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第十九話「黒騎士の帰還」
その場の雰囲気からどちらの味方をするべきかを把握してすぐさま戦闘に入ったタイクーンは、後ろにいる二人を守るため拡張武器「武刃」を振り上げ鎧武の専用武器であるオレンジのくし形切りを模した日本刀「大橙丸」を弾く。
そのまま返し刀でバロンの突き出してきたバナナスピアーを地面に叩きつけ踏んづけると、無防備となったバロンを斬りつける。
「ぐっ……なかなかやるようだな!」
「おりゃぁ!! がら空きだぜ!!」
横から大橙丸を振り下ろしてきた鎧武を避けると同時にバナナスピアーを蹴り上げる。
「いてっ!?」
バナナスピアーが顔面にぶつかり弾かれてしまう鎧武。
わずか数分での戦闘でありながら二人の仮面ライダーが苦戦するほどの強さを見せる。
「……強い」
「そう、ですね」
ラビスの隣で見物していた迅が小さく呟く。それに同意しながら心のなかでため息を吐く。
(いくらなんでも強すぎます。おそらく今の私では勝てないかもしれませんね……)
迅がラビスの裾をクイクイと引っ張り、今のうちに早く逃げようと促す。それに頷いて静かにその場を去る。
その後、決着はついた。
ブジンソードバックルのバッケントリガーを二回引いて発動し、出現した漆黒の墨のようなエフェクトをエネルギー体として足に纏い、二人にめがけて振り下ろす。その瞬間エネルギー体が回転する斬撃となり二人に襲いかかる。
【ブジンソードビクトリー】
タイクーンの必殺技を喰らった二人の仮面ライダーは悲鳴を上げる暇もなく爆破された。その場に残っていたのは彼らが使用していたドライバーとロックシードのみだった。
「あの子達は……よかった。ちゃんと逃げれたんだね」
いつの間にか二人がいなくなっていたことで安堵したのか、変身を解いた青年は柔らかい笑みを浮かべその場をあとにする。そして、青年がいなくなったあと黒いオーロラカーテンが出現した。
〜〜〜〜〜〜
「ふぅ……こんなものかな」
仮面ライダーザビー軍団を倒しマルチバース・ヴィランの本拠地(仮)から脱出した仮面ライダーディケイドこと鳳司。潜入するのに着ていた服を脱ぎ、いつもの服に着替える。
ラフな格好になった司は潜入したマルチバース・ヴィランから抜き取ったデータの詰まったメモリをポケットに入れ、急ぎ喫茶店「nascita」へと向かう。
「おまたせ!! 拾ったっていうアマゾンは、どこ……に」
勢いよく扉を開けて店内に入った司は、目の前の光景に固まってしまった。それはなぜか……
「どう、美味しい?」
「モキュモキュ……美味しい」
メイド服を着た雪菜が幼い子供を膝に乗せ、手に持ったお菓子を食べさせていた。そんな脳の理解が追いつかない場面の中で司は反射的にスマホを取り出し、
「あ、もしもし。警察ですか? 今目の前に――」
「いやいやちょっと待って!?」
警察に連絡しようとして全力で雪菜に止められた。落とさないように少年を静かに椅子を座らせてから。
「いやいやこれはどう見ても事案でしょうに」
「違うの!! これには理由があって」
「ほうほう? その理由とは?」
「だって、迅くん可愛いから……」
「――もしもし警察さん?」
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
雪菜の絶叫が店内に響き渡った。
〜〜〜〜数分後〜〜〜〜
「なるほどなぁ……まぁ、雪菜ちゃんが悪いってことで」
「酷くない!?」
騒ぎを聞きつけ奥から出てきたエボルトは二人から話を聞き、流石に苦笑いしながらお湯を沸かす。
迅は相変わらずお菓子を食べている。時々幸せそうに食べる姿は司もほっこりしそうになり、慌ててその思考を隅っこに追いやる。
「それで、この子を拾ってきたラビスは?」
「返ってくるなり部屋に籠もっちまったよ。なんか転生者に襲われたときに倒したドライバーとかを回収したらしくてな? それの研究だとよ」
司はその話を聞き、ラビスが元々発明家であることを思い出した。少し前にエボルトから聞いたラビスの発明品の中には、使い物になりそうでならないガラクタが多いらしいが、それは使用用途がえげつないかららしい。
「アイツが持ってきたのはボトルだったな。まぁ、昔ガシャットの研究中にエンプティーボトルを作ったら、相手に感染しているバクスターを強制的に分離させるっていう意味不明なもん作ってたけどな」
「その話、詳しく聞かせろ」
会話の中にあった聞き捨てならない言葉に、司と雪菜の目が鋭くなる。。それもそのはずで、エボルトの語ったその「ボトル」に聞き覚えがあるからだ。それもつい最近。
「いや俺も詳しくは知らねぇよ。徹夜明けになんとなくで作ったもんらしいからな。まぁ、せっかく作ったそのボトルもどっかで落としちまったみてぇで、作った本人も忘れてるがよ」
そうエボルトが語ると、なぜか余分に設置してあった冷蔵庫が独りでに開いた。
「ちょっと休憩しましょう……」
「「お前が犯人だったのか!! ラビス〜〜〜〜〜!!!!」」
「うえぇ!? な、何ごい"っ"た"ぁ"!?」
二人揃って席を待ちながら吠えるように叫んだ言葉に、ラビスはビックリして頭を冷蔵庫の天井にぶつけてしまった。
「……なんだこれ?」
チリンチリンとベルを鳴らして入ってきた青年を置いてけぼりにして……。
〜〜〜喫茶店リコリコ〜〜〜
(めっちゃ間の悪いときに入ってきちゃった……)
クロスギーツが開いた黒いオーロラカーテンに飲まれ、なぜか元の世界に帰ってきた裏千束は一番心配だった千束の様子を見るためリコリコに立ち寄った。
扉を開けここのブレンドコーヒーでも飲もうかと思ったとき、千束が父親同然のミカに向かって叫んでいた。
「なんでたきなのパンツが男物なんですか!?」
「聞かれたからな」
「だからって自分の好きなものを答えます!?」
この時点で回れ右して店を出たくなったがせっかく来たんだからと静かに席に座る。
「あ、黒さん……お久しぶりですね」
「あ、うん……そうだね」
たきなが置いた水を一飲みし、耳を傾ける。
なんとなく会話を聞いてみると千束が偶然たきなの下着を見てしまい、それがまさかの男物だと発覚。定員の中で唯一の男であるミカを問い詰めたところ、店長のミカはたきなから「好きなパンツの種類」を聞かれ、素直に自分の好きなパンツの種類を答えた結果、なぜかたきなはそれを着てきた……。
「いや普通そうなるか!?」
「そうなってるから、こうなってんだよ」
詳しく話を聞いても理解できなかった話にツッコミを入れれば、なぜか隣りに座ってきたクルミがツッコんできた。
「たきな、明日は買い物に行くからね!」
「指定のものはありますか?」
「いや、普通でいいから!!」
店の奥に行こうとした千束と裏千束の目線が重なる。
「…………来る?」
「……なんでだよ」
裏千束は早くも帰りたくなった。
今回もどうだったでしょうか?
良ければ感想などもくれると嬉しいです!!
それではみなさん!また次回でお会いしましょう!!