五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

103 / 130
教室
101-5


 

 

・・・・・・・玄関は既にドアが閉まっている。施錠はされていない。

ドアを握りしめ・・・・

 

 

 

開く。

 

 

 

 

下駄箱から上履きを取り出し、履き替える。

 

 

 

 

足音を殺し、階段を昇る。

目的のところへ移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・着いた。ドアに手をかけ・・・・・

開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・電気はつけるべきだ。キミは目が悪いだろう?」

 

 

 

 

「五月。」

 

 

「え・・・あ・・・・な、ナギくん・・・・」

 

 

 

 

 

 

教室の電気をつける。

イスに座り、机に本とノートを開いていた。筆記用具もある。

座っている場所は自分の席ではない。窓から光が差し込む場所で勉強していた。

 

「なんだよ。やっぱり勉強してたんじゃないか。予想通りだ。」

 

「・・・・ここへ、何をしに・・・・」

 

「おいおい。キミが呼んだんじゃないか。俺と二人きりで話がしたいんだろう。

嘘でもついたのかい。一本取られてしまったね。」

 

「確かに・・・そう、書きましたが・・・・」

 

 

「さて。それは・・・・社会か。この時間だ。30分だけなら付き合おう。」

「・・・・え!あ、でも・・・・」

 

「ペンを持ちたまえ。時間は無駄にしない様に。

五月が大学に落ちたら俺も落ちたようなもんだ。言っただろう。俺達二人は、共同体だと。

キミだけ落ちてしまうのは許さない。俺が落ちてしまうのと同じくらいおおごとだ。」

「は、はい!」

 

「始めよう。」

「お願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あちゃー。電気、ついちゃったなぁ。

 

・・・おめでと。五月。私も茜ちゃんみたいに強引にキスしちゃえばよかったかも。

 

・・・・ほっぺたで満足しちゃった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「教室の、電気が・・・・

 

・・・・・この前、思い出を貰っておいて正解でした。

 

えへへ。これから何をしようとも、凪センパイの初めては私のものっす。

 

それで・・・・・がまん、します・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・よし。30分。頑張ったね。」

 

「ありがとうございました。」

 

いつも通り、勉強を終えた。これでいい。何も変わらない日常。

求めていたのはこれ。

 

これがいつまでも続いてしまえばいいのにね。

 

 

「・・・・とりあえず、外に出ようか。いつまでも学校にはいられないよ。」

「はい。」

「俺がさっきまで居た公園に行こう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある公園に来た。ベンチに二人座る。

見上げれば、既に星空。満月に照らされている時間だ。

 

 

「これで良ければ、飲むかい。」

「あ、ありがとうございます。」

「悪いね。流石にカレーは売ってない。」

「そ、そんなジュースはありません!」

「いつか出るんじゃないか?コーンポタージュの缶もあれば、

カレーうどんのカップ麺もあるくらいだからね。」

 

自販機で買った酸っぱくてあったかい奴を渡す。

冷えるからな。風邪をひかないように。

 

 

「無堂との一件は、しっかり片付いたのかな。」

「はい。今の私達なら、負けません。お父さんも来てくれました。」

「よかった。結局俺は見に行っていなかったからね。少し不安もあった。」

「約束、守ってくれたんですね。嬉しいです。」

 

 

中野父も参戦したならまず負けないな。

あの人こわいもん。違う世界でヤクザの組長とかやってそう。

 

 

 

「さっき、四葉くんとここで出会ってね。

どうやら、風太郎に言われて俺の様子を伺っていたらしい。」

「四葉と、上杉くんが?・・・そうですか、二人が心配するほど、

ナギくんを追い詰めてしまいましたか。申しわけありません。」

 

「そうだね。でも終わってみれば簡単な事だったよ。

俺が一番会いたかったのは・・・・五月。キミだった。」

「・・・ほ、本当に、そうなんですか。」

 

 

「信じられないのかい。・・・・目を瞑れば。思い出すのはキミの顔さ。

 

今でも脳裏に焼き付いている。あの時、最初のテスト、

 

一人で自習をしていた時にした俺の独り言。

 

あの後、初めて俺に対して面と向かって微笑んだ。・・・・とても素直で真っ直ぐな眼。

その顔がいつも思い浮かぶ。だから、五月だけはわかったんだよ。旅館の五つ子ゲーム。」

 

「そう、なんです、か・・・・」

 

「そう。今もそうして俺から視線を外さない。だから、自然と覚えてしまう。

礼儀正しさというのは大事だね。話を聞く人をちゃんと見つめる。

これだけで印象が良くなる。・・・・本当に素敵な眼だ。」

 

 

武田くん。頼りにならないと言ったが、あれはいいアドバイスだった。

 

【一体彼女たちの誰から見分けられるようになったんだい?】

 

それが決め手だったかもしれないな。

色々吹っ切れるのに少し時間がかかってしまったが。

 

 

 

「五月。・・・俺も、風太郎と同じように皆が好きだ。

だけど・・・・他の4人とは違い、五月が特別に好きだ。」

「はい。」

 

 

 

 

「答えは・・・・聞かないことにしよう。手紙に書いてあったね。まだ、わからないと。」

「いえ。・・・もう、わかりました。」

「おや、そうかい。」

「でも・・・・今は、喋りません。」

 

 

「私は・・・・まだ、あなたに憧れを抱いています。対等な立場に立ってません。

・・・・大学に合格したその日に、答えても良いですか。」

「良いね。楽しみだ。なら、明日からも一緒に勉強しないといけないね。」

「はい。お願いします。」

「約束をしよう。指切りだ。小指を出して。」

 

五月とゆびきりげんまん。

 

切りたくないなあ。これ。離したくない。

まあいいか。明日からもいつでも会えるし。しばらくの辛抱だ。

 

「送っていくよ。」

「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、ありがとうございました。」

「ああ。また、明日。・・・・あ、ちょっと待った。失礼。」

「え?・・・きゃ!」

 

腕を掴んで、こちらに引き寄せる。

 

ちょっと強引だったかな。五月の体を真正面から抱きしめる。

 

・・・うん。良いね。幸福を感じるよ。

やはり、俺の気持ちは間違っていなかったらしい。

 

 

 

「あ・・・・」

「悪いね。急にこうしたくなった。」

「・・・・いえ。びっくり、しましたが。」

「ごめんごめん。・・・・うん。満足だ。」

 

五月を解放した。充電出来た。

 

「では、さようなら。また明日を楽しみにしているよ。」

「はい!」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。