鏡のファースト(完結)   作:プロトタイプ・ゼロ

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先に言っておきます。この作品は俺のソウルフレンドである谷Pさんの作品と連動しております。


第一章【黒き龍騎士】
第一話「リコリスと武器商人」


 

 

 今日もまた人を襲うために鏡の外に出ようとした野生のミラーモンスターを倒す。こいつらは鏡の外に出て人間を捕食しようとしていた。それについては別に興味もない。だけど許せないのは、その対象になっていたのが千束だったこと。

 

 私と千束は表裏一体。彼女が存在しているから私も存在している。彼女を光とするなら、私は影だ、だから、私は彼女を死なせるつもりはない。彼女にできない人殺しは代わりにやる。

 

 まだあのクソ機関の情報は掴めてない。中々尻尾を見せないから苛ついてすら来る。そこまで時間があるわけではない。千束の心臓が停止するまでには突き止めなくてはならない。

 

 それはそうと……最近はあのスレのことを見に行ってなかったな。たまには見てみるか……

 

 家に戻ってきた私は、割と座り心地の良いソファに座り込み、目を閉じる。彼らと違い転生者というわけではない私にとって、彼とコンタクトを取るためにはこうするしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだこれ? え? 待ってこれ……私が見てなかった間になにがあった……? んん~理解が追いつかないんだが……なにこの小学生みたいな……その、会話は。

 

 あ~まぁ、しょうがないか。小学生だもんなこいつらの精神年齢。そうだ、きっとそうなんだ。うん。

 

「久しぶりに平和だから見に来たけど何なのこれ? っと……」

 

 おおう。私がコメントしただけでめちゃくちゃ驚いてんじゃん。なんなのこいつら馬鹿なの? バカなんだね。

 

 秘封倶楽部の影の巨人は……おぉ、生きてる。こいつ何回か死にかけてる気がするな。主に女関係で。たまにミラーワールドにやってくるクズ共と違ってちゃんとしたいいやつだから私は気にしないけど……いやクズじゃないからあんな毎回死にかけてるのか? 今度本人に聞いてみよっと。

 

 あ、イッチがドラゴンフォームになった……あぁ、なるほどドラゴンにはドラゴンってことか。まぁいいや。取り敢えず一人だけストライクベント食らわせる予定ができたな。

 

「ん……どうしたのドラグブラッカー?」

 

 ある程度スレを見ていたら気配を感じたから瞼を開けてみれば、急にドラグブラッカーがすり寄ってきた。なにかを伝えたいのだろうか……あぁわかった。そういうことね。

 

「行くよドラグブラッカー……狩りの時間だ」

 

『ギャオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!』

 

 ドラグブラッカーの背に乗り、デッキを構えてベルトを装着した私はリュウガに変身する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

 井ノ上たきなは人生で初めて、今までの恐怖を凌駕する絶望を味わった。武器商人の闇取引、それを制圧する任務についた彼女は、同僚が人質となり動けない状況で自分の心に従いガトリング銃を持って部屋に入った。それまでは良かった。

 

 そのガトリング銃を何者かが壊さなければ……。気づいたときにはたきなは吹き飛ばされ、壁に打ち付けられていた。

 

「バッカだよなぁ? 一人でなにができるっているんだよ?」

 

 武器商人が嫌らしい笑みを浮かべながら人質を連れて近づいてくる。側には鋭い爪を持った白い怪物もおり隙が全く無かった。

 

 人質となっている同僚は死が迫っているのを感じているからか先程からずっと泣いている。

 

 チラッと入ってきた方を見れば、今回の任務のリーダーを努めているフキが余計に動けない状況に歯ぎしりしている。

 

(これは……後で怒られますね)

 

 この任務で一番足を引っ張ったのはたきなだ。それは一番理解している。故に後でどれだけ怒られようと受け入れるつもりである。もちろん、生きていればの話だが。

 

「ったくよぉ、せっかくうまくいきそうだったのに邪魔してくれちゃってさぁ……死ぬしかないよねぇ? 君たちはぁ?」

 

