンパンでやれるのが可笑しかったんだって。

普通は何十回も斬りつけてやっと、って感じじゃない? 結合崩壊全部位しても倒す寸前まで超元気で走り回るみたいなのが。

そんなの極東だけ?

ははは、やだな。

いいことを教えてあげよう。

これまで経験してきた地獄を頭に思い浮かべてごらん。

極東ではね、そんなものは天国だ。

これが普通だ、と思い込まないとやっていけないぞ。俺みたいにね。

ふつーふつー、ふつうだから、なにもおかしくありません、なにも、だってこれがふつうだから。

「やめてくださいしんでしまいます」って、いやだから普通・・・・・・泣かないでお願い、お願いだから!

冗談だって・・・・・・え、死んじゃうのは俺? 生き急いでるって?

極東伝統のお守り? 生えてなくて作れなかった?

やめてください死んでしまいます。

 

 

 

 

○月△日

 

ロミオが真っ白になってた。

「オウガテイル堅すぎんよぉ」ってなってた。

ギルも真っ青になって、「これが極東・・・・・・噂には聞いていたが・・・・・・」とか言いながら震えてた。

師匠にものすごい同情した顔で肩叩かれてた。ハルさんのあんな顔みたことないっていう。

シエルはふらふらしながら帰ってきて、水飲んだらウッてなってた。口元抑えた指の隙間から美少女エキスが一杯出てた。

ぺろぺろしたい。え、だめ? 床に落ちたのなら・・・・・・だめか・・・・・・。

ジュリウスは知らね。飯を食わなかったところを見ると、相当こたえてるんだろうなとは思うけど。

技術は一級だけど、連続任務となると体力がもたないんだろうなー。

フライアの面子は箱入りだからなあ、動く巨大な箱だけに。タフさがなくていかんよ。

ナナ?

俺の後ろにずっと立ってるよ。

後頭部に吐息がかかるくらいの超至近距離で。

微動だにせずに延々何かつぶやいてる。

助けて。

 

 

 

 

○月□日

 

やったぜ任務だ!

いやー、すがすがしい空気だなあ! 壁の中は息が詰まってだめだな!

外に出ちゃえば正体がバレるとかもう、何も考えなくていいからな! 任務最高!

うん、もう自分を誤魔化せないね。絶対バレてるねこれ。皆俺のこと「うわなにこいつ寒い」みたいな感じで触らないようにしてるんだろうなって。つらい。

極東所属のGEの扱いガバガバすぎんよぉ。リンドウさんとかソーマとかリンドウジュニアとかよぉ。皆理解ありすぎぃ!

本部に取り上げられないところをみるに、そのとき不思議な事が起こったんだと思われる。もう榊さん一人でいいんじゃないかな。

たぶん俺もそういう、アンタッチャブルな存在っていうか扱いになりつつ・・・・・・なっちゃったんだろうなあ。

いいよもう、恥ずかしい二つ名で呼ばれたくないし、そもそも前の名前も半分自分で付けたようなもんだし。

わかったこの話はやめよう。ハイ、やめやめ。

気にしてるの俺だけだろうし。

 

よーし、今日からバリバリ任務しちゃうぞー!

アラガミとか超ころころしちゃうぞー!

よろしくな、レンカ君!

 

 

 

 

○月今日は何の日子の日だよ

 

レンカ君いいわー。

基本静かで自己主張もしないし任務にも真面目だしで超いいわー。

どこかの最も模範的なゴッドイーターさんに見せてやりたいくらいだわー。

なんかすごいこう、覚えたての敬語みたいなの使われて距離感じるけど、これくらいが丁度いいんじゃないですかね。

 

