葬送の吸血鬼   作:mituha

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試験期間で小説書いてる場合じゃなかったデス。
でも、勉強しなきゃいけない時に限って文章が浮かぶ。編集したくなる。何故なんだろう………?

ハリポタの魔法がよく出てきます。人によっては気分を害する魔法かもしれないのであらかじめご注意ください。


思いやり

 

 

 

大勢の何百もの視線が突き刺さる。

 

国際魔法連盟に登録されたイギリス唯一の魔法学校ホグワーツ。

そのホグワーツ城の大広間。

全校生徒と新入生、そして教師陣が集まるこの場所で最初の儀式。

組分けが始まった。

 

 

ホグワーツにある4つの寮。

 

勇気あるものが集うグリフィンドール。

知恵を追い求めるレイブンクロー。

勤勉で忍耐強いハッフルパフ。

野心と鋭敏さに優れたスリザリン。

 

 

生徒はこのどれかの寮に所属して七年生まで共同生活を共にする。

そして、組分けは生徒の素質や性格、将来性を総合評価して振り分けられる。

振り分けるのは教師たちではなく帽子。

寮の名前にもなったかつてホグワーツを創設した4人の創設者達が残した魔法の帽子。

 

強力な開心術が施されている帽子は文字通り生きた帽子だ。思考し、悩み、感情を持つ。頭に乗せた者が何を重んじているかを判断し、それに合った寮に組分けする。しかし、最終的な決定権は生徒自身にある。

私の名前が呼ばれ壇上に上がる。

 

そして私の頭に帽子が乗せられる。

それと同時に思考にかぶせてくる声。

(おやおや、久方ぶりだ。パヴィエル家の魔女、しかも吸血鬼が入学してくるのは。しかも、なかなか面白い。前世の記憶………おぉ、物語の世界とは)

(…………一応言っておくけど、私の秘密を誰かに勝手に話したらその体を噛み千切って二度と組分けできないようにしてやる)

(おぉ、怖い!安心しなさい。私は個人の組分けで知り得たことに関して誰にも何も話したことはない。当人以外はな)

 

そのことは当然知ってる。

念の為、脅しただけだ。

 

(ふむ、知識欲がある。自分を強化したいと、誰にも屈したくないと言う野心が強い。おぉ、手段を選ばない狡猾さ!君はスリザリンに入れば歴史に名を残す偉大な魔女になり、レイブンクローに入れば誰も到達できなかった極みに辿り着く。さぁ、どちらがふさわしいか……)

(私自身が入る寮は決めてある)

(ふむ………本当にその寮でいいのかね?私には君に合っているとは思えない。一番向いてない。君の目的を果たすことにも一番遠回りだ。叡智も真の友も得られない。余計な苦労だけが降りかかるかもしれない)

(別にいい。一番の問題は誰にも警戒されないこと。私が目立たないことだから。帽子に人生を決められたくない。私自身が決めたことだからさっさと叫べ)

 

(そうか………なら、仕方ない。幸運を祈ろう【ハッフルパフ!!】

 

 

私がハッフルパフを選んだ理由は闇の魔法使いの排出が圧倒的に少ないからだ。

 

スリザリンと敵対関係にあるグリフィンドールでさえ例のあの人の手に堕ちた魔法使いはそれなりにいる。

それに比べてハッフルパフは他の三寮に適正のない者でも受け入れるという謳い文句があるので、劣等生の集まりという印象がある。そのため偉業を成し遂げた魔法使いを排出しても歴史の影に埋もれやすい。

怪しまれない、影に潜むには適した寮だ。

しかし、誰でも受け入れるかと、誰とでも上手くやれるかは別問題。

 

勿論、自分がハッフルパフに向いていないことなど最初から分かっていた。

 

私にはこの寮が象徴する誠実さ、忍耐強さ、思いやり、勤勉や、公正さ、フェアプレイを重んじる心はない。

 

魔法界の未来、この先の闇の到来を知っていながら、自分に降りかかるであろう災厄から逃げる為に見捨てる卑怯者。

大勢が死ぬ

罪もない子供が、今、隣に立っている同級生たちが、今建っている学び舎が戦火で焼かれる。

でも、何もしない。今から動けば大きく、より良い未来に変えることができるかもしれないと分かっているのに。

 

そうなる前に殺される可能性があるから。

結局、自分が一番可愛いのだ。

私にはすべての運命を動かそうとする度胸も技量もない。

 