 虎の文様があるデッキを取り出すと武器商人は鏡に向ける。すると鏡からベルトが現れ武器商人の腰に装着された。

 

「変身!」

 

 武器商人がデッキをベルトに入れるとその姿が変化し、白いトラをモチーフとした仮面ライダー……タイガとなる。

 

「ん~! やっぱり仮面ライダーっていいねぇ!」

 

 人質を放り投げたタイガは斧型の召喚機デストバイザーをたきなに向ける。

 

 死ぬかもしれない。そう感じたたきなはゆっくりと目を閉じる。マトモに動けず壁に背中を預けて座り込んでいる今、目の前には変身した男。

 

 タイガのデストバイザーが振り下ろされ、たきなの頭にぶつかる。思わずフキはたきなの名前を呼んだ。その時だった。

 

「流石に、それは見逃せない」

 

 鏡から飛び出してきた黒い竜騎士……仮面ライダーリュウガがタイガの腕を掴んだ。

 

 リュウガはデストバイザーから手を離し蹴り上げると、すぐさまドラグセイバーを召喚する。鏡から召喚されたドラグセイバーが回転しながらリュウガのもとに向かう最中、ついでとばかりにタイガは斬りつけられた。

 

 ドラグセイバーを装備したリュウガはタイガを掴み上げると何度も斬りつける。途中で白い怪物――デストワイルダーが飛びついてくるがタイガを片手で振り回して盾にすることで爪による攻撃を防御する。

 

 建物の中ということもあり狭い空間で戦っている……というよりは蹂躙しているリュウガは、ドラグセイバーを構えるとタイガのカードデッキを的にして攻撃する。

 

 一撃、二撃と重なる斬撃によりタイガのカードデッキが破壊されると、タイガの変身権が失われ、姿がタイガから武器商人に戻る。

 

 隙をついて攻撃しようとしていたデストワイルダーはピタリと動きを止め、キョロキョロとあたりを見渡すとリュウガの姿を見つけた瞬間ブルブルと震えだした。

 

 リュウガは武器商人の首根っこを掴むとヒョイとデストワイルダーの前に放り投げる。雑に扱われたことで武器商人が「ぎょへぇ」と奇声をあげるが当然のごとくガン無視する。

 

 リュウガが顎で武器商人を示すと、デストワイルダーは嬉しそうに武器商人をバリボリと食べ始めた。

 

 部屋の中に武器商人の悲鳴と砕ける骨や肉の音が響き、咄嗟にみないようにしていたフキたちの中で思わず泣いてしまう者もいた。

 

 デストワイルダーが武器商人を食べ終え鏡の中に戻ると、リュウガはチラリとだけたきなの姿を見てから鏡に向かおうとする。

 

「ま、待て!!」

 

「……」

 

 それを見て焦ったようにフキが銃口を向けて止めに入る。面倒くさそうに振り返ったリュウガに、一瞬だけフキの動きが硬直する。そうはそうだろう。眼の前で人が食べられる瞬間を見たのだから。

 

「お、お前は一体何者だ!! あいつらとなんの関係がある!?」

 

 口調は強気だが、足が震え目には恐怖の感情が表に出ている。それでも引かないようにしていふのは一応リーダーとしてここにいるからだ。

 

「リュウガ……仮面ライダーリュウガ。死にたくなければそれ以上の詮索はするな」

 

 落ち着いた少女の声。フキはその声がどこかで聞いたことがあるような気がした。だが、それよりもリュウガのことが気になった。

 

 それ以上の言葉を発する気がないのかリュウガは鏡の中に戻ってしまった。それを見た瞬間、フキはその場に座り込み胸を押さえながら荒くなった息を整えようとする。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……な、なんなんだアイツ……」

 

 なんとか息を整えたフキはたきなが頭から血を流しているのを見て、すぐに本部に連絡をいれ、壁の向こうで待機させていたリコリスとともにたきなを一回まで連れて行く。数分後、たきなは病院へと運ばれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、リュウガが出たのか……ふふ、ボクが英雄になるためにも頑張らないとねぇ」

 

 たきなが運ばれていったあとリコリスに混じった紺色の服を着た美少女が、薄く微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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