ブラッド隊は近すぎるんだよな。

なんて言うのかな・・・・・・みんな家族だぜ! 大好き愛してる! ずっと一緒だよ! みたいなムードっていうか。

否定はしないし、馴れ合いは大好きだけど、正直あんまり合わないなって所はある。

お互いをニックネームで呼び合う居酒屋にバイトで入った時と同じくらいのやりづらさがある。あれはつらかった。

ゴッドイーターって基本、奉仕存在だからさ。自分達のコミュニティ守るために戦っちゃだめなんじゃないかなって思っちゃうんだよね。

仲間のために戦うのはいい。信じる心だけあればいいんだから。

離れ離れになっても、同じ空の下できっと頑張っているんだろうなって、そう信じてやっていけるから。

顔も知らない人を守って死んでくんだ。そういうもんだろ、きっと。

でも家族だったら、違うだろうなとは思う。家族が離れ離れになるのは悪いこと。みたいなさ。

家族がいた記憶は擦り切れてもう、ほとんど覚えていないけれど。

肩を並べて戦う相手が家族だったのなら。心が離れてはやっていけなくなってしまう、んじゃないかなあ、と。

人類と家族を天秤にかけたら、そりゃ家族が重くなるだろって話。

 

仲間がたくさんいても、戦いの中、人は孤独だ。そうでなきゃいけない。

自分の責務で人を助け、見捨てなければならない。

家族のためにと、そんな言葉では助けを求める誰かを見捨てられない。

さし伸ばした手を蹴倒して踏みにじることはできない。

もし、世界とブラッド隊の誰かを、どちらかしか救えないなんてことになったら。

どうなっちゃうのかなって、怖さはあるね。

 

もっとこう、戦うことっていうのは、救われてないといけないと思うんだな。

腕輪をつけられて、死ぬまで戦うしかないって運命になっちゃってさ。

だっていうなら、ゴッドイーターにとって、戦うことが唯一の許しなんだとしたらさ。

戦っているときはね、誰にも邪魔されず自由で・・・・・・なんというか救われてなきゃあ。

ブラッド隊全員に言えることだけど。ちょっとこう、腕輪付き同士で依存しすぎなような気が。

支えは自分の中に作るべきものであって、その場に居て触れ合えなきゃだめだなんてのは、そんなのはもう枷だよ。

でもま、こういうのもありっちゃありだからさ。

これが一番やれる形だっていうなら大歓迎さ。俺も楽しんじゃう。

家族さいこー、俺も愛してるぜー。

 

ブラッド隊にいる間はね。

 

 

 

 

○月夏イベント後に本当の悲劇が起きた日

 

ヴァジュにゃんtktk。

前足をつんつんするだけの簡単なお仕事です。

 

作戦名はそんな餌に釣られるニャー、だ。

いやあ、これだけ広い作戦フィールドだと索敵するのも一苦労・・・・・・いや、さ、さぼってるわけじゃないからね?

効率的な作戦だから! めんみつなさくせんだから!

こういうヴァジュラが縄張りにしてる所とか、他のアラガミ食われちゃっていないし、たぶんいるのもオウガテイルの群れとか小型種ばっかでしょ。

通信できた任務難易度も下位のものだったし、ヴァジュラ複数討伐とかそういうにゃんこパーティは今回はないから。

ない、はず。不安になってきた。

極東の偵察班の情報はだいたい間違う。極東あるあるっていうけど、精鋭揃いの極東でそんなに間違うわけないし。

いや、俺の参加任務だけ誤情報率がやたら高いような。

 

あ、餌役のゴホンゴホン、レンカ君おかえり。

どれだけ釣れた・・・・・・ヴァジュラ!? ヴァジュラなんで!? 3匹もいる!?

わあすごい雷神の響宴!

おおっと、レンカ君吹っ飛ばされたァーー!

ちょっとこれ数多いやめ・・・・・・グワーッ!

 

 

 

 

○月雪風レベル98が五連装魚雷と共に沈んだ日

 

レンカ君の串刺し一丁!

うわぁあああああ! レ、レンカきゅーーーん!

傷は浅いぞ死ぬなああああっあっあっ!