だから、誰とも仲良くするつもりなんてない。

私の名前を誰かに覚えてほしいなんて思わない。

物語に登場するその他大勢のモブとして、この力と共に歴史の闇に消えたい。

 

そんな態度で過ごしているから入学して間もなく、女子寮で寝食を共にするルームメイト達から殺意をの籠もった平手打ちを食らった。

 

「なんで、エリーを売ったの?あの子がマグル生まれだからってスリザリンの標的になってること知ってたでしょ!!」

 

黄色やオレンジの温かみのある寮の談話室の雰囲気とは裏腹にその場の空気は冷え切っていた。

騒動を見守る寮生たちの視線は手に取るように分かる。心配が一割、困惑が一割、そして八割が好奇心の面白半分の見物者だ。叩かれた頬がヒリヒリと腫れるのをどこか他人事のように感じながらルームメイトに支えられて泣きじゃくる同級生を一瞥する。

 

「…………」

 

確かにその子がスリザリンの上級生に目をつけられていることは知っていた。

一人の時は職員室近くの教室に隠れていることも。

別に売ったつもりなんてない。

 

偶々、スプラウト先生とその事を話している所にスリザリンの連中が通りかかっただけだ。

おまけにそれが件のスリザリン生とは知らなかった。

でも、彼女達からしたら私は情報を漏らした裏切り者。目立たずに生きていくために人間関係は当たらず触らず、特定の人と密接にならない人物として過ごそうと理想では思っていたけど、そんな都合よくいかないか。

組分け帽子が言ってたじゃないか。私はこの寮でこそ苦労すると、これは始まりに過ぎないのかもしれない。

 

   ◇ ◆ ◇

 

フリーレンは翌日、目を覚ました。

私が朝からフランメの散らかした部屋を片付けていたら自分から起きてきた。

 

「あ、起きた」

「………………だれ」

「君と同じだよ。フランメに魔法を教わってる」

 

指を振って床に散らばった魔導書やメモ用紙を隅の方に避ける。

最初は私を監視するという名目で世話を焼いてくれたフランメだが、だんだん大雑把さが隠しきれなくなり、あいつは日々の生活が非常にズボラであることが分かった。魔法に関して一ミリのズレも許さない癖に、生活能力は皆無。散らかる部屋、汚れた食器に我慢できなくなり、今ではこうして私が家事を担うことになった。

そして、昨日まとめて掃除したのに、なんで一晩でこんなに散らかせるんだ、あの女は。

内心ブツブツ文句を言っていると、唐突に後頭部に硬いものが当たり、背後からの殺気に動きを止める。

ゆっくり振り返るとフリーレンが何処から取り出したのか、私に身の丈ほどの杖を突き出している。

 

「お前、人間じゃない」

「へぇ………やっぱりフランメの言った通りだ。勘が良い」

 

フランメの時も思ったが、何故分かったのだろう?

見た目は人間そのものだし、魔力に目立った違いはないし。

此処でもフランメ以外の魔法使いに指摘はされなかった。

 

「なんとなくだよ。お前何者だ?」

「先輩は敬え新入り。それと、その物騒なもの仕舞え」

 

私は一瞬で姿くらましを使ってフリーレンの背後に立つ。

驚愕し振り返るフリーランの鼻先に自分の杖を突き出す。

 

「っ!、何したの?」

「別に?移動しただけ」

「戻ったぞー。……何やってんだお前ら?」

 

そこへ薬草を摘みに戻ってきたフランメが戻ってきた。私は大人しく杖を懐に仕舞い、片付けに戻る。

 

「フランメ、弟子にするなら躾くらいしろ」

「フランメ、こいつ魔族?」

 

不機嫌そうな私。

無表情殺気丸出しのフリーレン。

 

「あー、やっぱりこうなったか」

 

フランメは面倒臭そうに頭をかくとフリーレンの方に向いた。

 

「フリーレン、お前から見てこいつは人間に見えるか?」

「見えない」

「だろうな。私も見えん」

 

だから、ハッキリ言われると中々傷つくんだって。

 

「だが、こいつは魔族ではない。エルフでもドワーフでもないがな」

「どういうこと?」

 

それからフランメは私が前に語った身の上の事情フリーレンに説明した。

吸血鬼の説明や私の魔法の話を含めるとだいぶ長くなる。

その間に私は食事の準備をしよう。

 

こっちの食材や調理器具にもようやく慣れてきた。フランメが留守にしている間に少しずつ練習してマシな味付けを研究した。

 

