「フッ! こんなものかなぁ?」
「ちっ!」
仮面ライダーカイザのカイザブレイガンとリュウガのドラグバスターの銃弾がぶつかり合う。クロスギーツとの戦闘で動くことも辛い状態でありながら、リュウガはドラグバスターを連射して後退する。一歩でも近づけないように。
だが、そんな努力は虚しいくらいにカイザは強かった。連続で放たれる銃弾の雨を目にも止まらぬ速さで斬り伏せ、一歩一歩確実に近づいてくる。
「なん、なんだよお前!!」
「この程度、ノイズと戦うことと比べれば造作もないよ。むしろ簡単ですらあるかもね」
「んだとゴラァ!?」
「それに、さっきからちまちま遠距離で攻撃してくるけど……もしかして俺と近距離で戦うのが怖いのかなぁ?」
いちいち癪に障る言い方に、ただでさえ自分が短気だと自覚しているリュウガ――裏千束の額に青筋が浮かび上がる。そして、割と好戦的なところがある裏千束がそう煽られて乗らないわけもなく、そして何より千束エネルギーの配給が不足している今の裏千束に、
「やってやろうじゃねぇかぁこんにゃろうが!!」
相手の煽りを受け流せるほどの余裕はなかった。思いっきりドラグバスターを投げ捨ててドラグセイバーを召喚した。
「おらぁ!!」
「ふっ!」
ドラグセイバーとカイザブレイガンの刃がぶつかり合い、お互いに何度も斬りかかる。
残り体力に余裕がない裏千束ではカイザブレイガンの力に叶うわけもなく、あっけなく力負けして吹き飛ばされる。だが転がりながらも立ち上がりカイザに斬りかかった。
その戦い方は本来裏千束がしているものではない。怒りで冷静さを失っているために、普段の戦い方ができていなかった。
それをアマゾンアルファの猛攻を防ぎながら見ていた龍騎は、アマゾンアルファを蹴り飛ばすとカイザに殴りかかる。
「がはっ……な、なんだお前?」
「なっ!! 邪魔するな!!」
助けてもらったにも関わらず冷静さを失っていた裏千束は龍騎に悪態をつく。それに龍騎は裏千束にげんこつを食らわせた。
「きゃんっ!?」
あまりの痛さに仮面の下で涙目になる。
「冷静になりなさい。怒りのままに戦うのは三流のすることだ」
「……そ、その声」
その声は裏千束にとって聞き覚えがありすぎる声であった。それもつい最近聞いた……
「いや、今はアイツを倒すのが先か……」
思考を中断し立ち上がったカイザを睨みつける。ドラグセイバーを構え、
「うぉらぁ!!」
「殺気を隠してから奇襲しろやバカ!!」
後ろから飛びかかってきたアマゾンアルファを斬りつけた。ゴロゴロと転がりながらアマゾンアルファは器用に着地すると、地面を強く踏みつけ裏千束の懐に迫る。
「ちっ!!」
舌打ちしながらアマゾンアルファの拳をバク転しながら避ける。
「面倒だなおい……」
アマゾンアルファの素早い連撃を紙一重で避けて裏千束は、カードデッキから一枚のカードを取り出しブラックドラグバイザーにセットする。
「アァァァァ!!」
【アドベント】
龍騎と戦闘を行っていたカイザのカイザブレイガンからレーザーが飛んできたため、それをバックステップで回避するとブラックドラグバイザーのカードスロットを上へスライドし装填する。
「ルヴァ!?」
裏千束の背後を取り無防備な背中を斬り裂こうとしたアマゾンアルファは、突如ミラーワールドから出現したドラグブラッカーに噛みつかれ地面に叩きつけられる。
【ファイナルベント】
腕を広げながら少しだけ腰を低くした裏千束は、ドラグブラッカーがアマゾンアルファを地面に叩きつけた拍子に飛んできた瓦礫を足場にして跳び上がる。その後アマゾンアルファに向けて急降下しながら飛び蹴りをする。そして、ドラグブラッカーはアマゾンアルファを放るように捨て、裏千束の背後に回ると口から黒い火球を吐き出した。
「うおぉぉりゃあああぁぁぁぁぁぁぁああ!」
黒い火球が裏千束の足に纏われたことでライダーキックの威力が底上げされ、ダメージでフラフラになっていたアマゾンアルファは立ち上がるだけで限界でライダーキックをまともに食らってしまった。
「がぁ……っ!!」
吹き飛ばされたアマゾンアルファは何度も壁に衝突すると地面に打ち付けられ変身が解除される。少年の姿に戻ったアマゾンアルファはぐったりとしながらも気絶した。
「次は……お前だ」
「これは、少し分が悪いね」
龍騎とリュウガ。二人の最強格を相手に流石のカイザも降参とばかりに手を挙げようとしたその瞬間、
「ありぃ……? え、ちょっ!?」
突然カイザの後ろに現れた黒いオーロラカーテンが、急速でカイザを飲み込んだ。オーロラカーテンの向こう側には黒狐をモチーフとした仮面ライダーであるクロスギーツが立っている。