 

 

 

 

○月慢心ダメ絶対でも心が折れそうな日

 

日付が変わったので書いてる。

昨日はほんと大変だった。羽が生えたディアウスにレンカ君がガッスーやられてた。

 

ディアウスは人間を好んで襲う習性がある。

哨戒中にたまたま見つけた難民の集団を襲おうとしてたところをかち合っちゃったもんだから、レンカ君が一瞬で頭フットーして飛び出していった。

あの反応はトラウマ持ちですわ。ディアウスっていうより、アラガミ全般かな。

こんな世界覆してやる! って息巻いてたもん。

それで突撃して、カウンターで一撃。

背中からお腹に掛けて、鋭い骨羽の先端で一刺しですわ。

羽生えたディアウスは変異種中の変異種だから、ものすごい攻撃的なんだよねあれ。攻撃力とかすごいの。攻撃力ってなんだよって話だけど。

何がやばいってレンカ君がやばい。

胴体貫通したのはもとより、背骨をやっちゃったみたい。傷はなんとかなるとしても、背骨はだめでしょ背骨は。真っ二つになってた。

また才能あるゴッドイーターが一人脱落かー、あれはきついな半身不随コースだ介護認定おりるのかな、なんて思って切なくなってたら。

普通にひょっこり起き上がって逃げてた。

 

こいつ・・・・・・動くぞ・・・・・・!?

え、ええー・・・・・・どゆこと・・・・・・。

 

何か泣きそうになりながらこっちきて、俺はゴッドイーターになれない、とかなんとか言ってた。何か色々お腹から飛び出してますよ君。しまって、どうぞ。

あの人達助かってるやん君のおかげやで! だからもう休め。休んでください。横になってお願い。重症を超えた軽症ってどういうことなの意味わかんないよ!

うわ笑ってる怖い。血みどろで笑ってる怖い。

お、俺向こうに行くけど、その、なんか囮にしちゃったみたいになってごめんね? 

この人達守ってねとか建前あれば休める? おっけー? 怒ってない?

 

ディアウスはこの後、神機様がおいしくいただきました。

やっぱ羽根付きはやたら強いなあ。

クリアリザルト後に培養した細胞片は、帝王牙・・・・・・あががが、お、俺のトラウマがぁぁぁ!

 

 

 

 

○月雪風二隻目育成中でもあの雪風はもう戻ってこないんだ一緒に数々の戦場を駆け抜けた雪風は二度とな日

 

レンカ君の神機がディアウスにポッキー折られたので、俺が単独で戦うことに。

いいよ寝てて。いいから、寝てて。寝てろ。

ていうか、遊撃隊とか言っておいて、いつもはレンカ君一人で周辺地区見回りさせてるのかこれ。

まあこの戦歴見れば、ねえ。隊長クラスだしなあ。極東基準の。

仕方ない、のか? 特務を彷彿とさせる無茶振り・・・・・・極東は本当に地獄だぜフゥハハー!

難民の人達にありがとうありがとう言われて、なんか感極まったのかレンカ君が俺のおかげだって、すごい目で見てくるようになりおった。

キラキラしておる。もうなんかお目々がキラッキラしておる。

やめて、俺の正気度はもうゼロよ!

そんな綺麗な眼で俺を見ないで!

 

 

 

 

○月燃え尽きたよ真っ白にな日

 

負傷者抱えたまま任務とか出来ないから帰還要請しとく。

迎えのヘリが来るまで近くにあった集落で待機だ。

 

いやあ、この集落もすごいよ。

うん? ああ、ここね。いやここ、何かどこかのゴッドイーターが善意でお金出してくれて作られた集落だってさ。

誰って、リンドウさんとかじゃない? たぶん。

俺もたまにここに物資とか運んでるよ。ここだけじゃなくて、人が住んでる場所にはだいたい行ってる。

まあ対外自由だったよ。なんだかんだで。

 

