原作よりこの世界が嫌いな七海建人君   作:H-13

4 / 4
フリーの呪術師「七海建人」

 

「やっほー、七海、元気?」

 

「…五条さん。ええ、ぼちぼちと。それで、俺…、私は休暇中です。回したい仕事があればファックスかメールで私の方へ。休暇が終われば拝見します。査定後、適当な依頼額を提示します。私の縛りに関わる事になるので口約束は勘弁を。では」

 

プツリ。電話をして来る時は大抵が五条悟に割りあてられた任務の下請けと、個人的な依頼。どこにも所属していないからこそ五条悟が頼める伝の一つ。冥冥よりは安価で、されど価格は高め。特級呪霊を祓える一級最上位の実力は五条悟も認める所である。

 

 

ぶー、ぶー、ぶー。

 

 

ぶち。月に1回の旅行だというのに、ゴミ溜めを覗き込むようなことはしない。話し足りないとばかりに鳴る仕事用の端末の電源を落とし、箱根の景色を眺めながらぼんやりと時を楽しんでいる七海だった。今日はどの温泉に入ろうか。

 

 

 

「労働ってクソ!」

 

 

 

五条悟の生徒、両面宿儺の器その子守り。五条悟から送られてきたメールを要約するとそうなった。

 

爆発オチに相応しいテンションで一瞬だけはっちゃけてみたものの、虚無となって辞めた28歳が此処に。

 

 

『日給800万』『両面宿儺顕現時逃走許可』『18時以降の労働に対する特別手当』

 

通常ならば一瞬で断るであろう無理難題を吹っかけたそれの返信は、グレートティーチャー億万長者五条悟によって呆気なくOKされ、七海の目は死んだ。神は居ない。単眼猫が居るだけだ。

 

 

「此方、フリーの呪術師で僕の後輩の七海健人君でぇす!!」

 

「肩を組まないでください、五条さん」

 

「二年担任の日下部先生と同門のシン陰流使いだから、身のこなしとか参考にしてみな?」

 

「ペラペラと俺の事を喋らないでください。」

 

「でも来てくれたんだから僕のこと嫌いじゃないでしょ?」

 

「その強さに尊敬はありますが、信用も信頼もありません。」

 

好き嫌いは十年前にもう済んでいる。子供の前で良い大人が昔のことを引っ張り出す気は無い。ぶうたれた先輩を無視して問題の人物に向き合う。

 

「初めまして、虎杖君。改めて私は七海健人。依頼人である五条悟から金で頬を叩かれたフリーの呪術師です。」

 

「初めまして。お、おう。苦労…してるんですね?」

 

「今一番のストレスの元は貴方です虎杖君。両面宿儺の器、それだけで私の目から見ればリアル黒ひげ危機一髪です。ガチの。」

 

「両面宿儺が顕現しない限り私は呪術師の先達として虎杖君の成長を助けます。それが私の任務です。そこに私事は含まれていません。貰う報酬分は頑張らせて貰います。」

 

 

紫の刀袋を片手に持ち、格好は五条悟と大差が無い。纏う呪力は五条悟よりも虎杖悠仁よりも小さくて、几帳面そうな七三分けの髪と高い身長が圧を与えている様な見た目。

 

呪術師としてでは無く体術を見せる為に呼んだのかと一瞬だけ虎杖の脳内に浮かんだ。だが9時ピッタリになった瞬間七海健人の身体から弾ける様に溢れ出した呪力に反射的に拳を構えた。

 

「虎杖君、まだ習っていないかもしれませんがこれが『縛り』です。私の場合呪力と呪力出力を常時制限する代わりに正式な書類で任務を請け負った時間内に限りその制限を解除します。そうすることにより呪力量と出力、両方が底上げされます。」

 

「はいはーい!任務外に襲われたりしたら七海先生はどうするんですか!」

 

「私は先生ではありません。好きに呼んで下さい。」

 

「じゃぁななみん!」

 

「普通は七海さんや健人さんでしょう。…良いと言ったのは私なので構いません。話を戻します。私が結んでいるのは自己と自己の縛りです。自己と他者の縛りのペナルティは計り知れませんが、自己の縛りにおいては破棄した場合は底上げされるはずの任務中の呪力出力や呪力量が平常に戻るだけです。デメリットに釣り合っていたメリットも一緒に消滅する。分かりましたか?」

 

「うす!わかり易かったですななみん!」

 

「上々。故に他者との縛りは気を付けた方が良いでしょう。双方が納得すればほぼ何でも縛りは履行されます。逆に言えば、縛りと明言していない場合、片方が縛りを結んだと勘違いするケースもあります。今後座学で習うはずなので呪術の世界で生きて行くならば呪術に関する授業だけはしっかり習うように。通常科目は捨てても構いません。」

 

「おっす!」

 

「一応教師の僕の前で生徒に変な事吹き込まないでよ」

 

「私の実体験です。強くなれば金は余る程貰えます。変に通常の国家資格等に時間を費やし税金やら難しい事に悩むのはナンセンス。金を積んで丸投げした方が楽になります。」

 

「実際ななみんどのくらい貰ってるの?」

 

「私は正規ルートからは外れています。なので一例と考えてください。今回の五条さんからの依頼は日給800万です。」

 

「へ?」

 

虎杖悠仁の顔が自分の担任に向く。

 

「時給換算で言えば特級呪霊討伐が一番お金は入ります。ただ、そこには常に命の危険が付き纏う。分かりますか虎杖君、命の危険が付き纏う場合請け負う値段も跳ね上がります。」

 

「ま、今のところ悠仁は安定しているよ。一気に指を2.3本一遍に飲み込まなければ両面宿儺は出て来れないと思うし。」

 

「思うでは駄目です。」

 

「えー?」

 

「殴りますよ」

 

 

こうして、顔合わせが終わり七海健人の任務が始まった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。