もらった果実を水に漬け込んで酵母を作ってみたり、街で買った調味料をちゃんぽんしてみたり。 

 

フランメに任せると微妙に不味い。というか、素材の味が強すぎる。豆を煮ただけとか塩漬け魚そのままとか、固い黒パンとか初めて食べたよ。

 

前世は舌が肥えた日本人だったし、イギリス料理に慣れるのにも時間がかかった。

こんな食事は到底許容できない。

あと台所が見るも無惨な状態になるのは無視できない。

 

戸棚から前もって作って置いたバターと鶏ガラ出汁で作ったコンソメ、釜戸からは二次発酵済みの生地を取り出す。

 

本当はフランメが留守の間に作りたくて準備していたけど、私も良い加減空腹に我慢できなくなったし今作ろう。

私だって半年間、血だけで、しかも週一回の食事は流石に応えた。

 

パン生地を整形し、再び釜戸の中へ。

焼いている間に鍋に火をかけ、小麦粉とバターを炒めて牛乳を入れてホワイトソースを作る。

しばらくして室内に漂い始めたパンの香ばしい香りにフランメたちの話し声が徐々に途切れる。

 

「エミリア、何してるんだ?」

「朝食を作ってるんだよ」

 

焼き上がった柔らかい白パンを釜戸から出して、切り分けていると、私の手元を興味深そうにフランメが覗き込む。

 

「お前………料理できたのか?」

「飯抜くぞ。ぼんくら魔法使い」

 

ジロリと睨みつけるとフランメは慌てて言い訳を口にする。

 

「いや、だってお前此処にきてから血以外何も食ってなかったじゃん。てっきり普通の食事を摂らないのかと……」

「それは単にこっちの食事が不味かったからだ。果実は食べてた。贅沢な話だけど、私のいた世界では食べたいものを食べられるのが当たり前だったからね」

「マジで贅沢な話だな」

 

うるさい。

出来たクリームシチューとパンを皿に盛り、フランメとフリーレンに渡す。

受け取ったフリーレンは私と皿を交互に見つめる。

 

「ありがとう。さっきはごめん」

「いいよ」

「貴方もフランメの弟子?」

「そうだ」

「弟子じゃない」

 

勝手に返答したフランメの言葉を一刀両断する。隙あらばこいつは私を弟子にしたいらしい。あまりにもしつこいので、私とフランメは一種の賭け事をしている。私がこちらの基準の一人前の魔法使いになるのが先か、フランメが私の魔法を三つ習得するのが先か。負けた方が勝った方の弟子になるというものだ。

私が魔力探知の技術を早々に習得してかくれんぼも勝ち抜いたのを焦り出したのか最近は暗示をするように耳元で「弟子」と刷り込ませようとしてくる。

 

流石に寝ている時に耳元で囁いていた時は迷わず私の右ストレートをお見舞いした。

 

「私はフランメと魔法を教えあってる関係だよ。師弟関係じゃない」

「…………魔族っぽいけど魔族じゃないね」

「吸血鬼だからね。さぁ、冷めないうちに食べよう。半年ぶりにまともな食事だ」

 

テーブル席について手を合わせてからスプーンを取る。市販のバターと違って一から全て手作りで作ったから素朴で、あっちの味とは違うけど、まぁまぁの出来だ。

うん、パンの方は成功だ。

これで固いパンとはおさらばできる。

 

「うまっ!なんだこの味食ったことねぇ」

「………」

 

フランメの大袈裟な反応とフリーレンの無言の咀嚼具合から見ても現地人にとっても味の革命だろうな。

なにせ、コンソメの素なんてないから鳥骨を3時間煮込んで出汁作ったんだから、美味しくて当たり前だ。

 

「私が王城に招かれた時に出された料理より美味い」

「そりゃ、そうだ」

「確かにこの味を知ったらもう他のものなんて食べられないだろうな」

「やっと、わかったか」

 

フランメは私の世界の食事に興味を持ったのか、これからはいろんな食材を定期的に仕入れる約束を取り付けた。

砂糖があれば尚よし。

期待できそうだ。

ふと、フリーレンがこちらを見ていることに気がついた。

 

「………エミリアは本当に魔族とは違うんだね」

 

それにフランメが嬉しそうに反応する。

 

「お、フリーレン。ようやく分かったか?」

「うん。正直、血を吸うとか、人間を食べたことがあるとか、弱点がほとんどない不老で神話級の魔法が使えるとか聞いた時はフランメの正気を疑ったけど………」

 

おい、自堕落魔法使い。

なに人のデリケートな個人情報ベラベラ喋ってるんだ?