それでここは色んな条件が重なってできたスポットっていうか、やや安全地帯っていうか。

ネモス・ディアナ並に緑が残ってると思いきや、これ全部アラガミの擬態した木なの。

で、アラガミが近づいてきたら木の“うろ”から細胞槍が飛び出して、そのままアラガミを突き刺して捕食しちゃうっていう攻勢防壁になってた。

これこの前ソーマが言ってたあれだよね。狐みたいなアラガミのオリジンオラクル細胞使って作ろうとしてるやつ。

マルチコアプロセッサみたいな働きでもって、対アラガミ防壁がかってに自生と成長を繰り返すっていう、新しい建築材の開発するって言ってたやつ。

まさにこれだよなあ。

大型のにはあんまり効果なさそうだから、これをそのまま使うのは出来そうにないけど。

いやあ、しかしこれはすごい。まるで食虫植物だ。ゴッドイーターも不用意に触れたらぱくっといかれちゃいそうだ。

おいでよアラガミの森。みたいな。

おっと、とびだせアラガミの森。やっぱり触ると攻勢防御が働くっていう。

 

レンカきゅん寝てなさい。

いいから。俺はこれで遊んでただけだから。これアラガミだから。触ったら危ないから。

あん? こんなのもアラガミなのか、だって?

そりゃあ、俺達の使ってる神機もアラガミなわけでして。

やっぱ自生のアラガミは進化の多様化起こしてるよね。面白いもんだ。

 

レンカ君、アラガミが生まれる所見たことある?

地面からさ、ぬぬぬって生えてくるんだよ。

あれ見たらもうね、アラガミの根絶とか思えなくなるよ。

無理でしょ。

アラガミってたぶん、地球と同一化してるから。

地球=アラガミだから。

 

そんな顔するなよ。

戦うことが無駄だなんて言ってないだろ。

でもその目的をアラガミを滅ぼすことにもっていくのは、どうかなとは思うよ。

無駄だとは言わないよ。これは絶対だ。そういう気持ちで戦う奴がいなきゃ、人間はやっていけないだろ。

でも、俺や・・・・・・君みたいな奴がそれを掲げちゃいけないんじゃないかな。とは思うよ。

 

最近思うんだ。

俺はゴッドイーターになった。

でも、ただなっただけじゃ、その使命は果たせないんじゃないかって。

ゴッドイーターはいったい何のためにあるのか。

そいつを考えることが、ゴッドイーターになる、ってことなんじゃないかな。

 

やべぇ、いい感じなこと言おうとして途中からオラわけわかんなくなってきたぞ。

このまま勢いで流すしかねえ。

 

そ、そうそうゴッドイーター、ゴッドイーターね。

神機使いってなんなんだろうね。

たぶん、こう、ね? 胸の中にある、ね?

誰もが持ってる神機を握りしめたその瞬間にほら、みんなゴッドイーターになってるんだと思うよ!

 

どやぁ。

 

 

 

 

○月お空のファンタジー100連レアなし発狂しそうな日

 

運悪く因子投与のタイミングと重なってアラガミの襲撃だよ。

やってきたのは金冠サイズのボルグ・カムラン。

アラガミの森を抜けてきたんだろう。だんだんアラガミの森の構成防御が効かなくなってきてる。

偏食傾向がまた変化したのかな。あとで調整しないと。

 

しかし壁外任務はこれがあるから油断できない。

腕輪の調整期間とアラガミ襲撃がよく被るっていう。

本当なら相方に任せるものだけど、レンカ君負傷してるし、俺がソロでやるしかないですね。

神機なしで。

 

通常種のボルグ・カムランとかいまさら余裕余裕。

でも神機ないから手詰まりである。

どうしたものかと走り回ってると、レンカ君が集落の人達を集めてなんか相談してた。

ちっちゃい女の子と何か話してた。ほう、やるなレンカ君。

 

それでなんやかんやあってダム放流。

ボルグ・カムランを川にどぼーん。水洗トイレみたいに流れていった。

なるほどなー。

倒せないならどっかやっちゃえばいいじゃん、的な。

堤防作って決壊させて水攻め、ってのは戦国時代を代表する日本古来からの伝統戦術だもんなあ。

この集落手直しするとき、ちょうど廃ダムあったしで、水力発電してダム復旧させようぜってやったのが活きたね。

いやあ、水の力ってすごい。

 

