「……こんなものなの? ザコじゃん」
カニをモチーフとした騎士――仮面ライダーシザースを足蹴にしながら罵倒する黒い龍の騎士は、手に持った曲刀を模した武器――ドラグセイバーを思いっきり振り下ろす。
カードデッキが破壊されシザースから人の姿に戻った男は黒い龍の騎士――リュウガの足元にすがりつく。
「い、いやだ!! 死にたくない!! 助けてくれぇ!!」
「そうやって何人の人がアンタに言ったんだろうね? それらの言葉を無視したのはアンタだよ。自分が今まで行ってきたことを後悔しながら死んだらどう?」
冷めた目で男を蹴り飛ばすとカニ型のミラーモンスターであるボルキャンサーが、豪快にヨダレを垂らしながら近づいてくる。
「ほら、アンタのご主人様だったやつだよ」
ボルキャンサーに道を譲ったリュウガはその場を後にするように歩き出す。ボルキャンサーはそんなリュウガにひと目見てから頭を下げると勢いよく男に飛びかかった。
「嫌だ!! 痛い!! 死に、たくなっ!! あああああああああ!!」
ガチュガチュという人の骨が砕け肉がえぐられる音がミラーワールドに響き渡る。
「バッカみたい……千束さえ狙おうとしなければ私に倒されることもなかったのに」
ミラーワールドの数カ所に設置されている鏡を覗き込む。そこにはとある喫茶店で元気に働く一人の少女――錦木千束が映る。
変身を解いたリュウガの姿はその少女と瓜二つの顔をしている。違う点があるとすれば黒い髪に赤い瞳、そして千束のような元気っぽさがない気だるげなことだろう。
服は黒い制服に包みこまれ、護身用に持ち歩いている黒竜を模した銃。
「私が君を守る……例え世界そのものを敵に回したとしても」
黒い千束は千束を見てまだ苦手としている微笑みを浮かべると、黒い龍ドラグブラッカーの背に乗り込み鏡の世界を飛んでいく。
それはミラーワールドから世界を守る少女のお話。決して誰からも理解されない孤独の戦いである。
黒い龍騎士の物語なのだから……
私にとって
生命を救われた……それを覚えている千束は、自分が救われたから他人を殺したくないと思っている。自分の命を救ってくれた誰かのように、他人の命を救いたい。だから「人を殺す才能」を自ら捨てるように「人を救う」ことを徹底する。
伝説のファーストと呼ばれた彼女の実力は相当なものだ。あのクソ機関が拾い上げわざわざ人工物の心臓を造ってまで救うだけはある。だが、クソ機関が期待していたのは千束の持った「人を殺す才能」だけだ。
故に千束はリコリコの持つ支部にいる。私はこの世界について詳しくない。私を生み出したのは彼女の心だ。人を殺せない彼女の代わり。だからこそ私は戦う。
いつか……絶対に彼女が平和に過ごせるようにするために。
そのためにもまずは……クソ機関に侵入して人工心臓の作成方法でも調べるとするか。
リュウガサバイブは
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あり
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なし