 

「魔族ならこんな手間のかかる食事に気を使ったりしない。そんなに………美味しいって言われて嬉しそうにしないよ」

 

嬉しそう?

 

「……….私、笑ってた?」

「笑ってたぞ。見たことない顔だな」

 

自分の顔に手を当ててみると………本当だ。

口角が上がってる。

そういえば……。

 

「誰かに食事を作ったのは久しぶりだからかな。子供ももう所帯を持って家出てるし」

 

たった数年前のことなのに、すごく懐かしい気がする。

 

「ーーーーは?」

「ん?」

 

フランメがスプーンを取り落とした。

フランメはこちらを信じられない目で見つめて落ちたスプーンなんて気がついてない。

何やってんだ?

仕方ないな。戸棚から替えのスプーンを取り出してフランメに握らせる。

 

「お前………結婚、子どもいたのか?」

 

なんだ。そんなことに驚いていたのか?

 

「子供どころか孫までいるけど?もう成人してる」

 

あれ?

言ってなかったけ?

 

「聞いてないな……。でも、考えればそうか。お前そんな見た目で、時間感覚は人間と差異がないから忘れてたが90歳超えてるんだから結婚してても不思議じゃないか。………そうだな、家族がいるなら元の世界に帰らないといけないよな」

「90なんてまだ子供じゃん」

「エルフはな」

 

自分ではだいぶ長く生きた自覚があるけど、エルフから見たらまだ子供か。

でも、いずれ私もその感覚になるのかもしれないな。

ところでそう言うフリーレンは今何歳なんだろう?

明らかに私より上なのは分かるが、言動や仕草に幼さがある気がするなぁ。

 

「フリーレン、怪我の具合はどうだ?」

「なんともないよ。でも、起きてから治ってて不思議だったんだよね。全治一ヶ月くらいすると思ってたから」

「それなら良かった。エミリアの治癒魔法様様だな」

「エミリアは女神様の魔法が使えるの?」

 

フリーレンの質問に私は横に首を振る。

 

「私が使ったのは私の世界の魔法だよ。一般的な治癒魔法だ。私の学校の出身者は誰でも使える」

 

特に私は血を吸わせてもらった後、歯形のついた肌を治すためによく治したから、変身術と同じくらい得意になった。

 

「私は必ずやその魔法を習得したいと思っているが、これが中々難しい」

「だから、細胞が増えるんだよ」

「細胞ってなんだ?」

 

この会話も何回もした。

 

「エミリアの使う魔法か。それはちょっと興味があるかな。他にはどんな魔法があるの?」

 

フリーレンがやや積極的に聞いてくる。この子も心なしかこちらを見つめる眼差しががフランメと同じだ。こういう子供っぽい反応はなかなか悪くない。

魔法族の子供は魔法なんて見慣れているから滅多にこんな反応されないし、マグルの子供ならしてくれるだろうけど、機密保持法のせいでマグル前で魔法は使えないし、

 

「私が得意なのは変身術だからね。例えば………動物をゴブレットに変える呪文とか?」

 

確かあれは2年生のとき習ったっけ。

 

「「………」」

 

あれ?何その反応。

二人の視線が何とも言えない微妙な顔になる。有機物を無機物に変化させるのはそれなりに高度な術なんだけど?

それを元に戻すのはもっと高度なんだけど?!

 

「何というか………魔族っぽい魔法だな」

「ぇ」

「結構………えげつないね」

「ぇぇ」

 

フランメとフリーレンがドン引きした顔をしてくるのが理解できず、え?何でそんな反応されるの?と思った。

するとフランメが呆れたように言う。

 

「それ…………人間にも有効だろ?」

 

そこまで言われてハッと気がついた。

 

元の世界で変身術は必須教科に入っているが、高度で使い手はほとんどいない。

なぜなら科学に似た要素があるのように理論や杖の振り方、呪文の発音など何か一つ、一ミリでも違うだけで発動しない。若しくは中途半端な結果を生み、一生元に戻せなくなる。

便利だが、ハードルが高い魔法だからだ。

 

ホグワーツ生は長年変身術の教授を務めたマクゴナガル先生の教え子だ。あの人は授業には人一倍厳しかったし、変身術の悪用なんてしたら冗談抜きで退学にされかねなかったから向こうの世界で変身術を犯罪に使おうなんて考えるバカはいなかった。

 