考え直させられるよね。

アラガミは地球の新しい自然の力かも、なんて思ってたけど。

やっぱり水だよなあ、水。

 

 

 

 

○月ジータちゃん総戦力上がらない日

 

その後は特に何かあるわけでもなく、極東へ帰還。

レンカ君は即行で医務室につれていかれてた。

 

俺も腕輪に因子投与してぼんやりしてたら、榊博士が暗い顔してやってきた。

だんだん榊博士のポーカーフェイスが理解できるようになったっていう。

俺の中じゃ極東の萌えキャラ代表みたいになってきてる。

サカッキーとかってキャラクター作るのはどうだろう。

こう、サカッキーだカッキー! みたいに異様な動きするやつで。

俺の血みどろピンクウサギスーツは極東のイメージキャラには合わない・・・・・・いや、ぴったりかも。

で、何の話なんですかね榊博士。

はあ、レンカ君の折れた神機のお話しで。

 

え、レンカ君死ぬの?

ファーーーなんで!? やっぱり背骨いっちゃったから!?

適合率が急激に高くなりすぎたから?

それ俺も同じだったような。君と一緒にしてはいけないって、ええー。

じゃあゴッドイーター引退したらどうなんですかね。あー、それでも3年くらいしか生きられないんですか。

あー、あー。

それ、俺から言わなきゃいけないんですかね。

いやですよ。榊さんが言ってくださいよ。

ていうか俺って一応所属はもう極東じゃないですからね。

じゃあリッカが言うって・・・・・・それ卑怯でしょもう。

知ってるの神機直接いじるリッカと榊さんくらいのものでしょうけど。

わかりましたよ。言いますよ。俺がやりますよ。

あー、切ないなあ。

 

おっぱいが恋しい。

つらいことがあったら、おっぱいの事を考えるといい。

真面目に、人間にとって一番強い欲求は、愛欲なんじゃないかと思っているからでして。

だからおっぱいの事を考えるのは普通なんだよ。いいな。

つらい仕事が終わったらシエルの所にいこうかなって、そう思うだけで元気になれるだろう? そういうことだよ!

ブラッドで発見した無防備おっぱいと無垢おっぱい。

上乳、下乳、横乳、中乳・・・・・・極東に全てのおっぱいが集まったことになる。

ああ、すばらしい。

楽園はあった。ここにあったんや!

断言できる。

俺はおっぱいのために戦っているのだ! と!

 

 

 

 

■ □ ■

 

 

 

 

ゴッドイーターには2種類の者がいる。

そう空木レンカは思っている。

 

己のために戦う者と、他者のために戦う者。

その二つが。

 

では目の前にいるこの人物はどちらか、と問われると、レンカは判別がつかないままでいた。

この男はいったい何のために戦っているのだろう。

 

「よろしく・・・・・・お願いします」

 

未だに慣れない敬語を使う。

元は極東で一線を張っていたが、他支部へと派遣され、その他支部の人員となって帰ってきたのだという。

あまり人付き合いが得意な方ではないレンカとて、その名を聞いたことぐらいはある。

極東にその人ありと謳われる男・・・・・・神狩人。

本名は不明。

戸籍など意味を成さない世界だ。人の名前など自己申告制であり、ゴッドイーターなどほとんどコードネームのようなものだ。

中には支部を移る毎に名前を変える者もいると聞く。

陰謀に巻き込まれているだとか何かという噂はいくらでも耳に入るが、この男も自分の名前に頓着しない性質なのだろう。

過激な服装や言動を好む“変わり者”が多いゴッドイーターである。

そういった“趣味”の範囲には触れてやらないのがマナーだということは、壁の中に来て学んだことだった。

 

――――――敬語、無理して使わなくていいよ。

 

「ああ・・・・・・いえ、はい」

 

――――――いいってのに。

 