「はぁ……!? てめぇ、クロスギーツゥ!!」
「ま、待ちなさい!!」
クロスギーツを見た瞬間、怒りが湧いてきた裏千束は龍騎の静止を気にもとめずに黒いオーロラカーテンの向こう側に消えていく。
裏千束が黒いオーロラカーテンの中へ入って行ったあと、気絶していた少年の前に出現しすぐさま飲み込んで消滅した。
「…………千束」
一人残された龍騎は、小さく呟くとその場をあとにした。
〜〜〜〜
「なぁ、これなんて読むんだ?」
「……さっきも教えたけど?」
久しぶりに司がカフェ「nascita」の扉を開けて、最初に聞いた会話がそれだった。また永民がなにか困らせてるなと呆れながら入ると、司の存在に気づいた永民がニカッと笑う。
「よう兄弟! ここにあのチビ来たぜ!」
「それ本人の前で呼ばないでね? 戦争になるから……って黒ちゃんここに来たの!?」
「なんでお前が驚いてんだよ」
以前にも言ったことではあるが、電王ニキこと永民とリュウガネキこと裏千束はすこぶる相性が悪い。それはもう最悪と言っていいレベルで。2人が出会ったらなにが起こるかわかったもんじゃないこそ、絶対に司は2人を出会わせないようにしてた。
「貴方が黒さんをここに呼んだと本人から聞きましたが……?」
「そんな自殺するようなこと俺してないんだけど!?」
「永民と黒さんが出会うことは自殺案件なんですね……あとさり気なく司も二人に対する扱いが酷い」
取り敢えず椅子に深く腰掛け、頭を抱える。最近とある場所を調査していたため裏千束とは一切連絡を取っていなかったため、司が裏千束にメールすることはまずありえない。それなのにもかかわらず、裏千束はここに来た。それも司が呼び出す形になって。
(どうなってる? 意味がわからないぞこれ……)
「まぁまぁ、そんな難しそうなこと考えずによぉ! ほら、チャーハンでも食えよ」
「レパートリー増えてるなぁ……チャーハンの」
なぜかメニュー表にはチャーハンがたくさん載っていた。以前来た時はなかった記憶しかないが。
「永民が勝手に増やしました」
「おう! 俺が増やした!!」
「自慢気にならないでくれます?」
若干ラビスの額に青筋が浮かんでるのを見て、苦労してるんだなと同情した。
「あ、それでよ。今日はなにしに来たんだ?」
「一応俺客だからね? はぁ……マルチバース・ヴィランの拠点を見つけたんだよ。ようやくね」
「な、なにぃ!? マジかおめぇ!! すげぇな!!」
「なんですか、その……なんちゃらヴィランっていうよは」
ラビスはお冷を司の前に置きながら首を傾げる。
「マルチバース・ヴィランって言うのは……簡単に言うと悪質な転生者ばかりで構成されている組織の名前だよ」
司はカバンから一台のノートパソコンを取り出すと机の上に置き起動する。その後USBをノートパソコンに差し込み、画面に画像を映し出す。
「奴らは、とんでもないものを作り上げようとしてる」
「なんだこりゃ?」
一人の青年が両腕を鎖で繋がれており、その腰にはディケイドライバーが巻かれている。
「お、これって……」
「そう。ディケイドライバーだ」
「なんか色違くね?」
永民が指摘した通り、司の持つネオディケイドライバーとは違い、青年の腰に巻かれているディケイドライバーは黒い色だった。
「これのどこがやべえんだよ」
「まだ軽くしか調べられてないけど、このドライバーにはカードを使って仮面ライダーの変身アイテムを複製する機能があるみたいなんだ」
「最近同じライダーを見かけるのはそのせいってことですね?」
「そういうこと。本当に厄介になったもんだよ。もしダークディケイドが自由の身になったら……この世界が危険だ」
〜〜〜〜
「待てゴラァ……って、ここどこ?」
クロスギーツを追って裏千束が黒いオーロラカーテンをくぐり抜けると、そこは見たことない住宅街の中だった。
周りを見渡すと黒いオーロラカーテンが消えかかっているとこだった。
「あ、おい!! 流石にそれはまずっ……消えちゃった」
手を伸ばしなんとかもう一度潜ろうと走り出したが間に合うことはなかった。完全に自分の知らない世界に取り残された裏千束は舌打ちする。
「はぁ……どうしようか。ここじゃあ電波が届いていないのか司に伝える事もできなさそうだし、あんまり期待できなそうだけど、わんちゃんスレ仲間に賭けてみるべきか……?」
腕を組んで頭を悩ませる裏千束はため息を吐くと、取り敢えず脳内でスレを開いた。
どうだったかな?
良ければ感想をくれると嬉しいです。
次回からしばらく主人公不在になります。