人を殺したり、呪ったり、犯罪を犯すことに態々習得難易度の高くて自分も被害を受けるかもしれない変身術を選ぶメリットはない。

 

勿論、自由に動物に変身できる『動物もどき』のように規制されている変身魔法はある。

まったく法律がない訳じゃないけど………。

 

私が齎した魔法はこの世界では未知の魔法。そうか殺傷力があると思われてもおかしくないのか。

向こうの考え方や価値観が私にとっての普通だから全然気が付かなかった。

気をつけよう。

 

「二人が考えている危険性は理解した。確かにこれは人にも有効だよ。でも、一つ言い忘れていたけど、変身術も万能じゃないんだ。

1000年前なら兎も角、私の使う現代の変身魔法は基本、変える魔法と元に戻す魔法のセットで習う。だから対処法はちゃんとあるし、それに戻らなくなるのは未熟な失敗例であって、成功した魔法も永続的に続くわけではない。

魔法を使うために込めた魔力の量で効果時間が続くと言われているから。自分に無機物になる魔法をかけて自分で解くのは不可能だけど、他人を動物や箒に変えても成人魔法使いの実力ならせいぜい3日から1週間で元に戻る」

「それを聞いて安心したよ。戻らないとか言われたらそれはもう呪いだからな」

 

私の言葉に安心したようにフランメが息を吐く。この世界では解けない、原理が理解できない魔法を『呪い』と呼ぶ。

私の世界では『呪い』は幅広い言い方をする。

私の吸血鬼化のようにこの世界と同じ原因不明、解除方法不明、理解不能な物からメチャクチャ長い呪文を唱え続けたり、不吉な魔導具を使用し、生き血を捧げたり、儀式をするマジな物。

ちょっと意趣返しに使う、悪戯グッズや悪戯魔法など人が嫌がる魔法も総称して『呪い』と言う。

 

だからこそ、心外だ。

 

私は闇の魔法使いに堕ちた覚えはないので、呪いの掛け方なんて知らない。あんなものに手を出す奴らと同一視しないでもらいたい。

 

「私は人に向かってそんなにポンポン呪いはかけたりしない。どこぞの赤毛の双子たちやターバン男と違って常識は持ち合わせてる」

「お前………ついこの前、絡んできたナンパ男にナメクジを吐き続ける魔法をふっかけたの忘れてるだろ?」

 

そんなこともあったけ。

言われて思い出した。

フランメの買い物について行ったら身なりのいい鼻の高い男にナンパされたのだ。

しかし、あれは向こうが悪い。権力を盾に私を懐柔しようとしたから鼻っ柱へし折ってやっただけだ。

ご自慢の顔が歪んでナメクジを吐き続ける絵面は見てて溜飲が下がった。

 

「………すぐ解いた。本人の記憶も消した。証拠はない」

「そういう問題じゃない。魔法を人に向かって打つな。呪うな」

「あんなの呪いの範疇じゃないと思うんだけどなぁ」

 

仕返しとしてはかなり優しい魔法だったと思うが………まぁ、やりすぎてあの双子と同列に扱われるのは嫌だし、少し自粛しよう。

 




『変身術』
物の形状を変える魔法。
無機物から無機物へ。
生き物を無機物へ。
動物を無機物へ。
動物を別の動物へ………と、いうように段階を踏んで習う。
人間が動物になる術を使うと、かけられた側は思考能力が失われ、自力では戻れない。

『動物もどき』
自らの意思で動物に姿を変える数少ない魔法。
人間の思考を動物姿でも維持できる。
杖なし、呪文なし、予備動作なしで使える変身魔法。
習得難易度が高く、習得したら政府機関に申告が必要。無許可だと重罪になる。

エミリア(オリ主)

人に悪戯魔法をかけ合う、嫌がらせの絶えない、騒がしく一年を通して穏やかな日などありはしない。騒動と問題だらけの日常が当たり前の魔法学校で育ったから、時々フランメがドン引きする魔法を平気で人に行使する。
尚、本人に悪意はなし。
自分が毒されている自覚なし。

常識は前世に置いてきた。


フランメ
オリ主の修行が思ったより進んでいて焦り出した。
オリ主が民間魔法は嫌うくせに、悪戯魔法は使うことに対して意味が分からない。ナメクジの呪いは絶対に受けたくないと思っている。

フリーレン
吸血鬼と聞いて警戒半分。
ご飯が美味しくて懐柔半分。
色々な魔法を知ってそう。そのうち教えてもらいたい。
オリ主は魔力量が多くて強い魔法使いだと思ってる。

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