苦笑されたことに、からかいの意図がないと解ってはいても耳が熱くなる。

壁外に居た人間が、まともな教育を受けているわけがない。

ゴッドイーターになった当初苦労したのが、目上の者に対する時と場所を選んだ敬語である。

敬意はある。だが、それを言葉とする知識がない。

荒事を生業とするゴッドイーターであるが、公的な存在になったからこそ他者の目に触れることも増え、こういった知識や積み重ねた経験が満ちぬことに密やかにコンプレックスを抱いているものも多い。

レンカもその一人であり、報告書の提出や定時連絡等でほとほと苦労を重ねていた。

 

――――――最近、ヴァジュラが多いな。

 

つぶやきにレンカも肯首する。

男の足元には、ヴァジュラが力なく横たわり倒れていた。

否・・・・・・倒されていた。

喉を生唾が通る音が聞こえる。

この男は今、レンカの目の前で常識を覆すような戦いを見せたのだ。

見せ付けられた。間違いなく、魅せられた。

 

大型のアラガミには、大型の武器を。

それがゴッドイーターの常識だ。

ヴァジュラ種のような大型には、最近普及されつつあるハンマーか、あるいはバスター。この二つが用いられることが常であるというのに、この男は。

あろうことかショートブレードで、それも切断を捨て刺突のみを突き詰めた非効率的な刀身でもって、超密着接近戦をヴァジュラに仕掛けたのである。

他のゴッドイーターから命知らずと称されるレンカをしても、有り得ない選択、戦闘法だった。

だが、その結果がこれだ。

男には毛ほどの傷もなく、汗の一筋も流れていない。

 

作戦は誘い込み漁だ。

レンカを囮にして、アラガミを引き寄せ、叩く。それだけの簡単なものだった。

だがそれを成功させるには、叩く役目を負ったゴッドイーターが圧倒的実力を持っていなければ、物量に押しつぶされ全滅するのがオチだ。

自信があるのか、眉ひとつ動かさず微笑んでいる男に、レンカは身震いをする。

背筋が凍えるようだった。

 

通信から入る情報は、ここはヴァジュラの巣であるということ。

危険度が高すぎて、何体潜んでいるか、調べられなかったということ。

わざわざそんな通信を寄越すくらいだ。極東支部有数の偵察班からの情報である。

巣であるということは、ヴァジュラも複数体いるとみて間違いない。それくらいはレンカにも想像が付く。

もちろんこの男も同じはずだ。

 

ヴァジュラを単独にて討伐せしめて初めて一人前といえる。

などという冗談が、まことしやかに極東では流行している。

こんな冗談が流行り始めたのは、この男が極東入りした時期、神狩人が現れた時期と一致する。

エイジス計画の発端と締結に端を発する一連の騒動から、極東のアラガミは異常進化を始めていた。

これまでのアラガミとは見た目は等しくとも、中身はまるで別物だ。

端的に言って、異様にタフになった。死なないのだ。どれだけ撃っても、斬っても。

アラガミの“質”の向上に、当然ゴッドイーターも対応せねばならなくなった。

新型機の台頭と同時に、ゴッドイーターの戦力強化が計られ、今となってはその冗談は当然のように真実となっている。

 

だが、それでもヴァジュラはある種のゴッドイーターへの壁として存在している。

単独討伐は、あらゆる準備や支援が万全であるという大前提があってこそ、初めて言えることだ。

こんな壁外の哨戒任務、そのついでで、複数討伐を狙うなどあってはならないことなのだ。

命を掛けてさえ、まだ届かぬ程に。

 

だというのに、この男は何でもないと言った風。

見る間にレンカが連れて来た最初の一匹を仕留めて見せた。

そして、次いで“引っ張って”きた二匹目。三匹目。四匹目をも。

危なかったなどと言ってはいたが、とても危う気には見えなかった。

ヴァジュラの列に引き飛ばされて意識が朦朧としていた自分が言える台詞ではないが、己のためにと言うには、あまりにも無謀が過ぎる戦い方だ。

 

そして、思う。

この男は、この圧倒的な力を持った男は、一体何のために戦っているのだろうか、と。

 

――――――レンカ!

 

翌日のことだった。

哨戒中に、黒いヴァジュラ・・・・・・ディアウス・ピターが出現したのだ。

ヴァジュラを追って入った崩壊した建造物には、住処を求めてさまよう難民達が肩を寄せ合い震えていた。

やつれた彼らの顔を見た瞬間に理解する。

絶望に黒く染まった瞳。抵抗する気概が失せた瞳。

喰われるためだけに息をする者たち。

ここは、餌場だ。

 

ヴァジュラは数が増えたのではない。狩場を追いたてられ、必要に駆られて群れていただけなのだ、と。

アラガミの中でも上位に君臨するヴァジュラ。それを追い立てる存在。

そして、人を生かさず殺さず、間引きするかのようにして“収穫”する知恵あるアラガミ。

即ちそれは・・・・・・。

 

「ぐ・・・・・・ああっ!」

 

熱い塊が喉の奥からせり上がる。

ヴァジュラを食い千切って現れたディアウス・ピター。

その獣欲に濡れた赤い目が、震える人々に向けられた瞬間。

気が付けば、走り出していた。

静止の声も振り切って、ディアウス・ピターへと神機を振り被っていた。

その結果は、これだ。

 

背中から腹に掛けて、骨のような翼が、刺し貫いている。

体の中から、失ってはいけない熱が流れ出していく感覚。

それを超える、喪失感と絶望。

赤い目は、こちらを向いてさえいなかった。

骨の片羽は今も、人々を狙っていて――――――。

 

――――――うおおおおッ! アストラルダイヴッッ!

 

黒い閃光に、絶望が打ち払われた瞬間を、見た。

その後は、何があったのか、朦朧としていて覚えていない。

覚えていることは、ディアウス・ピターが倒れた瞬間。

 

「俺は・・・・・・ゴッドイーターには、なれない」

 

――――――どうしてそう思う?

 

「俺では誰も、救えない。守れない・・・・・・」

 

――――――そうかな? 彼らを見てみろ。ほら。

 

「ありがとうございます・・・・・・! ありがとうございます・・・・・・!」

 

「あなたのおかげで助かりました、本当に、何とお礼を言ったらいいか・・・・・・!」

 

「おにいちゃん、ありがとう!」

 

「死なないで、お願い・・・・・・!」

 

そして、心配そうに覗き込んでくる、たくさんの人たちの顔。

 

――――――お前が守ったんだ。

 

「俺が、守った?」

 

――――――そうだ。お前がやったんだ。やり切ったんだ。ゴッドイーターだよ、お前は。

 

「俺は・・・・・・俺が、ゴッドイーター、なのか。ゴッドイーターになれたのか、俺は」

 

――――――俺も同じ台詞を言ったことがあるよ。ゴッドイーターなんて言われているけれど、腕輪をはめただけじゃあそうはなれない。神機を握らなきゃ、何にもなれないんだ。ここの中にある神機をな。

 

「胸の中にある、神機・・・・・・」

 

――――――お前はゴッドイーターだ。たとえ神機を折られたとしても。お前の神機は少しも折れちゃいない。そうだろう?

 

ああ、と答えたくて。

でも意識は暗がりに落ちていく。

もしこのまま二度と目が覚めなかったとしても、後悔はない。

ゴッドイーターを完遂すること。それはきっと、アラガミを滅ぼすことではないのだろう。

ゴッドイーターとは。神機使いとは。

戦うということは。

 

覆された。

何も知らなかった俺を、覆された。

 

ああ、そうだろう。

この世界はアラガミに支配されていて。

アラガミに対抗するには神機しかないのだとしたら。

“神機”をその手に、その胸に、握り締めたものこそが、きっと。

こんな世界を、覆すのだから――――――。

 

「アンタは、何のために戦っているんだ・・・・・・?」

 

――――――俺かい? 俺は・・・・・・。

 

閉じる瞼に答えは届かず。

けれどきっと、自分がいつか辿り着く場所にある。

俺も、同じ思いを胸に戦えたらいいな、と思う。

この男が抱く戦う理由を、“神機”をその手につかむために。

 

戦おう、ただただ、戦おう。

地球とアラガミが一体となったのなら、人に生きる場所がなくなってしまったとしても。

戦い続けること。その果てにきっと、ゴッドイーターの目指すものがあるのだろう。

 

だから、今は傷を癒すためにただ眠ろう。

神狩人、神薙・R・ユウの名を胸に刻んで。

 

 

 

 

■ □ ■

 

 

 

 

「おっす、リョウ」

 

――――――こっぴどくやられたなあ、コウタ。

 

「もうユウごっこはやめたんだ?」

 

――――――言うなよ。で、取り逃がした理由はそれか。

 

「いやあ、アイツ強くってさあ。すばしっこいのなんの」

 

――――――違うだろ? 戦闘する前から怪我してたはずだ。アラガミ相手だったら、そんな小さな打撲痕は残らない。そんな、誰かに殴られたみたいな、な。

 

「やっぱりリョウには誤魔化せないか・・・・・・」

 

――――――エイジス付近で待ち伏せされて、リンチ食らったんだな? 肋骨をやったんだな。守ってた住民に囲んで棒で殴られた気分はどう?

 

「最悪。もういろいろへこむよ。守ったのにーとか、何のために命削ってるんだーとかさ。

 見捨てられたって思いが強いのは解るし、反戦ムードみたいなのがあるのはそれだけ暮らしが安定してきたってことも解るけどさ。エリナとエミールには言わないでくれよ?」

 

――――――言えないって。で、そっちの傷がほんとにアラガミにやられた方だな。怪我してたとしても、お前が居住区近くでアラガミを逃がすなんて珍しいな。どんなやつだった?

 

「やたら強くて、早かったよ。そんで、肩に神機が刺さってた」

 

――――――肩に、神機?

 

「ほんとだって。普通は体外に排出されるはずだってのに、残ってたよ。誰のかはわかんないけど、第二世代のロングブレードだった。シールドは破損してて、なかったと思う」

 

――――――報告は?

 

「もう終わってる。ハルオミさんもいたんだけどさ、状況を話したら急に顔が険しくなってさ・・・・・・ハルオミさんのあんな顔、初めて見たよ。あの肩に神機が刺さったアラガミのこと、何か知ってるのかな」

 

――――――どんなアラガミだった?

 

「“赤い”、カリギュラ――――――」

 

 

 

 

 

 





(`・ω・´)「どんな理由で戦ってるんだお?」
(´・ω・`)「おっぱい」
(`・ω・´)「いつか同じ気持ちで戦うお! 明日の希望をこの手につかむお!」
(´・ω・`)「おっぱいつかみたい」

さらっと読める勘違い系を目指しました。
うん・・・・・・むずかしい。
他の勘違い系をやってられる作者さまはマジもんの天才じゃないかな・・・・・・。

さて、GEのアニメも前半が終わりましたね!
10話からは冬期放送か・・・・・・はよう、はよう! でも特別総集編間に挟むのはもう勘弁な!

レンカ君にはやさしい世界があってもいいと思うんだ・・・・・・せめてこのSSの中くらいは。
どうあっても極東にいたら地獄なんですけどねフゥハハー!

リザレクションも10月末に発売ですし、今後もゴッドイーターのさらなる発展が続いて嬉しい限りです。
本当にリザの技術進歩はすさまじく、特にグラフィック面での強化はびっくりするくらいですよ。
体験版してみるとわかりますね。一目でわかるよ!
ツバキさん見ると、ふ、ふつくしい・・・・・・ってなりますから!
ああ~、はやく揺れるおっぱい拝みたいんじゃ~。


あと、作中にちらほら出ていた私の魂の叫びには触れないでください。
優しさだぞ。わかった?
雪風・・・・・・。


※活動報告更新

活動報告の方でご相談いたしまして、アドバイスをいただいたのですが
そろそろ活動報告作をまとめて習作集みたいなものにして投稿したほうがいいでしょうか。
うーん、ジャンルがあんな雑多でもいいんだろうか。悩みます。

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